ダンジョンに異世界のアイテムを持ち込むのは間違っているだろうか(本編完結)   作:にゃはっふー

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愛されてます。穢れていません、念のため。


第7話・スピカの日常2

 ――私の可愛い子……

 

 ――親友が私の代わりにあの人の子供を産んだの。あなたは私たちの可愛い可愛い子供。

 

 ――たくさんの愛をあなたに上げる。

 

 ――たくさんの祝福を私は上げる。

 

 ――怖がることは無いの、これはあの人を愛する、私の想いだから。

 

 ――可愛いあなた、愛するあなた、私とあの人の愛する子供。

 

 ――あなたに希望がありますよう、私はアナタヲアイシツヅケル………

 

 ――男の子で女の子……アハッ♪

 

 ――アッハハハハッ、男の子、オトコノコッ♪

 

 ――ならねえ、あなたは私の、大事な旦那さんね………

 

「はっ!?」

 

 スピカは突然、真夜中に跳び起きる。せっかく作ったジャージは脱ぎ捨てられ、嫌な汗が身体を伝う。

 

「なんだいまの夢………」

 

 真っ白な人がずっと〝こちらを見ずにこちらを見ていた〟

 

 口元を釣り上げ、ずっと自分の世界に閉じこもり、永遠と愛を語る女性であった。

 

「なんだこれ、変な夢見た。シャワー浴びて寝直そう」

 

 そう言い、側に置いてある『雪の精霊の物語』を少し見る。ご先祖様の物語、精霊とハイエルフの恋物語。

 

 だがなぜだろう、読めば読むほど昼ドラ感がして草である。あるのだが………

 

「草すら生えない気がするのは気のせいか?」

 

 そう呟き、スピカはシャワーを浴びてもう一寝入りする。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 怪物祭(モンスターフィリア)。ガネーシャ・ファミリア主催のモンスターの調教する様子を見せるお祭り。年に一度行われ、ギルドも協力して闘技場丸々貸し切って行われる。

 

 その話を聞いたスピカは【まもののエサ】を作り、ガネーシャ・ファミリアに売る。モンスターのおやつとして最適であるこれは、ヘスティア・ファミリアの新たな収入源になった。ちなみに材料は料理するような物ばかりである。枯れ草は使用されていない。

 

「せっかくのお祭りなのに、作る物が多いし、ハイエルフ認定されてからエルフが面倒」

 

 しくしくと泣くスピカ。ヘスティアもしくしくと泣く。

 

「スピカ君とデートもなにもできないよ~」

 

 ヘスティア・ファミリアに届く注文書を見る。属性武器を始めとした【魔道武具(マジックウェポン)】の注文。祭りを楽しむ時間は無い。

 

「それじゃ、お店に卸してきます」

 

「気を付けてねえ」

 

「今日は樽を使います」

 

 樽の中に隠れながら町を進む。最近ハイエルフかも知れない為、エルフの人たちが面倒なのだ。

 

 神々とエルフに隠れながら、町に繰り出すスピカ。店に品物を卸した後、つい祭り会場の様子を見に行ったのがいけなかった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「スピカ様~♪ スピカ様どこにおいでですか~」

 

「リュミエール様、いずこに~」

 

 屋台を巡っていたらエルフに見つかり、エルフに囲まれ始めたので逃亡。樽に隠れながら進むスピカ、街並みを見ながら進んでいく。

 

「ふむ、焼きイカうまうま……」

 

 買い食いしながら進む。ヘスティアのお土産としてベビーカステラも用意しながら工房へと帰る中、オラリオの街並みを見ながら考え込む。

 

「………ドラクエ10の装備ははやりそう」

 

 行きかう人々を見て思い浮かべ、能力や性能で様々な姿になるドラクエ10を再現しようとするスピカ。その時、誰かが来る気配を感じて樽の中に入る。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ん?」

 

 一人の黒い髪に白い服で素肌を隠すエルフ。彼女の名は『フィルヴィス・シャリア』。ディオニュソス・ファミリアの者で、妙な気配に気づき、樽の前で足を止めた。

 

