今回は、まだまだ序盤ということで、のほほんテイストでお送りします。
また、この作品の訛りがやべぇと思いますが、意味わかんねぇという意見が多くなりそうであれば、何て言っているかわかるよう単語なりを書いてプロローグ前に設定として出しますね。
入学式が終わり、ホームルームが始まる。
僕の席は一番前のドアの近くだ。
そして、出席番号は一番。
これから始まる高校生活に心踊らせていると、先生から、自己紹介をすると、告げられ、じゃあ、出席番号が一番遅いやつから、と期待を裏切られた。
僕はクラスメイトの自己紹介を聞きながら、この人はこんな人、この人はこんな人、この人は……と逐一記憶していく。
そして、白髪の小柄な女の子の番になって、僕はなぜか親近感がわいた。
「塔城小猫。よろしくお願いします」
ふむふむ。塔城さんか。無口な人なのかな? けど、小柄だけど容姿が整っていて、いわゆる幼女系? に属するタイプの子だ。
好みって言うのがないからなんとも言えないけど、たぶんクラスのなかで一番かわいいんじゃないかな? あとなんか、初めて見たはずなのに、雰囲気が初めてじゃないような気がする。
『かっはっはっ。そりゃそうだろうな』
ジグ、ここでは静かに。声かけてあげられないんだから。
僕がジグをしかりつけていると、不意に塔城さんと目があった。
あれ? 声出てた? いや、そんなはずは……。
僕は思考の海に溺れそうになるが、先生の「ほら、丹芽。最後、お前の番だぞ」という声で現実に戻される。
「僕の名前は丹芽海樹。得意なものは裁縫で、苦手なものは殺虫剤や虫除けスプレー。あと、辛いものも少し……よろしくお願いします」
よし、完璧。ちゃんとできた。僕がコミュ障じゃないって証明した。これで、ボッチ生活を送らないですむ。やったー。
『…………』
な、なんだよ。ジグ。
『いやぁなぁ、普通の高校生は、殺虫剤とか虫除けスプレーが苦手なんて言わねぇだろ? 普通』
なん……ですと?
『ま、気軽にやれや。もう、普通の生活なんて無理だと思うけどなぁ。おっと、これ以上の干渉はめんどいやつらにばれそうだわ。んじゃな』
あ、おい、ジグ? ジーグー。
声をかけても右手をコツンコツンと叩いても、ジグはもう反応を示さなくなった。
そして、周りからの視線がかわいそうな子に固定されてしまった。
こ、これ、普通の学生生活送れるかなぁ……。
そんな、期待と不安を抱きながら、今日のところは帰宅となった。
ただ、僕の家は公園の隅にある木の群生しているとこに穴を掘って、その中の空間を快適にすみやすくしているだけのため、こんな真っ昼間から公園に行き、住居がばれてしまっては、中学時代のようなボッチ生活が待っているだろう。
「さーて、明日の夜のうちに家具作って売りにいかないといけないし、材料費足りるかなぁ?」
「……材料費?」
「うん。家具作って生活の足しにしてるから……」
ん? あれ? おかしいぞ? 僕は今、ぶらぶらと一人で歩いていたはずだ。
じゃあ、なんで、今、僕は後ろから声をかけられた?
僕は気になり、振り返ると、そこには誰もいなかった。キョロキョロと左右を見渡しても、誰もいない。
えっ? じゃぁ、誰が……怖い怖い怖い!
そんなことを考えていると、脇腹辺りをキュッと捻られる。
「うぉぅ! いってぇってってマジでいたい。痛い痛い痛い!!!! ごめんなさい。視界に写らなかっただけなんです。許してぇ!!!!!!」
「えい」
「ぎにゃぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」
その声と共に更に捻られ、空前絶後の大絶叫を僕はかました。
あ、この白髪で、この身長。もしかして、塔城さん?
