ダンジョンに異世界のアイテムを持ち込むのは間違っているだろうか(本編完結) 作:にゃはっふー
はやぶさの剣・改を作ったスピカはいつの間にかヘファイストス・ファミリアのサポートを受けるようになった。
本人たちはレクチャーされつつ、できた物を見たいんだろうなーとしか考えていないため、ヘファイストスは逆に心配になりつつも自分の欲求、下界の可能性の一つである未知の武具に思いをはせていた。
まずヘファイストスがしたことはある鍛冶師と出会わせる事だ。その鍛冶師の名前は『ヴェルフ・クロッゾ』。魔剣鍛冶師で貴族の出だ。
ここで【クロッゾの魔剣】について説明しよう。初代クロッゾがかつて精霊を助けた時、お礼に血を分け与えられたらしい。その所為か初代クロッゾは魔法が使え、その子孫は魔剣を打つ事ができた。
魔剣の多くは魔法の代理品であり、消耗品である。だが【クロッゾの魔剣】はオリジナルと言える魔法を超えるほどの威力、海を割くほどの力を持っている。
子孫たちはそれをある王国に献上する事で貴族の地位に上り、鍛冶貴族として繁栄していた。
だがエルフの森をその王国が魔剣で薙ぎ払い、灰塵にした時、魔剣が次々に砕け、王国はエルフの報復で弱体化。クロッゾ家も地に落ちる。
そんなクロッゾの出のヴェルフだが、なぜか彼だけ
ヴェルフは魔剣が嫌いだ。使い手を残し砕け散る魔剣が嫌いだ、魔剣の力に溺れていく者たちを見るのが嫌いだ。そんなこともあり、親族の声を無視してオラリオへと亡命と言う形で流れ着いた。
そんな彼にスピカの面倒を見るように指示したヘファイストス。すぐに彼を含めた幹部たちの会議に新たな情報が舞い込む。
「ヘファイストス様、あれはなんなんですか?! 魔剣じゃない、けど火を出す剣なんて」
「落ち着きなさいヴェルフ」
スピカがはやぶさの剣・改以外に作ったのは【ほのおのつるぎ】である。これは良くて第三等武装程度の品物だが、オラリオの
魔剣のような効果を持ちながら、ただの剣として使用できる武器。火を纏い、相手を斬るのだ。付加魔法無くそんなことができる物に、彼らは息を飲む。
ヴェルフがその完成品を見せてもらったとき目から鱗だ。自分が求め、望んだ武器が意図も容易く目の前に出来上がったのだ。
悔しいと言う思いより、俺にも作れないかと言う欲求が先に声に出た。
出来上がったほのおのつるぎはよくてけん制する程度の火を放つ程度。それでも彼女スピカはまだ色々作れると聞き、ヴェルフは驚いた。
スキルの力とは言え、それはこの世に、ここにある。ならば自分にも作れるはず。ヴェルフの心は一気に闘争心へと変わり、穴が開くほどほのおのつるぎを見てここにいる。
「感覚から言えば、俺のスキルみたいなものだと思います。魔剣を作る俺のスキル」
いま優先するのはほのおのつるぎのような武器を打ちたいと言う欲求。それがヴェルフを饒舌にさせる。曰く、自分のスキルのようにスキルの力を借りて魔剣を作っているように、スピカは物を作っていると。
「たぶん、無自覚ですね。ですけど
ヴェルフの言葉にヘファイストス・ファミリアは一丸となり、ヘスティア・ファミリアを囲む事にした。
まずは武器製造だが、これはヘスティアたちはヘファイストスの所を借りなければいけない。材料もそうだ。成功作が生まれるのに時間と資金がかかり過ぎているが、全体的に見てヘファイストスはプラスになっていると確信している。躍起になって周りの鍛冶師の質が上がっているのだ。
安い物も彼らは自腹で材料を集めて作って売っている。売っているのは駆け出しの
スキルの影響か、質は一定の【てつのつるぎ】や【はがねのつるぎ】を売っているスピカ。他にも【やいばのたて】や【やいばのよろい】なる物を作るが、これは研究用に買い取った。
「やはり上層と中層の材料だけじゃ、あまりド肝を抜く物はできないな」
「だけど深層や下層の材料に触ろうとしないぞ」
「困った事に金を気にしているからのう……いつか金を払わないといけないと尻込みついとる。困った奴らだまったく………」
「そらそうだろう……」
椿の言葉にヴェルフは呆れた。実はスピカと一緒にダンジョンに潜ったのだが、はやぶさの剣・改の質に舌を巻いた。他にも同伴するヘファイストス・ファミリアの団員がいるが、ほとんどがはやぶさの剣・改を見る為だ。
休憩中見せてくれたり、Lv2以上の冒険者は手入れまでさせてもらい、穴が開くほど見たりしている。すでにある武器が見たいが、幹部たちがほのおのつるぎなど独占しているから見られない。ここしか機会が無い。
不安がるヘスティアを無視して作らせたが、どれもいまのオラリオに無い方法で作られた武器に、ヘファイストスもしばし運営する者では無く、鍛冶師として日々を過ごした。
◇◆◇◆◇
