ダンジョンに異世界のアイテムを持ち込むのは間違っているだろうか(本編完結) 作:にゃはっふー
リリ「ほーう」
( ゚Д゚)
ラキア、オラリオ冒険者同盟との戦いの中、軍神アレスは歯がゆい思いで戦場を見る。
「バカな、作戦はここまでうまく行ったはずなのに、最後の所で瓦解するだと……」
「だから言ってるでしょう!?作戦は読まれてるんですって!!」
「バカな事を言うなマリウス!? ここまで成功しているんだ。あと少し、あと少しで侵略できるのだぞ!?」
「ですから、今回のハイエルフスピカ・シロガネの確保を目的とした作戦は無謀ですよ!? 数日前からオラリオに派遣した兵士たちとは音信不通ですし、スピカ・シロガネの畑付近に近づく事ですら阻まれてるのに、何を考えて本人を捕まえられると思ってるんですか!?」
マリウス王子、が怒りの声を上げるが、それに耳を貸さない軍神や父親である国王。
マリウスは今回の侵略事態は囮で、本当の狙いは数々の道具を作り出す、スピカ・シロガネと接触して自国の発展に協力させると言う話には、少しばかり悩んだ。
正直に言えばハイエルフと囁かれている、精霊に愛された子と良好な関係になれば、我が国とエルフたちの確執が無くなり発展するのではないかと少しは思ったからだ。攫うと言う話を直前に聞いて、アレスたちを見直した気持ちは砕け散ったが。通りで侵略作戦はするはずだ。
誘拐作戦を成功させるにしても、まだ念入りにスピカ・シロガネの身辺調査をするべきと、散々きつく言った。だが声は届かず、スピカを意識している事はフィンに知れ渡り、オラリオ内部に仕込まれた者たちはすでに捕まっている。スピカはいまはのんびり気楽に物作りしていた。
「あのエルフの娘から生み出される兵器の数々を見ただろうッ!! あれをお前の嫁にするなりなんなりして、我が国の力にすればより発展するに決まっている。まずは確保すれば全てが解決する、オラリオ本体へ攻め込むのはその後にする作戦だぞ。うまくいくに決まっている」
「自分の嫁にするとかなに勝手に決めてるんですか!? それこそ全エルフを敵に回すからやめてください!!」
「今回は快進撃が続いているんだぞ!?いま引くから負けなのだ!! 引かないから勝つんだぁぁぁぁぁぁ!?」
「どこぞのギャンブル依存症の患者みたい言うなぁぁぁぁぁぁぁ!!」
勝つまでやると言う軍神にキレた男は、頭を下げて、誠心誠意を見せればどこかの派閥に入り、冒険者をやれただろうかと本気で考える。件のスピカのいる派閥は、スピカ以外の者の命令を聞かないから入れないなど聞くが、いまなら
そんなやり取りでアレスは諜報員を全てオラリオに向かわせ、情報集めに使い出し、戦場の眼を減らしてどうするんだと叫ぶマリウスの言葉を無視した。
◇◆◇◆◇
とある陣地のテントでつまらなそうにしている女神が二人いる。一人はロキであり、もう片方、銀髪の美の女神はフレイヤである。
「暇やな」
「そうね」
彼女たちが実質
「もうストレートに聞くけど、自分、スピカたんの事どう思っとるん?」
「えっ、くれるのかしら?」
「やるかボケエ」
それにえ~と頬を膨らますフレイヤ。その反応にいまいち確証を持てない。
フレイヤは気に入った子は、他人の眷属だろうと引き抜く色ボケ女神だ。その事実は変わらず、フレイヤは気に入った子供をけして逃がさないだろう。
それではスピカは? そう思うロキが探りを入れると、なんとも曖昧な反応しか手に入らない。いい加減に飽き飽きだ。
「ぶっちゃけ聞かせろ。スピカたんのことどう思っているんや?」
「惜しい子よ。正直な話ね」
その言葉に首を傾げる変わりに飲み物を口に含み、戦局をつまらなそうに見ている女神の顔色を覗く。
「正直珍しい子と思うわ。私が出会った事の無い子、だけど、私が求めているものではない。それだけは確かよ」
