ダンジョンに異世界のアイテムを持ち込むのは間違っているだろうか(本編完結)   作:にゃはっふー

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ナーサリーライム。詠唱式は定まっておらず、その時の気分次第。長ければ長いほど、魔法の効果が高まる。

魔法を使用すると、火を出したりしたり、トランプの兵士などを召喚して戦う。

光の魔法で生まれた鉱石を核にしているためか魔力は膨大。完全な後方支援タイプ。


第13話・小話が一つ目、水魔法の凄さ

 とある場所にある『青の薬舗』、忙しい時間帯が終わり、一息つくナァーザ。品物とヴァリスを計算しておく。もうそろそろ来る頃だろう。

 

「いらっ、スピカ♪」

 

 この店の救世主スピカである。いまは【みずのはごろも】を着こみ、バックパックに大量の商品を背負い、リリと共に来た。

 

「景気は良いですかナァーザさん」

 

「スピカのおかげで、毎日ご飯はおかわりできてる♪」

 

 嬉しそうに前に出るナァーザ。ナァーザは実は知っている。スピカは普通のエルフでは無い辺り。まず肌の露出や触れあいの忌避は一切ない、女性の場合むしろウェルカム的な反応を示す。この時はナァーザもまさかなと思ったが、長い付き合いで確信した。スピカは女の子、自分のような大人のお姉さんに弱い。

 

 手に振れたり、抱き着かれたりすると鼻の下は伸びないけど、内心やったーと言う反応はしている。まあ最近はお供の子に邪魔されてしまうが。

 

「スピカ様、他の仕事もあるのですから、早く要件を済ませてください」

 

「はーい」

 

 こうして仕事を早めに終わらせられ、新商品や新しい商品開発もできない。ナァーザは内心困っている。

 

「【エルフののみぐすり】とコイン類、最近の売りだと【せかいじゅのしずく】がいっぱい売れてる。これが売上金、場所代はもう引いてあるから」

 

「それじゃ計算しますので少々お待ちを」

 

 ………一時、場所代をちょろまかそうと考えた時期はあった。だがスピカは長い目で見ればかなり稼がせてもらっているし、ハイエルフと言う噂も相まってそれはしていない。リリが代金確認し出して内心しなくてよかったと思っている。

 

「スピカ、最近調合手伝ってくれなくて、寂しいな~」

 

「ごめんなさい、ここ最近【ブルーメタル】を多く買い求められたり、最上品の【おうじゃのつるぎ】を作らないといけなくて」

 

「そうなの……それじゃ、今度は調合、一緒にしようね」

 

 そう手を取り優しく微笑む。するとスピカの頬が緩み、は~いとデレデレする。

 

 スピカの作った薬は良く売れる。相場の倍でも良く売れるから、本当に助かるし、詐欺じゃないから良心も痛まない。

 

「スピカ様?」

 

「はひっ、な、なにリリ?」

 

「デレデレしないで、別の商談もしておきましょう」

 

「はーい」

 

 リリが横目でじっとりと睨む。この子もスピカの事をよく知っている? そうナァーザが思う中、スピカからの話を聞いてまとめる。

 

 ここ最近、品物の売り場が狭くて苦情が来ている事、一応ミアハ・ファミリア経由でいくつか卸しているが、足りないと言うディアンケヒント・ファミリアがうるさいので、彼らにも同等数の品物を置くと言う話である。

 

(残念、いままではここで泣き崩れて抱き着けばうやむやにできてたけど、商品は多くなったし、お客も対応できなくなるほど来るのは困る。ここは受け入れるしかないか)

 

 そう決めて、ナァーザは手を取りながら微笑む事にした。

 

「いいのスピカ、スピカが私たちのこと気にしてくれるのは分かる。けどいまくらい品物をここに卸してくれるくらいでちょうどいい。借金は返せるし、ご飯もいっぱい食べられるから」

 

「ありがとうございます、ナァーザさん」

 

 リリにずっとバカな事を言われたり、言わないか監視されている。仕方ないと内心ため息をつきながらナァーザはこのままぐらいに留めた。

 

「ああ、けど新商品ができたら、真っ先にうちに売らせては欲しいかな? そうしてくれたら、私は嬉しい」

 

 何事も先手を取るのは良い事だ。スピカに贔屓にされているだけでお金が入る。

 

「えっ、じゃ【せいすい】のテスト終わったら卸していいですか?」

 

「スピカ大好き♪」

 

 そう言って抱きしめる。この時、胸を押し付けておく。

 

 ナァーザは考える、例え中身が男だろうとスピカはスピカだ。この子はもう大切な仲間だ(どんな手を使っても離さないカモネギ)と考える。

 

 こうしてスピカはやっふーと言う心境になるが、リリがお説教して元のテンションに戻り、すぐに【せいすい】が全てのモンスターに効いて、近づいて来ないかテストを早めることにした。

