善と悪の協奏曲   作:ミクス

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駆逐艦が海に立つそうです

翌日、目がさめると妙に体が重く感じました。

目を開けて周りを見渡すと、なんと霞が上から、大潮と満潮が左右から抱きついてきていました。これが姉妹丼というやつですね!

しかしこのままじゃ身動きが取れませんね…。仕方ありません。今はこの状況を楽しむとしましょう。

 

それにしても我が妹ながら可愛い寝顔ですね。

 

「…ん……。」

 

霞が起きてしまった様です。

 

「おはよう、霞。」

「あっ姉さん、おはよう。その……大丈夫?」

「え?何が?」

「姉さん、うなされていたのよ?」

「うなされていた?」

 

私が寝ている間に、涙が出たり時たま声を出していたそうだ。

そして霞達が抱きつくとそれが治ったという。

 

「そんなことが…。ごめんなさい…。霞はちゃんと眠れたの?」

「ええ、ちゃんと眠れたわ。」

「そう…。」

 

どうしてうなされていたのだろう…?

私は建造されて間もないのでトラウマなどは無い…はず。

一体私はなんなんだろう…。

 

その後、霞と他愛もない話をしていると大潮と満潮も起床。

全員で朝食を食べるために食堂へと行きます。

 

朝食はご飯とパンのどちらかを選べる様です。ご飯を選ぶと和食セットで、ご飯に味噌汁、漬物にお魚でした。パンを選ぶとパンにトースターに目玉焼きを乗せた物と、サラダとスープでした。因みに私はご飯を選びました。

 

朝食を食べていると高山司令官がやってきました。

 

「おはよう。」

「「「「おはようございます。」」」」

 

息ぴったりです。

 

「すごいね…。朝潮君は今日から水上訓練だ。まずは海に立つところから始めないといけないからね。霞君は朝潮君についてあげてくれ。大潮君と満潮君は他の駆逐艦達と一緒に演習だよ。」

「了解しました。」

「わかったわ。」

 

ということで朝食を食べ終わった後、大潮と満潮と別れ霞とともに工廠へと向かいました。

移動途中に霞は演習に向かわなくていいのかと聞くと、「私は第1改装をしているから特別なの。」と帰ってきました。

ということは霞が一番練度が高いのですか…。姉として負けて入られませんね。

 

「あっ、朝潮ちゃんきたね。」

 

工廠に入ると明石さんが出迎えてくれました。

 

「朝潮ちゃんは水上訓練だよね。霞ちゃんは付き添いかな?」

「そうよ。」

「これ、霞ちゃんの艤装ね。朝潮ちゃんも艤装出しちゃって。」

 

明石さんに言われた通りに艤装を出しました。

 

「あっ、今回は水上訓練だから足の艤装だけでいいですよ!」

「そうなんですね。わかりました。」

 

脚部艤装だけを残し他の艤装は直しておきます。

 

「それじゃああっちの出撃口から出て、工廠に近い場所で訓練してね!後は霞ちゃん、お願いね!」

「わかったわ。さあ姉さん、行きましょう。」

 

霞に手を引かれゆっくりと海に足を下ろしました。

 

「わぁ…!」

 

海の上でしっかりと足を踏ん張ります。

 

「姉さん、移動するから付いてきて。」

「ええ。」

 

スイ〜とゆっくりと移動を始めました。

 

「姉さん、筋がいいわね。私が初めて海の上に立った時は生まれたての子鹿みたいになったのよ。」

「生まれたての子鹿って今の霞からは想像がつかないわね。」

 

私は少し余裕が出てきました。

霞に支えてもらっていますがしっかりと海の上に立てています。

 

「ねぇ霞。手を離してみて。」

「え!?だっ大丈夫なの!?」

「うん、大丈夫だと思うの。」

「転ぶ未来が見えるわ…。」

 

そう言いながらも霞は手を離してくれました。

支えが無くなってもしっかりとバランスを取り、海の上に立つことができています。

 

「え…?嘘…本当に…?」

 

しっかりとバランスを取っているので転ぶ気配もありません。

 

「霞、走ってもいいかしら?」

「え?え?うん、工廠の周辺ならいいと思うけど…。え?」

「それじゃあ遠慮なく行かせてもらうわ。」

 

徐々に、スピードを上げて走ります。

あぁ、海の上を走る爽快感。たまりません。

また海の上を走ることができる…。

そんなことを思いとても嬉しくなりました。

 

「はっ!?あっ明石さーん!ちょっと来て!」

「うん?どうしたんですか霞ちゃん?」

「あっああっあれ!」

「うん?おー、朝潮ちゃんが元気いっぱいに走っていますねぇー………え?ええぇぇぇぇえええ!?」

 

おや?工廠の方から明石さんの声が聞こえましたね。

もう完璧に水上移動は出来ますし明石さんの方へ行ってみましょう。

 

「明石さん、どうかしたんですか?」

「いや、朝潮ちゃん!?凄すぎですよ!昨日建造されたばかりだというのに、もうしっかりと走れるようになったんですか!?」

「はい、風が気持ちいいですね。ずっと走っていたいくらいです。」

「いやーこれは新記録ですよ。僅か数十分で完璧に走れるようになるなんて…。」

「凄いじゃない姉さん!」

「ええ、ありがとう。」

 

ふぅ、海を走ることができて少し興奮していました。

それにしても一体なんなんでしょうか、私は。

初めて海を走ったはずなのに懐かしいと思ってしまいました。

一体、私は…。

 

「それじゃあ一応高山提督に報告して次のステップに行きましょうか。」

「次のステップ、ですか。」

「はい。現時点での朝潮ちゃんの能力を確認しないといけないですからね。」

「わかりました。」

 

それからは高山司令官を呼び私の能力テストを行いました。

砲撃、魚雷、対空、対潜、そのどれもが私は身体が覚えているかのように動き高得点で終わりました。

 

横須賀鎮守府、執務室にて。

 

「提督、高山研修員からの報告書です。」

「寄越せ。」

 

五味渕は受け取った報告書に目を通していく。

 

「砲雷撃戦、対空対潜も実戦レベル。くくく…これほどのものなのか…。」

 

近くにいた大淀にも聞こえないほどの声でそう呟いた。

 

「もう少し値上げしてもいいかもなぁ…!」

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