戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG 作:フリューゲル
「全く連携が取れていないどころじゃないわね」
響、翼、クリスがノイズと戦う姿を本部で見ているマリアが呟く。それぞれが好き勝手に動いている。ときには味方の邪魔をするように。
特にクリスが1番イライラしている。剣で戦う翼や拳で戦う響と違い、遠距離の武器で戦うクリスはその射線上に響が入り込むたびに舌打ちを繰り返している。
「いい加減にしろよ。このバカ。邪魔なんだよ!」
ついには怒鳴り声まで上げていた。
「いつまで遊んでいるつもりだ?」
気付けば残りのノイズは翼によって殲滅されていた。
「また役に立てなかった。でも、わたし頑張ります。なので一緒に戦ってください。翼さん、クリスちゃん」
そんな響に見向きもせず翼は帰還する。
「マリアくん。次の出撃で相談したいことがあるのだが」
司令のこの言葉が大きく揺れ動くきっかけとなる。
「今度ね、流星群があるみたい」
寮に戻った響がどこか元気がないので、元気つけるために切り出す。最近のギクシャクした関係を和らげたい気持ちもあったのだろう。
「本当? それは見なきゃだね」
「大丈夫? 最近忙しそうだけど」
「うん。なんとかする。だから絶対行こうね」
響が約束してくれたことが、久しぶりに笑顔を見せてくれたことが未来には嬉しかった。
「なら楽しみにしておくね」
未来も自然と笑顔になる。その後もたわいのない会話で盛り上がる2人。
翌日、本部では誰もが驚きを隠せないでいた。
「おいおい、本気かよ?」
クリスが真っ先に聞き返す。
「あぁ。次の出撃は切歌くん、調くん、響くんの3人で行ってもらう。翼とクリスくんは待機だ」
「どうしてですか?」
翼も納得出来ないのか詰め寄る。
「切歌と調の適合係数は確かに安定していない。それでも緊急時には戦う必要があるわ。なら、今経験させておくべきよ」
「それでもだ。それならあたしか先輩が付き添うのが当たり前だろうが」
マリアの説明はわかる。切歌や調はS.O.N.Gに来てから訓練ばかりで実戦は少ない。だけど、クリスや翼が納得してないところはそこではない。
「雪音の言うことはもっともだ。それならどうして立花が同行することになる?」
「これは貴女たちのためでも、立花響のためでもあるのよ。一度この子たちの戦いを見て頭を冷やしなさい」
それで納得したわけではないが、渋々頷く。
「大丈夫デスよ。アタシたちがチョチョイとやっつけてきますデスよ」
「訓練通りやれば問題ない」
2人がやる気になっているから。そんなやりとりをしていると警報が鳴る。
「ノイズの出現パターン感知しました」
「よし、3人とも出撃だ」
「「「はい(デス)」」」
3人が掛けて出て行くのを見守る。
【Zeios igalima raizen tron】
【Various shul shagana tron】
ノイズの現場に到着すると『イガリマ』を切歌が、『シュルシャガナ』を調が纏う。
響も遅れて『ガングニール』を纏っている。
「とりあえずこれデス」
イガリマのアームドギアである鎌でノイズを斬り裂く切歌。
「わたしも負けてられない」
シュルシャガナのアームドギアである鋸をヨーヨーの要領で飛ばす調。
2人の動きは順調そうに見える。
「響さん、そっちに誘き寄せるからお願い」
「任された」
調がノイズの動きを誘導し、固まったところを響が拳で撃ち抜く。まだまだ危なかっしいところもあるが、確実にノイズを減らしていく。
「切歌ちゃん、そっちに何体か行ったよ」
「りょーかいデース」
3人の戦いを見て、翼は複雑な表情で、クリスはどこか機嫌が悪い。
(なんだよ。あいつらは、あたしよりあのバカのほうがいいってのかよ。あのバカもだ。あいつらとならあたしよりも上手くやれるってのかよ)
更に警報が鳴ることで、本部も慌てる。
「何事だ?」
「デスアーミーの出現を感知。どうしますか?」
最近はあまり出現していなかったデスアーミーの登場でざわつく。ざわめくのは本部だけではない。現場の3人も慌てる。
「どうするデスか? 調」
「ガンダムの許可をお願い」
切歌が聞くより早く調は本部に通信していた。
『無茶よ。貴女たちの適合係数でガンダムなんて』
通信先からマリアの声が聞こえる。マリアだけじゃない。ほとんどの人は反対のようだ。
「でもここでアタシたちがガンダムを使わないならどうするデスか? 翼さんやクリス先輩が来るの待つなんて時間かかりすぎるデス」
切歌の言葉に、調が動く。
「やろう、切ちゃん。わたしたちだって戦えるってマリアたちに見てもらおう」
「調……。わかったデス。こうなったらやってやるデスよ」
2人はお互いに頷くとギアをもう一度握る。
「出るデス。ドラゴンガンダム」
「来て。ガンダムローズ」
それぞれのガンダムを召喚し、それに乗り込む。すぐにデスアーミーを倒すために動く。
【封伐・PィNo奇ぉ】
鎌の刃部分を分裂させブーメランのように投擲して左右から挟撃する。
【γ式・卍火車】
ヘッドギアの左右のホルダーから巨大な2枚の回転鋸を放つ。
ガンダムでなんとかデスアーミーを倒して行くが、2人の動きはどんどん鈍くなっていく。
「やっぱりまだ、ガンダムを動かす時間は長くないようデス」
「体が重たい」
すでに膝をつく調と鎌を杖代わりにしてなんとか立つ切歌。限界が近いのは誰の目にも明らかだ。
「切歌ちゃん! 調ちゃん!」
響が2人を助けるために殴るが、デスアーミーには通用しない。逆に響が吹き飛ばされる。
「痛たた。早く2人を助けないと」
なんとか起き上がる響の後ろから声がする。
「響……なの?」
そこにいたのは逃げ遅れたのか、未来が隠れていた。