アリアンロッド2E×エミル・クロニクル・オンライン リプレイ 作:とあるGM
第3回ECOAR2Eキョワ卓『アンデッド・コネクション』
◆オープニングフェイズ
●シーン1:酒場
ギルド設立後、ある日のこと。ファーイーストシティにある酒場でひと時の休日をのんびり過ごしているCHUN商会の三人に突然の取引依頼が舞い込んできた。
依頼状の手紙を読むと、『取引希望。"特別な銀のイヤリング"を見つけて下さい。報酬は私の国の財宝です』とだけ書いてあった。
取引場所は商人がまず立ち寄らず、今となっては冒険者の修行の場であるアンデッド城。
その冒険者すら入るのを躊躇する城内部の応接間。いたずらとしか思えない報酬、そして取引場所。
何とも怪しい内容である。
十中八九いたずらだろうと話をしていると、「最近誰かがアンデッド城に住み着いている」と酒場のマスターからの噂を耳にする。
「以前は冒険者の修行場として有名だったんだがな。今はなぜかアンデッドが大人しいとの噂だ」
どうやら商会が手にしている情報は少し古いものだったらしく、この頃冒険者もアンデッドに戦いの意思がないとのことで立ち寄らなくなっているらしい。
とはいえ、戦いを挑めば反撃はしてくるので、面白半分で向かって謎の射撃、恐らくアンデッド城に潜むモンスターにより追い返されることが多く、狙撃手の姿が見えないことから戦いにすらならないと文句を言う冒険者もいるとか。
取引自体は怪しいが、その真意を確かめるためにもまずは向かう必要がある。
「アンデッド城、お化けがたくさんいるのかな!」
わくわくとした表情で目を輝かせるアルン。
「装備を整えたいブーン」
「もちろん、場所が怪しすぎる。準備はしっかりとしておこう」
戦いになる可能性も想定し、古くなった装備の更新、手入れや必要になるだろう道具を選別。
一商人であると同時、冒険者として挑む体制を整える。
そうして面々はファーイーストシティを離れ、その東に位置するアンデッド城へ向かった。
◆ミドルフェイズ
●シーン1:アンデッド城入口
アンデッド城のある場所にはかつて国が栄えていた。
一体何が起きたのか、その国は滅び今では亡き過去の産物と化している。
そんな暗くじめじめとした場所を好んでアンデッドが住み着き、今に至る。
以前はここにもクエスト出張の人員がおり、冒険者へクエストを斡旋していた。
それもアンデッドが大人しくなってからは需要がなくなり、完全に町へ撤退してしまっている。
辺りは静かで人の気配はない。
それも当たり前か。アンデッド城とはいえ、現在の時刻は昼である。
アンデッドたちも真昼間から出歩きはしないだろう。
以前は昼でも出歩いているアンデッドがいたらしいが、現在その姿は確認できなかった。
「誰もいないねー」
「さて、到着したが……依頼主は応接間にいるらしい」
「人が住んでるの!?」
「酒場のマスターの噂では、最近誰かが出入りしているらしい」
「入る前に外周を見たいブーン」
どうやらすっかりその情報が頭から抜け落ちていたようで、言われてやっと「そう言えばマスターが言ってたな!」とアルンは思い出す。
にしこくんは何故かいつもより好奇心が高く、城の周り全てをぐるっと見回ってきた。
入り口は二つ、正門、裏門を発見した。それと閉ざされた扉があったが関係ないだろうと無視することにした。
にしこくんは念のため、モンスターの気配を探った。
すると城外、城内からかすかに何かの物音が聞こえるのが分かる。
「どうだったー?」
「かすかに音がするブーン」
「そうだな、入り口は二つあったが、どちらからいくか?」
「行くブーン」
「正面突破でお邪魔しない?」
「素直にお招きされるブーン」
「そうだな。普通に入ろう」
依頼主が応接間にいるとの情報から、正面突破が正解だと思うアルンが進言する。
CHUNとにしこくんも商人ならばこそこそとしないで玄関から入るのがマナーだと素直にお招きに応じることにした。
●シーン2:城内
昼間だからか、中は思ったよりも明るい。
視界が晴れていて小綺麗に纏まっており、中を進むのに問題はなさそうだ。
