糸使いの高校生活   作:やまたむ

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遅くなってすまない。



第7話

 朝日が差し込む穴蔵にて、僕は下着姿のミッテルトを抱いている状態で目が覚めた。

 

「ふぁっ!? なにごと!?!?!?」

『宿主るっせーぞ。俺ぁあーぁ、二時間しか寝れてねぇんだ。もちっと黙ってろ』

「あ、ごめんジグ。とりあえず、服着てもらわないと。ミッテルトの服は……」

 

 僕はキョロキョロと辺りを見渡すが、一向に服がみつからない。

 

 くそ。仕方ない。

 僕は神器をだし、大量の糸を作り出すと、指先から布状に纏めあげる。

 

 そして、ミッテルトの体のサイズ(昨日の仙術治療中にジグを通して把握した)に合わせ白地のノースリーブのワンピースを作り、それを頭から着せてやった。

 高い位置でツインテールにしていたせいもあってか、髪をおろした時の印象が、少し変わっていて驚いたものの、結局はミッテルトなので、清楚っぽい印象から離れた単語の羅列で現実に引き返されるのだろう。

 

 さすがにごそごそとしていたので、ベッドの振動で起きてしまったのか、ミッテルトは体を起こし、目を擦りながら、現状の把握に努める。

 そして、ミッテルトが出した結論が、

 

「くらえっす!!」

 

 僕の頬を引っ張ることだった。

 

「なんれ!?」

「この超絶美少女堕天使ミッテルトを前に、興奮しないどころか子供扱いしたことに対する報復っす!! 悔いて詫びろ!!!!」

「なんれ!!!!!!??????」

『おめぇらうっさい!! こっちは寝るっつってんだろぅが!!』

 

 朝からガヤガヤとしていたせいか、意外と寝起きの悪いジグにガチのお叱りを受けてしまった。

 結局、僕らはそのあともガヤガヤとやりとりをし、ミッテルトは僕の作ったワンピースを気に入ってくれたのか、中々に上機嫌で穴蔵の外に出る。

 その時、服に土がつかなかったことに驚いていたが、汚れ防止用の魔法(ジグから教えてもらった)を使っていると説明すると、納得してくれた。

 

「んで、朝飯どうするんすか?」

「取りに行こうか」

「は?」

「取りに行こうか」

「聞こえなかったわけじゃないっす。意味がわからなかっただけっす」

「だから、山菜取りに出ようって話だよ?」

 

 僕がそう言うと、ミッテルトの顔が「はぁーーーーーーーーー???」みたいな感じになった。

 なんで朝から体力使うことを見たいに感じているようだが、そも、四畳一間程度の穴蔵に何を求めていると言うのだ。すべてに汚れ防止用の術式を組み込んだ製品しかないにも関わらず、高環境を求めすぎである。

 

「あんた、いや、もう、この際変なプライド捨てて名前で呼ぶっすけど。海樹あんた、バカじゃないっすか? いくらなんでも野宿で、飯もその場しのぎって……」

「定住したら襲撃されるから……」

「どこかの組織に後ろ楯になってもらえばいい話っしょ。うちらには無理っすけど、魔法使いの協会とか、妖怪とかの集団に行けば」

「そのどっちからも襲撃されたのに?」

「…………」

 

 僕の発言で、ミッテルトは黙った。

 

「そういうこと。まあ、一応アパートとかに住んだことはあるけど、立ち退き要求されたしね。理由の説明もなしに……ま、そのあと襲撃されて、『そういうことかぁ……』ってなったけどね」

「うちが襲ったこと、恨んでるっすか?」

 

 なぜか、ミッテルトは暗い顔をし、僕におそるおそるたずねる。

 

「ん?? なんで?」

「だって、うち、事情とか全く考えてなかったっすし」

「別に、それで正解じゃない? 人殺すのに事情とか考えたら情に絆されるわけだしさ」

 

 僕がそんなことをいったら、みるみるうちにミッテルトの顔はよくなり、僕の知ってるミッテルトになってきた。

 

