戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG   作:フリューゲル

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エピソード7《始まりの歌》

「おい、お前それ」

 

 

クリスが驚いた様子で指差してくる。

 

 

「お姉ちゃんたちカッコいい」

 

 

女の子の言葉もあって響は自分の姿を確認する。

 

 

「えぇっ? えっ? うぇ? どうなってるの?」

 

 

『ガングニール』の『シンフォギア』を纏う自分の姿に驚く。

 

 

「まぁいい。今からこの子を避難場所に連れて行くぞ」

 

 

クリスと同時に響も女の子を見つめる。一刻も早くこの子を安全な場所に送り届けたい気持ちは一致している。

 

 

「でも、まだ他にも逃げ遅れた人とかいたりしないのかな?」

 

 

いても絶望だろう。クリスはそう思ったが口には出さない。

 

 

「大丈夫だ。ノイズの処理は今遅れて到着した先輩に任せとけ」

 

 

建物が壊されたり、ノイズの発する音に紛れることなく静かで力強い歌が聞こえた。

 

 

【Imyuteus amenohabakiri tron】

 

 

バイクに乗って『アメノハバキリ』の『シンフォギア』を纏った風鳴翼が現れる。

 

 

「つ、つ、翼さん!?」

 

 

突如現れた憧れの人に驚く響。

 

 

「あたしはこいつらを避難させる。ここは任せたぜ。先輩」

 

 

クリスの言葉にチラッとそちらに目を向け響を睨み付けるが、すぐにいつもの表情へ戻すとノイズへ向きあう。

 

 

「承知した。聞かせてやろう。防人の歌を」

 

 

『♪♪♪』

 

 

歌いながらノイズへどんどん剣を振り倒して行く翼に響は見とれていた。

 

 

「おい、行くぞ?」

 

 

クリスが女の子を抱え、声をかける。

 

 

「う、うん」

 

 

驚くばかりだったが、とりあえずクリスと一緒にここから離れる。当然逃げる先にもノイズはいて、クリスも歌いながら銃で戦う。

 

 

(なんだろう。これ。自然と歌が流れてくる)

 

 

響も歌いながら拳を振るうが、これまで喧嘩もしたことのない少女だ。そう簡単に攻撃が当たるわけもなく、ピンチになるシーンも多い。

 

 

「なにやってんだ。このバカ。邪魔するんならこの子をお前が見てろ。ノイズはあたしがやる」

 

 

クリスから女の子を受け取り、走る。クリスが撃ち漏らしたノイズだけを手で振り払うようにして。

 

 

シェルターの近くまで来て、その足が止まる。シェルター前の広場を埋め尽くすほどのノイズがいたからだ。

 

 

「ったく。さすがに多すぎだろ」

 

 

【千ノ落涙】

 

 

クリスが自棄になって銃をぶっ放そうしていると上空から、小さな剣が雨のように降ってくる。

 

 

「これで」

 

 

【蒼ノ一閃】

 

 

大型のノイズを翼が斬り伏せ、ノイズの反応はそこで終わる。

 

 

翼とクリスが本部からノイズの反応が残っていないことを確認すると、響が話しかける。

 

 

「ありがとうございます。私、翼さんに助けられたのこれで2回目です」

 

 

「2回目?」

 

 

言葉の意味を測るためか、翼の表情は強張っていた。

 

 

翼がなにかを聞き出そうとして、口を開きかけたところでS.O.N.Gの職員が現場へ到着する。

 

 

消火活動や炭の除去など、手際よく分散して片付けてゆく。

 

 

「少しよろしいですか?」

 

 

そんな中、響に近付いてくる男。緒川は響の姿を見て『ガングニール』の確認をする。

 

 

「今回のことは機密事項となります。我々と一緒に来てもらいたいのですが?」

 

 

「わたしもこの力のこと知りたいですし、お願いします」

 

 

響が了承したところで、緒川は響の両手に手錠を嵌める。

 

 

「ふえぇっ!?」

 

 

「すいません。でも少しだけ我慢してください」

 

 

戸惑いながら、車へ乗せられる。

 

 

車に揺られてしばらくすると大きな潜水艦があり、その中へ案内される。とんでもないところに来てしまったと響が後悔し始めるがお構いなしにどんどんと奥へ進む。他の部屋と比べて大きな扉の前まで来て逃げたくなるが、黒服の男に囲まれ、更にはクリスや翼もいるため叶わないだろうと諦めていた。

 

 

「どうぞ」

 

 

緒川に促され、ビクビクしながら部屋に入る響を待っていたのは、

 

 

パーン!!

 

 

大きなクラッカーの音と、『ようこそS.O.N.Gへ』と書かれた垂れ幕だった。

 

 

「えっとぉ?」

 

 

響が困惑しながら周りを見ると翼は呆れた顔をし、クリスは顔を手で覆っていた。

 

 

「立花響さん。ようこそなのデース」

 

 

「はい。これどうぞ」

 

 

金髪の少女が料理を黒髪でツインテールの少女がオレンジジュースを手渡そうとしていた。

 

 

「はぁぁぁぁ。その前に手のもん外さなきゃ受け取れねぇだろ」

 

 

クリスの大きな溜息の後に続く言葉で少女たちは、響の手に大きな手錠があるのを見つける。

 

 

「ごごごごごめんなさいデス」

 

 

ここで緒川は響の手錠を外す。

 

 

「すいません。一応規則なものでして」

 

 

「いえ。それは大丈夫なんですけど、どうしてわたしの名前を知っているんですか?」

 

 

さっき金髪の少女が自分の名前を呼んだことが気になっていた。

 

 

「我々の調査を侮ってもらっては困る。そのくらいの」

 

 

「あぁ。わたしの鞄。生徒手帳見たんですね」

 

 

風鳴司令の言葉は響が自分の鞄を見つけて遮られる。

 

 

「それでは本題に入ろうか。君が纏ったものは『シンフォギア』と呼ばれる力だ。理論や原理は正直わかっていないことが多すぎるが、現状ノイズに対抗出来る唯一の力だ。我々はその力でノイズと戦っている。君にも力を貸してほしい」

 

 

風鳴司令が頭を下げるより早く響が返事をする。

 

 

「誰かを助けられるならこちらからお願いします」

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