ダンジョンに異世界のアイテムを持ち込むのは間違っているだろうか(本編完結) 作:にゃはっふー
ヘルメス「だから言ってるだろ? ロキやヘファイストスを初めとした派閥が目を光らせているからおかしな事はできないし、ギルドにも協力的だから、敵に回すのは得策じゃない。ギルドにまでケンカ売る気は無いよ、よく分かってるさ」
アスフィ「本当に分かってますか!? それだけじゃなく、現状の仕事量で入る資金は確実に第一級派閥と変わらないんです。資金面じゃ完全にロキ、フレイヤ・ファミリアと同格かそれ以上。そんな派閥に手を出さないでくださいね!?」
ヘルメス「別にいいさ、手は出さないよ(出さなくても向こうは勝手に面白いことするんだから、手を出すのは別にいいし)」
エルフたち「スピカ様をお一人で働かせているなんて、私たちが入団して手伝わなければ!!」
ヘファイストス「スピカちゃんたちはまた新しい鉱石作ったみたいだけど、【ブルーメタル】みたいに公にできない。あの時は何かとんでも無い事してると思ったけど、実際してたけど、いまはうかつなことできない………だけど気になる!!」
椿「別の派閥に知られ無ければいいと思う」
ヘファイストス「いまは協力し合ってるからそれはダメっ!!ともかくいまはあの子たちをそっとしておきましょう………私も反省しないと」
スピカ「こことここはどうするか、この辺は【
ヘスティア「なにしようとしてるんだろう……?」
スピカ「物作りは楽しいな」
現状のオラリオの人々の心境、そして今日は材料集め。
ロキ・ファミリアの『ラウル・ノールド』は特徴が無いのが特徴の人間だ。
スキル、魔法無し、後輩には追い抜かれ、同期が次々と心折れる中、それでも第一級冒険者たちにしがみ付き、走っている冒険者。
そんな彼もまた【
買った【呪印のつるぎ】と言う禍々しい名前の剣を大事に使いながら、今回の冒険の準備をしていた。
「今回は【
「うんっ、あたしは初めてだな。どんな子か楽しみ♪」
そう喜ぶアマゾネスの双子、二つ名【
「あんた能天気に準備してるけど、その子の作った武器八割ダメにしたのあんたよ。大丈夫?」
「あー謝らないといけないか~」
「今回のだって、ロキ・ファミリアに卸す材料集めメインだし、レフィーヤたち、魔導士用にも武具が欲しいって団長が言ってたのよ」
「そうですね、いつも使う物も良いですけど、スピカ様が作る杖も使ってみたいですね」
エルフである【
「けど、安くてだいたい数十万ヴァリスは破格過ぎないっすかね?」
そう、安くてそれくらいなのが【
「んーおそらく鍛治的に、適正価格は悩んだはずだよ」
「値段を最終的に決めたのはヘスティア様やスピカ様だけど、基本はヘファイストス様が決めてるんでしたっけ?」
「ああ。武器としての使用と、魔剣の代理品としての値段を考えて安い物だけど、魔法は正直、上層、中層モンスター相手、下層、深層だと一瞬のけん制ほど。そして武器としての性能は、よほどの業物で無いと中層どまり。スペックを全て合わせて高くてもそれくらいしか付けられない、そう判断したんだろうね」
フィンが数多くのがらくたのつるぎや、目を見張るほどの性能を秘めた物を思い返す。後者ならそう簡単に手を出せないが、平凡的な、スピカで言う成功確率の高い物は高くて100万ヴァリスほどだ。
スピカは半端ない量の仕事を押し付けられているが、そうして得た収入で好き勝手に成功率の低い物を作ったりしている。ロキ・ファミリアに流れるのがその低い物だけである。
ロキ・ファミリアの仕事は引き抜きに関するけん制が主だ。あまり表立って行動していないが、裏で何を考えているか分からない派閥をリストアップして、情報を集めて対処している。
物理的に行動する者や個人で動く者もいるが、一応彼らはスピカがヘスティア・ファミリアに居続けられるように行動をしていた。
前の検査の時などは、ヘスティア側があまりに妙な事をしていたため、表に話が出ても周りの反応と行動は変わらないから行動に移った。リヴェリアがしっかり言い聞かせているが反省の色は無い。
ともかくいまを乗り切れば問題ない。いまはスピカしか作れないが、近いうちに他の鍛冶師も作れるようになる。技術的に広まれば少しは落ち着くだろう。
「それに属性武器だけじゃなく【ガイアの剣】もある。正直安定して売れているのはああ言う武器だろうね」
「属性武器は良いけど、性能的にはやっぱり良い物が良いですもんね」
「属性武器は大小で威力が変わるからね。ヘスティア、ヘファイストス・ファミリアから買う時は良いけど、他の店とかだと威力、詠唱式の確認をしないといけない」
だいぶ【
武器ばかりでは無く、防具の方面にも出来上がり、【
「正直彼女がオラリオの闇が活動していない時に来てくれてよかった。彼らなら闇ルートで確実に入手して悪用しているからね」
フィンの本心の言葉を聞きながら、アイズが新しい装備を着て出て来る。
「変じゃないかな?」
スピカからのお仕置きで、スピカが用意した防具を着るアイズ。いまは【シュバリエメイル】などの装備を着こむ。
「アイズさん凛々しいです~♪(スピカ様さすがです~♪)」
レフィーヤは喜び、アイズも頷くが、少しだけ不安になる。スピカにあまり壊し過ぎると露出が増えると脅されているし、ロキが嬉しそうにしているから。
こうしてゆっくりと全員が準備を進めるのであった。
◇◆◇◆◇
「ロキ・ファミリアが護衛してくれるのはほんと助かるな」
