糸使いの高校生活   作:やまたむ

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前回のあらすじ

ミッテルトのお腹に穴が開いたのでキスして仙術使ってふさぎました。
僕のお腹も同じようにふさぎました。


第5話

 で、これから、ミッテルトをどうすればいいんだろう? 僕の家(穴蔵)に連れていって保護することが優先なのかな? 

 

『ま、それでいいだろ。どうせ表じゃぁ活動できねぇ連中だ。虚偽報告とかで上からどやされるように誘導してやんな』

「わかった。ミッテルト。拠点どこ? 連れていくから」

「そういえば、羽も足もあんたにやられてたんすよね」

「おんぶでいい?」

「任せるっす」

 

 僕はミッテルトを背負い、夜の町を歩き始める。

 

「で、拠点は?」

「教会っす」

「あの廃れた?」

「そうっすね。うちらは、堕天使っすから、普通の教会じゃ活動できないんすよ」

「なるほどね。んじゃ、そこまで送ってくよ。ドーナシークってやつが、一緒に殺したってしたとしても、こうやって僕らが行けば最終確認しなかった方が悪い理論でいけるからね」

「ドーナシークの悪いとこっすね、それは。最後の最後で詰めが甘い。だから、毎回カラワーナが記憶処理とか任されるっす」

「そして、ミッテルトの口が軽いとこも悪い点だね」

 

 僕がそういうと、ミッテルトは僕の頬を引っ張った。

 

「ひひゃひんひぇふは?」

「なーにいってるのか、わかんないっすねぇ。あぁ、あんたに穴開けられた足がいたいなぁー」

 

 僕は首をふって、ミッテルトの手から逃れると、ちょうど抱えている太ももを親指と人差し指を使い、ギュッとつねってやった。

 

「いったぁぁああい!! あと、そっち、射ぬかれた方!! めっちゃいたいんすけど!!」

「ははは、なにいってるのかわからないなぁー」

「いたいいたいごめんごめん。ごめんって。何が悪かったかわかんないっすけど悪かったっす!!」

 

 ミッテルトが謝ってきたので、僕はつねるのをやめた。

 

「はぁ……もう、なおった傷が開いたらどうするつもりだったんすか……」

「そのときは……どうしようか?」

「無策かよ!! にしても、そんなでよくうちの治療できたっすね」

「まあ、奥の手つかったから。あ、それと、お腹に違和感とかない?」

「あぁ、あるっすよ。めちゃくちゃ。言い知れない気持ち悪さとかあるっす。それと、めちゃくちゃ背骨にお腹が当たっていたいっす」

「あ、なるほど。じゃぁ、ちょっとがまんしてね」

「なに、鬼畜なこと……」

 

 僕はミッテルトがなにか言おうとするのを無視して、背中から勢いをつけ、前に持ってくると、肩を抱き、膝のしたに腕を回し、持ち上げる。

 

「ほい。これなら、いたくないでしょ?」

『お、宿主にしては大胆だな』

「おー、確かに。一応、男の子だったんすね」

「一応ってなんだ、一応って……まあ、いいけどさ。それと、数日間は安静にしてなよ。無理に動いたら足とか、お腹の傷が開くかもしれないから」

『宿主の童貞キッスで塞いだんだからな。開かれたら困るってもんだ』

「そうっすか。ファーストキッス。奪ってごめんっす」

 

 ミッテルトの釣り目からでもわかる優しい視線に腹が立つ。

 僕は無言で肩をつねった。

 足はさっき傷に響くっていったし、こっちの方がいいっていう僕の良心だ。

 

「あ、足は避けてくれたんすね。人間形態でやられてもいたくないから平気っすけど」

「足は本当に痛そうだったから、避けただけ。それとも、足の方がよかった?」

 

「冗談っす嘘っす。足はやめてください!」

「フリかな?」

「フリじゃないからぁ!!」

(『なんだ、このカップルっぽいうざさ』)

 

 そんな感じのやり取りをしているうちに、廃教会にたどり着いた。

 

「ミッテルト、ノック」

「そんなの要らないっすよ。ほら、蹴って蹴って」

「そんな行儀の悪いことしないって。今、手が自由なの君しかいないんだから」

「はいはい。わかったっすよ」

 

