[短編連載SS]魔物娘たちとの日常   作:Vermillion

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日常64話-元帥「俺達の名前は隊長に付けて貰ったけど・・・。」

――元帥の部屋―――

 

隊長「どうした? 唐突に。」

 

 

元帥「いや、ちょっと気になることがあってな。

   んで、『隊長』ってのは・・・俺等が呼びだしたんだよな?」

 

 

隊長「そのはずだな。俺には本名があるし。」

 

 

元帥「それで・・・えーっと。キラーも蜜蜂も龍虫も隊長が名づけたんだよな?」

 

 

隊長「あぁ。敷地内にいる殆どの奴は、名前だと こんがらがり易いから

   俺が仇名を付けたぜ。発音が難しい奴もいるからな。」

 

 

元帥「んじゃあ、博士も隊長が名づけたのか?」

 

 

隊長「ん・・・いや。博士は、俺じゃないぞ。」

 

 

元帥「それじゃ、曹長か?」

 

 

曹長「・・・・・・。」ブンブン・・・

 

 

伍長「私でもないよー。」

 

 

元帥「となると・・・軍曹か?」

 

 

隊長「それは無いな。むしろ軍曹は仇名を考えるよりも名前で呼ぶタイプだから・・・。」

 

 

元帥「そうか・・・。じゃあ、誰が博士を『博士』って決めたんだ?」

 

 

 

隊長「・・・。」顔ミアワセ

元帥「・・・。」顔ミアワセ

伍長「・・・。」顔ミアワセ

曹長「・・・。」顔ミアワセ

 

 

 

曹長「・・・・・・自称・・・?」

 

 

隊長「いや、博士に限って自称は無いだろ。博士に限って自称は・・・。」ピタッ・・・

 

 

伍長「・・・?」

 

 

隊長「・・・自称かもしれない。」

 

 

元帥「!?」

 

 

隊長「いや、実は今思い出したことなんだが・・・。

   ほら、クロビネガで日常編を投稿する前に投稿した『あの話』覚えてるか?」

 

 

元帥「おう。まだ准尉が現役で、将軍と参謀が居て、SS書きじゃなかった頃の話しか。」

 

 

曹長「・・・私が・・・・・・原作に・・・忠実だった・・・頃。」

 

 

伍長「あの時の編成は、隊長・軍曹・元帥・准尉・私だったよねー。懐かしいねー。」

 

 

隊長「まぁ、それで俺がこの家に初めて来て 真夏の第一回宴会が開かれたんだよな。

   裏山に住む連中も降りてきてさ。懐かしいな。」

 

 

伍長「懐かしいね。ほんとうに懐かしいね。」

 

 

曹長「・・・・・・蚊帳の外だった・・・。」ノ

 

 

元帥「懐かしむのも良いけど、ハーメルンから見始めた人は置いてきぼりだから

   隊長、もう少し核心的な事を話そうぜ。懐かしむのはオマケでも できるだろ?」

 

 

隊長「まぁ、そうだな。んで、その宴会の時 俺は初めて博士と出会ったんだよ。」

 

 

伍長「あ、そっか。その時は博士1人ぼっちだったんだっけ。」ポン

 

 

曹長「包帯、助手、王と・・・・・・暮らし始めたのは最近・・・。」

 

 

隊長「あぁ。その時、自己紹介を互いにしたんだが。

   その時 博士。まず自分の本名を俺に教えてくれたんだ。」

 

 

伍長「えっー?! 博士の本名教えて貰ったの!?」

 

 

曹長「・・・。・・・どんな・・・名前?」

 

 

元帥「・・・俺も・・・気になる。」

 

 

隊長「確か・・・『ローズマリー・R・シュタイン』だったような・・・。

   少なくともミドルネームの『R』と『シュタイン』はあっている筈。」

 

 

伍長「ろーずまりー・・・。」

 

 

曹長「ローズマリー以外は何・・・?」

 

 

隊長「あとは、マリーゴールドか、アマリリスか、ハスター辺り・・・だな。」

 

 