「……まさか、気に入っているが、引き取るほどじゃないってことか?」
「ええ。あの子はヘスティア、もといいまの場所にいて、それを愛でるだけで十分よ。無理にあの場所から引き離しても面白くないし、つまらないもの」
気に入っているはいるが、いままでと違い、眷属に引き抜くほどでは無い。フレイヤを知るロキからすれば珍しい反応だ。気に入ったら全部自分の物にしたがる癖に。
「それにこの都市にいる限り、私の眼から逃れられないもの。ならヘスティアの下でのびのびさせておくのも悪くないわ♪」
満面の笑みでそう言うフレイヤに、ロキは呆れ果てる。結局、すでに自分の物認定していて、後は好きにさせているだけだった。
先ほどの発言も、来るのなら喜んで迎え入れる気なんだろう。まあ無理矢理引き抜く気が無いだけマシかと思い、後でヘスティアを囲む面々に話すと決めて、戦局を見る。
「しばらくはこの茶番続けないとな」
「ええ、うちの子たちも、あの子の作品は気に入ってるの。遊び相手に打って付けね」
戦場は激化するが、主神たちは気にせずのんびり見届ける。なにかあればそれに対処すればいいと思い控えていた。
◇◆◇◆◇
「ん……?」
変化に気づいたのはやはりこの男、勇者の称号をもらい受けたフィンである。
「ラウル、この団体の裏付けは取れているかい?」
「はい? ちょっと待ってほしいっす」
ふと
「ああ、それはおそらく商人の団体っすね。ラキアとは無関係ってなってます」
「無関係……別組織か派閥の者かい?」
「そうっす、えっと………あああった。魔法大国アルテナの人っすね」
「………」
それを聞いても親指はいまだにうづき、しばし人の行き来を調べるフィン。その様子を見た団員たちも不穏さに気づき、フィンの言葉を待つ。
「まさか、いや、まずい」
そう呟いた瞬間、伝令役のティオナが走り込んできた。
「フィン大変っ。ラキア兵が別の兵士の人たちに襲われてるっ。ど、どうしよう?」
「くそ、ここで動くかっ!?」
フィンは頭を痛め、すぐに動ける者とそうでないものたちを分けて、指示を出す。
「ティオナ、左舷にいるベートの部隊を使って、ラキア兵を助けろ。今回死者を出すわけにはいかないからね、彼らを助けておかないと。君もそのまま手伝って、ラキア兵と引き上げたら陣地に戻ってくれ」
「わっ、分かったよ」
「ラウル、すぐにアイズ、リヴェリアの部隊を引き戻してくれ。ガレスにここの指揮を任せる。リヴェリアたちの部隊をそのまま僕と共にオラリオへ帰還する」
「い、いいんっすか?!」
「構わない。これはラキア兵との戦闘では無いからね」
ラキア兵との戦闘では無い!? そう驚きながらも大急ぎで指示に従う。フィンはいずれあるかと警戒していたが、まさかラキアが動く時に動くと思っていなかった。
「ロキに報告だ。神ヘスティア、スピカ・シロガネが危ない」
◇◆◇◆◇
一方その頃、スピカは仕事の振り分けが終わり、少し休憩していた。
「売り物もリリに任せているし、神様はナーサリーの面倒見てるし、いまは忙しさの中の暇だな」
上着をしっかり着こみ、ベットで横になる気も起きないため、工房で座っているスピカ。その工房の扉が叩かれた。
「なんでしょうか?」
そう思い、表に出て来ると、エルフの人たちが慌てている。
「なにかありましたか?」
「申し訳ございませんスピカ様っ!! ラキアに【
その時のスピカの顔は苦虫を砕くほど歪め、ローブを着こむエルフの言葉を聞く。
「申し訳ございませんが、ラキアが冒険者たちにどんな【
「………ああそうですか、わかりました少しお待ちを」
少し準備をしてからスピカは馬車に乗り、エルフたちと行動する。馬車に乗ったスピカ。馬車は少し大きめの個室で二頭の馬が引き、スピカが乗った途端に走り出す。無表情で馬車に揺られ、町の外へと出向く。
◇◆◇◆◇
