糸使いの高校生活   作:やまたむ

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遅くなりました。とりあえず今月分です。



第2話

 部室に入ると、なんというか、すごく冷たい空気が肌を指した。

 

「なんですか? この雰囲気……」

 

 入ると同時にそうぼやくと、睨むとはいかずとも、険しい表情をしている、リアス先輩と姫島先輩、塔城さんの視線が刺さる。

 リアス先輩は一度息を吐くと、僕らを視界にとらえ、普段の威厳のある優雅な雰囲気に変わった。

 

「ごめんなさい。ちょっと、色々あって」

「はあ……で、僕も呼んだってことは、悪魔絡みの問題……なんですよね?」

「えぇ。ミッテルトから聞いてると思うけれど、今日はあなたたちに大事な話があるの」

 

 リアス先輩が、そういって覚悟を決めるかのように、息を吸うと同時、まるでタイミングを見計らったかのように、橙色の魔方陣が部室に展開される。

 

「フェニックス……」

 

 木場先輩の呟きが僕の耳にはいる。悪魔について色々リアス先輩に教えてもらっていくなかで、悪魔の魔方陣には、その家の紋章があるという話を思いだし、この魔方陣はフェニックス家のものなのだと理解した。

 そして、その魔方陣から光が発生すると、室内を包み込み、人影が姿を表した。

 その後、なんの余波かわからないが、炎を巻き起こり、室内を熱気が襲う。

 

 よおーくみてみると、なにやら炎の中心で、佇んでいる男の人のシルエットが見える。ふむふむ。なるほど。

 

「人命救助ぉ!!」

 

 僕はとっさに火に強い糸を作り出し、炎のなかに伸ばす。

 だが、その糸は一瞬にして燃え尽きてしまった。

 

「突然攻撃してくるとは、眷属のしつけがなっていないんじゃないか? リアス」

「そう思うならその登場の仕方を改めたらどうかしら? うちの子は、みんな優しいから」

「なんか、すみません」

「いやいや、気にしなくていい。俺はフィアンセの眷属の失態にいちいち小言を溢したくないのでね」

 

 ふむふむ。なるほどなるほどぉ……で、

 

「フィアンセ?」

 

 どういうこと? 僕はボソッと気になった単語を呟いていた。

 

 

 

※※※

 

 

 その後、すぐに銀髪の女の人(リアス先輩の実家のメイドさんらしい)から、『リアス先輩のフィアンセ』と自称している男性の素性について教えてもらった。

 ようは、政略結婚で純血悪魔を増やしてこうぜ☆という話らしい。

 ふむふむ。なるほどなるほど。イッセー先輩は納得していない様子だが、そんなに気にするようなことなのだろうか? いや。まあ、気にするべきなんだろうけど、この人たぶん『悪い人』じゃなさそうだし、変なことにはならないと思うんだけどなぁ……。

 そんなことを思いながら、ぼーっと二人のやり取りを見ていると、銀髪の女の人が二人の間に入り、『レーティングゲーム』というもので話を付けようという。

 

「ねぇ、塔城さん」

「なに?」

「レーティングゲームってなに?」

「眷属同士を争わせて、主の実力を誇示するゲーム」

「へぇー」

「それだけ?」

「うん。そうだけど、どうかした?」

「なんでもない」

 

 変な塔城さん。

 そんなことを思いながら、僕はまた、ぼーっとする。そういえば、以前ミッテルトから結婚願望とかないのかって問い詰められたことあったっけ? 

 うーん、正直、パッとしないし、こう……なんだろ? 僕の考えている以上に大切なことがあって、でも、意志が介在しないのが~って感じなのだろうか? いまいちわからない。

 

 だってさ、結婚とかって、二十代になって考えるかどうかってレベルの話だと思うんだよ。そんな話をいまからやりますなんて言われても、さっぱりわからないんだよね。

 まあ、男性の方はリアス先輩にセクハラしまくっているから、リアス先輩がそれは流石にいやと思っているからかもしれない。

 

 

 とはいえ、リアス先輩もイッセー先輩からの、めちゃくちゃイヤらしい視線を流しているから、そういったところでもないような気がする。ま、こういうのは、僕の気にする所じゃないし、主がいやがってることを無理に共用する必要もないし、ちゃんとレーティングゲームってやつに取り組もう。

 そう決心し、大きくあくびをしていたら、男性は帰っていった。

 

 そういえば、あの人の十五人のお付きの人の中に『気』が似てる人がいたけど、そういう趣味をお持ちで? 

