《書き直し中》天才少女と元プロのおじさん   作:碧河 蒼空

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5話 それが、私の野球道だから

 何もない白い空間。昨日と同じ夢の中。目の前にはやっぱり、あのおじさんが立っていた。

 

「やあ。思いの外、早くまた会ったね」

「そうですね。おじさんストーカーですか?夢の中で付きまとわれてますって言って、警察は相手にしてくれますかね?」

「十中八九、無理だろうね。生前、僕がそんな相談をされてたら精神科医を紹介していたよ」

「ですよねー」

 

 私とおじさんは軽口を叩き会う。

 

「それで、大丈夫かい?」

「正直、参っちゃいますねー······」

 

 私達は記憶を共有している為、それだけで話が通じた。勿論、今日の希との事である。

 

「私は楽しく野球がしたいだけなのになー······」

「君はそれで良いんじゃない?」

 

 おじさんが私の肩をもってくれた事に驚いた。

 

「意外だった?」

「そうですねー。おじさんの青春時代はまだ昭和でしたし、『気合いいれろー』『やる気を出せー』とか言われるかもって思いました」

 

 おじさんは私の物真似に愉快そうに笑うと口を開く。

 

「好きこそものの上手になれ。正美ちゃんは正美ちゃんなりに本気で野球してるのを知ってるからね。だったら胸を張って良いんだよ。これが私の野球道だって」

 

 おじさんの言葉を聞いて、私の心は少しだけ軽くなった気がした。

 

「なんか、最後だけ昭和っぽいですね」

 

 そう言うと、おじさんは渋い顔になる。

 

「ありがとう、おじさん。明日、中村さんと話してみるよ」

 

 

 

 

「あ······」

 

 本日の授業が終わり、正美が部室へ行くとちょうど希が着替えていた。

 

「お疲れー」

「お疲れ様······」

 

 希は昨日の事に気まずさを覚えており、正美と目を合わせようとしない。

 

 正美は持っていた荷物を置く。

 

「ねぇ、中村さん」

「······どげんしたと?」

 

 着替えを中断して、希は正美に視線を向けた。正美の普段見せない真剣な表情に希は緊張する。

 

「やっぱり私はみんなで笑って野球をしたい。そんな野球が好きだから。でも、絶対に野球で手を抜いたりはしないよ。好きこそものに全力で当たれ······。それが、私の野球道だから」

 

 正美は一つ息を吐くと、その表情はいつもの緩いものに戻った。

 

「以上!私の意思表明でしたー」

 

 意思表明を終え、着替えを始めようと鞄を開く。

 

 すると、希は正美に向かって頭を下げた。

 

「私も勝手なこと言うてごめん」

 

 体を起こすと、今度は希が真面目な表情になる。

 

「私が······ううん、私等が三輪さんば全国へ引っ張っていく。やけん、三輪さんも全力で着いてきて欲しか。これがうちん決意表明」

 

ーーなんか、吉野ちゃんがみんなに抱き付く理由、ちょっと分かったかも。

 

「うん。私の野球道の先に全国があるなら行きたい。中村さん······いや、希ちゃん。私を全国に連れてってよ」

「うん」

 

 大きな音をたてて、出入口の扉が開く。扉の向こうには芳乃をはじめ、詠深、珠姫、息吹が居た。

 

「希ちゃん、正美ちゃん······みんなで全国に行こうね~!」

 

 扉の向こうには芳乃がおり、正美と希は芳乃に跳び付いた。二人は芳乃の腕に拘束される。

 

 かくして、正美の野球道は全国へ向けて伸びていったのだった。




 私にもっと文章力があれば、今回はもっと盛り上げられたのではないだようか……。


 おじさんのモデルは元読売ジャイアンツで一軍内野守備走塁コーチを務めていた木村拓也氏です。
 私はスワローズファンでしたが、木村氏は偉大なお方であったこともあり、訃報を聞いた時は結構ショックを受けた事を覚えています。



 次々話は書き終わっているのですが、次のお話が書けていないので、次の投稿は未定です。
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