会話文がかなり多くなってしまった······。
~大雑把に前回あたりのあらすじ~
・正美、稜に怒られる。
「正美っ、私とショートのレギュラーを掛けて勝負しろっ!!」
・正美、おじさんに相談する。
「あるじゃない。君ならではの方法が」
・正美、詠深にチェンジアップを教える。
「ヨミちゃんに教えるチェンジアップはこれだー!」
・正美、全員から全てのポジションを奪うと宣言する。
「新人戦までにみんなから全てのポジションを奪い取ります。そしてみんなには私がその日守る場所以外の穴埋めをしてもらいます」
48話 私なりのケジメだから
バスでの移動中、正美の宣戦布告により車内の空気はギスギスと重苦しく……なる事は無かった。みんな外を眺めたり話をしながら和やかに過ごしている。
正美の宣戦布告の後、最も早く反応を見せたのは詠深だった。
「うん、受けてたつよ。勿論、息吹ちゃんにも理沙先輩にだってエースは譲らないよ」
「そうこなくっちゃ」
先程までの和気藹々とした二人とは打って変わり、不適に見つめ合う。
「私だって負けんもん!」
希も遅れを取るまいと、正美の宣戦布告を買った。両拳を握って身を乗り出す様に言葉を放つ。
「私達も先輩の意地をみせないとね」
「ああ。そう簡単にセンターを明け渡すつもりは無いよ」
先輩としてのプライドが理沙と怜にはある。二人でレギュラーの座を守ることを誓い合った。
「な、なあ……私たち大丈夫か?」
「あんたがケンカ売ったんでしょうが」
既に弱気になっている稜に菫が呆れながらツッコむ。とは言え、菫も内心では穏やかではなかった。
――正美は私の上位互換みたいな所あるし、私が一番危ないかも······。
堅実な守備とチームバッティングを売りにしている菫だが、正美には加えて埼玉屈指の足がありアベレージも高い。唯一優っているのはパワーだが、それを武器に戦える程かと問われれば答えは否だ。
「ところで、正美ちゃんがみんなに勝ったとして、背番号はどうするの?」
ここで珠姫が一つの問題提起をした。ポジションに対応した背番号が与えられる高校野球において、複数のポジションを獲得した時の対応など珠姫は知らない。
「多分、今まで通り10番かな。芳乃ちゃんの話だと、順番にみんなを休ませる為に私は色んな守備位置を回るみたいだし」
正美の答えに珠姫は疑問符を浮かべた。
「それって今までと変わらないんじゃ······」
他の部員たちにも珠姫と同様に考える者がいる様子。確かに正美がレギュラーを勝ち取ったとしても今までと何も変わらないかもしれない。それでも、これは正美にとっては意味のある事だった。
「それで良いんだよ。これからも同じようにやっていく為の、私なりのケジメだから」
正美は一つ息を吐くと、両の掌をパンッと合わせた。
「はいっ、シリアスタイムはこれでお終い!では先生にお返しします」
そう言って、いつもの人懐っこい笑みを浮かべるのたった。
合宿地に到着しバスを降りると宿に寄る間もなく、25分後にシートバッティングを始めると芳乃の口から告げられる。藤井教諭曰く、不測の事態で止むを得ず移動即試合という場合に備え、少しでも慣れておく為の強行スケジュールらしい。
予定通りに練習が始まり、投手は全員に一打席ずつ直球系を投げ込んで、野手はローテーションで色々な守備位置を守る。これをピッチャー五人分2セットずつ、計10回繰り返した。1セット終える毎に小休憩を挟むが、勿論ベンチに戻るときはダッシュである。
慣れないポジションに苦戦する者もいる中、正美はそのユーティリティっぷりを発揮していた。ピッチャーは直球系縛りという事もありヒット性の当たりが多かったが、正美はどのポジションでも際どい打球を難なく処理している。ポジション争いの事もあってか、その姿からはいつも以上の気迫が感じられた。
シートバッティングを終えると午前中の練習は終了となった。
正美がストレッチをしている菫の手伝いをしていると水分補給をしていた白菊が口を開く。
「初めてライト以外を守りましたが、ずいぶんと勝手が違うんですね。正美さんは何かコツとかあるんですか?」
「そうさねー。やっぱり守備位置ごとの特性を考えて守る事かなー。外野だと例えばセンターは特に広い守備範囲を求められるから、とにかく一歩目を早く出す為事を意識するんだ。キャッチャーのサインも覗けるから球種とコースをしっかり確認する。バットの軌道やインパクトの瞬間も良く見えるからボールが飛ぶ前に動き出すくらいのイメージを持っておくの。対してライトとレフトはセンター程インパクトの瞬間が見やすくないし、バッターの立つ打席次第ではズドーンと強い打球も飛んでくるから、素早く正確に打球の質を見極められないといけないんだよ」
質問をした白菊のポジションがライトという事もあり、外野の説明から入った。真剣に聞いている横で他のメンバーも耳を傾けている。
「セカンド・ショートも守備範囲が広いから一歩目を早くしないといけない。けど、ファーストとサードは打者と距離が近くてビューンと早い打球が来るから、一歩目の早さよりもまず捕る事を意識して構えてるんだ。ま、
「私はセカンド守ってた時、いつもより投げる体制がキツかったわ」
稜も普段守っていない所を守ってみて思う所があったようだ。
「セカンドは捕ってから投げるまでに体を反転させなきゃいけない事が多いからねー。他にも一塁にランナーがいればゲッツーシフトと進塁狙いの右打ち両方に対応しなくちゃいけなかったり、ベースカバーなんかも多いから結構忙しないよ」
正美の補足情報に菫が体を伸ばされながらウンウンと頷いている。
すると芳乃が全員分のお弁当を抱えてやって来た。練習中に近隣の食堂から届いたものだ。
「みんなが何を考えてどうプレーしてるかを知るいい機会になったんじゃないかな?
それじゃあ、お昼御飯にするよー!」
一同は芳乃に続いて一度、球場を後にした。
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~三輪 正美の野手能力~
ポジション:全て
右投げ両打
バッティングフォーム:スクエアスタンス
レッグキック【すり足】new
打球傾向:センター~引っ張り。内外野間へ落とすライナー。ケースバッティング可能。
ピッチングフォーム:スリークォーター
グラブ:オールラウンド(ファースト、キャッチャーを除く)
※2ストライクに追い込まれると【】に変化。
・ミート力:4-【5】new
・長打力:1+【1-】new
・走力:5+
・グラブ捌き:4+
・守備範囲:5-
・肩力:3-
・選球眼:5
・バント:5
・送球(制球):5
・盗塁技術:5
・走塁技術:5
・捕手配球:3
※2ストライクに追い込まれると元のバッティングフォームに戻す為、【】に変化。
ストレッチしてる菫ちゃんカワユス。体固いんでしょうか?長座前屈で膝が曲がってるのに目が不等号になってましたね。
今回は前回の続きと正美の守り分け方法の回でした。正美のポジション毎の守備理論は元東京ヤクルトスワローズの宮本慎也氏、元千葉ロッテマリーンズの岡田幸文氏の守備理論を参考にしております。私自身は守備めちゃくちゃ下手っぴなので、何か間違いがありましたらご指摘ください。