糸使いの高校生活   作:やまたむ

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おまたせ。
さて、感想にヒロイン誰?と尋ねられたので、本編中で明かしますと、いいましたので、ある方にヒロインムーブしてもらいました。
では、本編へどうぞ。


第6話

『はっ! おめぇ、んな、不公平なペナルティになんなら、断んな宿主』

 

 女性との契約破りのペナルティを拒否したのは、ジグだった。

 

「ジグ?」

『言っとくが宿主。俺ぁ相手がこっちを信用してねぇのに、信用することなんざ無理だ。その上で、あいつが命賭けろっつうんなら、あいつにも同じもん賭けてもらわなきゃこまるっつうもんだ』

「そのための、互いの命じゃないの?」

『ちげぇな。あいつぁ、自分のたまぁ掛けてねぇ。こいつが宿主を殺すよう命令したとしてもおめぇはその証拠を一切つかめねぇ。だから、実行犯を殺しちまえば即終了ってわけだ。どうだ? おめぇが、裏切るつもりはなくても、相手にとっては裏切り放題だ』

「あら、あなたの神器に宿る妖怪は、ずいぶんあなたのことが好きなのね」

 

 形勢が悪いと判断したのか、女性は茶化すような形で話をそらそうとする。

 

『わりぃが、俺ぁ、おめぇがこっちの命の保証を確約できるような条件じゃねぇ限り、譲る気なんざ微塵もねぇぞ』

 

 ジグの言葉に、大きく面倒くさそうなため息をつき、続けていった。

 

「めんどうくさい」

『あぁん?』

「たかだか、数日。その期間中にあなたたちを狙うメリットがあまりない。あなたたちに注力しすぎて任務失敗なんてことになるより、ずっとマシじゃないかしら?」

「あぁ、なるほど。たしかに、二、三日程度の期間なら、全く問題ないしね。すぐ契約は満了しちゃうわけだし」

「神器とは違って聞き分けがいいのね。坊やは。つまりそういうことよ。あなたたちが邪魔さえしなければ、命の危険はないと言えるのではないかしら?」

『んじゃぁ、こうしよぅや』

 

 ジグは神器を顕現させ、糸を放出し空中で矢印を作り、ミッテルトに向けて言う。

 

『こいつをおめぇらが監視につける代わりに、おめぇとおめぇの部下全員に『糸』を心臓に巻かせてもらう。おめぇらがこっちを襲撃した瞬間に、心臓は潰されると思え』

「それが妥当でしょうね。それで、その糸を巻き付けるまでの時間は?」

『安心しろ。今終わった。てめぇはわかってねぇかも知れねぇが、俺ぁな、宿主よか『糸』を扱うことにゃぁ長けてんだよ』

「どうやって繋いでいると言うのかしらね。その糸」

 

 女性はそういって、心臓があるとされる位置に手を持ってきて糸の存在を確認しようとした。

 

『はっ! そもそも、宿主通じて自分の力を供給するんが俺だぜ? 心臓に糸を巻き付けるなんちゅう、初歩中の初歩、神器が顕現してれば、ちゃっちゃぁできるっつぅもんよ』

「やはり、あなたたちが処分されるのは正当といえるのじゃないかしら?」

『かっはは、人間にゃぁ理由なく殺されるってことになっから、この上なくはた迷惑だがな』

「それと、確認だけれど、私たちの任務が終われば糸は外すのよね?」

『そりゃぁ、保証してやんぜ。俺もそこまでして生かせてぇって訳じゃねぇしな。契約やらすんなら対等だって話だ。てめぇらは悪魔みたく契約に順守するような奴らじゃぁねぇかんな』

「悪魔にも契約破りとか平気でするやつはいるでしょうけどね」

『んなこたぁわかってんだよ。まあ、これに関しちゃ、俺が宿主不況を買うからな。ちゃんと、任務が終わったってんなら、『糸』は外してやんよ』

 

 ジグは僕やミッテルトを放置し話をまとめにはいった。

 まあ、いいんだけどね。僕だと、互いの命を代償にするってところで契約結んじゃってただろうし。

 それによるリスクなんて考えたこともなかったよ。

 

