善と悪の協奏曲   作:ミクス

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駆逐艦の救出、そしてーーー

翌朝、ここラバウル基地まで送ってくれた阿武隈達を見送ったあと、大淀から報告書を調べた結果を聞くべく食堂へと集まっていた。

 

「う〜ん、まだ眠いっぽい〜…。」

「夕立、大事な話だからシャキッとして。」

「ぽい〜…。」

 

目をゴシゴシと擦る夕立を時雨が支えていた。

そんな様子を他の人は微笑みながら見ていたのだ。

ここにはまだ肝心の大淀がいないのだがもうすぐ来る頃だろう。

そして待つこと数分、大淀がやってきた。

 

「すみません、少し遅れてしまいました。」

 

やってきた大淀は一徹したにも関わらず元気そうにしていた。

 

「それじゃあ報告を聞かせてもらおうか。」

「はい、先ずは監視カメラの映像のことからお話しします。」

 

この頃になると夕立も眠気が吹っ飛びしっかりと話を聞いていた。

 

「まず監視カメラの映像ですが、やはりあれは偽物です。本物そっくりに合成されて作られたものでした。」

「合成…。」

「本物の映像にはしっかりと事件の内容が写っているのでしょうが、証拠を残さないために削除されたのでしょう。」

 

相変わらず万能な大淀。

一体元帥閣下の元でどのように仕事をしたらこんな万能になるのだろうか。

 

「この映像は本当に本物そっくりだったので偽物と見破るのは相当な技術が必要でした。まぁ、私の目はごまかせませんが。」

 

ほんと、何をしたらこうなるのやら…。

 

「次です。実は事件の日を調べていくうちに一件だけ出入りをしているものがありました。それは搬入口です。実はこの日は定期物資の提供日となっており、1ヶ月分の生活用品が送られる日だったのです。」

「それとどういう関係があるんだい?」

「もしかすると朝潮さんと霞さんはこの搬入の時間に合わせて襲われたのではないか、というのが私の見解です。」

「搬入車に乗せられどこかに連れていかれた…?」

「そういうことですね。」

 

だが、そうなると次は誰が朝潮達を襲ったのかというところだ。

そもそも艦娘を襲うことはできるのだろうか?

これについても大淀は教えてくれた。

 

「艦娘は艤装が無ければ普通の女の子と同程度の能力です。まぁ、身体は変わることはないのでただの拳銃やナイフなどでは傷つくことはないでしょうが。」

 

艤装が無ければ本来の実力を発揮することはできない。

言われてみれば当然なことであった。

 

「この事については元帥閣下に知らせておきます。あの方ならすぐに動いてくれるでしょう。」

 

そう言ってこの報告会は幕を閉じた。

 

それから3日後。

高山達は鎮守府近海の哨戒をしつつ戦力の増強を図っていた。

そんな時だった。

なんの前触れもなく大発動艇が鎮守府に近づいてきている、と報告が入った。

大淀は誰が来たかわかっているらしく、すぐさま迎え入れの準備に入った。

そして高山にも付いてくるように指示をして工廠へと向かった。

もう、どちらが提督なのかわからないな。

 

さて、迎え入れの準備をして工廠へ行くとちょうど大発動艇も工廠内部へと入ってきているところだった。

 

「大淀君、そろそろ誰が来たのか教えてくれないかい?」

「……です。」

「うん?」

「元帥閣下です。」

「え?」

 

驚くのも無理はないだろう。

元帥と言えば海軍の中でも1番階級の高い人物のことだ。

そして大淀が高山の元に来る前まで仕事をしていた人なのだ。

当然の如く高山よりも階級が高いのは目に見えている。

そんな人が突然自分の鎮守府に来たのだ。

驚くのも無理はないだろう。

 