「それもそうすっね。殺害対象に情を抱くなんてうちらしくないっす。感謝するっすよ、海樹」

「その恩に報いる感じで、トップに掛け合って、僕の討伐命令取り下げてもらえない?」

「残念っすけど、うちにはそんな権限も権力もないので、無理っす」

 

 僕が「だよねー」というと、ミッテルトは「けど」といって、僕の目を見る。

 

「海樹がどんなやつか、どういった背景を持っているのかくらいは纏めては報告することは可能っす。今回の任務が終わったら、神の子を見張る者(グリゴリ)の上司に報告しておくっす」

「ほんとに!? ありがとうミッテルト!!」

「へへへ、期待させることをいっておいてなんすけど、結局は上の判断なんで、監視は入るかもしれないっすよ?」

「いいよ、監視くらい。常に命を狙われるリスクと天秤にかけたらすぐわかることじゃん」

「まだ、決まった訳じゃないのに、そんなに喜ぶとは思ってなかったす」

『今までは話聞かねぇやつくらいしかいなかったから、しょーがねぇだろ』

「誰一人として話聞かないってのもおかしな話っすけどね」

 

 それもそうだけど、本当にそうだったから困るんだよなぁ……。

 まあ、そんなことより山菜採りだ。

 僕は神器をだすと、糸でいつもより大きめの円盤を作り、それに乗る。

 

「それじゃぁ、ミッテルト。山まで飛ぶよ」

「山菜採りはガチだったんすね……」

 

 ミッテルトは落胆するような声を出すものの、円盤の上に乗り、ペタンと座った。

 

「あれ? 僕座るとこなくない?」

「うちの膝でもいいっすよ。それともうちは普通に飛んでついていった方がいいっすか?」

「いや、いいよ。僕はたっておくから。それじゃ、ジグお願い」

『あいよ。神器のオーラでも使っか……』

 

 ジグは『ふわぁーぁ』とあくびをして一瞬で円盤を上空へと浮かび上がらせる。

 その勢いに、ミッテルトは驚き、僕の足をつかんできた。僕は神器から予め手前に棒を作っておいたので、それをつかんでバランスを取る。

 

「ジグ、今日は少し遅めで。ミッテルトが慣れてないし」

『あいよー』

 

 ジグはいつもと変わらない速度で山に飛ぼうとしていたので、先に注意しておいた。が、ジグは寝ぼけているのか、ジェット機の三倍くらいの速度をだし、山に向かって飛ぶ。

 

「バカーーーー!! 妖人化してない僕のことも考えろーー!!」

『かっははは、そういや、そうだったな。忘れてたぜ』

「────っ! ──────っ!」

 

 僕は速度が出るとすぐに足元の糸をミッテルトと僕の体の固定に使い、抗議する僕に楽しそうに笑うジグ。

 ミッテルトは声にならない叫び声で何か伝えようとしてくる。

 まあ、そうこうしているうちに、目的地に到着し、さすがに着地時に問題にならないよう、ゆっくりと円盤を降下させる。

 

「ゼーハーゼーゼー」

「ミッテルト大丈夫?」

「なんで、あんたは平気そうなんすか……。飛行機以上の速度を全身で体験したくせに、人間の肉体だっていってたくせに」

「僕の場合、糸で何とか固定してたし、飛んでくるごみとかは、ジグが糸で落としてくれてたから。あと、空気抵抗とかは、耐熱、対摩耗仕様の糸で編んでたから」

「だからと言って、あの速度下で言語発せれるのは、おかしいっす」

「たぶん肺が妖怪のそれになってるのが影響してるのかも?」

「なんで確信ないんすか」

「いや、肺が妖怪になってても、体の表面は人間だから、関係ないとも言えなくはないし……」

『んなの、宿主が妖怪に近くなったってだけだろ、普通。それも、毎日っていっていいほど、この風、受けてんだ体もそれに合わせて変わるっつーもんよ』

 

