ダンジョンに異世界のアイテムを持ち込むのは間違っているだろうか(本編完結)   作:にゃはっふー

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スピカ「物置くところがなくなった。またいくつかロキ・ファミリアとかに上げよう」

ヘスティア「お小遣いが100億溜まったから、ジャガ丸くんたくさん買って来よう」

リリ「なにこの金額……お給金多すぎでしょう。このファミリアの経済面、どうなってるの?」

ナーサリーライム「お菓子をたくさん買ったわ♪ みんなと一緒にお菓子を食べましょう♪」

金銭感覚が崩壊してます。


第17話・こうして彼女は作り出す

 恩恵(ファルナ)をもらって二年、Lv3になる。アビリティは【耐異常】であり、団員は自分を含めて三名になった。ナーサリーはリリと共に潜り日々精進している。

 

 リリが入ってくれて助かる。バイト時期も他の子を纏めてくれたりと給金をはずむくらいの働きをしてくれたし、いまもバイト組の冒険者やサポーターを纏めて、卸す品物を確実に運んでくれていた。

 

 そんな平和な時期の中で、最近は下層や深層の材料を使う事に抵抗は無く、表向き【鍛治】を取っただろう状態。ならばと魔剣を作ろうと思い至る。

 

「もともと俺が魔剣作るとなるとどんなんできるか気になるって椿さんに言われてたし、そろそろ俺も自重しなくてもいいと思うんだよね」

 

「よくよく考えれば、リリ的にはヘスティア・ファミリアの裏事情話されて戸惑います」

 

 大量の資金を得てバカな使い方は見た目していないヘスティア・ファミリア。だが畑の拡大、高価なアイテム製作などしまくっている。冒険者依頼(クエスト)も毎日高い金額で発注しているし、リリはお金の使い方にばらつきがあり、ため息をつく。

 

 リリは知らないが、スピカは【カメラ】での盗撮は日常茶飯事(やばいのは寝間着姿程度)にしている。ヘルメス・ファミリアに依頼を出している中で、高価な物で取引している事を知らない。

 

 ヘスティアは時々ジャガ丸くんを買い食いしている。ナーサリーライムはお菓子を近所の子供たちと分けて楽しむ。

 

 正式な団員になったリリの給金もはずみ、リリは昔じゃ考えられない大金持ちになりつつある。

 

「そこはリリを信用してるんだよ。ってかいまのリリがいないと困るくらいだから」

 

「作るのは良いとして、持ち運びに手間取り過ぎですね。好き勝手に考え無しに作り過ぎですよ。よく運営できてましたね」

 

「そこはスピカ君だからとしか、時々星5ッ!!とか叫んでるし。今月の帳簿はっと……」

 

 いまは今月卸す分やダンジョンに潜る日にち、他の派閥の人との連携など、スケジュール決めをしていた。

 

「ロキ、ヘファイストスは分かりますけど、ガネーシャ・ファミリアとも繋がりがあるんですね」

 

「あそこは都市の防衛してくれてるからね。味方にする方が良いって話になってね、武器を卸す事にしてたんだ」

 

「もしや、ガネーシャ・ファミリアが【ひかりのつるぎ】などを持ってたりするのは」

 

「無料提供で頑張ってくださいって渡した」

 

「他にも【まほうのよろい】が人気だね」

 

「【魔道武具(マジックウェポン)】は十分強力ですからね、そうほいほい人に渡したらダメですもったいない!!」

 

「お金は団員三名にしてはいっぱいあるから」

 

「いっぱいあっても足りない物なんですよ。スピカ様が失われかけているハイエルフ、様々な用途があるから狙われていないだけで、本来ならどこぞのファミリアに無理矢理引き抜かれてもおかしくないんです!!」

 

「あーアポロン辺りだね。ロキとヘファイストスたちが味方だから、手を出さずによく道具を買ってる」

 

「フレイヤ・ファミリアにも話があるんでしょう? あまり目立つマネはせず、もう少し我慢と言うものを覚えてください」

 

「フレイヤ様かあ……俺ってどう見られてるんだろう」

 

「んーなんか狙ってそうで、そうでないようなって感じなんだよね。武器もよく買うし」

 

 変な注文は無いし、ロキ・ファミリアが取り寄せない独特の武器を売れるので助かっている。リリにはすでにナーサリーやスピカの事が伝わっていて、フレイヤの話を聞くと考え込むしかない。

 

「向こうが行動を移すまでは静観しましょう。いまはナーサリー様のランクアップやファミリアの規模をしっかり管理しないと、いずれ破綻します」

 

「事務的な仕事を一番求められているからリリを副団長にしているのに、それを理解しない奴ばかりで困るーーーーーっ!!」

 