僕は息を整えながら、服をめくり、わき腹がどうなったのか確認すると、小さい指のあとが赤々と記されていた。
なお、僕の右手の方から頭に直接ジグの笑い声が響きわたり、少し頭が痛い。
「い、痛かった。マジ辛い。で、どうしたの? 塔城さん……だったよね?」
「うん。そう」
「なにか用事? 僕これから何とかしてお金の工面をしないといけないんだけど」
「そうなんだ」
「あ、あれ? なんで、ついてくるの?」
「私もこっちにようがあるだけ。見知った顔がいたから声をかけた」
「あ、つまり、用事とかないんだ」
「ダメだった?」
「別に。それにしても、なんだろうね。塔城さんの雰囲気って、初めてじゃないような気がするんだ」
「ナンパ?」
「話しかけてきたの塔城さんからじゃん」
僕は、適当に塔城さんをあしらいながら、町の外れにある生地専門店に向かっていく。
どうやら、塔城さんもこの店に用があったようで、僕についてくる。
そして、生地屋の前につくと、慣れ親しんだ、妖怪のオーラを関知してから、ドアを開いて、なかに入っていく。
「うーい、おっちゃん。また、買いにきたぞー」
そういって声をかけながらはいると、二十代後半くらいの見た目をした実年齢二百以上の古い女性用の和服を着て、化粧をしたおっさんが目にはいる。
いつに見ても汚い絵面だ。
「お、海樹の坊主じゃねぇか。今日はなにをかいにきたんだ。って、なんだぁ、海樹。おめぇ、女ぁ連れてきてたんか? おいおい、彼女ができたら真っ先に紹介するって約束を守ってくれて、おっちゃん嬉しいよぉ」
「んなわけねだろ」
「ちぇっ、つまんねえの。なぁ、嬢ちゃん。海樹はアホだし、変だし、ボッチだけどよぉわりぃやつじゃねぇんだ。嫌いにならねぇでやってくれ」
「ちょっと、まだ……」
「判断しかねるってか。まあ、いいさ。このバカァちゃんと面倒見てくれるいい嫁さんが必要ってだけだからねぇ」
「それじゃあ、僕が頼りないみたいに聞こえるんだけど?」
「実際そうだろ? 土蜘蛛がいなけりゃ、おめぇは生活すらまともにできねぇんだからよ」
「食べられる雑草の見分けぐらいついてますぅ。服にとりつく妖怪にはよくわからないと思いますけどぉ」
「そりゃあ、わしと土蜘蛛の真似か? 全くにてねぇぞ? がっはっはっ」
僕がちょうどいい暗めの色合いの生地を見ておっちゃんに尋ねる。
「これ、いくらくらい?」
「二件くらいだなぁ」
「諦めよう。うん」
「なんですか、その単位」
「あぁ、ここはちょっと特殊な店なんだよ」
「件ってなぁ、単位辺り、『火鼠の皮衣』製作分の対価、もしくは依頼をこなせってやつよ」
「僕が経験したのだと三件くらいのものかな」
「それって、無理なやつなんじゃ?」
「『火鼠の皮衣』なら、数回作ったことあった……け……ど……」
あ、やばい。これ、今日知り合った人に言うような内容じゃない。入学初日のテンションをそのまま引き連れてここに来てしまったことに僕は後悔した。
「おいおい、坊主。わしのこと妖怪だなんだぁいっといて、そこでためらうたぁ、なにごとでぇい」
『かっはっはっ、宿主よぉ。もう、手遅れじゃねぇか? この嬢ちゃんに親近感わいた時点で、もうおめぇさんの敗けってやつよぉ』
ジグが突然周囲に語りかけるモードになって、
「……いまのは?」
『俺か? 俺は、土蜘蛛大将のジグってんだ。よろしくな悪魔の嬢ちゃん』
「…………」
「ジグ? 悪魔って? 塔城さんは人間でしょ?」
『あぁ、そうだった。宿主は、オーラで種族を当てるにはまだまだ、実力が足りねぇんだったな。わりぃわりぃ』
ジグの言葉はふざけていたが、嘘をいっているようには感じない。まあ、要するに、オーラで種族を当てられるようになれ。敗北者がってことなんだろう。
『そういうこった。で、宿主様よぉ。どうする? こいつ殺るか?』
やるわけないだろ!! なにいっているんだよ!! 小袖のおっちゃんにも悪いだろ?