「申し訳ございませんスピカ様、お手数をおかけして」
「いえいいです、それで一体何の用ですか?」
「? 前線でフィン殿があなた様を呼んでいるので、それで」
「嘘です」
そう言った途端、空気が変わる。
「はて、嘘とは?」
「フィンさんが敵側が使う【
その言葉に真剣な面持ちで俺を見る老人。俺はそのまま続ける。
「それと、フィンさんたちの前線は陸路です。南西側、港方面に出て、何が目的です?」
「そこまでお分かりで、どうして我々に付いて来たのです?」
「あなたたち、あの場で自分を攫えなかったら、実力行使に移っていたでしょう? わざわざLv2をたくさん用意して。あそこには
その言葉にやれやれと首を振り、静かに頭を下げる。
「お見逸れしましたスピカ様。まさかあの場でそこまで読まれていたとは。安心してください、使う魔法はあなた様の意識を狩るだけのもの。被害を出すつもりはありません」
「本当かどうかは置いておいてあげます」
「ありがとうございます。それでは、我々があなた様を攫った目的ですが、あそこはあなた様の居るべき場所ではございません」
老人が話す言葉はどれも俺の血族、リュミエールの血筋が凄いとの事である。
「本当にリュミエール家の者か分からないのに、それでも俺を攫うと?」
「俺なぞと言葉を使ってはなりません。全く忌々しいドワーフめ」
少し苛立つがいまは我慢だ。馬車はLvは下だろうが数が多い、機を見ないといけない。
少なくとも彼らから見たら、俺はリュミエール家のエルフで間違いないらしい。その髪と瞳、雰囲気は全て先代、精霊に祝福されて生まれたリュミエールと瓜二つ。
なにより持っている首飾りは当主の証その物とのこと、一応判断させるために渡したが、間違いないと涙すら流しながら返してくれた。
「これでお間違いなくあなた様はスピカ・リュミエールでございます。貴方のいる場所はオラリオなどと野蛮なところでは無く、我ら魔法大国アルテナでございます」
「ですけど、俺はエルフの情勢は知りません。突然出て来た身元が不確かなエルフを王家に招き入れるんですか?」
「その心配はしなくてもよろしいです。あなた様はそのままアルテナに渡り、王家の者と婚姻していただきます」
「嫁入りしろと? 12の娘を?」
「お相手はリュミエール家の者で、これで血筋があるべき場所に戻り、皆幸せでございますよ」
にっこりと微笑む老人エルフ。
ふ………
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
スピカはそこから暴れ出し、Lv3の実力をいかんなく発揮するが、数の差で無理やり羽交い絞めされて、ミスリル製の手錠をかけられる。
「知ってるぞ、いまのリュミエール家は祖父くらいに歳が離れた人しかいないの。どこぞのじじいのもとに嫁ぐ気なんてねええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「忌々しいドワーフめっ! このような乱暴な娘に育てよって。丁寧に扱え、この者はリュミエール家の希望だぞ」
「勝手に決めるなッ! どうせアルテナに行ってもやることが変わらないんだろうが、離せ、離せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
こうしてラキアの戦争途中、アルテナの乱入が始まり、三つどもえの戦争が始まるのであった。
アレス「ふっはははは、いまのところ問題なく、作戦は成功する」
マリウス「戦場の情報が来ない、本当に大丈夫か………」
兵士「報告します、我が軍はいま未知の戦力に襲われ、前線ガタガタですっ!」
兵士「さらに報告、スピカ・シロガネが攫われた模様。オラリオにいません!」
( ゚Д゚)
( ゚Д゚)
???「待っていてくださいマスター」
お読みいただきありがとうございます。