境界線上の守り刀   作:陽紅

174 / 178
九章 それぞれの分岐点 【壱】

 

 

(不思議な子ね……)

 

 

 己の腕の中……背を反らすような姿勢にも関わらず熟睡している青年の寝顔に、人狼女王──テュレンヌは苦笑を浮かべた。

 

 

 彼は、圧倒的な力の差を目の当たりにしながら、しかし、決死の覚悟で自らに挑み続けた稀代の戦士だ。

 

 彼は、満身創痍でありながら、しかし、己の命を終ぞ省みることなく『守る』という信念を貫き通した至上の衛士だ。

 

 

 賛辞が過ぎる?

 

 ……否、この程度では全く足りない。彼のためならば、いくらでも、どれだけでも言葉を飾ろう。そう思えるほどに、テュレンヌは止水に入れ込んでいた。

 

 

 数日経った今でも、あの戦いの興奮と高揚は明確に思い出せる。

 

 そしてそれは……彼女の命尽きるその時まで、きっと忘れはしないだろう。

 

 

 心から食いたいと思った。八年も我慢し、満を辞して蓋を開ければ、迫る者なき無聊の渇きすら満たされた。

 

 勝敗が決し、無理矢理にでも()()の上で喰らおうとして……そこで叩きつけられた、永劫地獄の如き負の重責。

 

 あれは人間の背負えるモノではない。

 あれは、人間が背負っていいモノではない。

 

 人間の遥か上位に存在する人狼女王でさえ、ほんの数秒背負わされかけ、そして今際の際で止水が背負い直した時、『命を救われた』と確信できるほどの安堵を得る……それほどのモノだった。

 

 

 

 ……投げ出したくは、ありませんの?

 

 

 

 体は包帯塗れの傷だらけ。両腕はなく身に力無く、峠こそ超えているが、今すぐにでも緊急医療棟に収容されていなければおかしいほどの重傷者。

 

 

 ──それを負わせた敵の腕の中だという、自覚はありませんの?

 

 

 

 浮かべる寝顔は、童のそれだった。

 

 

 

 

「ふふっ」

 

 

 テュレンヌは、ふとした一幕を思い出して笑う。

 

 意識しているのかしていないのかはさておいて、止水は流体を飽和展開させることでテュレンヌの『人狼としての空腹』を満たした。止水と交わした『五日間トーリは食わぬ』という約束の保険なのだろう。

 ……疑われたことに軽く腹が立ったが、仕返しはしたので溜飲は下げておく。

 

 

 そして、そのトーリはと言うと、テュレンヌが自分を食わぬと信頼し、さらに止水を食えぬと確信した上で、『メインディッシュ食べてねぇのにデザート食べたらダメだぜ!』と食卓ルールを宣言したのだ。

 その言葉を鵜呑みにするならば、自分の身の安全の確保だろう。止水を食えぬのならば自分は食えない。五日後でもそれは変わらない。なにせ、例えたのは他ならぬテュレンヌ自身だからだ。

 

 

 だが、『どちらも食わぬ』と信頼と確信を得ているのに、敢えて言葉にした、その真意。

 

 

 

(本当に、不思議な子たちですわね)

 

 

 ──『俺は大丈夫だから、もう休め』

 

 

 大きく意識した声は、宣言相手であるテュレンヌ以外の大怪我人にも、しっかりと届いていたことだろう。

 

 

 流体結晶化はそれを区切りに止まったが、今度はろくに眠らない。呆れたことにこの男、テュレンヌが起きているときは無理矢理に意識を保ち続けていた。

 

 ……疑われたことに軽く腹が立ったが(以下略)。

 

 

 

 

 その彼が、寝ている。眠れている。

 

 無防備に、何の心配もなく、だ。

 

 

 後ろからついてくる自分の娘を含む二人の少女の嫉妬系視線に、苦笑せざるを得ない。

 

 

 

 この戦士は、貴女たちが来たからこそ、こうして安心して眠れるのだ。

 

 この衛士は、貴女たちがいるからこそ、こうして最大脅威たる人狼女王の牙と爪を封じているのだ。

 

 

「……」くかー

 

(……流石にそれは考えすぎかしら……?)