 なぜか不満そうなミッテルトは、少し強めに廃教会のドアを叩いた。

 そんなことしたら、傷に響くぞ。力をいれるって行為は意外とお腹に負担がかかるんだからな。

 

「つっぅ……」

「力いれて叩くからだよ。傷か開いても今回は助けられないからね?」

「ここについたら、傷が開いてももう関係ないっすから平気っす」

「そうなんだ」

(『宿主も、相当傷が痛んでんだけどな。それを見せないってなぁ、無理やり気にしねぇようにしてるってだけか……ほんと、こういうとこは、バカなんだからよぉ』)

 

 ジグから、珍しく僕の体を労るような思念が流れ込んでくる。

 あ、この思念はあれだ。僕の痩せ我慢に気づいているやつだ。

 うへぇ、ジグには隠し事できないなぁ。

 

 僕らが言葉なく、そんな思念程度の不確かなやり取りをしていると、廃教会のなかから、一人のシスターが現れた。

 

「すみません、あなたは誰なのでしょうか?」

 

 僕に向かってシスターさんがなにかを伝えてくる。

 他の国の言葉なので、なにをいっているのか、言葉のニュアンスから、なんとなく、失礼ですが程度の感じは読み取れるが、なにを伝えられているのか、全くわからないため、回答のしょうがない。

 

「そういえば、こいつ人間だったっすね。あんたの名前を聞いてるんすよ」

「あ、そうなんだ。じゃぁ、ミッテルトお願い」

「なんで、うちが……!」

「僕、日本から出たことないから、伝えようがないから」

「わかったっすよ。こいつは丹芽海樹、指定討伐対象っす」

 

 ミッテルトの不穏な台詞に、シスターさんの目が見開く。え、そこまで驚く? っていうか、僕ってそんな共通認識があるの? 

 

「それはそうと、ミッテルトさんはどうしてこのかたに?」

「こいつに人質にされたせいで、ドーナシークに腹ぶち抜かれたから、責任とって運んでもらってただけっす」

「人質に!? それに、ドーナシークさんにお腹を?」 「これがこの業界の常識っす。あと数日もすれば、この業界の仲間入りするんすから、ちゃんと、覚悟ぐらい固めておけっす」

「そうですか……って、それよりも、治療が優先です。すみません。海樹さんでしたか? ミッテルトさんを、中まで連れていってもらっていいでしょうか?」

 

 キョトンとする僕にミッテルトが「うちをあそこのベンチまでつれてけっす」といってきたので、「あ、そういうこと」といって、教会内のベンチまでミッテルトを連れていく。

 

「うわぁ、きったね」

 

 僕は、ミッテルトをベンチに頭がつかないように寝かせ、頭の位置に座って膝にミッテルトの頭を乗せた。

 

「は? な、ななな、なにをやってるんすか!?」

「こら、動かない」

 

 僕はミッテルトの頭を押さえ、体を起こせないようにした。

 

「ちょ、うちは汚くても気にしないっすから、早くあんたは帰れっす!! レイナーレ様たちが来たらどうするつもりっすか!!」

「それが、誰かは知らないけど、女の子が髪の毛が汚れるのはどうでもいいって言うのはどうかと思うよ。僕がいる間はある程度身だしなみには気を使って貰うからね?」

「こいつぅ……」

 

 僕らのやり取りを見て、シスターさんは微笑み、ミッテルトの足に手を掲げ緑色の淡い光を発していた。

 この人も神器所有者なんだ……。

 

「アーシア、なにがおかしいんすか」

 

 ミッテルトは笑われたのが、気にくわなかったのか、不機嫌そうに、シスターさんに尋ねる。

 

「すみません。ミッテルトさんが楽しそうだったのでつい」

「うちのどこが楽しそうに見えるんすか!! むしろ腹立ってるっす!!」

「ミッテルトは素直じゃないから」

「めちゃくちゃ素直っすよ!! ていうか、今日で会ったの二回目っすからね。あんたにうちのなにがわかるってんすか!!」

「一度戦えば性格はわかるし、二回も戦えば人柄もわかるってやつだよ。僕の場合、出会って襲撃されてって言うときもあれば、影からの暗殺とかで狙われ続ける日々を送ってたから色々なことを戦場から学習できたんだよ」