「それじゃあ、あなたは私たちのことについて詮索はしない。私たちは、あなたを襲ったりはしない。期間は、私たちの任務が終わるまで。ペナルティは私たちが裏切れば、私たち全員の命、あなたが裏切れば、ミッテルトにあなたを殺させる。それでいいかしら?」

『あぁ』

「いいよ」

「了解っす」

 

 そこから、僕たちはミッテルトを連れて家に帰った。

 

 

※※※

 

 

「なんすか、これ……」

 

 ミッテルトは僕らの家を見て呆然としていた。

 

「なにって、家だよ? 屋根と入るための扉があるから家でしょ?」

「地面を屋根と言い張る人間は世界中探してもあんただけっす!!」

「どんな素材であれ、屋根は屋根だよ。コンクリートだって元は地球からとれた素材で作られているんだから。僕のは地球そのものを利用しているだけで」

「普通の人間としての尊厳はないんすか!!」

「僕は定住できないからね。あと三年もすればまた、ここを出ていくつもりだし」

「今まではこの町にいなかったんすか?」

「うん。ちょっと前まではここの生地屋くらいにしか用がなかったからね」

「ふーん」

 

 ミッテルトは興味なさそうな反応をみせる。

 まあ、別にそれはいいんだけどね。

 

「それじゃあ、早いところ入ってきてよ。明日、僕学校あるから。もうそろそろ、寝ないといけないし」

「わかったっす……。そういえば、寝床とかお風呂とかはないんすか?」

「僕の作ったベッドがひとつあるからそこで寝なよ。僕は適当にハンモック作って、寝るから」

「あ、そこは一緒に寝たいとかないんすね」

「え、なんで?」

「うちみたいな美少女のエロエロな堕天使が目の前にいて性的興奮は覚えないって特殊ってことっす」

「エロエロ? どこが?」

「おい、なんすか、そのマジでわかんないって表情」

 

 ねぇ、ジグ。なんでミッテルト怒ってるの? 

 

『くっ……かは、ハァッ……』

「ジグ、ジーグー? なんで笑ってるのー?」

『かぁー、はっはっはっ。おいおい、童貞丸出しの男子高校生の覗きに注意しながら、おめぇ自身はそういうのは感じねぇってどんなギャグだっつーの……あぁーやべぇ、腹いてぇ……』

「このツチグモも大概失礼っすね! あーもう、わかったっす! うちの魅力をあんたら二人に教えてやるっす!!」

「ミッテルトー早く入ってー。それと、叫んだら、近所迷惑だから静かにしてねー」

 

 僕は家の穴から地上に顔を出して、ミッテルトに言う。

 今だぷりぷりと可愛らしく怒る姿に、ますますミッテルトが何に怒っているのかわからなくて困惑する。

 

「今行くっすよっ!」

 

 僕はミッテルトがこっちに向かってくるのを確認すると、奥の方に引っ込む。

 この穴蔵は僕一人で生活するようにしていたのでそこそこ小さい。そのため、実はミッテルトも入ってしまうと、狭くなってしまうけど、こう言うときの穴蔵のいいところは、掘れば拡張できると言う点だ。

 まあ、今日は半端なく眠いからしないけど、明日辺りにやろう。

 

 僕はハンモックを神器の糸で編み、作ると土壁に取り付ける。

 

「それじゃ、ミッテルト。おやすみ」

「ちょっと待てっす」

 

 僕はハンモックに横になり寝ようとするが、ミッテルトに声をかけられ、眠ることができなかった。

 

「もう、なに? 寝たいんだけど」

「不機嫌そうなとこ悪いっすけど、あんたもこっちの布団に入るっす」

 

 なぜか服を脱いで、下着姿のミッテルトが掛け布団を持ち上げ、手招きをしてくる。

 

「なんでさ。ほら、早く寝るよ」

「いいから、早く来るっす」

 