元帥「『ローズマリー・R・シュタイン』

   『マリーゴールド・R・シュタイン』

   『アマリリス・R・シュタイン』

   『ハスター・R・シュタイン』・・・・・ハスター辺りがカッコいいな。」

 

 

隊長「・・・話が逸れたから元に戻すが、その初めて会って自己紹介をした後

   博士、自分の事を『私の事は、博士と呼んでくれたまえ。隊長君。』って

   言ってきた記憶があるんだよなぁ・・・。しかも、凛ッとした表情で。」

 

 

曹長「グフッ・・・・・・。」プルプルプル

 

 

伍長「・・・・・・ププププ・・・博士なら本当に そう言いそう。」プププ・・・

 

 

元帥「今こそ、トラブルメーカーでドジを踏む博士だが、当時の博士なら

   そんな自己紹介、やりかねないな。」プークスクス・・・

 

 

隊長「いや、俺の記憶が間違ってなきゃ、そう言ってるんだが・・・。」

 

 

曹長「グフッ! グフフフフッ・・・!!」プルプルプル・・・

 

 

伍長「多分、凛ッ+キリッも入ってると思うよ。」プルプルプル

 

 

元帥「・・・。ブフォォ! や、やめろ・・・やめてくれ・・・。」プルプルプル

 

 

隊長「あの時の博士は、とてもカッコよく頼りになる魔物娘に思えた・・・

   しかし今は・・・。」[遠い目]

 

 

伍長「たいちょ・・・っ! やめて、その語り口調・・・っ!! あは、あははははっ!!

   お腹痛い!」バタバタ!

 

 

曹長「やっぱり・・・・・自称・・・だった・・・・・・っ。」フフフフ・・・

 

 

元帥「今と昔のギャップがあり過ぎる・・・っ。」クククク・・・

 

 

 

 

 

博士「・・・・・・随分と、楽しそうだが。何がそんなに面白いのかね?」スッ

 

 

 

 

 

4人『・・・!!!』

 

 

博士「やぁ。隊長君、元帥君、曹長君、伍長君。

   君たちは いつも4人で集まっては楽しそうな話をしているな。

   特に隊長君相手に交わる訳でもなく、ただの談笑とは・・・実に興味深い。」フム・・・

 

 

伍長「は、博士・・・いつからそこに・・・?」ビクビク

 

 

博士「さて、いつからだろうか。私もよくは覚えてはいないな。

   しかし 聴覚と嗅覚に関して特化しているワーウルフである君が私の事を気づかない

   とは・・・余程、面白い内容の会話をしていたのだろう?

   是非、私にも混ぜて聞かせてはくれないか?」ニッコリ

 

 

元帥「・・・は、博士、怒ってるのか・・・?」オソルオソル

 

 

博士「まさか。何故、悪いことをしていない君たちに怒らなければ ならないのだ?

   それとも君たちは、私が怒るような話題の会話をしていたとでも言うのかね?

   話の内容にもよるが君達がそれだけの事をしていたと言うのならば、

   私は容赦なく君たちを怒鳴り叱るだろう。どうなんだね? ・・・・・・曹長君。」

 

 

曹長「・・・・・・。」[冷汗]

 

 

博士「うむ・・・。その顔・・・まるで図星とでも言いたげな――」

 

 

隊長「博士。」

 

 

博士「なんだね? 隊長君。」

 

 

隊長「俺達が話していた内容を話すのも良いが、先に俺に質問をさせてくれないか?」

 

 

博士「・・・話を誤魔化そうとはしていないか?」

 

 

隊長「まさか。ちゃんと、俺の質問に答えてくれたら聞いた内容を話すよ。」

 

 

博士「・・・いいだろう。では保障として君たちに呪いを・・・。」ブツブツブツ・・・

 

 

元帥・曹長・伍長(((凄い怒ってる・・・。)))

 

 

隊長「正直に答えたら、無かったことになる呪いにしてくれよ。

   正直に答えて、呪いが反発博士に掛ったらシャレにならん。」

 

 

博士「勿論だとも。その点は安心したまえ。」

 

 

隊長「ま、安心できないのが博士なんだけどな。」

 

 

博士「・・・。・・・それで、質問とは?」

 

 

隊長「いつものスケジュールには、ウチの寄る予定なんか無いだろ?