周囲には古びた絵画、箪笥などがある。
奥には二階に続く階段がある。
アルンは絵画に目を凝らして一生懸命鑑定してみる。
美しい女性が描かれており、古いが力を感じる絵だ。
しかし分かったのはそれだけで、美術品や骨董品として幾らくらいの値段になるか、その価値を完全には把握できなかった。
「この絵の人綺麗……」
「主はお金持ちなのかな……古びているが良いものがあるな」
「良いものブーン」
流石は商会の頭。
CHUNにはこの価値が分かるようで、それはにしこくんも同様だった。
年若いアルンには流石に荷が重すぎたか、もっと目利きを磨かなければ。
少し嫌な予感が拭えないにしこくんは辺りを警戒しながら進む。
にしこくんの体がバイブレーション機能でもついているかのように振動した。
「にしこくんどうかした?」
アルンぷるぷる震えているにしこくんを見て怪訝な表情をする。
にしこくんはきょろきょろと辺りを見回し、それが気になったアルンも同じく周りを見渡す。
とは言え、アルンの場合は警戒ではなく興味心から来るものだった。
「箪笥気になるブーン」
「お化けさんいるかも!」
アルンはとてとてと走り出し、にしこくんが気になると言った箪笥に手をかける。
それを見ていたCHUNがやれやれといった表情で頭に手を当て呟いた。
「もし人が住んでいたら目も当てられないな……」
人の物を勝手に漁ろうとする行為はまるで泥棒だ。
元よりこのアンデッド城はダンジョンとして冒険者に使われていたようだし、中身に物など無いだろう。
そう思いつつも気になるものは仕方がない。アルンは箪笥を開けようとするも、朽ち果てていて中々開かない。
ふと過去の取引経験を思い出し、箪笥の構造を調べてみると鍵がついていることが分かった。
CHUNの所持しているシーフズツールを使えば開くかもしれない。
「パパー、この箪笥鍵がついてるー」
「おっ、パパあけちゃうぞー。よーーーし!」
目も当てられないと言ってたのはどこの誰だったか。
どうせ元はダンジョンだと言う事で頭を切り替えたのだろう。
カチャカチャと慣れた手つきで鍵を開ける姿はまるで盗賊だ。
にしこくんは罠を警戒し魔法攻撃の撃てる距離にさりげなく移動している。
アルンもそれを真似て後方二〇メートルまで退避した。
CHUNは箪笥の中からどこかの鍵を手に入れた。
「おー! カギだー! どこのだろ?」
警戒を解いたアルンは近づいてその鍵をまじまじと見つめる。
その時、CHUNは何かを感知した。
「ん、何か鍵を取ってから気配がするような……? 上から何か来るぞ」
「ほう、敵か。某の杖で殴り殺してくれよう」
CHUNに応じてアルンがスタッフを構える。
階段の方からコツ、コツ、と言う足音と共に一体の骸骨が現れた。
それは冒険者に殴られ過ぎて朽ち果てた可哀そうなスケルトン。
CHUNたちとの距離は一〇メートルある。
「ぱぱー、出汁とって?」
ゆっくりと近づいてくるスケルトン。その間合いにCHUNが入りナイフを滑らせる。
「おせぇ!」
骨の一部が砕かれ足元から崩れ落ちそうになるもまだ立っている。
その後方からさらにもう一体のスケルトンが現れる。
にしこくんは其方の方に向かい魔法を放つ。
CHUN同様に攻撃を当てられると思うも、命中の瞬間スケルトンの動きが加速した。
「軽やかに躱した!?」
「機敏なやつだ」
驚きつつもアルンはCHUNにインボークによる祝福を与える。
これによりCHUNの回避行動が成功しやすくなった。
「よけるぜぇぇぇぇぇ」
そんなCHUNの元にスケルトンが殴りかかる。
CHUNの動きは通常の状態よりも回避に特化した状態だ。
それでも、スケルトンの機敏な行動に捉えられ打撃を受けてしまう。
「あっ」
声が漏れた時には既に遅く、スケルトンの攻撃が放たれる。
そのギリギリの間合いを見計らってアルンによるプロテクション。
スケルトンの二体目がその隙を狙いCHUNを狙う。
二度も連続で食らう訳にはいかないと、CHUNはその攻撃を回避、二体が纏まっているところ目掛けワイドアタックによる斬撃を放ち両方の足を切り崩す。