 事務的に必要な事は伝えているが、12歳のエルフと14歳の小人族(パルゥム)に頭を下げられる冒険者はいない。そんな事でいまだ団員を入れられない。

 

 ロキとヘファイストスも、ここまで話が通じないのは頭が痛いらしい。駆け出しでもそこで躊躇するのなら入れない方が良いが、年々求められる物が増えていく。

 

 いまはロキの眷属が派遣でタダで手伝ってくれている。警護も含めて助かっていた。

 

「とりあえず余計な物を作らず、大人しくしていただきたいです。資金力は高いですけど、冒険者としては完全に後方支援なんですよ」

 

 そう言われて、スピカは自身のスペックを考える。あれらは殺傷力が高すぎるか。

 

「それじゃしばらくはガネーシャさんたちに流す武器でも作りますかね。都市が平和になれば良いですし、ロキ・ファミリアのところは強くなればなるほど、深層のドロップアイテムが手に入りますしね」

 

「タダで渡すんですか?」

 

「別にいいじゃん。ガネーシャ・ファミリアは町の為に、ロキ・ファミリアは深層のドロップアイテム確保や警護」

 

 ヘルメスはフィルヴィスさん写真集の為に。

 

「頑張っていただけなければいけないのです」

 

「気の所為か、全く無駄なことを考えていませんでしたか?」

 

 そう言われても知らんふりするスピカ。そのまま道具作りを楽しみながら、少し昔を思い出す。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 教会と工房を行き来しながら、リリ、ヘスティア、ナーサリーライム、スピカで四人暮らしをしていた。

 

 教会には畑があり、教会をホームのメインにした方が広いし、他に団員が増えればこちらに泊められるよう部屋数も増やしている。なによりリリとヘスティアは朝から聞こえる鉄を打つ音に慣れないため、時々こちらに避難している。ナーサリーは初めから教会に住み込んでいる。

 

 工房はほとんどスピカの家になり、時々ナーサリーと触れ合う為に教会の部屋で寝ている日々。仕事する為に鉄を打っていると、ふと前世の小道具作りを思い出す。

 

 本物に寄せて作る聖剣など、作るのは大変なのに壊れるのは簡単な道具を作り、日々面白おかしく生きていた事を思い出していた。

 

 ああまたあんな感じで物作りしてみたい。いまも物を作るが、ああいうノリで作りたいと思ったとき、久々に知識の海にその身を投げ出す。

 

 そしてそれを手に取る。

 

 前世に何本も手に取り、様々なコスプレイヤー(使い手)に渡ったそれを。

 

「いいのか?」

 

 知識は何も答えず、ただ手の中にある。だからだろうか、それを作る為に試行錯誤し出す。いままでと違い、成功率では測れない物事だ。

 

 スキルが鼓動する。背中が熱く、心が熱く燃え上がる。

 

 どこまで再現できるか分からない。だが手には、心の中には形があるのだ。自分の心を形にするだけ。

 

 そう血潮は鉄、心は硝子でできている。偽物が本物に叶わないなんて道理はどこにある。

 

 作ろうか、恐れず、前へと進む為に………

 

 この身は無限の剣を生み出す為にある。

 

 作りかけているものだってある。このままでいいはずがない、そう、作るのは何時? いまでしょうっ!!

 

「なにカッコイイ雰囲気出してるんですかやめてくださいスピカ様ーーーーッ!!」

 

 厳重に締め切った扉の前から何かが吠えた。そんな声を聞きながら究極の一を作り出した。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 阿鼻叫喚が生まれる戦場、フィンはふむと考え込みながら、前線を見つめていた。

 

 いま迷宮都市(オラリオ)は一つの国と戦争をしていた。相手はラキア王国。軍神『アレス』が率いる国家系ファミリアだ。

 

 この国は軍神アレスを信仰し、アレスは数々の戦略を駆使して数多の国を攻める事を良しとして、多くの国はこの国に吸収されている。そんな国と戦争する迷宮都市(オラリオ)は、最強と名高いフレイヤ・ファミリアとロキ・ファミリアを筆頭に、多くのファミリアの力を借りて対処する。

 

 実際は天地の差であった。

 

「軍神アレスはこの神時代は量より質だと理解できないんだろうか?」

 

 フィンは呆れながら、何百と言う敵を一人で片付けるアイズの様子にただ呆れるだけである。

 

「ただ真正面の戦闘。何か裏があるかな? 一応警戒しておかないとな」

 

「アイズさんはどうします?」

 

「しばらく【はかぶさの剣】の練習台に暴れ終えたら他の冒険者、アイズみたいに【魔道武具(マジックウェポン)】の試しがしたい部隊と交代かな。一応死者は?」

 

