糸使いの高校生活   作:やまたむ

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よっしゃー、久々の投稿じゃぁ!!
とはいえ、修行パートは特になにか特別なことをしたわけじゃないので大々的にカットして進行しましたけどね。


第5話

 さて、フェニックス家とのレーティングゲーム本番。

 特訓期間、イッセー先輩を鍛えに鍛え、全体的に強くなった僕たちに、油断と隙は存在しない。

 

「ふぅー、準備完了」

『かっはは、慣れた環境だと罠の設置なんざ、造作もねぇもんだなぁ! おい』

「あはは……まあ、これが通用したら間抜けのレベルな気がするんだけどね……」

 

 僕は振り返りながらジグにそう返す。

 うーん、やっぱ、これは見え見えすぎるトラップだよね……

 旧校舎を囲む森の中に張り巡らせた糸。すべて薄暗い森という環境に合わせた色にしているものの、目をこらせばいくらでも見えるくらいに、わかりやすく設置している。

 

「とはいえ、全体的にやり過ぎたなぁ……うん」

「これじゃあ、罠としての機能がない」

「そうなんだよねぇ……ちょっと失敗。とりあえず、全体に気を巡らせておけば、防衛陣としては使えるようになるかな?」

「そもそも、罠としての機能がないだけで、普通に近づきたいとは思わないと思う」

「じゃ、ここに籠もっておけばある程度の安全は確保できたかな?」

「たぶん。それじゃ、私はもう行くから」

 

 そういって、塔城さんは背を向け、体育館へと向かって行く。

 

「ジグ」

『あいよ』

 

 ジグの返事が聞こえてくると、『土蜘蛛の糸』から一本の糸が伸び、塔城さんのあとを追う。

 よし、これでこっちも準備完了。それじゃ、一気に進めますか……

 僕は妖力と魔力を高め、セルフ妖人化モードへと移行する。この十日間、塔城さんとの連携を鍛えながら、さらにパワーアップする方法を考えていて正解だった。

 

「さって、ジグ。僕らがやるべきこと、わかってる?」

『はっ! 焼き鳥小僧をここから攻撃すんだろ? 派手にぶちかませよ。宿主』

「わかってるよ!」

 

 僕は神器から糸を作れるだけ作り、空に校舎より大きめの大剣を作り出す。

 

「さ、一気に片付けようか」

 

 そして、その大剣は僕の手の動きに連動して、校舎を二つに叩き切った。

 

 

※※※

 

 

「と、まあ、やっちまったわけだけど……」

『撃破アナウンスはねぇな』

「だねぇ……まあ、拠点は潰したわけだし、フラッと出てきたところを叩けばいけるかな?」

『無理だろ。あれで撃破されてねぇってこたぁ、相当な手練しか残ってねぇだろ』

「それもそっ……やっばっ、ジグ!!」

 

 僕らに向かって、突然、森を燃やしながら炎が向かってくる。それに対し、黒い半透明の膜を展開して防ぐものの、この場に展開されていた糸の防衛網は簡単に破られてしまった。

 

「あら、今ので撃破できなかったのは意外ですわね」

「まあ、索敵は得意だしね。それより、結構強引に突破してくれたね。あれ、わりと時間かかったんだけどな」

「そうでしたの。あっさり破られて、残念でしたわね。とはいえ、私、レーティングゲームで戦うなんて言う泥臭いことするのは嫌いなんですの。ましてや自分で戦うなんて……」

「じゃあ、なんで、今こうして一人でここに来てるわけ?」

「大お爺様からの命ですわ。詳しいことは知りませんが、あなたの実力を確かめてこいと」

 

 なるほど……

 

「なんで僕を?」

「それこそ、わかりませんわね」

「だよねー」

「まあ、それはそれとして大お爺様からの命ですから無駄話はここまでにしましょうか。糸を張り巡らされても困りますしね。まあ、この状態でできればですけれど」

 

 確かに、僕を囲んでいる木々は彼女の炎によって、今も燃え続けている。さすがに、この状態だと、糸が燃えてすぐに効果はなくなるだろうけど……まあ、別にそれだけじゃないし、こんな環境なんてずっとあった。

 むしろ、今以上にピンチだったかもしれないのを切り抜けてきたんだし、問題ない。

 あっと、そういえば聞くの忘れてた。

 