流石のスケルトンも足を失えばその場に落ちる。あとは骨を砕くだけだ。
「意外としぶとい骨だった……」
一汗拭いながらCHUNが呟く。
「ほーねっ、ほーねっ!」
アルンは嬉々とした表情で崩れた骨に近づくと、その亡骸を漁る。
それぞれ二〇ゴールドほどの価値がある骨を手に入れた。
アルンはわくわくした表情で骨が来た方に行こうと提案する。
にしこくんはCHUNが鍵を入手したことから、近くに鍵穴が無いかを探すが、この辺りにはないようだ。
立ち止まっていても仕方がないので、そのまま階段を登っていく。
二階に上がってすぐのところに部屋があり、女性がいる。
CHUNたちは応接間へと辿り着いた。
「はろーはろー、ないすてゅーみーてゅーあいあむぱーふぇくとぴぃまん」
「みーとぅー」
アルンとにしこくんが何とも言えない挨拶をした。
目を常に瞑っている女性が微笑み返す。
「お待ちしておりました。依頼主のリアンです。私の宝物、銀のイヤリングをアンデッドたちが持ち出してしまったのです。左右二つ集めて来て下さい。最近はアンデッドたちも何故か大人しかったのですが」
「イヤリング? どのあたりでなくしたのー?」
「イヤリングは過去に何度も無くし、情けないことにその都度に冒険者に探してもらっていました」
「へー」
「冒険者はいつもなくす私に対して面倒になりどこかの絵の裏によく落ちている場所をメモしていたようです」
その話を聞きながらアルンは笑顔、可愛いエモーション、からのキョワ顔をした。
にしこくんは正座する。
「居座った!?」
依頼人の前だと言うのに好き勝手する商会メンバーに呆れ顔のCHUN。
アルンはキョワ顔を止めると悪徳商人のような笑みを浮かべる。
「それで、報酬は幾ら出せるのかな? かな?」
「報酬はイヤリングを受け取ってから最低でも五〇〇出します」
「五〇〇ゴールドあれば肉が大量に買える! そういえばさっき骨が襲ってきたけどあれはあなたが仕向けたもの?」
「いえ、私も大人しかったアンデッドの動きが最近活発になって困っているのです。アンデッドが活発だった頃はよく寝室に隠れてすごしていました」
三人は報酬金額に納得し依頼を受けることにした。
先の戦闘もあり腹が減った。そこでリアンに断ってアルンが持ち込んでいた干し肉や野菜、果実をお昼にし休憩を取る。
休み終え探索再開。
一度戻り絵を探しその裏を確かめる。
罠はないだろうと踏んでそのまま絵に手を伸ばすが、アルンの身長では足りず下の方に触ることしかできない。
「ぱぱー、高い高いしてー」
「乗らなくても届くよ」
「さっすがー」
CHUNが手を伸ばし絵を取ろうとし、すかさず回避する。
にしこくんが突っ込んできた。そのまま壁に衝突する。
「いや俺がとるって……あらら」
絵がガタンと音を立てて落下。
結果として絵は取れた。にしこくんの頭にぶつかることもなかった。
そう思ったのもつかの間、にしこくんの頭上に冒険者が仕掛けたと思われるタライが降ってきた。
にしこくんはリアクション芸人の余裕を持ってタライを受け、バタンを倒れる。
「にしこおおおおおお!」
「にしこくうううううん!」
絵は床に乱雑に転がった。
CHUNがにしこくんの名を叫びながら、ころころとのたうち回るにしこくんを足蹴にした。
アルンは二人を気にせず絵を拾い上げ裏を見る。
絵の裏には『2F壁、地下の床』と書かれている。
二階は先ほどリアンがいた部屋のことだろう。
地下はアンデッド城を訪れた際ににしこくんが外周を回って発見した裏口か。
壁はいつでも探せるので、まずは地下に行くことにし、一度全員外に出る。
外はまだ明るく太陽は真上にあった。
「わーい」
アルンは先頭を走り地下へ突撃する。
それに対してにしこくんが慎重に進んだ。
支援職であるアルンが何故先に突撃するのか。自ら肉壁になる覚悟だ。
裏口を潜るとすぐに階段があり、そこまで暗くもなかった。
進んだところでアルンはモンスターの気配を察知、相手にはまだ感づかれていない。
「敵襲! てきしゅうぅううっ!!」
気付かれていないのに叫んだ。阿呆だ。