   今日はどうしてウチに? しかも、元帥の部屋に?」

 

 

博士「なに。簡単なことだ。軍曹君から借りていた本を返しに来たまでだ。

   そして帰る途中“たまたま”君たちの談笑する声が聞こえたから

   近くまで近づいて話を聞いていただけだ。」

 

 

隊長「ん。そうか。」

 

 

博士「さぁ、隊長君。内容を。」

 

 

隊長「あぁ。大きく纏めると博士について話してた。」

 

 

博士「うむ。」

 

 

隊長「主な内容としては、誰が博士を『博士』と呼ぶように名づけたか。

   博士の本名について。俺と博士の初めての自己紹介について。

   昔の博士と今の博士の比較。・・・この4点だな。」

 

 

博士「・・・・・・。」

 

 

隊長「・・・・・・。」

 

 

博士「・・・。」

 

 

隊長「・・・。」

 

 

元帥・曹長・伍長(((・・・・・・。)))ゴクッ・・・

 

 

博士「何ともないな。」

 

 

隊長「事実だからな。それで、怒鳴り散らしたいことはあるか?」

 

 

博士「・・・そうだな。・・・特には無いな。」

 

 

元帥・曹長・伍長(((・・・・・・。)))ホッ・・・

 

 

隊長「でよ。博士の本名ってなんだっけ? ハスター・R・シュタインだっけ?」

 

 

博士「・・・。・・・最初の自己紹介から何年も時が過ぎているからな。

   忘れてしまっても仕方が無いか。・・・私の名はローズマリー・R・シュタインだ。

   長い名前で呼びにくいと思うから、博士と呼んでくれ。」

 

 

元帥・曹長・伍長「「「・・・!!」」」ピクッ

 

 

隊長「博士、俺の本名は覚えているか?」

 

 

博士「当たり前だろう。数十年後、この家の当主となる予定だった人間の名を

   忘れる訳があるまい。・・・予定より早く当主になってしまったが。」

 

 

隊長「ん? ・・・あ、俺は当主じゃないぞ。」

 

 

博士「む?」

元帥「は?」

曹長「・・・?」

伍長「え?」

 

 

隊長「この家の当主は『軍曹』。遺書にも当主の決め方は書いてあっただろ・・・

   ・・・って見たのは軍曹と、俺だけだったな。」

 

 

博士「な、なぬ?! 将軍様と参謀様は血の繋がった隊長君ではなく、軍曹君に

   この家を託したと言うのかね!?」

 

 

隊長「正確には、遺書発見後 俺が当主になって、

   その日のうちに軍曹に当主を託したって感じだな。」

 

 

博士「・・・。」ボーゼン

 

 

隊長「俺は当主って柄じゃないし。俺よりも、軍曹の方がこの家の事を

   よく知っているからさ。昔は当主にあこがれたものだけど・・・今はそんなにな。」

 

 

博士「・・・。」ボーゼン

 

 

隊長「さ、話が逸れたから戻すけど。やっぱり『博士』ってのは自称だったか。」

 

 

曹長「・・・自称:博士・・・。」

 

 

元帥「・・・・・・見た目は博士って、感じだけど中身はそんなのでもないからな。」

 

 

博士「・・・ま、待ってくれ!」

 

 

隊長「当主の話は、おわりだぞ。」

 

 

博士「う、うむ。もちろん、分かっている。そのことではなく、私の名の方だ!

   『博士』は自称ではない!! 私がこちらの世界へ渡ってくる前、はるか昔の

   友人が私に対して付けてくれた仇名なのだ!!」

 

 

伍長「えー? ファンタジーの世界で『博士』?

