ダンジョンに異世界のアイテムを持ち込むのは間違っているだろうか(本編完結) 作:にゃはっふー
だが使い方が分からず、とりあえずヘスティアに言われるがまま行動する。
ヘファイストス・ファミリアはオラリオで最も有名な生産系ファミリアである。もはやブランドと言って良い、鍛治師、スミスの頂点に君臨する派閥として有力候補の一つであるこの店に、スピカとヘスティアは顔を出した。
「凄いですね。一本安くても3000万ですよ」
「正直ここに来て後悔し出したけど、ここまで来れば後は聞くだけさ。行こうスピカ君っ、新たなステージへッ!!」
「分かりました」
そう言って店の奥へと案内され、主神がいる部屋へと通された。
◇◆◇◆◇
赤毛で右目に大きな眼帯を付けた女性は、褐色肌で同じように眼帯を付けた女性と共に、書類を整理していたところ、団員から話を聞き、なにかしらと首を傾げた。
彼女は火の女神と呼ばれる鍛冶神『ヘファイストス』。そのファミリア団長『椿・コルブランド』。
話の内容を聞き、団員ができたから報告にでも来たのかと思い、中へと通した。
「ヘファイストス~、スキルで【発展アビリティ】がでたんだけど、これってどうすればいいかな~?」
そしてすぐに後悔した。
◇◆◇◆◇
そうヘスティア様が口にすると、ヘファイストス様らしき人はわなわな震え、ヘスティア様にお説教を始めました。
曰く、ステイタスは同じ派閥の者でも内容を話すのはタブーらしく、他派閥の自分に話すのは何事かと怒っている。
「しかもなに!?話を聞けば間違いなく【レアスキル】じゃないの!? そんなものを簡単にしゃべってこの口はあぁぁぁぁ」
「ごめんなさいごめんなさいっ」
頬を引っ張られ、ガミガミ怒られるヘスティア様。それに震えていると、団員らしい人、幹部か何かだろうお姉さんがこちらを見る。
「手前の名は椿・コルブランド、話を聞けばお前さんの事か?」
「はい、鍛治、神秘、魔導、調合のアビリティが生えて」
「椿何聞いてるの!?あなたも答えない!!」
「すいませんっ」
「少しくらい良いではないか」
しばらくお説教をした後、はあとため息をつき、椅子に座って真面目な顔をする。
「それで、その子の名前は?」
「スピカ・シロガネです」
「鍛冶と魔導、調合って……それだけでも珍しいのに、神秘まで……」
ヘファイストスの話では、神秘のアビリティ持ちは5人もいない。いまいて有名なのは【
「とりあえず、スキルで物作りが簡単になるか、強力な物を作れるスキルですね。まだ分かりませんが」
「物作りのスキル、ね……確かに、魔導や鍛治は、幅広く使えるし、神秘なら特別な
「面白そうだな、一体何が作れる?」
「材料を見ないと」
「よし」
そう言って俺を担ぐ椿さん、えっと思いながら、ヘファイストスは驚いた顔で立ち上がる。
「ちょっ、椿っ!?」
「手前の物ならば文句は無いだろう。その四つで物作りする者は少ないからな。少し見せてもらおう。こっちだこっち」
「ヘスティア様ーーー」
「わーーースピカ君ーーーーー」
俺は椿さん(団長であることを聞き)に攫われ、このまま彼女の工房に連れてかれた。
◇◆◇◆◇
「さあとりあえず用意できる物は用意したぞ、なにか作れるか?」
そう言って鉱石からモンスターの一部らしい材料を並べられ、ヘスティア様共々戸惑う俺ですが、正直に言う。スキルの効果使ってみてええええ。
名前はまんまドラクエだけど、別に他作品の物も作れそうなスキルの効果に、俺は前世の、レプリカを作って売っていた頃を思い出す。それを考えると、正直本物を作ってみたい。
鍛冶師としても父ちゃんに鍛えてもらったし、これらの材料で何か作れないかと見てみると………
「ッ!?」
その時、視界が知識の波に埋め尽くされ、頭の棚、そんな物からいくつかの道具のレシピが頭から引っ張られた。
「これなら『はやぶさのけん』が作れます」
「おー」
ヘスティア様が驚く中、椿さんはどんな物か聞いてくる。頭の中のレシピには木刀のような軽さを誇り、二度斬る事ができる細剣であると分かる為、そう説明する。その頃にはヘファイストス様もやってきて話を聞いている。
「なかなか面白そうだ。いまこの場で作れるか?」
「えっと……」
その時、頭の中でセレクト、選択肢のようにこんなものが浮かぶ。
はやぶさの剣・改 成功率10%
はやぶさのつるぎ至高 成功率10%
はやぶさのつるぎ優良 成功率15%
はやぶさのつるぎ良質 成功率20%
はやぶさのつるぎ並み 成功率30%
「頭の中で数値化されて、一番低い品物作るのに30%の確率でできます」
「できるかどうか数値化できるのね」
ヘファイストス様が驚き、えーとつまらなそうな顔をする椿さん。
「一番出来が良い物でないのか?」
「それだと10%でほぼできません」
「なんじゃたわけ、10%もできるのではないか。ならそれで作れ、この材料で」
「へ?」
さすがに驚くと、ため息をつき椿と声をかけるヘファイストス様。
「別にここに在るのは確かに良質で材料としては第一級じゃ。それでもスキルでどんな物が作れるか見てみたい。最近、どんな武器を作っても同じに見えての、刺激が欲しい」
そう本音を言い、さあさあ作れと迫る。
「へ、ヘファイストス~」
「ごめんなさい、こうなると完成するまでやめないわこの子」