 僕とミッテルトは、ジグの理屈に何とか納得し、山菜を採取し始める。

 ちょくちょく、毒キノコを拾うミッテルトにはあきれてしまったけど、ワイワイとやる山菜摘みは一人でやるときよりも楽しい時間だった。

 

 あっという間にカゴいっぱいの山菜が集まり、今日のお昼用にもちょうど良い量が集まった。

 僕たちはキャンプにちょうど良い川の近くに行き、山菜を鍋にいれ、水で洗うと、適当に集めた枯れ枝を一ヶ所に集め、火を起こす。

 

「それじゃぁ、ミッテルトは軽く湯がきながら待ってて」

「なにするつもりっすか?」

「ちょっと、一般人対策をね」

 

 僕は神器をミッテルトに見せて、手を降ってから山の奥へと、入っていく。

 人が入ってきたら大変だから、先に関知できる結界を糸で作っておくのは結構重用だったりする。

 

 

「ジグ。妖人化お願い」

 

 僕がそう言うも、ジグは妖力を送ってこなかった。

 

「ジグ?」

『やめときな宿主』

「どういうこと? 僕にもわかるように説明してよ?」

 

 僕はさすがにジグのこの態度はおかしいと思い、尋ねる。

 すると、大きなため息をついていった。

 

『妖人化ってなぁ、人間の時のオーラに無理やり妖力を合わせて半人半妖のような状態を、人間のまますることってなぁ、わかってるよな?』

「さすがにね。僕だってそこまでバカじゃないよ?」

『なら、人間のオーラってのが今のおめぇにどれくらい残ってると思う? 普段通りか? それとも、普段より多いか? んなわきゃねぇだろ。妖仙化だけで消耗した……いや、削った人間としてのオーラは回復なんざねぇ。オーラの強度を高めるこたぁできると思うがな。だが、てめぇは、オーラの強度がそんな高くねぇ。だから、妖仙化のときに寿命をなくしたんだ』

 

 長々と説明されるので、ある程度要約すると、オーラが弱すぎるせいで、ジグの妖力に耐えきれなくって、寿命を削ってるってことらしい。

 

『んで、普段の妖人化、第零形態なら別段問題はねぇ。妖力の比率を極限まで低めてやってれば良いからな。だが、同じもしくはそれ以上になる第一、第二形態は、第一形態は持って四回、第二形態は運が良くて二回までだ』

「つまり?」

『貴重な残り四回の妖人化をこんな下らねぇとこで消費すんじゃねぇってこった』

「なるほど……。それじゃあ、どうする? 普段みたいにできないってなると」

『神器のオーラを糸に使えるようになるこったな。俺ぁヒントなんざ与えねぇけど』

 

 要するに、強くなれってことか……。

 普段は、ふざけたような妖怪だけどこう言うときには、ちゃんとアドヴァイスしてくれるんだから、親切なところがある。

 

「でも、そっか……妖人化は残り四回……現状、誰かと戦うわけにもいかない……か」

『そういうこったな。おめぇたまに死に急ぐことがあっから、気ぃつけろよ』

「うん。今までジグに頼りっぱなしだったところを僕ができるようになれば良いってことだもんね」

『わかってんじゃねぇか』

 

 ジグがそういうと、僕は神器のオーラって言うのを感知しようとした。




今回も中途半端なところで終わりましたが、安心してください。執筆中です。

そして、いまだ一巻から抜け出せず、一誠のデート回もいまだかけていない所存です。
一人のキャラクターに対する深堀はこのタイミングだと早すぎたかなぁ……。
まあ、今回は、リスクなしで今後強化形態を使えないキャラクターとして海樹を書いていく上で必要なことだったというのと、なんでそのフォームのまま戦うの?っていう理由付け回みたいな感じの位置付けです。

そして、ジグさん。あんた海樹くんに肩入れしすぎやでぇ。そういうとこ嫌いじゃないけど。

それでは、また、次回、お会いしましょう。さよなら。
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