そんなこんなで、それなりの長い月日が過ぎていく。その頃には
曰く、炎を纏う剣がある。
曰く、魔法を秘めたコインがある。
曰く、ヘファイストス・ファミリアが不思議な武器を作っている。
曰く曰く曰く――………
そんな噂に暇を待て余す神々が動き出したり、噂を引っ掻き回したりしていた。
その中でそろそろ、スピカの特異性が表に出始めている。
はやぶさの剣・改を遠巻きに見た冒険者から、ヘスティアがヘファイストスに泣き付いて作らせたと言う噂が流れ出した事に、ヘファイストスは考え込む。この噂は明らかに、自分の所に隠している武器の噂も混じっている。このままだとバレるし、さすがにヘスティアにいらん風評被害が出て可哀想だし、出所がバレるだろう。
「というわけで、ヘスティア。今度の
「なにがというわけだい裏切り者ーーーーっ!?」
ヘスティアはついに自分たちがうまく扱われている事を説明され、文句を言う。スピカもやっぱりかとため息をつき、おかしいことに気づく。時間は一年もかかったが。
「いつも高い材料見せて、なにかできないか聞いて来たけど、自分たちのためだったのかい!?」
「これが下界を生き抜くコツよヘスティア。まあ私情があったのは認めるわ」
魔剣に近い効果を持つ武器たち。魔剣と分ける為に【
「【
「それは困るけど、ヘファイストスの所為じゃないかな?」
「まあ、俺もできそうな物作りましたし、責任はこちらにもありますよ」
スピカは【みずのはごろも】など、衣類や防具も作り、大いにスキルを楽しんだ。主にそれらは研究材料としてヘファイストス・ファミリアが回収している。
「それで大手って、誰に売り込むんだい?」
「うちやうち」
そう言い、朱色の髪の女神と、金色の長い髪のヒューマンが入り込む。その様子にスピカは驚き、ヘスティアはげっと驚く。
「ろ、ロキ!? まさかロキのところに売り込んだのかいヘファイストスッ!?」
「ロキはオラリオでフレイヤを除けば都市最強じゃない。彼女のところと懇意にしていると知られれば、手を出すバカはいないわよ」
「くっそーーーなんでこんなかわいい子がドチビのところなんや。ファイたんとこに鞍替えすればええのに」
「だ、ダメだダメ、スピカ君はボクの眷属なんだーーーっ!?」
泣きながらスピカを抱きしめるヘスティア。スピカもそれに抱きしめ返す。
「さすがに俺も無理です、やはり最初に声をかけてくれたのはヘスティア様ですし」
「そうか残念。なら、商売の話をしようか」
ロキはすぐに切り替えて、欲しい物を言う。それは、
「スピカたんが持っとるはやぶさの剣・改、しかも第一等武装か第二等武装に該当するレベルの品物や」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」
スピカは戸惑い、大声を上げる。それはこれができたのはスキルのおかげで、自分の実力なんてこれっぽっちもないのを自覚している、自力で作れるか分からない。しかも第一級レベル。
「で、できると思うかい?」
「無理ですよ。材料が勿体ないっ!」
「やっぱりそこね、まあ分からなくはないわ」
ヘファイストスも、材料に妥協しないため、その材料不足には常日頃頭を痛めている。それをぼかすか使わせる気は無い。
「けど安心せえドチビ。材料があればチャレンジするんやろ?」
確かに、材料費と言う問題が無ければチャレンジしてもいいだろう。それを聞いてロキを見直すスピカ。
「まさか」
「私が材料を集めてきます」
そう言うのはロキの眷属であり、スピカすら知る有名人。その二つ名【剣姫】『アイズ・ヴァレンシュタイン』である。彼女が欲しがっているから、買う事に決めたらしい。
「話を聞けば、物凄く珍しいやないか【
「できれば主神も守って欲しいんですが」
そんな会話をしながら、スピカは渋々承諾。はやぶさの剣・改、それも優良な物を製作が始まる。材料はヘファイストス側が肩代わりしたり、アイズたちロキ・ファミリアが入手したりと、条件を決めたりする。
正直断る事は、もしかしたら妙な派閥が自分を無理矢理引き抜くだろうと脅され、断る事ができない。
スピカは戦々恐々しながら、できるかなと自信なく、窓の外を眺めていた。
一年間で作った武器、防具、道具を多く作っていますスピカ。本人は魔剣があるから珍しくないと思い、使えば無くなるが魔法が放てる聖剣伝説の道具も作ったりしてます。
基本的に作ったのはドラクエの店で売られたり、代理品っぽい素材で作れるアイテムが多いですね。スピカは10や11のドラクエ武器なども作れますから、ビルダーズ含めて、オラリオにはチートな品物をたくさん作り、ヘファイストスは裏で研究材料として確保してます。
次回、アイズがはやぶさの剣・改を手に入れる話です。では、お読みいただきありがとうございます。