 最近の兄妹は進んでるなぁ……。男性悪魔はハーレムを作る傾向にあるという話を思い出し、この日の部活動は終わった。

 

 

※※※

 

 

 さて、相手は不死鳥ということで、十日後に行われるレーティングゲームのために、修行をすることになった。

 どうやら、グレモリーの所有する山でやるらしい。個人で勝手に鍛えてな的なものだと思ったら、みんなで鍛えましょうという感じで、学校も公欠扱いになる。

 

 そうなると、イッセー先輩が覗かないか心配なので、いくつか対策セットを用意しておこう。

 そんなこんなで、荷造りしていると、部屋の扉が開かれた。

 

「準備できてるっすか? あー、もう、なんすかこれ。トラップツール? 落とし穴とか作る気っすか?」

「まあ、イッセー先輩もいくし、リアス先輩たちに迷惑かけたくないから」

「そっすか。まあ、家のことは任せろっす」

「うん、お願い」

 

 そんな会話をしながら荷造りを済ませ、荷物を背負う。

 

「それじゃ、いってきます」

「いってらっしゃいっす」

「この十日で強くなって帰ってくるから」

「はいはい、期待してるっすよー」

 

 ムッ……すごくテキトー……。なんとなく、ムッとするけど、まあいい。実際に強くなって帰ってくればミッテルトを、あっと言わせられるから。

 ふふふ、見てろよー。フェニックスとか言う人達倒してきてやるからなぁ。

 そう意気込み、僕は集合場所である、グレモリー家が所有する山へと向かっていった。

 

 

※※※

 

 

 山へとつくと、どういうわけか、イッセー先輩の息が上がっていた。

 

「大丈夫ですか?」

「だいじょばない。なんで、お前は涼しい顔してるんだよ……」

「慣れ? ですかね?」

「くっそぉおおお!」

 

 イッセー先輩は、鞄と言うにはあまりにも大きすぎる鞄を背に、鬼の形相で山道を登っていく。

 ちなみに、イッセー先輩が疑問に思っていたことは、僕の背中には、イッセー先輩以上に大きく、明らか重りで重量調整した鞄があるため、楽々動いているように見える僕に疑問を覚えたからだと思う。

 

「あー、もう、あんな無茶して……」

 

 僕はため息をつきながら、その後ろをついていく。

 そして、そんな僕のとなりに、僕と同じ量が入っていることは間違いない鞄を背負った塔城さんが並んだ。

 

「塔城さんも、大丈夫?」

「うん。一応戦車だし」

「たしか、肉体的な攻撃力と防御力の上昇だっけ?」

「そう。だから、重いものをぶつけられても、押し潰されない」

「へぇー」

 

 たしかに、ここに来るまでの間この重り数百キロ? くらいの荷物を抱えても、余裕だったから間違いなく、筋力が上がったことに違いはない。

 けど、調整が効かないとか、そんな感じはしないから、ほぼ無意識レベルで、必要な力を引き出しているだけなのかな? 

