戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG   作:フリューゲル

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エピソード29《それぞれの戦い》

クリスや切歌たち南極派遣組が戻ってきたため、全員が本部に集められる。

 

 

「錬金術師に先史文明の巫女か」

 

 

司令が呟く。

 

 

「しかし、キャロルにフィーネ。やはり別格か」

 

 

南極での戦いの映像を見ながら、今回病院から特別に外出し参加している翼が言う。

 

 

「今回あたしたちはなんにも出来なかった」

 

 

悔しそうに拳を握りしめているクリス。

 

 

「キャロルに対抗する手段。あるかもしれません」

 

 

 

エルフナインの言葉に視線が集まる。

 

 

「翼さん、調さん、切歌さんの手に浮かんだ紋章。これはキャロルが手にしていた『シャッフルの紋章』だと思われます。この聖遺物の力を解析すれば、きっと」

 

 

名前を言われた3人はそれぞれ自分の手の甲を見る。そこに浮かぶ紋章を。

 

 

「ボクは聖遺物に詳しくありません。シャッフルの紋章について知っていることはありませんか?」

 

 

聖遺物とガンダムを専門に研究しているウェルへとエルフナインが聞く。

 

 

 

「歴史の秩序の担い手と呼ばれ、歴史上のあらゆる争いを陰から調停してきた。それがシャッフル同盟と言われています。そのくらいですかね。僕がわかることは」

 

 

「解析するなら、お付き合いしますよ」

 

 

とりあえず紋章のことは2人に任せることになった。

 

 

「私たちは私たちに出来ることをしよう」

 

 

翼が他の装者4人を連れて別室にあるトレーニングルームに向かう。

 

 

「どうするデスか?」

 

 

「1人で勝てないなら、力を合わせるしかあるまい」

 

 

クリスは渋々、他の3人は納得したように入っていく。

 

 

「私は戦えないことがもどかしい。マリアはずっとこんな気持ちのまま、支えてくれていたのだな」

 

 

 

チフォージュ・シャトーに戻ったキャロルは1人座したまま呟く。

 

 

「マスターガンダムの邪魔とシュピーゲルという不要な要素はあったが、シャイニングとマックスターの攻撃をこの身に受ければようやく終わる」

 

 

今は誰も立つことのない台座を見つめる。

 

 

「オレのボルトと同時代であったシャッフルの機体。その力を1つに纏めてオレの万象黙示録は完成する」

 

 

キャロルの見つめる先にはモニターがある。

 

 

「当面こいつも動きそうにない。目を離すことになるが、仕方がないか」

 

 

モニターの先にはリディアンが映っていた。

 

 

「誰であろうが関係ない。最後に勝つのはオレだ!」

 

 

 

そんなキャロルの様子見つめる者がいる。

 

 

「シャッフルの紋章。過去の持ち主の思い出が詰まっているとは言え、オートスコアラーを動かすためのエネルギー源。君くらいだよ。聖遺物をそんな使い捨てるようなやり方をするのは」

 

 

「そんな君はそれが目的だったとはね。そして、擬似的に揃えるわけだ。シャッフル同盟の力を」

 

 

浴槽に浸かりながらモニターでキャロルを監視するアダム。

 

 

「もう少しかかりそうだ。こちらは。どうにかいかないものかな。この2人をぶつける方法は」

 

 

アダムの手にはキャロルとフィーネの人形があった。他にも装者たちやサンジェルマンたちのも。

 

 

「邪魔なんだよ。特にこの2人はさ」

 

 

他には目もくれず、その2体だけを強く握りしめる。浴槽の近くには簡易ベッドが置いてあり、そこにはティキが眠っている。

 

 

「しかし、手間をかけさせてくれる。早く起きてもらいたいものだ。このポンコツには」

 

 

眠るティキを眺め呟く。

 

 

 

 

南極での戦いを終えたサンジェルマンたちはF.I.Sに帰還していた。

 

 

 

「戻りましたか。どうでしたか?」

 

 

「ナスターシャ教授」

 

 

3人を迎えたのは車椅子に乗った初老の女性だった。

 

 

「シェム・ハの腕輪はフィーネに取られたわ。局長やキャロルの底も見えず。散々ね」

 

 

「それでも、ソロモンの杖はS.O.N.Gに渡ったワケダ。最低限はやってのけたワケダ」

 

 

3人からの報告を聞いてナスターシャは不服そうに、でも頷く。

 

 

「まぁよいでしょう。後はあの人が上手くやってくれることを信じましょう」

 

 

そう言って3人を中に入れる。

 

 

「それで、アイドル大統領はどんな感じかしら? 上手く仕上がってくれてないと困るのよね」

 

 

「マリアなら問題はありません。ギアもガンダムも今やそれなりにこなしています」

 

 

カリオストロを睨むようにナスターシャが返す。

 

 

「それなりでは困るワケダ。キャロルやフィーネに対抗出来るほど強くなってもらう必要があるワケダ」

 

 

「いきなりそれは求めすぎでは? あの子はLINKERの苦しみに足掻きながらも必死に」

 

 

プレラーティにも言われ、ナスターシャは怒りを隠さずに反論する。

 

 

「2人の言う通りね。それなりにしかならないのなら、私たちが手を貸す意味がなくなる。勝てない戦がしたいのなら、そちらで勝手にやってくれ」

 

 

サンジェルマンの冷たい言い方にカリオストロやプレラーティまで背筋が凍る。

 

 

「わかっています。今はもう少しあの子に時間をあげてちょうだい。きっとやってくれるはずだから」

 

 

「目的が同じであれど、不必要な戦力なら見切らせてもらう。それだけは覚えておくのね」

 

 

3人はその場を後にするように奥へと進んでいく。

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