戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG 作:フリューゲル
順調にノイズ倒していく奏。そんな奏に2つの絶望が降り注ぐ。
「司令、デスアーミーの出現を感知しまさた」
オペレーターの藤尭朔也の言葉通り、奏の前にノイズではない一つ目で棍棒のような物を持った巨大兵器。デスアーミーの登場だ。完全聖遺物、デビルガンダムの細胞から作られたこのデスアーミーは非常に装甲が硬く、人類の兵器が通用することはない。それによりノイズと同じく認定特異災害とされている。
【蒼ノ一閃】
翼が大型の剣から青い衝撃波を飛ばすが、デスアーミーは無傷だった。
「やはりシンフォギアの攻撃では、装甲を貫けぬか」
翼の攻撃は通用せずとも、ガンダムに乗った奏がどんどん撃破していく。するとシンフォギアを纏いガンダムに乗って戦う奏に対抗するかのようにデスアーミーとノイズが融合を始めたのだ。
「融合した?」
翼が唖然とするのも無理はない。位相差障壁でシンフォギアの攻撃でないと無効化されるのに、そのシンフォギアの攻撃では砕けない装甲を持った新たなノイズが誕生したのだから。
「シンフォギアの攻撃が通用しないデスアーミー。ガンダムの攻撃が通用しないノイズ。この2つが融合するなんて興味深い。これがデビルガンダムの成せることなのか」
1人戦況を見ていたウェルは歓喜の雄叫びを上げている。この絶望にも思える状況に。
「だったら私もガンダムを」
『無理です。翼の機体は前回の戦闘での修復が済んでいません』
翼もガンダムを呼ぼうとしたが、緒川からの通信でそれが叶わないことを知る。
「こいつらはあたしに任せときな」
勢いよく戦う奏。翼はもどかしそうにそれを見ているしかなかった。
「シャーイニングー、スラッシュ」
槍を振り回し斬撃を飛ばす。順調に見えた奏がここで膝をつく。パイロットの動きと連動しているガンダムも同じように膝をつく。
「奏ちゃんの適合係数、落ちてきています」
もう1人のオペレーター友里あおいの言葉はこの場にいる全員に衝撃を与える。天羽奏は元々シンフォギアへの適合係数が基準値に満たしていない。LINKERという適合係数を無理矢理上げる薬を使っている。このLINKERは時間の経過と共にその効果が薄れていく。奏に許された時間が残り僅かだと教えていた。
「時限式じゃここまでかよ」
ノイズもデスアーミーも融合生物もまだ沢山残っていた。
「いつか、心と身体、全部からっぽにして、思いっきり歌いたかったんだよな。
今日はこんなたくさんの連中が聞いてくれるんだ。
だからあたしも、出し惜しみなしでいく。
とっておきのをくれてやる。
絶唱」
【Gatrandis babel ziggurat edenal】
歌と同時に周りがざわめきだす。まるで嵐の前触れかのように
【Emustolronzen fine el baral zizzl】
「まさかこの歌は」
なにかに気づいた翼は慌てて奏で駆け寄る。
【Gatrandis babel ziggurat edenal】
「奏。歌ってはダメー!!!!!」
【Emustolronzen fine el zizzl】
奏が歌い終わると辺り一面をとてつもない衝撃が包む。ノイズもデスアーミーも融合生物も全て巻き込んで。
シャイニングガンダムもボロボロになりあちこち破損が酷い。コックピットから滑り落ちた奏を翼がかろうじて受け止めるが。
「奏………」
目、鼻、口、耳と体中から血が溢れる姿に翼は絶句する。
「知ってるか、翼。思いっきりうたうとな、すっげえ腹減るみたいだ」
その言葉に翼は涙が止まらない。どうしてこうなったのか。他に方法はなかったのか。後悔が胸を締め付ける。
「翼は泣き虫だな」
「奏は意地悪だ。だから、そんな私を1人ぼっちにしないでくれ」
奏の手を握りしめる。目の前の結末を受け入れられないかのように。
「大丈夫さ。翼は………」
その言葉を最後に奏の姿は灰となり空へ飛んで行った。
「かなでーーーーー!!!」
翼の叫ぶ声が虚しく響く。
「これはどういうことかしら?」
ネフシュタンの前で待機していたマリアも窮地に立たされていた。一緒にここで警護していた人間はもういない。全て現れたこの女性によってその命を奪われていた。
「邪魔だ、小娘。私はその先にあるモノに用がある」
「そう簡単に通すと思うのかしら?」
強気に言うがマリアの内心は尋常じゃない。ここにいた人たちは自分とネフシュタン両方の護衛のために派遣された手練れたちだ。それを簡単に地に伏せさせ、武器も通用しないときている。
「かしましい」
女性の振り上げた拳で簡単に床に倒されている。立ち上がろうにも力が入らず、マリアはその女性が先の扉に入るのをただ見ているしか出来なかった。
「これは私の元にあるのがふさわしい」
高らかな笑い声を上げながらネフシュタンを手にすると、その体はもう消えていた。
この騒動で大怪我を負った響。幸いにも手術は成功し、一命は食い止めた。心臓付近に残った欠片は除去することは不可能だったが。