ったく、やってられるかバーカ。なんでわざわざ風紀委員なんてやらなくちゃいけないんだよ。なんとか回避出来たからいいものの、これで俺を選んでたら速攻でキレてた。
この学校、エリートじゃなくても才能がある奴多いんだからそいつらが暴れたら俺なんぞモブキャラ中の雑魚でしかない。なんなら地面に潜ってやり過ごしたい。だからこその威厳ある風紀委員ではあるが、面倒なので嫌だ。寧ろ風評被害に合いそうである。
「いつまでCADの調整をしてるんだ?はよ寝んか」
「あともう少しで終わるから」
口だけはデカイ親父がいきなり言ってくる。現在俺はCADの調整をしているのだが、今日の戦闘だって案外反応が良くない感じがしたから、わざわざ睡眠時間を削って調整をしているのだ。こういう長く使う物はこまめに確認しないと、いざという時に困るのは自分だ。まぁ片目見えないせいでやりずらいけど。いい加減義眼取り付けようかね……。
実際俺のCADは両親が特注したという事もあり、わざわざ説明書やら修理用の中々手に入らないパーツとかもキレイに納入されてる。そのおかけであまり器用ではない俺でもある程度説明書を読めば修理出来るようにされてる。マジ感謝の極みである。
因みにだが、俺は独学の中で実戦では如何に相手より早く魔法を発動させるか、というのが勝利への第一だと俺は思っている。どんな貧弱な魔法であろうと、早く発動出来るというアドバンテージが自分に自信として付く。徒競走もどれだけ相手より一歩目を大きく遠くに踏み出せるかというポイントが大事になってくるのと同じ考え方である。
しかし、相手が油断しているなら話は変わってくる。実際今日だって服部先輩が油断してたから先手で上手く発動出来たが、あれがもし容赦ない冷酷な奴だったら俺は負けていた可能性だってある。
だからこそこうやって、こまめに調整やら修理をやって実戦の時に困らないようにしているのである。
真剣勝負、なんて覚悟じゃ生き残れない。自分を守る為には、相手を殺すだけの覚悟がいる。俺はあくまで自分を守る為に戦う。自分一人だけを必死に守るだけである。クズと思う奴だっているだろう。酷いと思う奴もいるだろう。
しかし俺は自己中で生き残る。この理不尽な世界で仲間や親なんて一々考えたくない。それが俺にとっては枷でしかないからだ。所詮仲間なんていつ裏切ってくるかなんて分からない。それなら最初から要らない。
……おっと、危うくミスる所だった。色んな事を考えながら作業するってのはやっぱり良くないな。効率も調整も駄目になってしまう。ここはやり直しだな。
◆◆◆
「さて、とこれで終わりか」
調整が終わった俺は、一人ソファでぐったりしていた。やっぱ集中してると体中が痛い。首を回すと、ゴギゴギっと大きい音が立つ。これ身体大丈夫かなぁ…?
あ、これ案外大丈夫だわ。なんとかなる。
ピンポーン!ピンポーン!
…ん?おい待て今何時だと思っている。今確認したけどもうすぐ夜中の12時半になるぞ!?まぁ出ない訳にはいかないから窓から玄関を覗いてみると……誰?女性っぽいが、両親の知り合いにあんな感じの方って居たか?
とりあえず怖いが、出てみるか……。念の為シルバー・ホーンだけは持ってくか。もし襲われた時に丸腰、なんて最悪だからな。
さて、吉と出てくれよ……?
〜玄関前〜
うぇ〜、案外怖いもんだ……。わざわざ得体の知れない何かに会う為に玄関に行かなきゃ行けないなんて、まったく今日は厄日だぜ。まだ始まったばっかだけど。
「はーい…今開けます」
ガチャ
「あ、あの……禍幽葉君の家で合ってますか?」
「はい、そうです。というか私ですが…誰ですか?」
「そっか…やっぱりもう覚えてないよね。6年以上前の事なんて」
6年前……。つまり大体小6辺りか?俺が適正検査受けて段々とイジメられるようになってきた位な筈。むしろその記憶しかない。何かやらかしたとしても、どうせあの頃は何も反応しなかっただろうし…。
「えと、あまり覚えて居ないんだが……」
「そう……ですね。改めまして、私は魔法科第一高校の1年A組の比之咲歩です。宜しくお願いします。……というか同じクラスなのに気づいて無かったんですか?」
「すまん、あの時ほぼ全員聞いてなかった。それで、俺に対して何の用事があるんだ?」
「あの時に出来なかった謝罪をしないといけない思って、会いに来ました」
……?誰か説明してくれ。
「えぇっと…?なんで俺に謝罪?」
「小学校の頃、魔法適性検査を受けたのは覚えてる?」
「ああ、2度と忘れられない黒歴史だ」
「貴方は魔法が使えるという理由でイジメを受けた。なのに私は魔法が使えるのに周りから褒められた。そんな貴方に対して、私は何も出来なかった」
「……その事をわざわざ数年越しに謝りに来たのか。ならもう忘れてくれ。所詮魔法が使えないだけで嫉妬してくる馬鹿としか思って無かったから」
「でも…「でもも何も無ぇよ。どうせこの高校では魔法が普通なんだ。過去なんて消して今を求める方が楽だしな。寧ろあの程度の事で謝られたら俺は困る」
何故困るかって?何も悪く無い人が謝るのは見てて胸糞悪いからだ。
「分かりました。夜遅くお邪魔しました」
そう言って、比之咲は帰って行った。しかし彼女の去り際にうっすらと涙が見えたような気がした。
これは本編だとside達也の部分なんですが、あくまで次席君メインなんで今回はこういうカタチになりました。
そしてこの作品のオリキャラである比之咲さんが登場。オリキャラはあともう1人出す予定です。
ではまた次回。