ぐれーす!   作:イッチー団長

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久々の投稿です。
作中ではもう春になりました。現実ももっと暖かくなって欲しいですね。

前回新キャラが出てきましたので、プロフィール紹介しておきます。

名前:友川静音
身長:149cm
誕生日:8月8日
髪型:黒髪、肩にかからないくらいのボブカット
趣味:運動全般、おしゃべり、志穂いじり
天真爛漫な女の子。志穂とは幼馴染の腐れ縁。でも心の底ではもっと特別な関係になりたいと思っている……?
知らない人にもどんどん話しかけていくので、友達は多い。


21話 反復

 何でもない日。教室の窓から差し込む日差しが暖かく、わたしと加奈の頬を照らしている。

「何か面白い漫画ない? 百合のオススメって面白いのが多いからさ」

 わたしの席にやって来た加奈が、頬杖をついてわたしを見つめる。こんな何てことのない会話ですらも温かい。もう春だ。

 

「おっはよー!」

 静かな教室に元気な声が響き渡った。

 

「おはよう静音さん」

「おはよう、ゆりゆりと加奈っち!」

 わたし達を見るや否や、手を振って駆け寄って来る静音。相変わらずの元気さだなと苦笑いする。

 

「それにしても二人は本当に仲良しですなぁ。幼馴染とか?」

「ううん。初めて会ったのは去年だよね」

 加奈の言葉にこくりと頷く。

 思えば加奈と過ごしたのはたった一年だけだった。もっと長く過ごしているような気がしていた。

 

「一年だけ……それでそんなに仲良いのは凄いね」

「えへへ……だって百合と私は恋人だもんね」

 加奈は優しい瞼をゆっくりと閉じながら笑った。わたしもつられて微笑む。

 

「え……女の子同士で!?」

「ち、ちょっと声大きい」

「あ、ごめん……」

 別に隠しているわけではないのだけど、何だか恥ずかしくなってしまう。

 

 

 

「そっか、恋人かぁ……いいなぁ、あたしも欲しいな、恋人」

「静音さんは誰か好きな人いるの?」

「ううん、全然」

 あっけらかんとした顔でそう返された。

 

「恋愛とか全然分かんないんだけどさぁ、そうやって一緒に仲良く過ごせる人がいたら楽しそうじゃない?」

 静音にとっては恋人は友達の延長なのかも知れない。いや、静音だけじゃない。友達と恋人の違いって何だろう、そう訊かれたら答えられる自信がない。特別仲の良い友達が恋人なのかと言われたら、そうじゃないと思う。

 チラッと加奈を見る。わたしにとって、この子と理奈や苺は何が違うんだろう。三人とも大切な人達だけど、理奈や苺とは恋人になれただろうか。どうして加奈だったんだろう。

 

「どうしたの、百合?」

「あっ、ううん。何でもない」

 難しい顔をしていたのか、加奈が心配そうに話しかけてきた。

 どれだけ考えても答えは出ないだろうなと思い、一旦考えるのはお終いにした。

 

 

 

「そ、それじゃあさ、加奈っちとゆりゆりはき、キスとかするの?」

 静音の頬と耳が赤く染まる。

「す、するよ……」

 わたしも赤くなりながら答える。すると静音は両手で顔を覆って脚をパタパタ動かし始めた。

「そっか、そうだよね……」

 恥ずかしがってるのかな。意外だ。

 

「おはようございます……って静音、どうかした? そんなに顔真っ赤にしちゃって」

「おはよう、三上さん。実は……」

 

 

 

「ああ。静音って昔からそういう話苦手だよね」

「うぅ……」

 何だか小動物みたいで可愛いなと思ってしまう。

 

「でもどうしてそんな話に?」

「ゆりゆりと加奈っちが付き合ってるって聞いたから、興味が出て……」

「早川さんと友部さんが……? なるほど……」

 なるほどって……クラスの人にはやっぱりバレてたのかな。教室では手を繋いだりしないようにしてたけど。

 

「仲良しでしたもんね、お二人とも。友達というよりも、もっと特別な関係なんだと思ってました」

「え、えへへ……」

 クラスメイトからもそう見えていたんだと分かると、少し恥ずかしい。それは加奈も同じようで、珍しく赤面して照れているようだ。

 

「静音にも早く恋人が出来てくれれば、私も世話を焼かなくて済むんですが……」

「残念だけどあたしは全然モテないのだ! しばらくはよろしくね、志穂。んぎぃ!」

 三上さんが静音のほっぺたをつねる。その様子を見て、加奈と二人で笑い合った。

 

 

 

 授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。カバンに教科書を詰めて、夕暮れに染まる教室を後にした。

 

 最近は日も伸びてきて、下校時間には夕日が昇っている。そう言えば、加奈に告白したのはこんな夕方だった。

「?」

 加奈の方をチラっと見ると、偶然視線が重なった。彼女の頬が赤く染まっているのは夕日のせいかな。

 

「百合、こんな日だったよね。百合が私に告白してくれたのは」

「……」

 わたしの頬も赤くなる。覚えていてくれたこと、わたしと同じ気持ちになってくれたこと、それが嬉しくて堪らなかった。

 

「あの、百合……私百合のことが好き。友達としてじゃなくて、もっと特別に……好き」

 一年前わたしが言ったセリフを、加奈がわたしに告げる。

 夕日を背にした加奈の、長い影がわたしを包むと、わたしの胸の中は温かくなった。春の風が吹いているように。

 

「お姉ちゃん、百合さん、どうしたの? 早く行くよ」

 遠くから理奈の呼ぶ声が聞こえる。

「うん、今行くよ。行こう、百合」

 二つの長い影が一つにくっつく。長い影が歩き出す、夕暮れの街の中を。

 

 

 

≪余談≫

「ねぇ志穂……あたし達も特別な関係だよね?」

「どうしたの、いきなり? まぁ、腐れ縁ってやつ?」

「えへへ、それならそれでいいや」

 静音はにこっと笑って、腕を頭の後ろに回した。

「? 変な静音」

「いいからいいから。ほら、早く帰ろう!」

 静音の黒い短い髪が揺れる。志穂もそれに合わせて駆け出したのだった。




新キャラ、特に静音は書きやすくて良いです。元気っ子は話を広げやすい。

今まで出てきた学生キャラは女の子ばかりですが、一応舞台の桜花高校は共学って設定です。
男の子も居る中で百合恋愛するのが尊いんですよ(謎のこだわり)

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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