戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG 作:フリューゲル
「いったいどうやってここに入ったのかしら? 何者なの?」
「そんなことはどうでもいい。その紋章をどこで手に入れたと聞いている」
マリアの言葉にすぐさま反応する鉢巻きの男。
「どうでもよくないわよ。ここは関係者以外出入りは出来ないのよ? 部外者であるあなたをこのままになんて出来ないわ」
マリアも言いながら、通信機に手をかける。いつでも応援を呼べるように。
「わかった。そちらの質問に先に答えよう。ただし、俺の問いにも答えてもらう」
「いいわ。答えられる範囲によるけどね」
とりあえず臨戦態勢を解き、お互いに話しだす。
「ここにデビルガンダムの情報があり、侵入した。この程度の警備なら、俺には問題ないと言える」
無数の監視カメラに赤外線センサーが張り巡らされており、とても簡単に侵入出来るとは思えないのだが、この男には容易いことなのだろう。
「色々気になるけど、まぁいいわ。それで、この紋章がなんなの?」
納得していないが、とりあえず気になっていたことを聞くことにする。
「それは『キング・オブ・ハート』の紋章。シャッフル同盟の一員である証だ。そしてその紋章は本来は俺のものだ」
そう言って左手を見せてくる男。そこにはマリアのものと同じ模様の紋章があった。
「どういうことなの? これがあなたのものだなんて」
「俺は、先代のキング・オブ・ハートを継承し者。ドモン・カッシュだ」
鉢巻きの男、ドモンの言葉の意味をマリアは理解していない。
「そもそも紋章は、現在の継承者から引き継ぐ形でしか渡らないはずだが、どうしてお前がそれを持っているのか答えてもらう」
マリアも、誤魔化すことなく話すしかないと感じる。そうしないとなにもわからないだろうと。
「わかったわ。そうね。あれは……」
オートスコアラーとの戦い、そこで勝った後から手に紋章が浮かんだことなどを話す。
「なるほど。もう1つの方法で紋章を受け継いだのか」
「もう1つの方法?」
マリアが聞き返したことで、ドモンは説明を始める。
「初代のシャッフル同盟のメンバーは、その力を弟子たちに残した。そしてその力をどんどん継承して紋章は受け継がれるわけだが、その初代のメンバーは保険をかけた。いつか紋章を受け継ぐ者がいなくなるかもしれないことを危惧したと言われている。それが聖遺物『シャッフルの紋章』だ。その聖遺物を使って紋章を受け継いだ者、それがお前が倒した敵なのだろう」
そのオートスコアラーを倒したことで、マリアに紋章が引き継がれたのではないか。それがドモンの見解だった。
「しかし、その聖遺物が起動したと言う事実はあまりいいことではないな。それは現在の継承者が相応しくないと判断されたときに発動すると言われている。つまり、俺たちでは相応しくないと言うことか、もしくは俺たちより君たちのほうが相応しいと判断されたかだ」
続けて語られた言葉にマリアは驚く。
「それで、その先代のキング・オブ・ハートさんの用事はデビルガンダムだったかしら?」
マリアの言葉に頷くドモン。
「なら、ここにはいないわ。私たちも探しているところなのよ。それにあなた、ガンダムは持っているのかしら?」
「今、ガンダムはない。友人に預けているからな。だが、ガンダムがなくとも必ずデビルガンダムを討つ」
ドモンの答えに驚くマリア。
「それでどうやってデビルガンダムを討つつもりなのよ。それにアレを手に入れるのでなく壊すなんて、初めて聞いたわ」
「アレは人が扱えるようなものではない。むしろ完全に破壊しなければならないものだ」
ドモンの気迫にマリアもたじろぐ。
「いったいあなたはなんなのよ」
「過去にあの化け物と戦った男だ」
その言葉には衝撃を受ける。
「とりあえずここにデビルガンダムがいないことはわかった。邪魔をしたようだ」
そう言って立ち去ろうとするドモンをマリアは呼び止める。
「待って。私にガンダムの扱い方を教えてくれないかしら?」
「どうして戦う?」
ドモンは一応立ち止まり、そう尋ねる。
「私はもうなにも失いたくないのよ。でもこのままじゃ……」
「お願いよ。ギアもガンダムもまともに扱えない。そんな足手まといはもう嫌なの」
その場に崩れるマリアを見つめるドモン。
「新たなキング・オブ・ハートが弱いようじゃ俺も色々困る。だが、俺は一刻も早くデビルガンダムを見つける必要がある。だから、基本的なことだけだ。それでもいいか?」
「ええ。お願いするわ」
マリアの答えにドモンはとりあえず指導することにする。
「まずはお前のガンダムを呼んでみてくれ」
「そうね」
【Granzizel bilfen gungnir zizzl】
聖詠をし、ガングニールを纏うマリア。そして続くようにガンダムを呼び出す。
「そんな……。この機体は師匠の……」
マリアが呼び出したガンダムを見てドモンは驚く。かつてのドモンの師匠であり、デビルガンダムに魂を売った男の機体。死闘を繰り広げたあの機体、マスターガンダムだったからだ。
「そうか。ここに俺が導かれたのは、あなたの導きか」