「うちと同じくらいの実力なのにっすか?」

「戦場からして不利な状態が良くあったからって言うのもあるけど、初めて暗殺されかけたときは全身に毒が回る前に、妖人化して生命力を上げて、ジグに毒耐性つけてもらったから」

『かっははは、懐かしいの言うじゃねぇの。実際におメェの内蔵の一部は妖怪のそれに、変わっちまってるしな』

「心臓と胃は人間のそれだけど、肺は変わってるしね」

『まあ、妖人化のデメリットっていやぁ、そういうもんだな。寿命も削るタイプだしな』

「そもそも、僕の強化形態に寿命を削らないものはないからね。っと、どうやら、終わったみたいだよ」

 

 僕らがそんな話をしていると、今度は足からお腹に手を掲げ、先程と同じ光を発し始める。

 

「腹はまだっすから、このままで……って、なんで頭なで始めるんすか!!」

「いや、お腹の傷は本当に悪いと思ってるから……さ」

「だからって、撫でる必要はないでしょうが!!」

「じゃあ、ミッテルトがかわいいからってことで一つ」

「なーにが、うちがかわいいからってことっすか! 当たり前のこと言うなっすよ。まあ、今回は特別に見逃してやるっすけどね」

 

 口では、あーだこーだいっているが、気持ち良さそうな表情から、説得力がなくなってしまっている。

 

『ところでよ、宿主。おめぇも気づいてんだろ? (第零形態とはいえ、妖人化してんだからよ)』

「うん。外にいるね。ミッテルトの仲間?」

「あぁ、このオーラはレイナーレ様っすね。うちの上司っす」

 

 ミッテルトがそういうと、教会のドアが開かれ、グラマラスな体型の女性が入ってくる。

 

「あら、アーシア。まだ起きていたの? あぁ、お客さんがいたのね。廃れた教会になにか用なのかしら?」

『おい、こいつ……』

 

 ジグの反応でなんとなく、この人がどんな人なのか、推測することができた。

 だけど、それを表に出すわけにはいかない。

 

「あぁ、僕の連れがこ……」

「レイナーレ様、ミッテルト帰還しました!」

「ドーナシークの報告だと、あなた人質にされてお腹を貫かれていたはずだけど、元気そうね」

「はい! こいつが、うちのドーナシークにぶち抜かれた腹を塞いでくれたんで、一命はとりとめました」

 

 ミッテルトの報告に、その女性は目を細め、僕を見た。

 

「そう、あなたが。ちゃんと死亡確認をしないあたり、ドーナシークらしい……」

「ちょっと、ミッテルトの上司さん。一つ尋ねていいですか?」

「なにかしら?」

 

 あからさま、ミッテルトに対するときと違い荒っぽくなった。

 

「兵藤一誠。この名前に聞き覚えは?」

「あぁ、あの……。それがどうかしたの?」

「いえ、ちょっと、気になりましてね。まあ、正直、なんのために近づいたのかとか、色々と詮索したいんですけど、あなた、そういうの嫌でしょう?」

「そうね。こっちも任務があるから」

「だから、僕と一つ契約を結びませんか?」

「契約?」

 

 訝しげに僕に尋ねてくる。

 

「僕はこの町であなたたちの任務、その概要に干渉しません。その代わり、あなたたちは僕を襲撃しないでください」

「なるほど。悪くない……わね。私も彼の関係者に邪魔されて任務が全うできないって言うのは避けたいし。えぇ、いいわ。その契約、受け入れましょう。ただ、私はあなたを信用していないわ。だから、裏切った場合のペナルティを設けましょうか」

「まあ、さすがにそうなりますよね。それで、その条件は?」

「裏切った者の命。それでどうかしら?」




さて、中途半端なところで終わりましたけど。
なんか、この話というか、この作品を書いていると原作で名前だけの登場だったミッテルトに魅力を感じてきますね。
まあ、ある程度オリジナル要素をいれやすいからって言うのが、大半を占めちゃうからなんですけどね。

この作品を読んで、ミッテルトのファンが増えてもらえればいいなとは思いますけど、原作では名前だけだからなぁ……。

まあ、そんなことはさておいて、次回予告。

レイナーレとの契約のペナルティを決めるため、試行錯誤するジグ。大好きな宿主のため、頭を回せ!
『宿主のこたぁ、どうでもいいに決まってんだろ!?』
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