「君は死なないって認識で大丈夫だよね?」

「突然何を聞きますの?」

「いや、君の気がライザー・フェニックスさんと似ていたから、親族なのかなって」

「なるほど。そういうことでしたの。えぇ。私はライザー・フェニックスの妹レイヴェル・フェニックスですわ。フェニックス家の特性である不死は当然持ち合わせていますの」

「そっか。安心した」

 

 そういって、僕は右腕を横に一閃。

 すると、レイヴェル・フェニックスと名乗った女の子の首が足元に転がってきた。その首はすぐに灰に変わると、今にも倒れそうな胴体の首から炎が巻き上がり、先ほど灰になった首が再生されていた。

 

 

※※※

 

 

 首が再生したレイヴェルは、自分が相対していたはずの男に、支えられているのか理解できずにいた。

 

「な……なに……を?」

「とりあえず、落ち着いてね。今、攻撃されたら、次はその足を斬ることになるから」

 

 海樹から掛けられた言葉によって、レイヴェルは、ゆっくり自分の身になにが起きたのかを理解していく。

 今の一瞬。自分が攻撃が来ると認識する前に、首を斬られ、命を落とし、復活した。

 それを理解したとき、急激に自身の体温が下がっていくのを感じる。いつからなのだろうか、体の震えが収まることなく、冷や汗が止まる気配がない。

 恐怖一色に染められている表情は、貴族悪魔としてあってはならない事態である。そう認識していても尚、彼女は平静さを取り戻せないでいる。

 

「えっと、その。落ち着いてね? 一応、仙術で気を整えてるから」

 

 下手人の声が聞こえる。意味は理解できない。ただ、これからもし、自分が反抗する意思を示したとき、彼が何をするのかそれだけは理解している。

 だから、反抗はしない。なされるがままにする。そうすれば、自身は『死ぬこと』はない。そう確信しているから。

 そうしているうちに、背中をポンポンとあやすような感触があることに気づく。

 

 ──暖かい

 

 

 その心地よさに、レイヴェルは身を委ねる。

 体の震えも止まった。冷や汗も気づいたら止まっていた。

 ただ一つ、『死への恐怖』だけは収まっていないものの、ある程度までは平静さを取り戻したと言ってもいい。そこに、耳元で海樹が囁く。

 

「できれば、自主退場(リタイア)してほしい」

 

 そして、その一言にレイヴェルは従った。否、従わざるを得なかった。

 彼女に植え付けられた恐怖心(トラウマ)は、この場において、絶対服従の呪いとなっていた。

 

『ライザー・フェニックス様の僧侶(ビショップ)一名、戦闘不能(リタイア)

 

 審判のアナウンスが、駒王学園を模したフィールドに鳴り響いた。

 

 

※※※

 

 

 時は遡り、海樹が新校舎を叩ききったあとの旧校舎オカルト研究部。

 

「今のは?」

「海樹さん……でしょうか?」

『さすがは土蜘蛛といったところでしょうか』

「朱乃?」

『いえ。別に彼自身になにか思うところがあるわけではありませんわ。ただ、小さい頃から『土蜘蛛は恐ろしく強く、警戒しなければいけない存在である』そう教えられていたので。それに、彼の特訓はよく見てましたから、これくらいはするだろう、とも』

「そういえば、朱乃と海樹はよく模擬戦をしていたわね。あれもそのときに?」

『あそこまでの破壊は初めてですわ。ですが、魔力になれていくうちに、糸を操る量も増えていましたので、敵の本陣を遠隔で攻撃すること自体は可能だったと思います』

「そう。ところで朱乃」

『はい、なんでしょう?』

「海樹から『体育館壊さないでおいてください』だそうよ」

『自分用のフィールドを作るためですわね。では、こう返しておいてください』

 

 朱乃はそうリアスに返し、ふふふと不適な笑みを浮かべ、一誠と小猫が体育館からでたのを確認すると、

 

『いやです』

 

 そう返し、特大の雷を体育館へと振り下ろした。

 

『ライザー・フェニックス様の兵士三名、戦車一名、戦闘不能(リタイア)

『ざっと、こんな感じでしょうか?』

「朱乃……」

『私の見せ場が土蜘蛛に奪われるのは少々癪でしたので』

「まあ、いいわ。これで、ライザーが使える陣地はないも同然。私たちはライザーの駒が減るまで待機しましょう」

『そうですわね。あら?』

「何かあった?」

『海樹くんが陣取っている旧校舎に続く森ですが、焼け野はらになってますわね』

「朱乃!」

 