 そんなことを考えながら、適当に寄り道をして、鹿を狩って、もとの道に戻り目的地である屋敷に到着すると、完全にへばっているイッセー先輩がいた。

 

「連れていきましょうか?」

 

 僕は近くでイッセー先輩の回復を待っているリアス先輩にそう尋ねる。

 

「えぇ。お願いするわ。それと、その手に持ってるのはなに?」

「鹿ですよ。ちょっと狩ってきたので、あとで食べませんか?」

「そうね。そうしましょうか」

「それじゃあ、イッセー先輩。いきますよ」

「お、おう。ちょっと待ってくれ」

「はいはい」

 

 僕はイッセー先輩の上に鎮座していた鞄を持ち、一息つく。

 

「血抜きしないといけないんで、早く来てくださいよ」

「わかっ……た」

 

 仰向けになり、息を整えているイッセー先輩を横目に僕は屋敷から影になる場所へ向かう。

 さすがに狩りたてだから、結構グロテスクな行為を屋敷の目につきやすい場所でするのは、どうかと思うわけだ。

 

 うんっと、背伸びをし、神器で糸を作り出す。

 普通ならハサミだったり包丁だったりを使うのだろうけど、まあ、今取り出すにしてもわりと苦労するから、

 さっさとできる糸の方を使う。

 それに、ちょっと、やってみたいことの練習にもなるしね。

 

 そして、ほんの数分程度で、鹿の解体と血抜きは終了した。

 

 

※※※

 

 

「お待たせしましたー」

「つ、疲れたー」

 

 屋敷に入り、荷物を置き僕はそういう。

 

「いえ、そんなに待ってないから、気にしなくても良いわ。荷物をおいたら外に出てきてちょうだい」

「はーい」

「わかりました……」

 

 本当に疲れてそうなイッセー先輩の声を流しながら、僕はキッチンを探す。せっかくの鹿肉。腐らせるわけにはいかないしね。

 作り出した布で覆っておいた鹿肉を、キッチンに運び冷凍保存して、個室へと向かう。

 初めてきた場所のため、それなりに迷ったものの、イッセー先輩や木場先輩の気を探って、なんとなくの場所を割り出すことに成功した。

 

 その結果、荷物を置き、なんとかそんなに時間をかけることなく、リアス先輩たちと合流することができた。

 そして、ついて早々、僕とイッセー先輩、木場先輩は一本ずつ木刀を渡される。

 

「あの、リアス先輩。これは?」

「見てわかるでしょう? 木刀よ」

「いや、そういう意味じゃなくて、なんで木刀がいるんですか? それも、三本も」

「あなたたち二人の適正を計るためよ。一つは祐斗用。海樹については、それなりに戦闘経験があるみたいだけれど、何が得意なのかわからないし、イッセーについては、基礎を教える必要があると判断したの」

 

 なるほど。たしかに、僕の武器は糸で陣地を作り、そこで、敵を捕縛することや拘束すること。このことは、たぶんリアス先輩も知ってると思う。

 けど、僕が糸以外に何が使えるかは話したことなかったし、控えめにいって直接戦闘できるタイプの武器じゃない『糸』を使っている以上、サブウェポン的なものを持っていろと言うことなのだろう。

 まあ、実際、糸を編んで作る武器のなかに剣も候補に入ることもある。使いにくいから槍にすることが多いけど。

 

 とはいえ、僕に槍や剣の心得があるわけではないし、正直なところ、今は『魔力』の扱いについての理解を深めておきたい。

 

「ということで、リアス先輩。魔力について教えてください」

「何が『というわけで』なの……ちゃんと説明してちょうだい」

「えっと、いま、習得したいものがあるんですけど、妖力を使っているところに、魔力とかも使いたいなぁって」

「わかったわ」

 

 そういうと、リアス先輩は姫島先輩を呼び、木場先輩や塔城さん、イッセー先輩たちの視界に移るような場所で、姫島先輩とのマンツーマン魔力レッスンが行われることになった。

 




うん。なにも変化ない回ですよ?だって序盤だもの。

あー、それと、お気に入り登録者二百人を越えました。いやー、応援ありがとうございます。月一更新で、投稿したらお気にいり登録者減ったりするんですけどね。
まあ、それでも、なんか、ゆったり増えていってるので、それなりに成長していると実感しております。
たぶん、三百人越えたあたりで、こんな感じのあとがきまた書くと思うんで、邪魔だおらぁと、思われない程度に閉めさせていただきます。

では、また次回お会いしましょう。
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