それでも敵はまだ気づいていない模様。そこで陰からこっそり相手の出方を見る。
先ほどサンドバッグにしたスケルトンが一体いた。
「さっきの敵かぁ。奇襲なら攻撃はあたるかもしれない」
殴りかかるべきか検討を重ねた結果、無用な戦闘は避けるべきとクローキングでこっそりと地下奥へ進むことに。
「静かに行くブーン」
「静かに行くブーン」
アルンがにしこくんの真似をする。
静かに進んでいると、鉄格子を発見、そこに鍵穴があった。
「ん。鍵が掛かっているな?」
「パパー、さっきの鍵かな?」
カギを指してみると、がっちりかみ合った。
「おっ、鍵が合うな。使うか?」
「使うブーン」
CHUNは鍵を使って鉄格子を開けた。
すると奥からコツ、コツと足音がする。
まさかまたスケルトンがと警戒していると、現れたのは可愛らしい背の小さな軍服のようなものを纏った少女だった。
「おや、こんなところで珍しい。私はすけしゅというものだ。貴方達は?」
「すけさん? すけすけ?」
アルンは警戒する。
鍵が掛かっていたのに中に人がいるなんて怪しすぎる。
「すけさん、中々良いな。呼んでくれてもかまわないぞ」
「我こそは踊り狂う暴風! にしこくんブーン!!」
すけしゅに続いてにしこくんも名乗りを上げた。
「おや、鉄格子が開いているじゃないか!」
開いた鉄格子を見ながらそんな声を上げるすけしゅを、アルンは名乗ることなく問い詰める。
「こんな場所で何をしているの?」
「私は冒険者だが、不覚にもあいつら……ああいや、アンデッドたちに閉じ込められてしまってね。どうやらわたし……じゃなかった、親玉がいるらしい」
「親玉があなた?」
その訂正を見逃さなかったアルンがさらに問い詰める。
すけしゅは微妙な表情をしながら答えを返す。
「ははは、信じてくれないだろうが昔はそうだったのさ。アンデッドをまとめていた者だったのだが、最近不審な輩がいてね」
「あなたは悪い人なの?」
「私の今の本業はアクロポリス内部にある人材発掘ギルドの一員だ。私が離れている間にアンデッドたちの動きがおかしいと知り合いから聞いて調査にきていてこの様ってわけさ」
警戒しつつ後ずさりながらにしこくんを盾にするようにその後ろへ隠れる。
最悪にしこくんを投射するつもりだ。
元々肉壁であるにしこくんは壁にされたことも気にせず代わりに問いかける。
「親玉を倒したら、配下のアンデッドを統率できるブーン?」
「元は私の友……知り合いばかりだからな。大人しくするように言い聞かせることは簡単だな。親玉はドミニオン・マリシャスというらしい。昔も巣くってた奴だ」
「親玉倒すブーン!」
「親玉を倒してくれるのか!私も付いていかせてくれ」
にしこくんとすけしゅがやり取りをしている間にアルンは床を調べた。
銀のイヤリングの右側を手に入れた。あとは左だけ、二階に戻って壁を調べれば依頼完了。
別に親玉を倒す必要はないが……
すけしゅは熟練の冒険者の風貌をしている。CHUNよりも圧倒的に強いだろう。
信頼のおける人物かどうか、よくその姿を観察する。
そこでアルンは思い出す。以前アップタウンで買い物の途中、この少女を見かけたことがあり、ギルド関係者と会話していたことを。
ここは疑いの目から外し、仲間にしておいた方が良いだろう。
「これからよろしくねっ!」
「ああ、よろしく頼むよ」
警戒が解けたことで一安心し、すけしゅは一時的にCHUNたちのパーティーに加わった。
地下にもう用事はない。
戻るべく進んでいると、さっき見かけたサンドバッグスケルトンが歩いてきた。
すけしゅは弓を構え矢を携える。そして一気に解き放つと、スケルトンを射抜いた。
放った矢は一撃で倒すまではいかなかったものの、不意をつかれスケルトンは逃げていった。
「先を急ぐか」
その光景を見たアルンは敵対しないでよかったとその動作を見て冷や汗を流す。
にしこくんはすけしゅに親玉のいそうな場所を尋ねた。
「ああ、それだが気配ですぐにわかるぞ。とりあえずは正面口だ。中にはいったら案内しよう」
にしこくんの目的は案内以外に、先頭に立たせることで盾代わりにするという悪い目的も兼ねていた。