 

 

 

 不思議で、よくわからない子。と現状評価を出す。

 

 ならば、これから知っていけばいい、とも。

 

 

 

 ……なにせ、彼はもう、人狼女王テュレンヌの『モノ』なのだから……。

 

 

 

 

 

「さあ、そろそろ着きますわよ? 」

 

 

 鬱蒼と生い繁る森の中、獣道が次第に広がり、踏みならされた土が道として現れてくる。

 

 風に残るは、百人はいるだろう人間の匂い。そして、血のように濃い、剥き出しの鉄の香りがした。

 

 

 

***

 

 

 

「…………」プルプルピクピク

 

「……なんスか? 言いてぇことがあるならいつもみてぇにド直球に言やいいじゃないスか」

 

 

 大きな体をプルプルと震わせて何かをこらえている先達をサングラス越しに睨みあげる。言葉は一応の上下を意識しているようだが、口調の棘を隠すつもりはないようだ。

 

 数秒ほど、口を手で抑え、目尻には涙すら浮かべて堪えたが……限界を迎えて爆発した。

 

 

 

「プフーッ! ギャハハハハハ! だ、ダメだ、笑わせんじゃねぇよ! 『お花の人』 !

 クフっ、いやでも良かったじゃねぇかナルナルくぅん! その不良ヤンキーの見た目がちょっとは、くっは、ちょっとは改善されプフーっ!

 

 ねぇどんな気持ち!? 喧嘩売りに行って適当にあしらわれた挙句ステキなアダ名付けられてどんな気持ちぃ!?」

 

「うぜぇ……!」

 

 

 サングラスの男──佐々成政は、隣で笑いに笑う『小柄な』鬼系長寿族を本気で睨む。百合花を叩き込もうか否か軽く本気で悩んだ。

 膝を突き、両手でバンバンと甲板を叩き出したので、丁度いい位置に後頭部がある。だから余計に悩んだ。

 

 

 律するために拳を握る。『こんなんでも上司……!』と心中で何度も唱えながら、両腕の花紋から流体を散らした。

 

 

「……あー、笑った笑った。んで、どこだよ? お前を投げ飛ばしてお花の君にした……なんだっけ、守り刀ってやつ」

 

「一族の名前がそれっスよ。本人は確か『止水』とかなんとか。あと、報告聞けよ。九割九部九厘死んで、武蔵総長と一緒に人狼女王にお持ち帰りされたっつったろーが。

 つか。投げ飛ばしたのと呼んだ奴ちげぇっすから。呼んだのは、なんか、武蔵国宝? 指定されてる女らしいっスよ」

 

「至宝だバカ。武蔵の至宝、向井 鈴。いっや尊いぜマジで。お市様と一緒に武蔵のこと調べたらお市様が一目惚れしてよ? 『こんな子供がほしいです、勝家様』って、お市様の母性なめんなよ。ほらみろこれ、会員証! いいだろ! お市様との連番なんだぜ!?」

 

「アンタ何してんだよマジで!?」

 

 

 某有名な猫系ロボットのBGMが流れそうな挙動で一枚のカードを掲げる鬼。

 

 ──佐々成政が『上司』と意識し、体育会系精神で従う男……この男こそ、五大頂が筆頭にして、大国M.H.R.Rの副長を任された(つわもの)である。

 

 

 柴田・勝家。『鬼柴田』の異名を持つ、鬼族が襲名するに相応しい戦国武将の名を受けた、世界各国が最も相手にしたくない敵の一人だ。

 

 

 ……なお近頃、歴史再現のためお市の方の襲名者である女性と目出度く結婚し、周囲が顔を顰めるほどの新婚生活を謳歌している。直下の部下が言うには『ウザさがめんどうくさくなった』とのこと。

 ──全国人事相談の『Wow!人事!』に匿名の通信文が一通届いたのがこの翌日のことだが、きっと無関係だろう。

 

 

「〜っ……ったく、分かってんスか? 柴田先輩。俺ら、今からその至宝サマがいる武蔵にカチコミに行くんスよ?」

 

「あん? めんどうくせぇからお前一人で行ってこいよ。ほら、お花咲かせてこい。

 