そして大発動艇から人が降りてきた。

筋肉が服装の外から見てもわかるぐらい盛り上がっており更にはどっかのヤクザにでもいそうな顔立ちをしていた。

正直高山はビビった。それはもう盛大に顔が引きつるレベルで。

工廠内にいた明石も目を合わせないようにしているぐらいだ。

そしてその後ろからは大淀が出てきた。

あの大淀が高山の隣にいる大淀の上司なのだろう。

 

「元帥閣下、お久しぶりです。」

「おう!久しぶりじゃねぇか!と言っても5日ぶりぐれぇだけどな!」

 

わはははは!と声高々に笑う元帥閣下。

 

「んで、おめぇが高山で間違ってねぇな?あぁ、堅苦しぃのはやんなくていいぜ。」

「はぁ…?僕が高山です。よろしくお願いします、元帥閣下。」

 

とりあえず堅苦しいのはやめろと言われたので海軍でよく使う挨拶はやめて普通に挨拶をした。

するとまたわはははは!と笑うとこう言った。

 

「おい!大淀!やっぱりそうじゃねぇか!俺がこう…フランクに話しかければ怖がられることはねぇってな!」

「はいはい、そうですか。それよりも私の睡眠時間を返してください。」

 

この元帥は見た目で怖がられているというのを自覚していたらしい。

それに高山は普通に挨拶をしたように見えるが内心ではかなりビビっていた。

 

「俺は加藤っつうもんだ!階級は元帥!よろしく頼むぜ!」

「この案件が終わったら絶対に寝ますからね?……3日ぐらい。」

 

元帥の大淀はいったいどれだけ寝ていないのだろうか…?

あんなに睡眠を主張するなんて…と高山は心の中で思った。

 

「というか早く本題に入れっつってんだよこのヤクザ。私の睡眠時間がなくなるって言ってんだろうが。」

「わかってらぁ…。高山、お前の大淀から報告を聞かせてもらった。」

 

大淀の口調が変わった…と思っていたら本題へと入っていた。

 

「朝潮と霞の行方不明事件…。これは確かに俺も見たことがなかった…。だがなぁ、一つだけ似たようなものを見たことがある。大淀。」

「はい、今から1ヶ月前横須賀鎮守府では2名の轟沈者が出ております。名前は伏せられていますがおそらくは朝潮さんと霞さんで間違い無いでしょう。」

「轟沈…?それはおかしいんじゃないんですか?高雄達は演習しかやっていなと言っていましたが…。」

「それが奴の手口ってわけよ。奴は結構前から密かに取引をしていたみたいでな…。定期的に轟沈者が出てるんだわ。」

「…っ!」

「今までは証拠がなかったから引っ捕まえることができなかったが…高山、お手柄だぜ。」

「え?」

「高山提督のお陰で五味渕を牢屋送りにできるということです。もう既に朝潮さんと霞さんが送られたであろう研究所には目星がついています。」

「それは本当ですか!?」

「本当だぜ。準備が出来次第その研究所に行く。テメェも来るか?」

「行かせてください!」

「よし!決まりだな!研究所に行くときはここに一度よるからな!」

「ありがとうございます。」

 

元帥は仕事が早かった。

まだ報告して3日しかたっていないというのにもうここまで情報を集めてくれたのだ。

 

「そんじゃ俺らはもう行くぜ。鎮守府の仕事頑張れよなー!」

 

いうことだけ言って本当にもう行ってしまった。

元帥というのはどれだけ忙しいのだろうか。

嵐のようにやってきて嵐のように去っていった。

 

「大淀君…。」

「はい…。」

「お疲れ様。」

「はい…。もうほんとうに…。」

 

大淀の苦労がわかった高山であった。

 

加藤元帥がラバウル基地を訪れてから早1週間。

またもや哨戒していたメンバーから大発動艇が近づいていると連絡が入った。

相変わらず唐突に来るため出迎えの準備ができていなかった。

工廠に行くと既に加藤元帥は降りていた。

 

「あっ提督!あとはお願いします!」

 

明石が猛スピードで工廠から出て行ってしまった。

 