 どうやら、僕があっちの布団のなかで眠らないと寝かせてくれないようだ。

 はぁ、もう、ミッテルトは仕方ないなぁ……。

 

 僕は、彼女に言われた通り、彼女のいる布団に入り、目を瞑った。

 

 よし、これで寝よ……。

 

 僕がそう思うと、腕にほんの少し柔らかい感触が当たる。

 ここからの記憶は僕はよく覚えていない。ただ、なんか、ゆっくり眠っていたような気はする。

 

 

※※※

 

 

 うちは、討伐対象兼監視対象を同じ布団のなかに入れ、あえてその腕に抱きついてみた。

 

「もう、ミッテルトは仕方ないんだから」

 

 丹芽海樹、うちの知ってるなかで一番おかしい人間。

 人の身でありながら、うちと同じくらいの実力を持つ神器所有者。

 そんな男が、うちが抱きついた腕とは反対の手で、突然うちの頭をポンポンと軽く叩き、逆に体を包むかのように抱いた。

 

「はっ? ちょ、ちょ、ちょ、なにしてるんすか。うちの魅力を……」

『あきらめな。宿主の半分眠気に支配されていたのを無理やり起こしたのはおめぇだ。今の宿主は完全に無意識で、おめぇが寂しいから構ってほしいって思ってるぜ』

 

 うちが困惑しているとわざわざご丁寧なまでに、ご高説してくれるのが、ツチグモのジグ……らしい。

 らしい、というのは、丹芽海樹がよくジグ、ジグといっているからだ。

 

 神器と言うものには魔物が封印されているものもある。

 その一つである土蜘蛛の糸には、過去、日本の天皇制だったか、神武とかいう天皇に反逆だかやったやつが、神器に封印された存在らしい。

 

 うちのような末端だとどんなやつだか、調べはつかないけど、この土蜘蛛の糸の被害にあった人間は多くいるそうで、『総督』は現所有者がわかり次第、すぐに討伐命令を下している。

 今代の所有者であるこいつは歴代の所有者のなかで二番目に長命らしく、今年に入って討伐令が下された。

 

 という、バックボーンのあるどこにでもいる男子高校生になぜか、頭をなでられながら、すぅすぅと寝息を隣でたてられ、『うち、なんのためにこいつに接触したんだっけ?』と、感慨に浸っている。

 

「ジグ、だったっすか? こいつ、なんで、こんな、感じなんすか?」

『俺に聞くな。俺ぁ、こいつのこたぁ、長ぇこと見てきたけど、女と接触しているのぁ見んの初めて……いや、猫又の娘含めりゃ一応、二回目か』

「こいつ、異形以外と関わったことないんすか?」

『いや。こいつを襲ったことのあるなぁ、大体人間だよ。なかには女もいた。だがな、おめぇらみてぇなんは一人もいなかったぜ? あいつを攻撃して、拘束されたら自決。こんなんばっかだ。施設にいたときなんざ、施設に襲撃掛けて来たくせに、捕まったら捕まったで勝手に死にやがったしな。かっはは、こいつが定住しようとしねぇなぁそういったことがあるからなんだぜ?』

「人間ってのは、おかしいんすね。色々ずれてる」

『そうだぜ。こいつも、そうとうずれてんだかんな』

「そうっすね。さっきまで殺しあってたってのに、助けてこうやって同じベッドでねてるって、相当ずれてねぇと無理っすね」

『かっははは、どうだよ。俺の宿主様はよ』

「嫌いじゃねぇっすよ。ただ」

『ただ?』

 

 ──不安になるくらい、バカっす

 

 うちはそんなことを言って、目を瞑った。




今回の話でわかったと思いますが、ヒロイン:ミッテルトは割りと有力です。
ただ、正直、アンチくさくなっちゃいますけど、原作通りになってくれてもいいなぁって思っちゃってます。
まあ、次回は、ようやく、原作の変態さんのデート回になるので、話が進みますね。
いやぁ、一巻の内容に入るまで長かったぁ……(まだ、一巻分は終わってない)

それでは、また、次回、お会いしましょう。ばいちゃー
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