「?」

 

 それに不信に思い、その蓋を開けると、一匹のエルフ少女が頬袋に食べ物を詰め込みながら中にいた。

 

「スピカ様っ!?」

 

 その言葉と共にスピカはすぐにフィルヴィスを掴み、樽の中に引きずり込む。

 

 わーきゃー言うフィルヴィスだが樽の中に飲み込まれた後、エルフの冒険者が屋根上から飛び降りた。

 

「いまスピカ様を呼ぶ声が」

 

「この辺りのはずだ。探せーーーー」

 

「スピカ様ーーーー」

 

 樽の中でうら若き乙女の小さな悲鳴やら何やら聞こえる中、しばらく沈黙が樽の中に起きる。

 

 しばらくしてエルフたちが立ち去った後、樽が倒れてスピカたちが出て来た。

 

「触り心地はよかった」

 

「なっ、なにをしているのですかスピカ様っ!?」

 

 若干頬を赤く染め、呼吸も浅く、戸惑いながら訪ねるフィルヴィス。スピカはお土産が潰れていないか確認してフィルヴィスに言う。

 

「大声を出さないでくださいな、またエルフの皆さんに見つかってしまいます。胸とか触ったことは謝罪します」

 

「い、いえ。私は」

 

 中身オッサンなのでやったーと内心思うスピカは機嫌が良く、フィルヴィスはハイエルフであるスピカに戸惑いながら視線を反らし、すぐに立ち上がる。

 

「………それでは私はこれで」

 

「ああすいません、それではこれで。これはお詫びの品です」

 

 もう一つ自分用に買ったカステラ袋を手渡して、すぐさま樽を担いで離れていくスピカ。その早業に戸惑いながら、品物を返そうとするフィルヴィスだが、すぐに見失った。

 

「どうしよう………」

 

 フィルヴィスにはフィルヴィスの事情がある。彼女には忌み嫌われるジンクスなど色々背負っており、ハイエルフと関わる資格なぞないと思いこんでいた。スピカに直接会いに行く事などできないし、もらった物を食べる事も選ばない。結局オロオロとして時間を潰すしかなかった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「柔らかかったなあの人。ああ言う人がいると【えっちなライト】作ってみたくなるんだよ」

 

 見た目美少女のスピカだが、精神はやはり前世に引っ張られている。男より女の子が好きなのだ。ここに来る前の生活でドワーフの会話に参加して、オッサンみたいなことを発言している。育て親は気にしていないが、周りの人はかなり気にしていたことを知りながらも無視している。

 

 ヘスティアの前だと発言を控えているし、ヘスティアは守備範囲から外れている。ちなみに酒はこっそり造って飲んでいた。

 

「さてと、少しばかり探している声が多い。外にいるのがバレてるか、どこかで暇を潰そう」

 

 そう言いながら、やっていそうな店へと逃げ込んだ。

 

 店の中ではお祭りで客は少しいて、なかなか美人美少女がいる店だ。贔屓にしようと思いながら、パスタを注文。エールが出て来てそれをゴクゴクと飲み、一息つく。

 

「良い飲みっぷりだね」

 

「昔から飲んでますから、いただきます」

 

 はむっとパスタを食べながら、ここでのお土産も買うかと思う。女将が感心したようにこちらを見ていて、エルフのウェイトレスさんが二度見して皿を割った。

 

「それじゃお会計を」

 

「はいよ、土産のケーキ。今後ともご贔屓に」

 

「はい、今度は主神と来ます」

 

 そう挨拶を交わして出て行くスピカ。あのエルフいじりがいあるなと思いながら、この店【豊穣の女主人】から出て行く。

 

 綺麗なエルフのお姉さんが女将さんに怒られている様子を見ながら、お気に入りに決めた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ただいま戻りました」

 

「遅いよっ!?心配したじゃないか?!」

 

 泣き付くヘスティアをよしよしと頭を撫でながらお土産を渡して笑顔にする。そんなことをしつつ、品物を届け終えて、明日に備えていくつか作りながら、新しい物を作り出す。

 