「元帥閣下…またですか…?」

「どうしてこう俺は避けられるんだろうなぁ…。」

 

流石に高山は本人の目の前で堂々と顔が怖いからとは言えない。

だがいう奴はいるのだ。

 

「ヤクザみたいに顔が怖いからでしょう?」

「やかましい!俺はヤクザじゃねぇよ!」

 

元帥の大淀だ。

今日も眠そうにしている。

 

「さっさと本題に入ってください。また私の睡眠時間を削る気ですか?」

「わかってらぁ。高山、明日研究所に行くぞ。憲兵供にも連絡してあるからな、現地集合になった。時間帯は夜。なるべく人目につかねぇようにやる。いいな?」

「わかりました。今日来たということはここに泊まるのですか?」

「おう!そういうことだ!」

「子供みたいにはしゃがないでください。私が恥ずかしいです。」

「なんでお前が恥ずかしがんだよ…。」

「空いてる部屋があるのでそこに泊まってください。大淀に案内してもらってください。」

「やっぱり私が案内するんですね…。」

「そういえば元帥閣下の護衛は…?」

「あぁ、そこにいるだろ?」

「え?」

 

周りを見渡しても誰もいない。

この工廠内には高山と2人の大淀、そして元帥しかいなかったはず…。

 

「ハラショー。」

 

突然誰かの声が響いた。

だが周りを見回しても誰もいない。

どうなっているのか?

 

「ハラショー。影が薄いのも困りものだね。」

 

ちょんちょんと高山の背中を突かれた。

高山が後ろを振り向くと銀髪の少女がいた。

 

「ハラショー、響だよ。その活躍ぶりから、不死鳥の通り名もあるよ。」

 

銀髪の少女は響と名乗った。

身長は小学生くらいだ。

だが護衛がたったの1人なのだろうか?

 

「たった1人で大丈夫かって顔してんなぁ。いずれ演習でもしてみりゃあいい。響の強さがわかるぜい。それにいつも淀もいるからなぁ。戦力的には十分ってわけよ。」

 

たった1人で十分とは…。

さすがは元帥の艦娘といったところか。

 

さて、話は終わり元帥がラバウル基地に泊まることとなった日。

色々と大変だったとだけいっておこう。

 

「ぽいー!ヤクザっぽいー!ヤクザがいるっぽいー!!」

「こら、夕立!そんなこと言っちゃダメだよ!」

 

作戦当日の夜、高山と元帥。大淀x2、大潮と満潮はとある研究所の近くまで来ていた。

なぜ大潮と満潮がいるのかだが、2人の強い希望だからだ。

長女と一番下の妹のことなのだ。

付いてきたいのは当然だろう。

 

「さて、この辺のはずなんだが…。」

「こんばんは、元帥閣下。」

「おぉ!もうきてたのか!いつも早えな。」

 

そこにいたのは1人の女性だった。

 

「そちらの方は初めましてですね。私は元帥閣下の特殊部隊隊長の永瀬奈々です。よろしくお願いします。」

「僕は高山だ。よろしく頼むよ。」

「聞けば高山提督の艦娘がこの研究所に送られたとか。必ず助け出しましょう。」

 

提督と名乗ったわけではないのに提督と断定していってきた。

こちらの事情はほぼ知っているということか。

そして話せば話すほどこの永瀬という女性のことがわかってきた。

とても正義感が強く艦娘をとても愛しているとよく分かった。

 

「隊員は既に所定の位置についています。いつでも動けます。」

「よし、そんじゃ行くとするか。艦娘は道具じゃねぇと分からせてやらねぇとな。」

 

そう言った加藤元帥の表情は怒りに満ちていた。

今までにもこう言った研究所をいくつも潰してきたのだろう。

 

「では生きましょう。」

 

研究所の玄関口には今は誰もおらずスカスカの状態だった。

そして敷地内に入り研究所に入ろうとした時、研究所が爆発した。

そしてーーーーー

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