糸使いの高校生活   作:やまたむ

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そんなに待たせず続きをどーん!

たぶん十話を越えてから一気に落ちます。許してクレメンス。




第2話

 その光の槍を僕は全力で横に移動することで避ける。

 また、この手合いかよ……。

 

「ジグ。いくよ」

 

 僕はルーティーンと化した掛け声と共に、右手にいつものグローブを出現させる。

 

『かっはっはっ、おめぇの周りにぁおめぇのたまぁ狙うやつ多かねぇか?』

「ジグ。いつもの、お願い」

『あいよぉ。体に馴染みすぎねぇように気ぃつけな』

 

 ジグが言うと、僕に妖怪特有の不気味なオーラが纏わりつく。

 

 妖人化……と、僕は呼んでいる。

 

「妖力を纏った……? これまで普通の人間だったのがそんなことできるわけないっす!!」

「普通の人間だったんだよ。僕は。あの時を境に変わってしまったけど。それでも、僕は普通の人間だ」

「そうっすか、それでも、あんたは危険だ。恨むならその神器を恨むことっす」

 

 そういって女性は光の槍を形成すると、僕に向かって突撃してくる。

 ジグ! 鉄槍! 

 

『あいよ!』

 

 指先からワイヤーが出てきて、ひとつの槍を作り出し、僕は突撃してきた女性の光の槍を受け止める。

 

「なんで、僕の命を狙う!」

「知らないっす。ただ、上から危険だからとしか聞いてねぇっすから」

「思考停止かよこんちくしょう! それで殺される身にもなってみろってんだ!」

『かっはっはっはっ、宿主様は暗殺者とかにすかれやすい性質を持ってんのかも知れねぇなぁ』

「いやだ、そんな性質。ほら、風と火の混合糸」

 

 僕がそういうと、爪の部分の穴から細い風の状態をした糸と火の状態の糸が女性を覆うように伸びる。

 

「うわっと! 危ないっすね。おい」

 

 女性は黒い羽をはばたかせ糸を振り払う。

 風にあおられた糸は行き場を失い地面に落ちる。

 

「普通なら服かなにかに当たって燃えているはずなんだけど」

「こう言うのは経験値が物を言うっすからね。それにしても、『総督』があんたを危険人物だと判断した理由がようやくわかったっす。とりあえず、上に報告するために一時撤退っす」

 

 そういい、女性というより、よく見れば女の子は、空へと飛び上がり、どこかへ行った。

 僕はそれを見送るとペタンと地面に座り込み、指の間接部から水の糸を放出し、今なお燃え続ける火の糸の消火を行う。

 

『今回もちゃんと退けれたみてぇだなぁ。宿主』

「よかったぁ。偶然、人がいなくて」

『あの堕天使も、人払いはちゃんとやってたみたいだからな。そこにのうのうと突っ込んだお前が悪い』

 

 はい。最初からこういう結界とか言うのを見分けられるようになります。

 

『ほんと、実力が足りねぇんだから、うちの宿主様はよぉ』

「うっせ。これでも努力してんだ」

『下級堕天使相手にてこずってる時点でお察しだっつーに』

「ぐぬぬ。妖人化。身体能力の妖怪化くらいしか効果ないからなぁ……」

『あとは口やらケツやらで、糸を出せるようになれば、俺と同じ戦闘ができるようになるな』

「それは、やだ。やりたくない」

『いってろ。そのうち、このことの有用性がわかるようになっから』

「ていうか、それなら、妖力をもっと……いや、やっぱりいい。別の物を探す」

『そっちでいいんだよ。普通の人間が妖力に当たりすぎっと、マジの妖怪になっかんな』

「それが伝説上の雪女とか、女郎蜘蛛とか、ハーピィとかになってるんだっけ?」

『雪女はゴリラだけどな。かっはっはっ』

「そういえばそうだっけ?」

 

 僕は、火を消し、日も暮れた帰路につき、もう少しで家の入り口だと言うところについたあたりで、ある三人組を見かけた。

 

「おい、イッセー。見つかったか?」

「いや、まだだ。どこだ? どこにある?」

「先週にはここにおいてあったはずなんだけどなぁ……」

 

 んー、変な人もいるもんだなぁ……。

 でも、どうしよう。この人たちがいるせいで、僕、家に入れない。

 

「あのー、どうかしたんですか?」

「お、ちょうどいいところに同志がいたか」

「この時間、この公園のこのスポットに来ると言うことは、そういうことなんだろう」

「えっ? は? なに? どういうこと?」

「いや、なに、なにも聞くな。わかっている。我らは同志。同じ志を持つものとして、お前の目的もわかっている」

 

 なんか、眼鏡の人が一方的にわかったような口調でしゃべっているけど、意味がわからない。

 

「あぁ、あぁ、そうだよな。お前も男だ。ここに来るってことは相当ここら辺が人目につかない最高の場所だって知ってるんだもんな」

 

 色はよくわからないけど、たぶんこの三人組のなかで一番外見に特徴のない人が眼鏡の人に続く。

 いや、ほんと、日本語をしゃべって? いや、喋ってはいるのか、何をいっているのかわからないだけで。

 

「つまり、どう言うことかと言うと。……おまえ、この辺でエッチなオネェさんの写真集見なかったか?」

 

 あ。あぁ、なるほどなるほど。そういうことか。

 よーく、わかった。つまり、こういうことか。

 

「あなたたちは、この場にあったエロ本を取りに来たってことですね?」

「「「ふっ」」」

「なんで、誇らしげなんですか……。まあ、いいですけど。たぶん、目的の物はないですよ」

 

 僕がそういうと、三人揃って「「「なにぃぃぃぃいいいいい!!!!」」」と叫ぶ。

 近所迷惑です。静かにしてください。

 