そんなこととは露知らないすけしゅは、アルンの背の高さに気付いてニコニコしている。
すけしゅも背が小さいが、アルンはそれより僅かに小さい。
本当にちょっとした背の違いだが、自分より小さい存在を見つけて嬉しいのだろう。
アルンはそんなすけしゅの顔を見て「何こいつ笑ってんだ」と思いながらキョワ顔した。
◆クライマックスフェイズ
●シーン1:正面口
すけしゅの案内により正面口に通されたCHUNたち。
おもむろに箪笥をどかすと、後ろ手にある扉を開いた。
その隠し通路を通り抜けると、現在の親玉がいる部屋に辿り着く。
複数のスケルトン、そして親玉、ドミニオン・マリシャス。魔術師然とした衣服に身を包み、漆黒の翼を生やした存在だった。
その通路は一般的ではなかったのだろう。親玉はこちらに気付き驚いている。
「あの人服着てる! 骨じゃない!」
「ほんとだ! 骨じゃない!」
アンデッドの親玉というからには骨だと思っていた為思わず驚いてしまった。
先制を取るように戦闘態勢。すけしゅを後方に下げCHUNが前線に、その五メートル後方にアルンが、CHUNの傍ににしこくんが立つ。
対しドミニオン・マリシャスとスケルトンは同一エンゲージに立っている。
CHUNがまず接近、そのまま切り込む。
その動きに呼吸を合わせすけしゅによる援護射撃。
まだ完全に戦闘できる状態が整っていないところを突いた奇襲は効果的で、すけしゅの矢が的確にスケルトンを貫き、落とした。
にしこくんが火の魔術によりファイアボールを放つ。
それがもう一体のスケルトンを潰し、その炎をバッグにCHUNのナイフがドミニオン・マリシャスの喉元を捉える。
緊急回避、致命傷は避けるも傷を負う。
退避しながらの魔術詠唱。完成した火の魔術が一番弱そうなアルンを狙い放たれる。
アルンは前方に防御の盾を展開。プロテクションで軽減されるも熱気がアルンに降りかかった。
魔術を放った瞬間を突いてCHUNがさらに接近。ドミニオン・マリシャスに再び斬りかり、呼吸を合わせすけしゅが放った矢がその心臓部を貫いた。
「やるな」
CHUNの動きに合わせていたすけしゅが好意的にCHUNの傍に立つ。
「ちょ、なんもしてねぇえええええ!」
心臓を貫かれたドミニオン・マリシャスはそんな叫びを上げながら、影に溶けるように消滅した。
「貴様の魔術、しかとこの身に受け止めた。しかしぬるい! にしこの火には到底及ばぬわ!」
にしこくんの火を見てきたアルンにとってその程度の魔術大したことはなく、目立った外傷はない。
何とも可哀そうな敵である。
「それでは私はアンデット達の様子を見てくるよ。手伝ってくれてありがとう」
「ばいばーい」
「ありがとブーン」
「ああ、ありがとう。またな」
CHUNたちは手を振りすけしゅを見送る。
「イヤリング見つけなきゃ!」
そうしてイヤリングを探す為、二階へ向かった。
◆エンディング
●シーン1:二階
「取り敢えず一個あったよー」
リアンに報告しながらアルンはベッドの下を漁る。
エロ本あるかなあと思ったがなかった。そりゃそうだ。
「確か絵画の裏には……」
CHUNが探しに行く前ににしこくんが動いていた。
部屋の壁を探すと、灯台元暗し、リアンの背後の壁にイヤリングがめり込んでいた。
「ありがとうございます。おかげで助かりました。もうなくさないようにしないと」
「ほんとだよ!」
にしこくんはアンデッドの統率がされるようになり、城が少しは平和になりそうなことも、すけしゅの件と共に報告する。
「それは本当ですか? これで安心して過ごせます。それでは取引の話に戻ります」
「金だぁあああああああああああああああ!!」
「いいぇああああああああああああああ」
「めいりーしなきゃ」
手に入れた報酬金に目が行って目の前に依頼主がいることをすっかり忘れている。
リアンがそんな三人を見て苦笑い。
こうして不思議な依頼をこなしたCHUN達。退屈な一日は少しだけ楽しい一日になったようだ。
そして出会いもあった。
すけしゅとの繋がりを得たことで、今後何等かの形で関わっていくことになるだろう。
それはまた、別のお話。