善と悪の協奏曲   作:ミクス

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駆逐艦に悩みがあるようです

眠りから覚めると彼女の言っていた通り、夢の内容を覚えていました。

彼女は一体何者だったのでしょうか?

もう1人の私と言っていましたが…。

 

「姉さん、起きたのね…。」

 

早速霞が私の手を握ってくれました。

しかし霞の声にいつもの元気が乗っていません。

やはり高山司令官が私たちを売ったことに相当なショックを受けているのでしょう。

 

「あら?姉さんの髪が…。」

「私の髪がどうかしたの?」

「一部だけ白くなってわ。」

 

え?白髪…?

私が何かを口にする前に、コツコツと誰かが歩いてくる音が聞こえました。

眼を失ってから耳がとても良くなったような気がします。

 

ガチャンと大きな音を響かせて誰かが入ってきました。

 

「よぉ〜艦娘もどき。お前に関して面白いことがわかったぜ。」

「何ですか…。」

 

入ってきたのは一番最初に出会った小太りの男でした。

 

「お前の血の中に深海棲艦の血が混ざっていた。つまりだ、お前は深海棲艦の仲間というわけだ。」

「それは……。」

 

思い当たる節がありました。

あの夢です。

私は本当に…。

 

「違う!」

 

霞が否定しました。

 

「姉さんは姉さんよ!」

「喧しいぞ、小娘が。」

「がっ…!?」

 

霞の咳き込む声。

また殴られたのでしょう。

 

「やめてください。やるなら私にしてください。霞には手を出さないで…。」

「ふんっ、貴様が俺らの言うことを聞くなら手を出さないでおこう。」

「わかりました。」

「姉さん!」

「大丈夫よ霞。私は大丈夫だから。」

 

私は朝潮型の長女だから、妹は守らないと。

 

「ついてこい。」

 

そう言われ霞に先導されながらついて行きました。

そして連れていかれたのは小部屋でした。

 

「艦娘もどきは中で待っていろ。世話役は外だ。」

「霞には手を出さないでください。それが約束です。」

「ああ、わかってるっての。おら、さっさと外に行け。」

 

部屋の中には私と小太りの男が残されました。

 

「さて、牢屋で言った通りお前はもう深海棲艦だ。その性能を確かめるために、今回は耐久実験をしてやろう。」

 

そう言うと男は私の両手にはまっていた手枷を解き、両手を広げたまま、別の何かを取りつけられました。

更に首元にある首輪にも何かを取りつけられました。

 

「何をつけたのですか?」

「そうか、貴様は目が見えないんだったな!特別に教えてやろう!貴様に取りつけたものは貴様の首元につけているものの強化版だ。そうだな、大体4倍ほどの威力の電撃が流れるだろうな。」

「あなたは私達艦娘のことをどう思っているのですか…。」

「少なくとも貴様のことは深海棲艦だと思っている。さぁ、もうグダグダ言うのはやめろ。耐久実験の開始だ。」

 

話は終了して私は実験という名の拷問をされました。

鞭のようなもので(見えないので確信が持てない)私は全身を叩かれ定期的に電撃が流れました。

電撃はいつものものとは比べ物にならない程強く意識が保てなくなりそうでした。

しかし意識がなくなりそうになると、一瞬しか流さなかった電撃を長時間流して意識を戻してきました。

 

どれ程の時間が経ったでしょうか。

実験という名の拷問が終わった時には私の身体は痛みと痺れの感覚しか残っていませんでした。

実験が終わり霞が私をみた時に何かを言っているような気がしましたがうまく聞き取ることができませんでした。

しかし私の意識が落ちる直前、霞が息切れをしているのが印象的でした。

まるで私と同じような目にあったかのような………。

 

目を開くとそこは真っ暗な空間だった。

周りには何もない。

目の前には女性が立っており黒いコートを着てさらにはフードも被っていた。

またあの夢だ。

 

「ソウ、またアノ夢サ。」

「人の心を読まないでください。」

「ソう言わナいデヨ。僕はもウ1人の君なンダかラ考えてイルことグらイワカるさ。ソレよリモ身体の方ハ大丈夫かイ?随分酷イ仕打ちを受ケテイたみタいダケど。」

「あっそういえば…。」

「恐らク電撃のセイで最後辺りは感覚ナカッたんジャないかナ?」

 

そうでした。

確か最後は霞が背負って部屋まで運んでくれたような…。

 

「あノ拷問ガおワルと君ハすぐ二気絶シテいタヨ。」

「それでここにきたのですか…。」

 

しかしあの拷問を毎日されるとなると私の身体は持つのだろうか?

 

「多分大丈夫ダト思うよ。今ノ君の身体ハ徐々に書キ換わッテイる。」

「書き換わる…?」

「そウ、君ハ今深海棲艦になりカケてイルンだ。」

「なっ…!?」

 

私が深海棲艦になりかけている?

有り得ない!

深海棲艦の生態は今だに謎に包まれている。

どうやって生まれているかもわかっていないはずだ。

 

「深海棲艦ハ負の感情によッテ生まれル。君が今以上にアノ人間達を恨メばいズレ深海棲艦にナルだろう。」

「そんな!?私は誰も恨んでいません!私は…!」

「イイや、僕にはわかル。君は心ノ奥底で相当アノ人間達を恨んでイル。君の大切ナ妹を傷つケた人間達を。」

 

そう言われた瞬間私の心臓がドクンと高鳴った。

言われて初めて気づいた。

霞には人を恨むなと言っていた自分が相当恨んでいたなんて…。

 

「すまナい、今ノハ言い過ぎタ。ダケどこれ以上恨ミ続けルト本当に深海棲艦にナッチャうヨ。」

「私は……どうすれば…。」

「一番ハやっぱリ憎マないこトダね。気分ヲ紛らす為二妹と話すトイイ。そレニコマセダっけ?あの人トも喋ってミルとイイ。」

「……わかったわ。」

「ソレともう1ツ、君が深海棲艦ニナるメリットヲ教えてオクよ。ソれはーーー」

 

私は夢で言われた通りに霞や駒瀬さんとの会話を大切にした。

駒瀬さんはよく私と霞の部屋に来て会話に参加してくれた。

その結果、私はなんとか深海化せずに生きてこられた。

相変わらず目は見えないですが。

 

そして私と霞がこの施設にやってきて1ヶ月と半分が過ぎていった。




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