ダンジョンに異世界のアイテムを持ち込むのは間違っているだろうか(本編完結) 作:にゃはっふー
父に手紙を出す。父は武器職人と言うより、クワなどの生活道具作りに命を燃やす人で、俺も良いもん作るからお前も作れよと手紙が返る。
ヘスティア・ファミリアは表立って【
ただ目立つほど強力な武器はまだ出せず、精々が10万ヴァリスほどが高値のラインである。これがヘスティア・ファミリアの本来の実力だ。
ヘファイストス様の手を借りれば一気に100万ヴァリス以上へ格上げされて売りに出される武器。元の世界ではそれほどしないが、やはり【ガイアの剣】は安定しつつ、高額でやり取りされている。
最近になって分かり出したのだが、武器も材料によって変化するらしい。
例えば【ドラゴンキラー】である。これを上層のインファントドラゴンで作ると、精々竜族への攻撃にアビリティが強化される程度だが、より深い階層のドラゴンを材料にするとより強化される事が判明した。
だが我々は断固として深層、下層の材料など使わない。使うほどの腕が無いのに、使うのは間違っている。椿さんたちには諦めると言う言葉を知って欲しい。
「いや、正直研究材料にした方が色々はかどるんだよな」
「ヴェルフ、そんな言葉言わないでほしいです」
主に鍛冶師ファミリアの誰かが自分と組んでダンジョンに潜る。ヴェルフとはよく潜る仲で、本人も助かってるらしい。
「前にも言ったが、俺はアビリティの【鍛冶】が無いのに魔剣が打てるからな。それで色々組んでくれる奴はいないんだ。まあお前のおかげで話したり、時たまに組むけどな」
「【クロッゾの魔剣】ですか。私のもそれくらい威力があればいいんですけどね」
「それはそれで大変だぞ。いまの状態も大変だろ?」
その通りだ。武器、防具系で何か作ると、すぐにヘファイストス・ファミリアを始めとした鍛冶師たちが買い取る。みんなよりよい物作りの為と言うが、その熱意は恐ろしい。
「作ってる俺はどうしてそうなるかも分からないのに」
「それは確かに。どう教えればいいんだか」
そう言う意味では、二代目のビルダーを作らないといけない。椿さんたちはそちらの方面でも研究しているので任せるしかない。
ちなみに最近はミアハ様の所で薬も作っている。ナァーザさんから新薬作っても良いんだよと肩をがっしり掴まれて言われてる。ちなみにいまは【せかいじゅのしずく】を目指している。
そんな日々をヘスティア様の下で過ごしていました。
◇◆◇◆◇
とある場所、城のような建物が建てられていて、その中で勇者の称号を持つ一人の
「【きせきのつるぎ】は改があるようだけど、できればそこそこ揃えて、常備しておきたいね」
「【ガイアの剣】もバカにはできないぞ。中には深層のモンスターとやり合える品物がある」
話し合うは【
「他にも斧で【エクリプスアックス】と言うのが面白い。確率は低いが相手を混乱させるらしい。いま使っている【デストロイヤー】も良い」
「僕の方も【いなずまのやり】と【きせきのつるぎ】と同じ【えいゆうのやり】を第一等か二等武装の物が欲しいね」
だがそれを作るには倍以上の軍資金と運が必要になる。コストを考えると無い物ねだりするより、安定して出される【ガイアの剣】を平均装備として揃えたい。いま現在、彼らヘスティア・ファミリアの保護を対価に割引されているし、新武器はテストを兼ねて、こちらに渡される事になっている。
「いまはそれだけで満足しよう。アイズも【はやぶさの剣・改】を気に入ってるみたいだしね」
「本気でない速度で四度斬るか。魔法と本気を加えたらどれほどか」
「少なくとも底上げになっている以上、ヘスティア・ファミリアとは友好な関係を築いておく。そう言えばリヴェリアは?」
「遅くなった」
そう言って入ってくるのは【
「珍しいね、君が遅れて来るとは」
「ああ、確証を持ってから話そうと思ってな」
そう言ってスピカ・シロガネの似顔絵とある書物を置く。
僅かに親指がうずくフィン。なにか重大な話になりそうだと、指を舐めた。
◇◆◇◆◇
ギルド本部へと来るスピカ。Lv2になり、ついてくる鍛冶師もしっかりと身元が分かるので、アドバイザーである『エイナ・チュール』に報告しに来る。そろそろ中層アタックして、それなりに幅を広げたいのだ。
「エイナさん」
「スピカさん、丁度良かった」
エイナと共にいるのは取り巻きのエルフのお姉さんと、ハイエルフのリヴェリアさんである。こうして出会うのは彼女にとって初めてだ。
「君がスピカ・シロガネだね?」
「はい、俺になにか用ですか?」
また深層など手に入りにくい高価な材料を使い、武器を作らされるかと考える中、リヴェリアは思わぬ事を口にする。
「やはり……君はハイエルフのようだな」
「えっ?」
それは晴天の霹靂であった。
◇◆◇◆◇
ガチガチに緊張している状態で、待合室で話し合うスピカとリヴェリアたち。取り巻きのエルフの人たちはその様子を心配そうに見て来る。まさかと思ったがと呟くリヴェリアは難しい顔をしていた。