 

「リリ、あれに喜ばない男はいないんだよ」

 

「あんたは女の子でしょうが?!」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「お散歩♪お散歩♪楽しいわ~♪」

 

 鋼の乗り物でナーサリーライムと共に前進する。今日お休みの時間が入り、せっかく作った【シャドウ・ボーダー】の試運転にナーサリーライムを誘ったスピカ。

 

「運転席を私の体躯で動かせるようカスタムしましたが、問題なくドリフトとかもできましたね」

 

「楽しいわ♪楽しいわ♪ モンスターさんが吹っ飛んでしまったわ♪」

 

 モンスターと激突して倒しても問題ない強度、必要無いが虚数空間への潜航はしなくていいだろう。てか神様も乗せたりするかもしれないから、それを考えるとダメな気がする。これ外してなんかカスタムしよう。

 

「他にも即死系、蘇生系の道具をどうするか。さすがに作らない方が良い気がしますね」

 

 即死系は悪用された時が怖い。いまのオラリオが平和だからと言って、善人で溢れている訳では無い。蘇生系は実験ができない。もしもダメだった時が精神的にきつい。そう思いながら進んでいくと………

 

 人がモンスターに襲われかけていたので、ゴルドルフ式ドリフトアタックをかました。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 襲われた人たちは、どうやら麓の川辺に水を汲みに出向いていたので、川で水を確保してから村まで運んであげた。注目を浴びたが、まあ当然なので気にせず水を配る。

 

「ありがとうございます、あなた様は冒険者様ですか?」

 

「まあそうですね、見ての通り、この乗り物の走り心地のテストで、ここまで遠出しました」

 

 戸惑いながら納得する村の人。スピカは気にせず、ナーサリーは村の子供たちと遊んでいる。

 

「ですけど、この村には井戸は無いんですか? さすがに距離があるようですけど」

 

「近くに他の川があるんですけど、この時期モンスターが出やすく、安全の為にふもとまで降りることにしておるのです」

 

 長老らしい人がそう説明しながら、予想より多くの飲み水が確保できた事に感謝される。ボーダーのおかげで、大量の水が運べたのだ。しばらくは大丈夫だ。

 

 しかし、この調子では危険な気がするスピカ。なんとかしたいが、それをする理由は無い。スピカは善人ではあるが、聖人では無い。何か問題を起こすとヘスティアに迷惑がかかるし、この村以外だって水を求めて、こちらに助けを求めるだろう。タダで。

 

 ほいほい助けたり、行動するわけにはいかない。リリに怒られるので、スピカがするのはここまでだ。そう思っていると………

 

「村長さん、大丈夫ですか?」

 

 とんでもない美人が現れた。

 

 栗色のストレートの長髪、白い美しい洋服を着ていて、スピカの好みに入るお姉さん系の存在。慈愛系のそれだ。

 

「おお、すいませんなあ、いつもご心配をおかけしまして」

 

「いいえ、私にもなにかできればいいのですが」

 

「………あなた様はもう十分働いた。いまはお身体と心を休ませる時です」

 

「ですが」

 

「お困りなら俺がなんとかしてあげますよお姉さんっ!!」

 

 そう言っていつものように馬鹿な真似をするのであった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「マスター、まずはどうするの?」

 

「まずは流れ出る水をスムーズに流れるように計算しないと。水浸しにしては意味が無いです」

 

 村長たちはそんな事ができるのかと驚き、お姉さんが()()()()()()()()と言い、村に作る場所を確保したスピカ。次に水周りをよくして、準備に入る。

 

「ボーダーに一通りの道具と工房を作っておいてよかった」

 

 計算完了、簡易井戸のような場所や飲み水の確保など、いまから手に入る大量の水の行き来を完璧に把握して管理するようにしたスピカ。次は指定の場所に種を植える。

 

「離れますよナーサリー」

 

「わぁーい♪」

 

 種を植え、すぐに離れると芽が出て、一気に大樹へと成長する。

 

「な、なんと……」

 

「まあ……」

 

 村長たちとやお姉さんが驚くと、それは大樹と成り、一気に実った。

 

 大樹から水が流れ、大樹の周りに緑が実る。

 

「大樹の力の安定を確認、これで良し」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 大樹から生まれる水はスピカの【慈愛の聖水(ヒール)】と変わらない、後の調整をした後は、もう帰る予定のスピカ。時々様子を見に来て、何か不具合が無いか確認すると話し終えた。

 

「待って」

 

 そうして準備していると、綺麗なお姉さんが話しかけてきた。

 

「なんでしょうか?」

 

「あなた、精霊とゆかりがあるの? その力でなにがしたいの?」

 

 真剣な顔で尋ねられ、返答に困るスピカ。

 