『まあ、食い扶持がなくなっちゃぁ、困るからな。ま、身の回りくらいの警戒は怠るなよ。この町にゃぁ宗家周りのやつが数人いんだからな』
わかってる。気を付けるから。それよりも、この沈黙で塔城さんにますます怪しまれてるっぽいけど、どうするのさ。
『あぁ、まあ、こかぁ、俺に任せときな』
わかった。任せる。
僕はジグにそう伝えると、右手に鋭利な爪のグローブを出現させ、灰色の宝玉を塔城さんに向ける。
『つーわけで、嬢ちゃん。こいつの神器
「あれ? おかしくない? ねぇねぇ、ジグ色々おかしくない? なんで僕が傷つけられても大爆笑しかしない何て言ってるの?」
『いや、俺は日の本がそもそも嫌いだっつってんのに、日の本の宿主はもっと嫌いに決まってんだろうが、バーカ』
「あ、バカっていったね? じゃぁ、こんど蜘蛛に効く殺虫剤そっちに送ってやるからね!!」
「阿保ぉ! んなことすりゃぁ、おめぇも使い物にならなくなるって話じゃろがい! ぜってぇすんじゃねぇぞ! わしは一番の仕入れ先からの収入がなくのぉて、嫁さんに出てってほしくないからのぉ!!」
「ちょっと、ストップストップ。スターップ塔城さんがついてきてない」
僕は脱線しそうになった会話の間に入り、一旦変な流れを打ち破る。
『脱線させたのは宿主だけどな』
「うん。……カーキって呼んでもいい?」
「独特なネーミングセンス……まあ、いいけど。で、塔城さんも用事があったんじゃ?」
「うん。ギャーくん用の女子用制服取りに来ました」
あれ? この一言にあからさまな矛盾があるけど気のせい?
「あぁ。てことたぁ、嬢ちゃんはリアス姫んとこのか。菓子でもつまんで待ってな」
「はい。それでは遠慮なく」
「少しは遠慮せぇよ」
そういっておっちゃんは奥へと入っていった。
そして、塔城さんはレジの隣においてある羊羹を頬張る。
幸せそうに食べる姿は年相応の女の子という感じがしてかわいらしい。
僕は塔城さんみて、「あれ? なんのためにこのグローブだしたんだっけ?」と疑問に思う。
『おい、宿主様よぉ。考えなしにもほどってもんがあんぜぇ』
「にゃははぁ、ごめんごめん」
僕はグローブを消しながら、二件分の生地とはまた別の生地を探す。
うーん。ちょっと、暗めのやつ、暗め暗め……あ、あった。コレコレ。
「おっちゃーん。この灰色のやつはー?」
「そりゃたぶん一件分だ。大蛇の鱗を布に加工したやつじゃけぇのぉ」
『お、安いねぇ。宿主買うのか?』
「もっち。ちょうどいい感じのコートとか、クッションにできそうだし」
『暗殺用ってか?』
「そんなんじゃないよ。穴蔵見つけられたときに、これ着とけば大体のひとは見つけられないでしょ」
『妖怪にゃぁ無駄だがな』
そうだった。妖怪は夜目が効くから穴蔵でも見つけられるじゃん……ダメじゃん……ちくせう……。
そんなことを考えていると、駒王学園の制服を持って小袖のおっちゃんが表に出てきた。
その時、レジ周りには羊羹の包み紙が数枚散らかっていた。
「塔城さん。食べ過ぎじゃ?」
「そう?」
「気にしんさんな。どうせ嫁さんもわしも食わんもんじゃけぇ。それと、海樹。おめぇにゃあ、いつも通り、『あれ』やってもらうからの」
「うぃー。わかってるよ。今回はなに?」
「いつもんだよ。鉄糸で編んだ生地三十巻きほど。まあ、簡単な部類じゃろぉて」
「鉄糸かぁ……布にするの普通にきついんだけど? 火鼠の皮衣よりはましだけどさぁ」
「なら決まりだ。明日までに納品しろよ」
「うーい」
僕は大きくため息をついて、店をあとにする。
ふぁぁぁ、と大きなあくびをし、公園に差し掛かる陸橋辺りで、嫌な雰囲気をまとった女性と遭遇する。
「丹芽海樹で合ってるっすか?」
「合ってるけど……」
「あんたが、生きていると危険だと上が判断したんで、死ねっす」
黒い翼をだし、女性は光の槍を僕に向けて投げつけてきた。
と、言うことで、小袖の手のおっちゃん(変人で訛りが強い)が登場しました。
一件で、『鉄糸(ワイヤー)』の生地製作(完全な鉄製の布でなければならないという普通に頭のおかしな注文三十巻き)
二件レベルで『火鼠の皮衣』の製作、では、三件以上だとどんな無理難題かって言う話ですよ。
なお、海樹は三件レベルをクリアしています。
というか、海樹以外に三件以上をクリアできる存在はいません。
あ、一応神器の設定と、海樹の設定もあるので安心してください。
それでは、また、次回。お会いしましょう。