 ──『鬼と殴り合い(ステゴロ)張る奴がいる』って聞いて来たんだぜ? なのに、お目当がいねぇとか。もう俺帰ってよくね? お市様と今度どこにデート行くか決めねぇと」

 

 

 勝家は甲板に胡座で座り込み、心底つまらなそうに深いため息を零す。

 

 鬼としては小柄──IZUMOで止水が殴り合った三好・晴海が三mを超える巨躯だったのに対し、二m届くか否か、という勝家の身長は確かに小柄だろう。

 

 だが、この鬼はその成長を代償に、超高密度の骨と筋肉を得たのだ。ただでさえ頑強な鬼族が、その方向に更に特化・進化したのがこの柴田勝家という鬼なのである。

 

 

 だからこそ……『ただ己の肉体のみで殴り合える』という期待は大きかったのだろう。

 

 

 

「いや、それとこれとは話が別っスから。つか仕事しろよクソ上司。……お市様に仕事サボったってチクるぞ?」

 

「あ"あ"ーん!? 随分と生意気な口だなぁ!? まずはテメェからステゴロしてやろうかぁ!?」

 

 

 言い争う二人の間、本が開いた形の表示枠が出現する。二人が乗る白塗りの高速ガレー船からであり、額に鉢金を巻いた女が眉を寄せていた。

 

 

三立甲『うおーいバカ野郎共ー。なんにもしないならこのままスルーしちゃうんだけど?』

 

「あ、滝川先輩からも言ってくださいよ! ここにきてこの上司、我儘言い出したんスけど!」

 

「あ、一益? いいぜスルーして。今からこいつ武蔵に落とすから!」

 

三立甲『柴ちゃんナル君いじめちゃダメだって。ナル君ってば不良ヤンキーな見た目だけど何気に結構真面目なんだから』

 

 

 『滝川一益』と呼ばれたその女は、似た者同士な二人のやり取りにため息を吐き、表示枠の向こうでチラリと下を……艦下を進む巨大な武蔵を見る。

 

 

(ほー、対応が早いねぇ。こっち確認してまだ一分位しか経ってないのに、もう迎撃の準備が終わってる)

 

 

 大きさ故に小回りが利かない武蔵は、突発的な航行制御がどうしても難しい。だからこそ、突発的な問題に対応できるように乗員の臨機応変な即応が求められるのだろう。

 

 惜しむらくは、武蔵は開戦権を持たないので先制攻撃ができないことだろう。尤も、だからこそ、勝家も成政も呑気に会話ができているのだが。

 

 

 さてどうするかなぁ、と呑気に思考する艦長。

 

 

 

「おっ!? やっべ、艦()げろ一益っ!!」

 

 

 どうするのか、という雰囲気が場を満たした時、その答えを出すべき柴田勝家(現場の最上位者)が鋭い声を上げた。

 艦の急速降下を指示。そして、勝家本人が四股踏みのように強く足を踏み下ろし、凡そ二十メートルの落差を生じさせる。

 

 

 その直後、一条の光弾が確かな破壊力を成政たちの頭上を追加した。

 

 

 

 

三立甲『は、なっ!? 先制攻撃!? 武蔵は開戦権放棄してるんじゃないの!?』

 

「はっ! 自分で答え言ってんじゃねぇか! ()()()武蔵勢じゃねぇ! ……ったく、いつの間に乗り込んでやがったんだよ……! いくぞ成政! かかれ一益!」

 

 

 

 ──無賃乗艦で無許可短時間滞在で武蔵観光と洒落込むぜ!

 

 

 そう言い放ち、勝家は返事を待たず艦から飛び出した。成政は先輩兼上司の突然の行動

と状況の急激な変化にわずかに逡巡するが、秒針が動くかどうかの時間で倣って飛び降りる。

 

 

「Shaja.! いや、行くのはいいんスけど! 武蔵じゃねぇってんならどこのどいつっスか!?」

 

「ああん!? んなの知るかよ!」

 

 

 落下中の勝家が器用に反転し、成政に言い返してからまた器用に反転する。

 

 

「アンタマジで自分の言葉に責任持てよ! セリフからして把握してた風だったっスよ!?」

 

「馬鹿野郎! んな細けえこといちいち気にしてんじゃねぇ! だから貴様はお花の人なんだよ!」

 

 

