もしも次席がこんな奴なら   作:さろなく

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その名の通り


二日目

自分の部屋でいつものように朝を迎える。

カーテンを開けて、暖かい日差しが入ると寝ぼけてる身体と頭によく染みる。勿論、いい意味でだ。

 

自分の部屋から出て、親に挨拶する。ぶっちゃけ俺はそこまで親が好きではない。俺がいる時はほとんど事務的な会話しかしないからである。まぁ外食とか普通に会話はしなくは無いが、どうも好きになれなかった。

 

目玉焼きを作り、冷凍した唐揚げを温め、炊いてあるご飯に乗っける。これが俺の大体の朝飯。

軽く10分位で食べ終わると親に「御馳走様」とだけ伝えて、自室で着替えと準備をする。

 

お守り代わりのシルバー・ホーンを鞄に入れ、家から出ていく。たったの二日目だというのに、行く気があまり出なかった。ろくな事が起こらない、第六感がそう告げている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廊下でくっちゃべってる奴らを無視しながら、1年A組の教室の中に入り、自分の席の位置を確認する。

まぁ周りが五月蝿い奴じゃなけりゃいいな、と思いながら自分の席に行こうとした………が。

 

 

 

俺の隣が司波深雪だったのである。いや待て。こういうのって確か基本出席番号順だよな?アイツが「し」から始まるのに対して俺は「ま」から始まる。

これ絶対学校側が図っただろ。とりあえずバラけました感は出てたものの、一瞬で憂鬱になった。

 

だが唯一の救いは、まだ司波が来てない事である。これはまたと無いチャンスである。べ、別にこ、怖いとか、そそ、そんなんじゃ無いんだからね!

嘘ですめっちゃ怖いです。

とりあえず寝てるか。寝ればきっと無視してくれる筈だから…………、、、、多分。

 

 

 

結果から言うと駄目でした。寝てる所を起こされ、お互い軽い自己紹介して、雑談する事になった。

いやまぁ、見た目はいい方だと思う。腹の中は知らんけど。肝心なのはあれがブラコンモードを発動させてないという事である。発動させてたら間違いなく俺は精神的に死ぬ。(色んな意味で)

 

そして俺の精神に更に畳み掛けてくるのが、他の男子からの嫉妬の視線である。

会話しててめっちゃ見てくるもん。視線だけで

「うわなんでこんな奴が主席の隣なの?」って訴えてきてるんだもん。本当に宜しくない。

なんならそいつらにこの場所を譲ってやりたいまでである。醜い嫉妬をドストレートにぶつけて何が楽しいんだか俺には分からない。

 

だが、以前と比べたら遥かに平和だ。望み過ぎちゃいけないのは自分が1番良く知っているのだし、なんなら寧ろ良いぐらいなのだろう。こんな平凡な日々が続いて欲しい。そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はクラスで基本誰とも喋らず、単独で過ごしたいのでなるべく早く行動していた……が時にそれが不幸を招く事があるとは思っていた。

 

少し覗いて見ると、どうやら一科生とニ科生で揉めているようだが、司波深雪の取り合い合戦らしい。

 

「全く、馬鹿馬鹿しい……」

思わず小声で呟いてしまった声は、聞両陣営に聞こえてしまっていたらしい。

 

「おい!いきなりしゃしゃり出てくるな!これは僕たちの問題だ!口出しするな!」

 

「馬鹿騒ぎしてるお前ら全員馬鹿馬鹿しいんだよ。せめてやるんだったら場所とか周りを見ろ。少なくともそんなのも見えてないのに一科生語るんじゃねぇよ」

 

「うるさい!他のクラス、ましてやウィードごときが僕たちブルームに口出しするな!」

 

そう言うといきなりCADを取り出して、俺達に攻撃しようとしてきやがった。全く……俺の平穏を邪魔するならどんな奴でも許さない、があくまでここは学校。どうせ直ぐに生徒会が来るから、余計な事はしない。これがもし校外なら容赦なくやっていたけど。

 

 

「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に、犯罪行為ですよ!」

 

ほらな。直ぐにお仕事してくれる生徒会マジすげぇ。というこれ俺巻き込まれるんじゃね?

 

「あなた達、1-Aと1-Eの生徒ね。事情を聞きます。ついて来なさい」

 

 

ほらね、こうなるから嫌だったんだ。なら最初っから関わるなって話なんだけど、流石に五月蝿いもんだから。つい首を突っ込んでしまった。これは昔からの悪い癖だった、よろしくない。

 

「すみません、悪ふざけが過ぎました」

 

「悪ふざけ?」

 

そこからの達也のいいくるめは凄かった。俺からも拍手を贈りたい程には完璧だった。その後の答弁にも矛盾点の1つも無く、答えきって見せた。

 

「生徒同士で教え合う事が禁止されている訳ではありませんが、魔法の行使は、起動するだけでも細かな制限があります。このことは1学期の内の授業で教わる内容です。魔法の発動を伴う自習活動は、それまで控えた方がいいでしょうね」

 

こりゃ確信犯だなぁ……。絶対に分かってる上で言って尚かつお咎め無し。やっぱ関わるべきでは無かった…。

 

 

「……会長がこう仰られていることでもあるし、今回は不問にします。以後このようなことの無いように」

 

俺達は慌てて姿勢を正し、呉越同舟ながら一斉に頭を下げたが、見向きもせずに踵を返していった……と思いきや、一歩踏み出した所で足を止め、振り返り俺と達也を指差した。

 

「君たちの名前は?」

 

「一年E組、司波達也です」

 

「一年A組、禍幽葉です」

 

「覚えておこう」

 

結構ですと言いたくなったが、必死に抑えた。

 

 

「……借りだなんて思わないからな」

 

「貸してるなんて思ってないから安心しろよ。決め手になったのは深雪の誠意だからな」

 

「お兄様ときたら、言い負かすのは得意でも、説得するのは苦手なんですから」

 

「違いない」

 

「僕はお前たち2人を認めないぞ。司波達也、禍幽葉。司波さんは僕たちといるべきなんだ」

 

捨て台詞を吐いて行った………森なんちゃらだっけ?忘れたけど行っちゃったからまぁいいや。

 

「随分と独占欲の強い一科生だな。同じ一科生として恥としか思えないぜ」

 

「ところで、あなたは?」

 

「生徒会に指差された時にも言ったが、1年A組の禍幽葉だ。アイツは気付いて無かったが、俺とアイツ、そして司波深雪とは同じクラスだ。今後関わる事は無いだろうから名前は覚えてなくていい、が今度からは場所と周りを良く考えてから討論してくれ。五月蝿いのと馬鹿馬鹿しさでついイラッとしてしまった。じゃあな」

 

俺は足早にその場を立ち去り、家に帰る事にした。やはり司波家は怪しい。じゃなきゃあそこまで、完璧な嘘を瞬時に吐ける訳が無い。きっと何か言えない秘密がありそうだと、思わせるような一日だった。

 




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