「今度は何を作るんだい?」

 

「防具類ですね。オラリオを行きかう人たちは、色々な服装の人が多いですから、受け入れられると思うんですよ」

 

 材料は上層のドロップアイテムでは無理なので、ヘファイストス・ファミリアが勝手に置いた材料と、冒険者依頼(クエスト)で集めた物を纏めてみた。

 

 様々な情報に揺られて、作れる物と作りたい物の仕分けをしながら、あと確認するのは成功率と使う材料、それを選別をする。

 

「【まほうのよろい】を初めとしたまほう装備に、魔力が上がる【月のローブセット】をまずは作りますか」

 

 作る物を決めて、材料に触れながら作り出す。まずは成功率が高い物を揃えてみよう。

 

 スキルが発動しているからか身体は的確に動く。その動きを覚え、自分の物にすれば確率が上がる。そんな気がして日々身体で覚えていくスピカ。

 

 最近になって【みずのはごろも】でやればいいと気づき、はごろもが作業着兼ダンジョンアタックの服となりつつある。時たまに他にも色々装備を変えるが、基本ローブ系だろうか。作る様子はなにか不思議な様子だと、ヘスティアは思う。

 

 こうして新商品を作りながら、自分の装備品を増やしていく。

 

「できましたーーーっ♪」

 

 試作品を作って【よろいの置き物】に飾るスピカ。そのままもう一つ、作れるかチャレンジすることにした。

 

「なかなかいい線行くんですけど……」

 

 布製だから静かに物事が進み、静かに集中する。

 

 最後に【まほうの作業台】で調整すれば………

 

「出来上がったーーーーー」

 

 そう言って嬉しそうに、なんてことはない布を掲げるスピカ。その布で首から下を覆い隠すと、姿が消えてしまった。

 

「【顔のない王(ノーフェイス・メイキング)】の完成です」

 

 そう言って自分の姿を覆い隠す、姿隠しの大定番の物を作り出した。それに嬉しそうに飛び跳ね、首だけ姿を出したりと遊ぶ。

 

「これでもう、品物を卸すのに困らない。けど凄いな、気配とかも隠せるか試さないと。本物と同じだとは思いたいですけど、この辺りは要確認ですね~」

 

 そしてハッとなり呟く。

 

「これがあれば、綺麗なお姉さんを覗けるのでは……私の場合、堂々と風呂屋に行けばいいか」

 

 アホなことを言いながら、ヘスティアの分とか、大きめに色々作っておこうと決めて、スケジュールに記載する。さすがに今日はここまでだ。そんな日々をスピカは送りながら、またソファをベットにして眠る準備をする。

 

(さて、寝酒飲んで寝よう)

 

 隠れて作った酒ダルへと入り、作った酒を飲んでから寝るスピカ。ジャージに着替え、満足して眠るのである。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 ――変わった子、異世界の生まれ変わり。でも良い愛してあげる、他にも女の人がいるけど構わない。あなたはいずれ私の子を産むのだから。作るのかしら?

 

 ――私の愛した証を上げる。だからあなたはあなたとして生きてね?

 

「はっ!?」

 

 スピカが目が覚める。ここ最近眠りが浅いと思いながら、寝酒を二、三杯飲む。

 

「また妙な夢を見た気がする。俺は男と付き合う気無いから、彼女作るが良いのに」

 

 変な夢ーと思いながらエールを飲み、少し鏡に映った自分を見て、ため息をつきながら自分の胸を触る。

 

「これがもう少し育って他人なら………昼間のお姉さんも綺麗だったな」

 

 そうため息をつき寝直す。明日もまた忙しいのだから、早く寝ないといけない。

 

 女の子だから男の子を好きになるべきと一切思わず、そのまま成長するスピカ。

 

 ヘスティアがその辺りをツッコムのはまだまだ先である………




スピカ「中身オッサンです、綺麗なお姉さんが大好きですの」

ちなみにこの子、それなりの数、とあるライトを隠してます。ヘスティアさまも知らない。

お読みいただきありがとうございます。
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