糸使いの高校生活   作:やまたむ

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今回は記憶ロードショー鑑賞からですね。
といっても、自分の決めている文字数的に、描写したいところだけって感じですけどね。


第10話

 僕はスクリーンに映る少女に既視感を覚える。

 

「これは?」

『おめぇが、経験したこの数週間の出来事だよ。こいつぁ、おめぇと堕天使が初めて戦闘した日だな』

「ふぅーん」

『……まだ、足りねぇか……こいつの日常に比較的接触率のたけぇやつならキーワードになってっと思ったんだけどな』

「なにかいった?」

『いや、なんでもねぇ』

 

 ジグと話ながら、スクリーンに映し出される映像をボーッと眺める。

 そんなとき、映されたのは兵藤先輩が校門付近で告白されている映像だった。

 

「ね、ねぇ、ジグ? もしかして……」

『あぁ、こいつは天野夕麻。兵藤一誠の彼女になったやつだ。てか、さすがのおめぇももう気づいてんじゃねぇのか?』

「うーん。まだ、自分の経験ってまでいってないけどなんとなくね。これ、僕の記憶だよね。それも、僕が忘れている」

『あぁ。おめぇの記憶は、ご丁寧にホーエンハイムのやろうが保管してやがったからな。ちょっくら頂戴してきたんだよ』

「盗んだの?」

『違ぇよ。あいつもよくわかんねぇこといってたが、『魂に記録されたものですから、この状態なら簡単に取り出すことはできます』とかいって、やり方教えてもらったかんな』

「へぇ、僕もいざっていうときのために、記憶の保存とか覚えた方がいいかな?」

『いや、むりだな。ホーエンハイムいわく『魂だけになった存在のごく少数ができる』って話だ』

「簡単っていってたのに……」

『ホーエンハイム基準だかんな』

「自分基準の話かぁ」

『だから、あいつぁ童貞なんだよ』

「言い方、言い方」

『はっ! 知るか』

 

 なんだかなぁ……って感じのジグの態度。面と向かわなければ、いつもの感覚でいられたんだろうけど、この、何て言うか、少女の姿でいたってことに、動揺が隠せなくなってるんだよね……。

 いや、現実世界にも口汚い女の子とか存在しない訳じゃないし、髪の色がどうこうでもないんだよ。

 昔からの幼馴染みがイメチェンして会いに来たらほぼ別人みたいで、同一人物とは思えないって感覚に近いかな? 

 

『次からぁ、男の姿か蜘蛛にでもしておいたほうがいいか?』

「いや、もう、このままでいいよ。よくよく考えたら、ジグの声は男とも女とも取れないってことを忘れてたから」

『かっははは、ようやっと気づいたか。姿は真似れてもその姿での声までは再現できねぇかんな』

「うへぇ……」

 

 ジグと話しながら、映像を眺めていると、段々僕のなかに何かが納得いくような感覚がおとずれてきた。

 

「あ、もしかして、記憶の定着に時間がかかってたのかな?」

『いや、そりゃねぇだろ。元はおめぇの記憶だ。それを第三者の目線で見るってなぁ、感覚的には成長記録を二十歳過ぎてから見るようなもんだ。要はなくしたもんを、こういうこともあったなぁ見てぇな感じにとらえるっつぅ感じなんじゃねぇの?』

「あぁ、言われてみるとそんな感じ……かも?」

『まあ、おめぇの記憶なんてなぁ失くなっても、この間までやってたことを体が忘れてねぇから、こっちぃこれたんだろ』

「あ、僕何回かこっちに来たことあったから、今日もその感覚で来ようとしたんだ」

『そういうこった。まあ、こっちへのきかたを覚えてからほとんど毎日来てたかんなおめぇ』

「もしかして、ジグのその姿って……」

『おめぇが初っぱな来たときにきめぇっつったから、この姿とってんだよ』

「やっぱり?」

『かっははは、だから、今度はおめぇの好みの容姿にしてやったぜ? どうだ?』

「うん。かわいいとは思うよ?」

『かっはは、だろ? 俺の宿主のなかでマシな部類の死にかたした宿主だ。容姿ももとから整ってたしな』

「マシな死にかたって……」

『ま、十四で死んでる時点でマシじゃねぇけどな』

 

 ホントそうだよ。そして、笑い話にもできない類いのブラックジョークはやめて。僕の場合、神器に目覚めなかったら、そのまま死んでたんだから……。

 

『そういや、そうだったな』

「過去のことにしないでよ。ただでさえ、五大宗家には苦手意識があるんだから」

『おっと、おめぇの知りたいシーンになったぜ?』

 

 僕はジグに促されるままに、スクリーンを見る。

 そこに映し出されてたのは、僕の家のある公園のベンチ。

 兵藤先輩が、天野夕麻さんとの初デートの最後に来た場所だ。

 ムードも十分、兵藤先輩はこれからキスか? キスするのか? みたいな感じでそわそわとしていると、天野夕麻さんの背中に黒い翼が生え、光の槍でお腹をひとつきされていた。

 

 あれ? たしか、この時の僕の状態って……

 

「僕、このタイミングで意識なかったよね?」

『だから、俺が神器を通じて見てた場面を流してんだよ』

「あ、そう言うこと」

『まだ、あんま実感わかねぇだろうけど、これがおめぇが経験した今日までのことで、おめぇの知りたかった情報だろ?』

 

 ジグがそういう。

 確かに、知りたかった情報ではある。けど、なぁ……。

 

「そういえば、今朝悪魔の気配がどうとか……」

『それもこの後だ』

 