「え~」
俺は驚きながらも、仕方なく決意する。
「それじゃ、せめてホームにある道具で作らせてください。冒険者に成れなかった時に備えて、鍛冶屋でも働けるよう、道具があるので」
「お主も鍛冶師か?」
「田舎でクワや斧ぐらい、時たまに剣作る程度でしたけどね」
そう言って急いで取りに出向き、金づちを装備して工房に来ると、竈に火を入れてすでに準備万端だった。
「はあ、よし、やってやる」
それからしばらく打ち続けた。
◇◆◇◆◇
運がよかった、その一言に尽きる。
ヘスティア・ファミリア、彼らが平凡にぼーとしていられるのは、ひとえにこの言葉に尽きる。
まずはスキルを教えたのが善神でもある人格者、ヘファイストスと、その団員の椿である事。
次に椿の工房近くで人が来なかった事。これもまた運がよかった。
そして次は二人が危険性に気づき、また武器生産の発展に大きく関わるとすぐに見抜いた事だろうか。
「できたーーーーっ!!」
16回目の製作に汗だくなエルフが一人いる。サラシを巻いていて、必死に戦い、できたのははやぶさの剣・改。それを見ている椿は、やばい笑顔でその刀身を見ていた。
「これは確かに、使われた金属の重みを感じぬ……精々が木刀くらいとは、しかし第一等武装とは言えぬ。だが十分の出来にはなっているな」
「失敗した武器は、どちらかと言えば魔剣の失敗作みたいね」
そう呟きながら、失敗したがらくたのつるぎを見て、ヘファイストスは感想をこぼす。
「おかしいな……頭くらくらする」
「わああ、す、スピカ君大丈夫かい!?」
これはのちに気づかれるが、スピカは精神力、マインドを消費して武器を作っている。ただでさえ集中力が必要な鍛冶に、魔力を食われているスピカ。しかもこの時、限界ギリギリであった。限界を迎える前に成功した奇跡もまた、運がよかった。
水を飲み、一息ついたところで、試し切りを椿がする。
「ッ!?」
椿が意気揚々と薪を用意して剣を振るうと、ブオンと空気が鳴り響く。
薪は二度斬られていて、椿は一振りのつもりが二度振っていたことに気づき、これは魔剣か何かかと思いながら、穴が開くまで見続けた。
「これは手前もこうしちゃおれん。いや良い物を見させてもらった、これはお主にやろう」
「いいんですか?」
「手前は手前の物があるからな、ガラクタも熱で溶かせばまあ駆け出しの足しにはなるだろう」
「お、お金は……」
「別にいいわよ。それよりヘスティア」
「は、はい」
驚きながら両肩を掴まれるヘスティア。ヘファイストスは笑顔ではっきりと告げる。
「この子の武器は特別だから、何か作るのなら私か椿、いいえ椿も危ないから私を通しなさい、良いわね。それとこの子のスキルは隠せるところまで隠しなさい」
「は、はいっ」
こうして新米コンビはヘファイストスの所を後にする。ちなみに剣はまだ預かるヘファイストス。
これからする緊急会議に必要だから。
◇◆◇◆◇
「なっ、なんですかこれ!? 一振り振っただけなのに!?」
「新しい魔剣か何かですか?」
「けど壊れる様子は無いぜ。何よりこの硬さ、武器としてしっかり機能してやがる」
そうだろうそうだろうと椿は嬉しそうにはやぶさの剣・改を見ながら、質はともかく、その機能性にヘファイストス・ファミリア幹部全員が驚いていた。
硬さから耐久値を考えれば第三等か第二等武装くらいだろうそれは、明らかに普通では無い力を持っている。
もう一つ、ガラクタのつるぎを見て、椿が考え込む。
「ふむ死んでいる。もうこれは再利用しても、精々駆け出しの武器くらいしかならないだろうな」
金属として全て死んでいる。第一級武具を作れる材料が軒並み、駆け出しの武器に再利用するしかないのだ。正確に売るとしたら赤字決定なのだが、それはいまは置いてかれている。
「他にもこんな武器作れるのか? あの女神様の眷属は」
「ウチにスカウトしますか? 明らかにヴェルフみたいなものでしょうこれ」
「そうしたいけど、あの子の初めての眷属だから、奪い取るのはできないわよ。それに駆け出しを贔屓するのもできないわ。だけどあの子たちどこかスキルの凄さに気づいて無さそうだから、こっちが手綱握らないと」
「ゴブニュのとこには気づかれたくないな、正直」
「この金属でどうすればこんな軽くて丈夫なのを……」
「もう一本作らせるか、手元に資料として欲しい」
「なら他の材料を見せましょう。他にも面白い物作りそうですぜ」
「鍛冶業界に、新しい風が来ている……」
そう話し合う中、ヘスティアとスピカはバベルでの登録を終え、ダンジョンに於ける知識を身に付けた後帰り、ジャガ丸くんをほそぼそと食べていた。
「あの金属で、どれくらいお金使ったんだろ……」
スピカの不意の言葉に、気にするんじゃないとヘスティアは熱弁する。彼らは知らないが、第一級の材料も高い。安くてもかなりの値打ちだろうと理解はしている。
どぎまぎしながらヘスティアたちは眠り、ヘファイストスのところでは、如何にどう運搬し、自分たちのところで技術的利益を手に入れるか、朝まで話し合ったと言う………
ここから冒険者たちはパワーアップし出す土台はできた。
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