 リアスの慌てた声が旧校舎に木霊する。

 海樹の本領は障害物があってこそ機能する。それゆえに、平地にされると途端に実力が落ちてしまう。

 ここで、駒の数が減ると困るのはリアスの方である。もともと、人数不利のレーティングゲームだ。戦車一人と兵士三人倒したとはいえ、その人数差は未だ開いたまま。ここから追い上げるとしても、こちらの消耗はより激しいものになるだろう。

 

『ライザー・フェニックス様の僧侶一名、戦闘不能(リタイア)

 

 嬉しい誤算というべきだろうか、そのアナウンスにリアスは勝ちを確信した笑みを浮かべてしまう。

 このままいけば、勝てる。その確信は、リアスの……そして、

 

『リアス・グレモリー様の戦車一名、戦闘不能(リタイア)

 

 小猫の油断になっていた。

 

 

※※※

 

 

「今の、塔城さん?」

『だろうな。おめぇは聞いてなかったかも知れねぇが、あの金髪ドリル倒す前に四人の撃破アナウンスがあった。それで油断してたんだろ』

「あ……てことは練習意味なくなっちゃったか……」

『あぁん?』

「いや、実は結構塔城さんと連携の練習してたんだ。ただ、塔城さんがリタイアした以上、意味なかったなって」

『んだよ。その程度のことか。んで、これからどうすんだ?』

「とりあえず、グラウンドかな? 全員そこにいるみたいだし」

『初手でブッパなした甲斐があったな。おい』

「そうだね。姫島先輩には言いたいことあるけど、結果オーライ。このまま、妖人化第二形態のままで行くよ」

 

 

※※※

 

 

『ライザー・フェニックス様の兵士三名、戦闘不能(リタイア)

 

 そのアナウンスが耳にはいる。誰がやったのかとか気にしない。

 とりあえず、グラウンドまでひとっ走りしないと……

 身体能力の上がる妖人化を使ってるわけだし、あと二分もあれば合流できるはず。

 

『海樹、聞こえる?』

 

 そんなことを思いながら走っていると、ゲーム開始前に耳にいれた魔法具? のイヤホンからリアス先輩の声が聞こえてくる。

 たしか、トランシーバーみたいな奴だっけ? 

 

「はい。どうかしたんですか?」

『今からライザーを討ちに行くわ。あなたが新校舎を破壊してくれたおかげでグラウンドでの乱戦になりそうだけど、どれくらいで着きそうかしら?』

「あと一分あれば」

『わかったわ。小猫は撃破されてしまったけど、まだ勝機はある。あなたも全力を出してちょうだい』

「わかってます」

 

 とは言ったものの、正直、リアス先輩の婚約とかには興味ないんだよね。ただ、イヤみたいだし協力するかぁ……程度の感覚だし。

 かといって、イッセー先輩や塔城さんが頑張ってる以上、僕も頑張らないと失礼だと思うし、だから……

 

「割り込むけど一気に片付けるね」

 

 僕は大量の糸を展開して、グラウンドにいるライザーさんの眷属を纏めて地面に縫い付ける。

 

「木場ぁ、神器を解放しろ!!」

 

 イッセー先輩の掛け声と共に木場先輩が神器を地面に突き刺すと、魔方陣みたいなものがグラウンドに展開される。

 それに、イッセー先輩が触れると、グラウンド一体に剣山が出来上がり、その場にいたライザーさんの眷属全員がリタイアした。

 

『ライザー・フェニックス様の兵士二名、騎士二名、僧侶一名、戦車一名、戦闘不能(リタイア)

 

 おし、片付いた。

 

『宿主!!』

『リアス・グレモリー様の女王一名、戦闘不能(リタイア)

 

 ジグがとっさに声をかけてくれたお陰で、妖人化第二形態による、黒い半透明の外殻での防御が間に合ったけど、高威力の爆発が僕と木場先輩を襲った。

 とはいえ、木場先輩の方に回している暇がなく、

 

『リアス・グレモリー様の騎士一名、戦闘不能(リタイア)

 

 木場先輩もリタイアしてしまった。




やばい、レイヴェルはヒロインにする気ないのに、ここから展開しようとしているストーリー的にヒロインになってまう……

まあ、そこはなんとか誰かのフラグをぶち折って貰うか……うん
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