 そうジグがいった直後、兵藤先輩の近くでなにかが発光すると、そこから、リアス・グレモリー先輩が現れた。

 なにか、言っているような感じはしたが、音声はないので、何をいっているかはわからない。

 グレモリー先輩が兵藤先輩を担ぐと、また、なにかが発光し姿が見えなくなった。

 

「ジグ、もしかして、兵藤先輩が生きてるのって」

『あの、上級悪魔が悪魔に転生させたからだな』

「え?」

『あ? おめぇ、なんで、兵藤一誠が悪魔の気配を纏ってるのか知りたいとかじゃねぇのか?』

「え? あ、あぁ、うん。そうだよ? なにもおかしなところなんてないよ?」

『日本語不自由かよ。まあ、いいわ。で、ここからなんだが、おめぇ、グレモリーのとこに明日辺りいってみたらどうだ?』

「なんで?」

『そりゃ、兵藤一誠のことを聞きゃいいだろ。少なくともおめぇにその権利はあるはずだぜ?』

「うーん。個人的にミッテルト辺りから当たろうかなって思ったんだけどなぁ。ほら、約束したわけだし。僕のことを上に報告するって」

『あぁ、そういや、そうだったな。わかった。おめぇの方の契約も満了してるし、それくれぇ問題ねぇだろ』

 

 僕はそのあと、ジグに修行をつけてもらってから、神器の外に出ると、ベッドに横になり目を閉じた。

 そのとき、誰かが入ってくるような音が聞こえたけど、疲れているせいで、僕は目を開けることなく、眠ってしまった。

 

 

※※※

 

 

 夜の駒王学園。

 旧校舎のオカルト研究部部室に、四人の人影があった。

 ひとつはリアス・グレモリー。オカルト研究部部長だ。

 

「それで、小猫。彼はどうだったかしら?」

「ぐっすり寝てました」

「そう」

 

 小猫からの報告をうけると、少し考える仕草をしてから言った。

 

「お疲れ様、小猫。明日また、彼の様子を教えてちょうだい」

「わかりました。部長」

「それと、裕斗、あの子は?」

「『天野夕麻』の存在を友達に確認していました。そのなかには丹芽くんも混ざっています」

「そう……となると、早いうちに手を打っておかないといけないわね……」

「いつまで野放しにしておくつもりなんですか?」

「そうね……彼が、『天野夕麻』の存在が夢だったと認識し始めてからがちょうどいいかもしれないわね。彼女だった存在がみんなの記憶から失くなって、自分だけが知っている状態って言うのは、辛いことかもしれないから。そのときが来れば、こちらから声をかけましょう」

 

 リアスの決定に、部員は「わかりました」といって、それぞれ契約者の元に向かっていった。

 

 

※※※

 

 

 翌日、僕は学校が終わったあとに、廃教会へと向かった。

 

「ねぇ、ジグ」

『あぁ。おめぇもさすがに気づいたか』

「ジグが神器のオーラの使い方を教えてくれたからって言うのも大きいけどね」

『私も黙っている必要はなくなりましたしね』

『ホーエンハイム……おめぇ……』

『入っている場所が違いますからね。それと、童貞童貞言い過ぎですよ。うっかりそちら側を炎上させるところでした』

『かっははは、やれるもんならやってみろってんだ』

『それでは……』

「それより、ここ、結界張られてない?」

『ですね。自身の存在を感知させないためのもの。ジグは結界が張られていると言うことくらいしか分かりませんから』

 

 しれっとマウントとってるなぁ……。

 

『んなこたぁ、わぁーてんだよ。てか、これって、あいつら後ろめてぇことでもあんのか?』

『でしょうね。彼女らの任務は終わったはず。ここから、帰還するのが筋というもの』

『だな。とりあえず、宿主、扉蹴破れ』

「とりあえず、普通にはいるよ」

 

 僕は教会の扉を開き、なかに入っていく。

 

「ジグ、ホーエンハイムさん。どう?」

『ダメだな。もうひとつ結界があってわかんねぇ』

『私も結界術の類いは専門外なので。ただ、隠蔽用のものが主体ですね。あとは……』

 

 ホーエンハイムさんがなにか言おうとすると、何者かが教会の奥から出てきた。

 

「おやおやおやぁ、こんな廃墟に来客とは、なかなか物好きもいたものですねぇ。ねぇ、ちみ、どこの誰とか、教えてちょ。こちとら、やることなくて退屈なんですわ」

 

 金属音が教会内に響き渡る。

 これ、やばくない? 

 

(『銃と剣の柄でしょうね。神父服を着ていますから、おそらく、教会の悪魔払いです』)

(『はぐれ、がつく類いの方だな。ま、気いつけろ。あぁ言う手合いは殺しあいを楽しんでくるぜ?』)

(「ジグもそんな感じでしょ?」)

(『かっはは、違いねぇ』)

 

「およよ? 警戒心増し増しの増し? 侵害だなぁボクチン、あくまで神父。悪魔とか使っちゃったよ。とりあえず、なんかよう? うちの親方が、戦闘すんなつって、退屈も退屈なんすわ」

 

 どう答えたものか……。これ、回答次第では戦闘不可避だよね? 

 僕自身、今の段階で妖人化できないのに、対抗できる気がしない。

 

(『安心してください。昨晩、こちらに来たとき、あなたの神器にとある調整を施しておきました』)

(「よくやった、ホーエンハイムさん!!」)

 

 僕は、もし、戦闘になったときように、神器を出現させ、静かに糸を作り出そうとした。

 

『error』

 

 そんな音が響き渡った。

 あれ? これ、選択肢間違えた?




次回予告

神器をだしこっそり、戦場有利をとろうとした海樹。
だが、神器から響くのは『error』という音声ばかり。海樹の運命やいかに。

次回第11話

ルールを守って楽しく逃亡。
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