「ななななな、なぜ、ないのだ! 一昨日きたときにはあったぞ!!」

「そ、そうか、きみが持ち帰ったからないんだな。そうなんだな!」

「あぁ、なるほど。そういうことだったか。ビックリさせないでくれよ。そういうことなら、俺たちにも少し分けてもらって」

「いや、その本不快になったんで燃やしました」

 

 僕が再びそう告げると、再び三人組は「な(ry」と叫ぶ。

 

「貴様! それでも男か! いや、人間か!?」

「そうだ、そうだ!! それは、人として、男として一番やっちゃいけないことだろ!!」

「燃やされたオネェさん。紳士シリーズよ。安らかに眠れ……」

「いや、なに、たかがエロ本程度にそんなに情熱注いでるんですか……」

 

 僕のその一言が悪かったのか、三人組の眼光が、獲物を見つけた肉食獣のように鋭くなる。

 

 え、なにこれ、こわ。塔城さんが見えなかったときくらい怖い。

 

「みれば、君はうちの学校の生徒のようではないか。つまり、我々の後輩」

「つまり、君は我々に従わなければならないと言う義務がある」

「これがどう言うことか、わかるかね?」

「いえ、全然。全く」

「松田。イッセー」

「「あいあいさー!」」

 

 坊主の人と、特徴のない人が、僕の体を持ち上げ、肩に担ぐ。

 

「目的地、イッセー宅。あ、ところで君。家の電話番号は? ご両親に今日は帰りが遅くなると伝えなければならないからな」

「両親は小学生の時に他界して、今は独り暮らしです」

 

 僕がそういうと一瞬だけ、空気が重くなり。

 

「よし、それじゃあ、松田、イッセー。俺はお前の家に連絡をする。その間に、この少年をつれていけ」

「いくぞ少年。これからお前に最高の一日をプレゼントしてやる」

「なに、とって食おうって話じゃぁない。安心してついてこい!」

「え、ちょ、なに、どういうことぉぉぉぉおおお!!」

 

 僕の叫び声が、夜の駒王町に響き渡った。

 

 

※※※

 

 

 僕は久しぶりに暖かいご飯と言うものにありついていた。

 

 あのあと、結局兵藤さんと、松田さんに担がれ、僕は兵藤さんの家に拉致され、兵藤さんのご両親から手厚い歓迎を受けることになった。

 ちなみに、兵藤さんはいま、お風呂に入っており、松田さんは後からきた元浜さんと一緒に帰っていった。

 どうやら、今日一日は、しっかりご飯などを食べさせ、後日、今日開く予定だった催しを開催するそうだ。

 

「丹芽海樹くんね。どう? おいしい?」

「はい。こんな、美味しいご飯を食べたのは久しぶりです」

「そう。よかったわ。あの子たち、エッチなものが好きなせいか、感受性が豊かだから、きっと、親をなくして、一人だったあなたが心配だったんじゃないかしら?」

「悪い人じゃないんですね」

「えぇ。そうだわ。独り暮らしをしているなら、住所とか聞いておいてもいいかしら?」

 

 えっと、これはどうすれば? 

 

『適当なこといってごまかしとけ』

「駒王町の公園です」

『誤魔化せれてねぇぞ、宿主』

 

 あっ……。

 兵藤夫人から、ものすごい憐れみの視線が送られる。うん。こんなこといったら、そうなるよね。

 

「そう。そうなのね。ほんの少し前まで中学生だったんだからそうよね。児童相談所とか……」

「やめてください!!」

 

 僕は、叫んだ。

 それにより、兵藤夫人はおろおろと、困惑している。

 

「ごめんなさい。大きい声を出して。近所迷惑でしたよね」

「いえ、いいの。それより、何があったの? いくらなんでも、児童相談所とかに相談したくないって」

「じ、児童相談所って就職とかに不利に働くじゃないですか」

「それだけじゃないことくらい、わかるわよ? いまの否定はそのレベルのものじゃなかった」

 

 僕は目を泳がせる。

 正直、この人を僕は信用しきっていない。美味しいご飯をもらい、この後泊めさせてもらう身としては恩に報いたいが、こればっかりは、どうしても無理なのだ。

 児童相談所も、アパートを借りることも、僕がひとつの場所にとどまり続けると確実に『やつら』がくる。

 だから、絶対にこの人たちを巻き込んじゃいけない。

 

 あまりにも軽率だった僕の言動からの後悔の念に押し潰されそうになる。

 

「そう。話したくないのなら話さなくてもいいわ。けど、これだけは約束してちょうだい」

「はい」

「お腹がすいたら、絶対うちに来ること。イッセーの後輩なんだし、そこは心配してないけどね」

 

 ははは、と僕は乾いた笑いを浮かべる。すると、兵藤夫人が頭をゆっくりと撫でた。

 

「よくがんばったわね。今日はゆっくりお休み」

 

 それは、かつて殺された僕の母親彷彿とさせるような、暖かいものだった。

 僕はその温もりを思いだし、ズズッと鼻をすする。

 

 今日くらいは、無理しなくてもいいよね? ジグ。

 

『俺に聞くな』

 

 それもそうだ。

 

 そこからの記憶は墓まで持っていこう。そう心に決め、兵藤宅で一夜を明かした。




はーい、まだまだ、隠し事のある海樹。
海樹が安らげる場所は一人になれるところだけ。
実は危険度は赤龍帝より低いんです。じゃあ、なんで、命を狙われているのかと言う点については、そのうち。
まあ、調べればすぐわかると思いますけどね。

イッセーたちのいいところ、うまくかけたかな?できるだけコメディ長で話を書いたからわかりづらくなってないといいけど。

と言うことでまた次回、お会いしましょう。
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