フィン、リヴェリア、アイズ、ティオネ、ティオナ、レフィーヤ、ラウルの他に、数名のエルフの団員が参加して、スピカとヴェルフと合流する。ヴェルフの存在に忌避するエルフはいたが、本人は魔剣嫌いの理由と、スピカの親が下手をすればその騒ぎに駆け落ちしている可能性がある為、その辺りを言ってその後は何事も無く、下層付近で材料集めしていた。
「この辺でそれはどんな感触ですか?」
「ああ、確実に性能は出ているね。ここの攻略には持って来いだよ」
スピカの言葉にフィンは答える。37階層付近で一度武器を変えて、スケルトン、アンデッド系のモンスターに高ダメージを出す武器を使ってもらっている。効果はあるようだ。
ティオナも武器を使うが、スピカに近づき訪ねて見た。
「ねえねえ、
「それは少し独特ですので、両手武器や斧、鎌のようなものならたくさんあります」
時間を見つけては作りまくる。いずれ自分以外も作れるだろう。そう思いながら好き勝手に時間を過ごすスピカである。
「バックパックがいっぱいになって来ました」
「材料的にどれほどだい?」
「無理をしなければいまあるだけでロキ・ファミリアの分は作れますね。品質を求めるのなら、あと一回潜るくらいです」
スピカ的に助かるのは、こうして深層、下層で安全に探索して、材料が入るのは助かる。ロキ・ファミリアに感謝しながら色々と考える。
実験の為、上の階層まで戻る一行。その時に24階層でそれを見つけた。
「あっ、
「えっ!?」
ティオナの言葉に反応したのはスピカだった。緑の竜である巨体のモンスター。24階層最強のモンスターであり、
「宝石樹ですね、結構大きい」
「これは良いな、帰り道であれに出会うのは財政が助かる」
「マジで宝石樹?! しかも材質も良い!!」
「す、スピカ? どうしたんだ?」
テンションを上げるスピカは【いかずちの杖】の準備をしながら、戦う準備をしている。
「すいません、あの宝石樹そのものが欲しいんです。木材として道具の材料になるって思って集めてますっ」
「ほう、宝石樹の宝石を売る者もいるが、確かに材料として木そのものを売る者もいるな」
リヴェリアは赤や青の宝石を実らせている大樹を見ながら、戦う準備に入る。
「奴のドロップアイテムも奴に立つ。どうするフィン?」
「スポンサーとしては彼女に色々作って欲しいし、なによりあのでかさは財政を助けてくれるだろう」
「それじゃ」
「総員戦闘準備、これで最後だ。アイズ、ティオナ、ティオネを前に」
◇◆◇◆◇
「さて、そろそろ例の実験をしようか」
「あっはい、皆さん、準備は良いですか?」
「だ、だいじょうぶですスピカ様……」
木材など背負うレフィーヤの言葉に他の木材を担ぐエルフたちは頷き、ラウルは緊張する。スピカはある巻物を取り出し、それを広げた。
広げた瞬間、円を描く光の輪がスピカを中心に地面に広がり、全員がその中に入る。
「【リレミト】」
そう言った瞬間、その場にいた人たちはダンジョンから姿を消して、地上の、スピカがその為だけに建設したフロアへと出現した。
「っと」
「24階層でこのメンバーでの移動成功ですね」
アイズたちは少し戸惑いながら辺りを見渡す。特殊なオーブが安置されている祭壇がある部屋。部屋の広さはかなり広く、祭壇以外何も無い。その扉前にはガネーシャ・ファミリアが門番していて、すぐに部屋から出て行く。
その際に門番に今回の人数と階層、時間や状況のデータを報告して、データを集めている。
「【リレミトの巻物】か、このオーブがある場所に移動する、転移魔法の
「いまのところ問題なく機能しているが、どこまで機能するか分からないからな」
リヴェリアが感心しながら、その性能を考える。スピカが作ったこれには、ギルドを始め、多くのファミリアが驚愕と称賛する品物だ。異常事態、イレギュラーが起きれば全滅もあり得るのがダンジョンだ。即座に地上へ帰れる手段があれば、生存率が跳ね上がる。
ただスピカはダンジョンについてはいまだ知らない事が多い。深ければ深いほどわからない為、こうしてデータを日々取っている。もちろん
「値段がバカになりませんから、30階層よりも下に潜れる人じゃないといけないのが気がかりですね」
「それでも状況に応じて使い分けたいね。遠征じゃ全員分揃えるのも難しいが、僕たち探索系ファミリアには新たな生命線だよ」
ここでスピカの凄いところは、レシピをギルドにタダで渡したところだ。
すぐにギルドは入口にあるフロアの製作を依頼、それには代金をいただき、製作可能な派閥へレシピを渡して製作。効果があるか、様々な方面でデータを取り始めた。お金は少ししか入らないが、スピカにかかる負担は少なく済んでいる。
そんな会話をしながら手に入れた宝石も売ったフィンたち、ロキ・ファミリアの財政は潤い、スピカは作りたい物の材料を集めるのに成功した。
ヴェルフは何か作りたそうにテンションを上げていた事を主神に密告、ヘスティアもそれ経由で聞き、なに作るんだろうとスピカに聞く。
「秘密です。楽しみにしていてくださいねヘスティア様っ♪」
「う、うん……ほどほどで良いからね」
嬉しそうにするスピカは集めた材料で工房に籠る。ヘスティアはいまのうち勉強しないといけない気がしたので勉強し出す。
こうしてスピカは楽しくオラリオで頑張る中、とんでもない物を作り出す。
スピカ「体格などのデータは自分の身体で代用しよう、美少女でよかったな。大丈夫なにしても問題ないさ……たぶん」
ヘスティア「何を作ってもボクだけはあの子の味方でいなければ」
お読みいただき、ありがとうございます。