戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG 作:フリューゲル
「おぉ。これからは一緒に戦えるんデスね。よろしくデース」
「ダメだよ切ちゃん。まずは自己紹介しないと」
金髪の少女とツインテールの少女が響の目の前でそんなやりとりをしている。
「アタシは暁切歌デス」
「月読調」
2人が自己紹介してくれたので、響も返す。
「立花響、16歳。誕生日は9月の13日、血液型はO型。身長はこの前の測定で157センチ。体重はもう少し仲良くなったら教えてあげる。好きなものはごはん&ごはん」
切歌と調は微妙な顔をする。
「悪いわね。私、マリア・カデンツァヴナ・イヴと切歌それに調の3人はレセプターチルドレンとして米国で集められた子供たちだったの。だから誕生日や両親とか自分のことでも知らないことも多いのよ」
切歌や調が微妙な顔をしたことをマリアが謝る。
(えぇ!? マリアさん? マリアさんも戦うのかな?)
「レセプターチルドレンとは、ガンダムやシンフォギアの適性が見込める子供たちを集めた組織だったわ。主に孤児となった子供ばかりだったけどね。適合の可能性があったのが私たち3人、いや4人だけだった。私はこの子たちと違ってギアに選んではもらえなかったけれどね」
「わたしこそ無神経でごめんなさい」
マリアの話を聞いてすぐさま謝る。知らなかったとは言え、無神経な言葉で3人を傷付けた気がしたからだ。
「アタシは気にしてないデス。誕生日を知っているのは羨ましいデスけど、あたしにはマリアや調がいてくれるから平気デス」
「そんなことよりもだ。あたしはこいつを戦わせるのは反対だ」
その言葉にそこにいた全員がクリスへ視線を向ける。
「だいたい足手まといなんだよ。あたしと先輩。それにこいつらがいれば事足りるだろ? 無理に素人を戦わせる必要がねぇってことだ」
「珍しいな。私も雪音と同意見だ」
クリスだけでなく翼も反対だと言う。
「待ちなさい。敵はノイズだけではないわ。適合者がいるなら少しでも戦力が多いほうがいいとは思わないかしら? パヴァリア光明結社も動きが活発になってきているのよ」
「しかし、ガングニールは奏の」
「そんなことはわかっているわよ。だからって感情だけで動かないの。私だって貴女の気持ちはわかるわよ」
マリアと翼がここから言い争いを始める。クリスは興味なさげで、切歌と調は黙って見つめ、響は1人あたふたしている。
「お前たちいい加減にしないか」
風鳴司令の一言で言い争いは止まるが、空気はとても重たいものへなっていた。
その日はこれ以上話しても無駄だと判断され解散となった。
寮の前まで帰ってきて、響は焦り出す。
「あぁあぁ、どうしよう。未来になんて説明しよう。絶対怒ってるもんなぁ。でも本当のことは話せないし」
寮の前でうろうろしながら独り言を呟く姿は不審者そのものだった。
「今日のことは誰にも話してはいけない。家族や友人にもだ」
帰りに風鳴司令に言われた言葉を思い出す。国連直轄の組織だと聞いた。更にシンフォギアのことは機密事項だということも。
「んー。どうするべきか」
まだ唸って悩んでる響の後ろから声がかかる。
「なにしてるの?」
その声に響はゆっくり振り返ると、やはりと言うべきか未来がいた。
「ノイズが街に出たって聞いて心配したんだからね」
よく見ると未来の目は潤んでいる。
「ごめんね。色々あって、遅くなっちゃった」
「バカバカバカ」
響に抱きつき、胸の辺りを叩く。
「うん。ごめん」
そこから言葉はなく、仲良く部屋へ戻り同じ布団で仲良く眠る。
結局響は未来になにも言えず、また未来も響になにも聞けずにいた。お互いに胸にもやもやしたものを抱えたまま時間だけが流れる。
それから響はS.O.N.Gに呼び出されることが増えた。翼やクリスからはまだ認められていないが、装者見習いという形で2人のサポートをメインに出撃するためだ。
「今日もまた用事? わたしには言えないことなの?」
「ごめん」
未来と響の会話もだんだん減っていく。それがお互いの心を苦しめることになる。
「元気ないわね」
施設内にあるベンチで俯く響にマリアが近寄る。
「まだあの2人から認めてもらえないからって焦らなくていいのよ。切歌や調はまだ適合係数が安定しないから戦闘には出せないから貴女に頼ってしまうのだけど」
どこか空返事の響にマリアはしかめっ面になる。
「悩みがあるなら聞くわよ? もちろん私でよければだけどね」
それから響は親友との今の関係で悩んでいること。隠し事をしていることが苦しいことなどを話す。
「そうね。難しい問題だわ。でも本当にそれで壊れる関係なのかしら? 話を聞いている感じでは強い信頼で結ばれているように見えるわ。もっとその親友を信じてみてはどうかしら?」
マリアの言葉で響の心は少しだけ軽くなった気がした。