「あの、俺がハイエルフと言うのは……」
「まずは、君の首飾りはどこで手に入れた?」
首飾りを聞かれ、スピカは正直に答えた。父親は引き取ってくれたドワーフで、エルフの母親らしい人は、モンスターに襲われたのか命を落としている。首飾りを形見として持っている。
その話を聞いて難しそうに頷くリヴェリア。
「すまない、辛いことを思い出させて」
「まだ赤子でしたから、正直分かりません。それでこれがなにか?」
「そこに刻まれた紋章は、あるハイエルフ王家の紋章なんだ」
そう言い、ある書物を取り出して見せると、そこには首飾りと同じ紋章がある。
「君の似顔絵とこの紋章を見た時、もしやと思ったが、君は間違いなくハイエルフの血族だ。しかも稀有な存在のね」
「そうなんですか?」
「この紋章、リュミエール家の紋章と、その髪と瞳の色が独特でね。雪のような銀色の髪に、サファイヤのような瞳。瞳はともかく、この髪の色は白のエルフには存在しないんだ」
「白?」
「エルフには白いエルフと褐色肌の黒のエルフがいるんです」
取り巻きの人が丁寧にそう言い、銀色の髪は黒いエルフが多いらしい。そしてリュミエールはその二つのハイエルフ同士が結婚して生まれた家との事。
詳しくは知らないが雪の精霊らしき精霊と何かがあり、二人の結婚式に現れて祝福したそうだ。だから髪と瞳の色は、雪を思わせるものとのこと。
嘘だ~と言う顔になりかけるスピカ。中身オッサンなのでどうしたものかと困っている。
「まあ遠くないうちに、君の特徴からそう思う者は出てもおかしくない。それだけ珍しい組み合わせだ。ちなみに私が分かったのは、昔に見た絵画の、祝福されて生まれた女性と君が重なったからだな」
「ですけどハイエルフって」
王族であるハイエルフに何かあれば、エルフが黙っていない。なのにどうして自分は田舎町のドワーフの下で育ち、こうしている? 分からないことばかりだ。そもそもハイエルフであろう母親が血まみれの時点でおかしな話だ。
それにリヴェリアも頷き、話の続きを語る。
「話には続きがある。実はある時期に、とある騎士のエルフとリュミエールのエルフが恋仲になるが、家の都合で婚約はできなかったらしい。そしてある事件を切っ掛けに彼女と彼は姿を消した」
「ある事件?」
「クロッゾの魔剣で里が焼かれた時だ」
「ヴェルフが気にしそう」
つまり駆け落ち、または行方不明になったハイエルフの子孫が自分であると。
「そんなこと言われても、困ったな……」
「なにか困ることがあるのか?」
スピカが困るのは、実はヘスティア・ファミリアに団員が増えない事と関係がある。
資金があり、話題性がある中、ロキ・ファミリアやヘファイストス・ファミリアと言う大手のサポートがある。見た限り入りやすいのだが、団員試験にこの二つの派閥が顔を出す。
そこは別に構わない。だが入る動機が悪い。
ほとんどの冒険者は【
ロキはそんなおこぼれ狙い入れても良い事無いと言い、ヘファイストスも同意している。それだけでなく、スピカ、11歳のエルフを団長として従うかと言う言葉に嘘か、戸惑いなどみせる。
「幼くても派閥の稼ぎ頭やし、実際スピカたんが一番ダンジョンに詳しいんやで? その辺の割り切りできない奴は嫌やろ?」
「それに関しては同感ね」
「はあ、今日も団員ゼロか……」
入団試験でそんな会話がされていて、いまだ団員一名と言う事態なのだ。
他の派閥からの者や新入りの駆け出しも入らず、また新たに火種が投下された。それにリヴェリアも顔を歪ませる。
「……ハイエルフと言うだけで、入ろうとするエルフがいるだろう。実際、こちらはそう言うものが多いが……」
それはヘスティア・ファミリアではなく、スピカがいるから入る。さすがに自分のお世話をさせる為に団員を募集している訳ではない。いまだはっきりとした目的は無いが、ヘスティア・ファミリアは探索系の派閥なのだ。そこを間違えてはいけない。
「ともかく、この件はしっかりと話し合おう。これから大変になるだろうが、私もフォローしよう」
「よろしくお願いします……」
生みの親について少し知れたスピカ。それは前進と見ていいだろうと納得させて今日は別れることにした。
「せっかくですので、この本を借りても? 親の家が書かれているのなら、知っておこうと思いますので」
「ああ、そうすると良い」
そうして別れた後、鍛治する時は暑いからサラシを巻いただけの格好になるが、これまずくねえ?と思い、俺口調もあると色々考えてしまいながら、今日も殺到する冒険者を振り分けるヘスティアたち。いまだに新たな団員はゼロである。
はい、魔導生やしていたスキルの出どころが発覚です。ちなみに雪の精霊と言われていますが、本人(精霊)はそう名乗ってないです。
この精霊からの祝福はやばいです、スピカに魔導生やすほどですから。
それでは、お読みいただきありがとうございます。