   そこは『ドクター』とか『シスター』とかじゃないのー?」

 

 

元帥「伍長・・・『シスター』は違うと思うぞ・・・。」

 

 

博士「う、うむ・・・。最初は変な名だと思って居たのだがな。

   何度も繰り返されて呼ばれるうちに、自然と愛着が湧いてしまって・・・。」モジモジ・・・

 

 

曹長「・・・何処にでも・・・居るもんだね・・・・・・。あだ名の変人って・・・。」

 

 

博士「それに、この『博士』という仇名は その友人が名前だと呼びにくいと言い続けた

   から きっとこの世界でもそうだろうと思って、そう言った自己紹介をしたまでだ

   決してなにかカッコイイだとか、不埒な考えで自己紹介をした訳ではない!」

 

 

元帥「へぇ・・・博士の秘密が、1つ解放された気分だぜ・・・。

   その古い昔の友人とは付き合いはあるのか?」

 

 

博士「・・・・・。いや。ある日を境に忽然と姿を消していなくなってしまってな。

   それ以来、彼等とは顔も合わせていない。」

 

 

伍長「どんな人・・・じゃないか。魔物達だったのー?」

 

 

博士「・・・私をいつも笑わせようとして、何かをしてくる友人達だった。

   いつも1人で本を読んでいる私の元にやって来ては、外へ遊びに行こうと

   誘ったり、危険な実験をしたり・・・。まぁ、数少ない遊び仲間と言う奴だな。」

 

 

隊長「・・・そういや、博士の昔については何も知らないな。

   どんなだったんだ? 今の話を聞いて博士、自身について気になって来た。」

 

 

曹長「・・・・・・私も・・・。」

 

 

博士「・・・どんなだったか・・・。ふっ・・・つまらない魔物娘さ。

   折角、地方から魔王軍入隊したと言うのに 、一日中図書館内に篭りっきりで、

   外に出るのは食事と入浴の時間ぐらいの魔物娘だな。特に訓練に参加するの

   でもなく、ただ一日中館内にある膨大な書物を片っ端から読み上げるだけ。

   入隊の初日から、そんな状態だったから 同じ所属の仲間とは疎遠状態で

   友人1人居ない寂しい魔物だったさ。」

 

 

元帥「あれ? 本を読んでたんだよな? なら・・・。」

 

 

博士「もっと頭が良い筈だ。と言いたいのだろう?

   恥ずかしい話、今は様々な言語の解読は得意分野だが、その頃の私は

   アヌビス語は得意であったが それ以外はテンでダメでな。標準言語である

   魔界語など読める筈も無かった。」

 

 

伍長「それって・・・つまり・・・。」

 

 

博士「書物は、読んでいたのではなく眺めていただけだ。」フッ

 

 

曹長「あー・・・。」

 

 

博士「それに入隊初日から図書館に篭りっきりだった魔物が、

   魔界語の読み方書き方を聞く訳にも、いかなくてだな。友人も居なかったからな。

   正直、聞くことをプライドが許さなかった。」

 

 

隊長「・・・・・・。」

 

 

博士「まぁ、私の過去はこんな魔物娘だったな。

   想像以上に、つまらない話だっただろう?」

 

 

隊長「・・・。・・・博士、俺は当時の博士に会ったらこう言いたいわ。」

 

 

博士「・・・・なんだね?」

 

 

隊長「俺もこの世界の標準言語、英語は話せないから気を落とす必要はないってな。」

 

 

博士「・・・ふ。・・・まったく、君と言う人間は・・・。」ヤレヤレ

 

 

隊長「俺は一生この国から出る予定はないし、他の国に行くつもりも無い。

   英語が標準言語? ハッ知らないな。ここは日本だ。日本に来たら

   日本語を話せってんだ。だから標準言語とか、正直どーでもいい。」

 

 

博士「ふ、ふふっ・・・君らしい。

   さて、私もこの後予定がある。今日はここまでにしようか。」

 

 

元帥「かなり、話したな。」

 

 

伍長「長かったー。」

 

 

曹長「・・・。」ノシ

 

 

博士「では、また会おう。隊長君、元帥君、曹長君、伍長君!!」

 

 

隊長「おう、またなー。博士。」

 

 

 

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