「ゼロっす」

 

「ならいいさ。ああけど【ぱっくんチョコ】での体力回復がどれほどかのデータ取りはしっかりしておいてくれ。他にある【はちみつドリンク】も要確認」

 

「了解っす」

 

 怪我を治せないが体力回復にぴったりな、ポーションよりも手軽な体力回復道具。フィンはそちらのデータ取りを優先した。

 

 正直な話、地上のモンスターは劣化している。劣化モンスターから得られる経験値(エクセリア)は雀の涙。ランクアップしてLv2が精々が基本だ。

 

 そんな者たちがLv6や5の前で、何百人集まろう敵では無い。作戦か何かあれば変わるだろうが、いまのところ前と同じ、ただ前から攻める戦闘が繰り広げられている。

 

「だからと言って手を抜く事もできないからな」

 

 戻ってきたフィンにリヴェリアは告げ、ああと他の手を行使していないか情報を集める。

 

「いまのところいつもの変わらない戦法が目立つから注意しつつ、冒険者たちの要望に応えないとな」

 

 今回のラキア戦争で冒険者はいつもと違ってやる気はある。それが【魔道武具(マジックウェポン)】の存在だ。

 

 誰だって新しい武器や防具を使ってみたいのだ。つまるところ、こちら側の感覚はその程度だ。攻め込まれているが気にも留めていない。

 

「今度はガネーシャたちの時間だね。作戦と戦場の流れをうまくかみ合わせないと、今回参加のファミリアたちの練習時間が確保できないな」

 

 作戦を読みながら、各ファミリアが活躍する場を調整するフィン。あえて敵側の作戦を採用して、うまく軌道に乗せて調整したりしている。

 

「北側の部隊は囮だけど放置して策にはまろう。かわりに海上の敵は徹底的に片付けないと」

 

「海路関係はさすがに放っておく訳にはいかないからな。まあ陸路も問題ないように調整しているが、いくつ協力している?」

 

「いまのところ参加しているファミリア全部じゃな。各方面が新武器など、儂らのように道具のデータ取りと躍起になっておるわい」

 

「ヘスティア側が売り込み時って、値段を下げたのもあるからね」

 

 苦笑しつつ、フィンは全体の流れを読みながら戦局を調整する。あっちの部隊はこのファミリアとぶつけるように。こちらの言う通りに動く代わりに、戦う場を用意すると交渉しているフィン。いまのところ順調すぎる為、別の手が無いか地図を見る。

 

「やれやれ、周りのファミリアが言う事を聞いてくれるのは助かるが、考える事が増えるのはな」

 

「まあ仕方ないじゃろう、ヘスティア側もかき入れどきじゃろうし」

 

「ああ、相手を絞るとね。今回は仕方ないさ」

 

 いま商業系ファミリアは、補給路と兵站を真っ先に潰されたラキア軍に物資を売り込んでいる。魔剣も含め、数々の武器防具、回復薬など売り込んでいる。

 

「た、頼む。最近話題の【魔道武具(マジックウェポン)】を」

 

 そう言う兵士がいたのだが、商人がいっやーと少し困ったように微笑むだけだ。

 

 

 

「ヘスティア・ファミリアは【魔道武具(マジックウェポン)】をラキア軍に売りません。転売も不可とさせていただきます。これは私、スピカ・シロガネの言葉ですっ!! どうか私の手でこの都市や冒険者を傷つけさせないでください!!」

 

 

 

 と言うように【クロッゾの魔剣】のような事が起きないよう、注意が行き届いている。エルフたちは率先して【魔道武具(マジックウェポン)】を渡さないように動き回り、スピカの武器が人に向かないように徹底的に動いている。

 

 商人たちも【魔道武具(マジックウェポン)】を高値で吹っ掛けたいだろうが、全エルフを敵に回すのは得策でないため、さすがに【ぱっくんチョコ】ぐらいは売られるが、武器、防具はけしてラキアに触れさせないように動いている。それこそ闇ルートからも手が回っているほどだ。

 

 ロキ・ファミリアも徹底的に協力している。この為に情報集めに何人も走らせている。

 

「ともかく動きに要注意しつつ、前線維持だね。すぐに潰しても困るし、ラキアにはしばらく頑張ってもらわないと」

 

 フィンはそう締めくくり、あるテントを見る。自分の主神ととある神が共にいるテント。そちらは任せて、戦況の維持に手を回すのであった。




リュー、フィルヴィス『時々不審な気配を感じる………』

隠し撮りするアスフィ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい――」

スピカ「うへへ」

リリ「気のせいかスピカ様が良からぬ事してそう」

お読みいただきありがとうございます。
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