《書き直し中》天才少女と元プロのおじさん   作:碧河 蒼空

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2021.12.26改稿。


【2021.12.26改稿】2話 ビックリしたよー······

 ゴールデンウィークが終わり、正美の学校生活は通常運転を再開した。およそ1週間弱振りの授業は中々に堪えるが、ようやく迎えたお昼休みに表情を緩め、鞄からお弁当を取り出す。

 

「三輪さん。ちょっとよろしいですか?」

「んー?」

 

 正美が振り向くと、そこには金髪の娘が2人に茶髪の娘が1人、黒髪ショートの娘が1人と、クラスメイトの大村さんと川崎さんが居た。

 

「ふっふっふー」

 

 茶髪の女の子が怪しげな手の動きをしながら正美に近付く。他の()達は白菊の後ろで控えるように立っている。

 私に詰め寄る娘にお嬢の傍らに控えるその他の取り巻き(正美視点)。正美は、ある一つの可能性に辿り着き、その顔を青ざめた。

 

「······もしかして大村さんの実家って······。私なにか粗相を!?」

「え?あの、三輪さん」

 

 あらぬ誤解をしている様子の正美を見かねて、白菊は誤解を解こうとするが、その前に正美は頭を低くし、手掌を上に向けた。

 

「お、お控えなすってっ······お控えなすってっ······」

「私の親は堅気の人間ですっ」

 

 暴走気味の正美に対し白菊は声を上げると、正美は上目遣いで白菊を見つめる。

 

「······本当に?風俗送りにしない?」

「しませんっ」

 

 白菊がキッパリ言うとようやく誤解が解け、正美は椅子に座ると脱力して机に突っ伏した。

 

「ビックリしたよー······」

 

 この流れに正美と白菊以外の面子は全員苦笑いをする。正美は恨めし気に顔だけ動かして一同を見上げる。

 

「で、皆さんお揃いでどうしイィッ!?」

 

 お揃いでどうしたと聞こうと思った正美だったが、急にふくらはぎを誰かに触られた為、変な声を出してしまった。足元に目をやると、金髪の娘の一人がしゃがみこんで、正美のふくらはぎを触ってた。

 

「凄~い。こんなしなやかな筋肉初めてだよ~。あ~······」

 

 目をキラキラさせながらふくらはぎを触っている少女を、もう一人の金髪が羽交い締めにして引き上げる。良く見ると、2人は同じ顔をしていた。

 

「何なのよー!もーっ!」

 

 正美は全身で怒ってますアピールをする。

 セクハラ少女を引き上げた娘が気まずそうに口を開いた。

 

「ごめんごめん。私は川口 息吹。で、こっちが妹の······」

「川口 芳乃。野球部のマネージャーだよ」

 

 伊吹に続いてセクハラ少女の芳乃も自己紹介をする。全く悪びれる様子のない芳乃に正美は頬を膨らませた。

 

「私は武田 詠深、ピッチャーをやってるんだ。で、こっちがタマちゃん」

「山崎 珠姫です」

 

 茶髪少女の詠深と黒髪の珠姫を最後に、正美と面識のないメンバーが自己紹介をしたところで、芳乃が正美に詰め寄る。

 

「三輪さんも野球部に入ろうよ」

「いきなり人の足を触る人と野球をするつもりはないっ」

 

 正美はプイッとそっぽを向き、芳乃の誘いを断った。

 

「そんな~」

「今のは芳乃が悪い」

 

 項垂れる芳野を珠姫が嗜める。

 

「三輪さん、ごめんね······」

 

 芳乃は正美の手をとり、捨てられた仔犬の様な表情で見つめ謝った。

 

ーーうわぁ、あざといなー······。

 

 実は正美もそこそこあざとい性格をしているのだが、彼女は自分の事を棚に上げそんな事を思った。

 

「はぁ。分かった。でも、本当に野球部に入るつもりはないの」

「えー、どうして?」

 

 正美が再度断りの言葉を口にすると、詠深は不満そうに言う。

 

「そこまで本気で野球をしたい訳じゃないんだ。私がしたいのはエンジョイベースボール」

 

 これは正美がいつも使っている断り文句。自分はスポ根って(たち)ではないのだと。

 

「こんなにしっかり体のケアしてるのに?」

 

 実際に正美の下腿を触った芳乃は疑問を口にする。柔らかくて弾力のあるとても良い筋肉だった。彼女には、正美の肉体がそう簡単に作れるものでは無いこと考え、指摘する。

 

「怪我はしたくないからねー。体には気を使ってるし、うち鍼灸院だからはりとかも打ってもらってるし」

 

 正美にキッパリと断られ目に見えて気落ちする二人を見かねて、珠姫は一つ提案をする事にした。

 

「三輪さん、白菊ちゃんにバッティング教えてくれたんだって?」

「え?そうだけど……」

 

 珠姫が話の内容をいきなり変えた事に正美は訝しむ。

 

「まずはお礼を言わせて、ありがとう。お陰で白菊ちゃん凄く打つようになったんだよ」

 

 しかし、珠姫の口から出た言葉を聞いて、正美は悪い話じゃないと判断し、普通に対応する事にした。

 

「別に大したことはしてないよ。もしあれで良くなったんならそれは白菊ちゃん自身の成果だよ」

 

 飽くまで謙遜する正美。実際に正美が白菊の指導にかけた時間は数分にも満たない。

 

「それでも、それが切っ掛けになったのは確かだから。でね、白菊ちゃんの成長を三輪さんも見てあげて欲しいんだ」

「……え?」

 

 つまり珠姫は白菊を出しに正美を見学という形で野球部の練習に連れていこうとしているのだ。

 

「ほら、白菊ちゃんも」

「はいっ。私も三輪さんに見て欲しいです!」

 

 珠姫が促すと白菊も正美を練習に誘う。ただ、こちらは珠姫とは違い純粋に成果を見せたくて言っていたのだが。その事を正美も感じ取り少しばかりたじろぐ。

 

「うぅ……この策士め……」

 

 正美から向けられた視線と恨み言に珠姫は苦笑いを浮かべた。

 

「はぁ……それじゃあ見るだけね」

 

 ついに正美は折れて 

 

「やったー。タマちゃんナイス!」

 

 詠深は喜びのあまり、珠姫に抱き着く。芳乃も両手を上げて喜んでいた。

 

「見るだけっ。見るだけだからね!」

 

 はしゃぐ詠深に正美は念を押す。

 

「分かってますって。それじゃあ、また放課後ねー」

 

 白菊と稜を残し、野球部の面々は教室を後にした。

 

「何か凄く疲れた……」

 

 溜息を吐き、正美は再びぐったりと突っ伏す。

 

「いや~、私も色々と予想外だったよ」

 

 正美と同じクラスという事で傍で成り行きを見ていた稜が正美に同情をしていた。

 

 ふとあることが再び脳裏を過った正美はジーッと白菊のことを見つめる。

 

「あの······どうしました?」

 

 正美の視線に気付いた白菊が疑問符を浮かべた。

 

「大村さん、本当にヤクザの娘じゃないよね?」

「違いますっ!!」




 次回はちゃんと野球をします。

※当方の野球経験は学童野球2年間のみで、野球に関する知識は乏しいです。
 あまり期待せずに読んでいただけると幸いです。
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