(あなたが美人だからついとか言っちゃあかん奴だ)

 

 そう思い、答えを考えたスピカは、もう一つの答えを答える。

 

「俺にできるのは物を作る事です。それで幸せにできるのなら、幸せを作る事が俺のするべきことです。だからですかね、その後の事はその後考えます」

 

「………そう」

 

 それをホッとするお姉さん。その様子に近づいて、優しく微笑む。

 

「この力を悪用する事は無いので、安心してください女神さま」

 

「……さすがに気づきますね」

 

「俺の力をすぐに精霊の力と言うのは、オラリオでよく言われてますからね」

 

 そう聞くと、少しだけ複雑そうな顔になる女神様。

 

「………いまのオラリオは、どのような状態ですか?」

 

「そうですね」

 

 正直に自分の周りを話す。ナーサリーも加わり、ナーサリーを抱きしめながら聞く女神様。それに少しデレデレになるスピカ。

 

 その後に別れ、オラリオへと戻る。そろそろ戻らないと、黙って都市を出たことがバレてしまう。

 

「そう言えば、豊穣の女主人の話に食いついてたな女神様」

 

 特にリューさんの話を聞いていた。そんな気がしながら、オラリオへと戻った。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 しばらくして、大樹のおかげかモンスターは村に近寄らず、心地よい風が行き来する村。一人の女神がある方角を見る。かつて正義を掲げ、そこにいた都市の方角を。

 

「………元気そうで何よりです、リオン」

 

 そう優しく微笑み、屋敷へと戻っていった………




【みずのはごろも】出典ドラゴンクエスト

水の羽衣、天から降った天露の糸で編まれた一品。スピカは水精霊の護布(ウンディーネ・クロス)で代用。のちに【慈愛の聖水(ヒール)】でさらに品質向上する。


【エルフののみぐすり】出典ドラゴンクエスト

ドラクエのエルフにのみ伝わる飲み薬。MPを全回復する。スピカの場合、上等精神回復薬(ハイ・マジック・ポーション)精神回復薬(マジック・ポーション)の中間くらいの回復量。意外と重宝されている。

ナァーザにも製造可能。中身のほとんどが【慈愛の聖水(ヒール)】やそれで育った大樹から出る水により製造される。


【○○のコイン】出典聖剣伝説3

炎のコイン、大地のコイン、嵐のコイン、氷のコイン、暗闇のコイン、光のコイン、月のコインなどの種類あり、使用すると各アイテムの魔法を使用することができる。

他にも精霊の名前を持つ石像があり、これもまた聖剣伝説の魔法が使用可能。神も使える為、よく売れている。


【せかいじゅのしずく】出典ドラゴンクエスト

世界樹の葉を浸した液体。味方HPを全回復させる。スピカの場合、【慈愛の聖水(ヒール)】で育てた大樹の葉を何日も【慈愛の聖水(ヒール)】に漬けた物がそれである。葉っぱの効果は怖い為、使用しようとも思っていない。


【ブルーメタル】出典ドラゴンクエスト

ロトの鎧などに使われる貴金属、ミスリル以上、オリハルコン未満の濃青色の金属。スピカの場合、合金扱いで使用しているため、【妖精の種火(トーチ)】があれば誰でも作れる可能性あり。


【おうじゃのつるぎ】出典ドラゴンクエスト

勇者の装備の一つ、主にドラクエ3などに出て来る。道具として使用するとバギクロスと言う風魔法が撃てる。スピカはこれを大量生産して稼いでいる。低くても第二等級武装の上位に当る。


【せいすい】出典ドラゴンクエスト

弱いモンスターの出現率を封じる。スピカの場合、Lvの高い冒険者が使用すると、その効果は高まる。アイズが爆買いしてダンジョンアタックに使用している。


【シャドウ・ボーダー】出典Fate/Grand Order

正式名称虚数潜航艇シャドウ・ボーダー。主人公たちの拠点となる大型特殊車両、見た目は装甲車だが船である。

アトラス院が提供した虚数観測機『ペーパームーン』を搭載したことによって、人類史から虚数空間へ潜航する事が可能。中は空間を歪めているため、見た目よりも広い。

スピカがロマンを感じて作った品物、虚数空間に行くと時間の流れが狂う為、神を連れて行くのもまずいし浦島太郎現象を招くとやばいので機能を外して改造中。アトラス院やダ・ヴィンチちゃんにケンカを売れる品物。


女神さまはどこの正義の女神さまだろうか……

スピカは大樹を作りました。葉っぱは薬草と変わらない成分を含み、水はポーションのように体力を癒す。

吹き抜ける風は緑を広め、不浄を浄化する力を持ってます。ちなみにヘスティア・ファミリアの畑にいくつもある。

お読みいただき、ありがとうございます。
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