 なにが『だから』なんだ、と言い返そうとするが、噤む。

 

 

「関係ねぇだろ! どこの誰だろうが、五大頂(俺ら)を見ておいて、それでもブチかまして来たんだぜ!? ならオメェ──その挑戦を受けてやんのが『強者の矜持』だろうが!」

 

 

 下から爆発してくるような言葉たちに、成政は笑いながら歯を食い縛る。……これだ。これがあるからこの男は狡い。付いて行こうと思わされてしまう 。

 

 

 ──勝家は知らぬ、と答えたが、一つだけ確信していることがあった。

 

 

(この気配……! それもさっきの攻撃! 武蔵の連中にはいないはず、なら、そいつが俺たちが来る前に乗っていやがったのか?)

 

 

 

 攻撃の直前、膨れ上がったその気配に気付けたからこそ勝家たちはギリギリで回避ができた。

 

 

  ──武蔵の中に、鬼がいる。

 

 

ー*ー

 

 

納得できぬことを納得させようとして

 

ぶつかり合うことを是とするか否か

 

 

──配点 【けじめ】

 

 

ー*ー

 

 

 

「むう、やはり避けられてしまいましたか。説教砲の長距離型は要改良でありますな。

 

 ……して、言われた通りに致しましたが……よかったのでありますかな?」

 

「良い。極東・武蔵に与するが、武蔵の下には付かぬ。故に、私が邪魔者を邪魔と先に払ってなんの問題もない」

 

 

 武蔵中央前艦、武蔵野の船首。今まさに降下してくる二つの大小の影を、同じように大小で分けられる影が見上げていた。

 

 大柄は男で、小柄は女だ。それぞれが極東式ではない意匠の制服を身にまとっている。どちらも頭部から一本と二本の角を伸ばしているので、その種族をわざわざ問答する必要はないだろう。

 

 しかし、女の方は実体こそあるものの、その足先はどこか朧げでーー霊体種族でもあるようだ。

 長い髪が風を受け、大きく揺れる。左腕にある巨大な銀盾が陽光を返し、仄かに輝いていた。

 

 女がため息を零す。

 

 

「ふん……無軌道馬鹿め。やはり退く気はないか」

 

「勝家くんが攻撃されて退くのなら、明日は極東中で槍の雨が降りますぞ」

 

 

 苦笑を浮かべる鬼──『要らずの三番』三好 晴海。止水とIZUMOで壮絶な殴り合いの末、 守り刀と友誼を交わした鬼である。

 いつの間に、と問えば、義経の指示であの場にいた真田十勇士は密かに武蔵に乗船していたらしい。

 

 武蔵に残っている止水──語弊があるだろうが的確な表現がないため──が戦える状態ではないと判断した晴海は、他の十勇士の制止を振り切って名乗り出て、さらに『力になる』と高らかに宣言したのだ。

 

 

 ……呆れ返る一同に、晴海は静かに、しかし力強く言い放った。

 

 

 

 

 ──拳を交わし、杯を交わした友の危機……! 黙して見過ごすは『勇士』に非ず!

 

 

 

 

 

  ……暑苦しい言葉だと思う。草子やらの物語の中だからこそ映えるのであり、現実で聞くことなどまずないだろう。

 

 だが……。

 

 

 

(ああ……そうだ。それこそが私たちが言いたかった言葉であり……私たちが、終ぞ言えなかった言葉だ)

 

 

 

 

 小さな緋色は苦笑して、しかし嬉しそうに拳を突き出した。鬼も笑ってそれに応じ──。

 

 

 

 

 それを見てしまって、それを聞いてしまって。その姿にかつての自らたちを夢幻に重ねた。

 

 後悔が溢れ、羨望に焼かれ……どうしようもなく己を抑えられなくなったからこそ、彼女は本来の予定をかなぐり捨てて、ここにいる。

 

 

 

 P.A.Odaに抗う意思が本当にあるのか。抗うその意思を、貫き掲げられる力があるのかどうか。

 

 

 

 ……それを確かめるはずだったのにな、と苦味の強い苦笑を浮かべる。

 

 

 

 

 ──女は銀盾とは反対の肩に提げた巨大な本を一瞥する。それは聖譜の写本だ。

 

 人類が辿ってきた歴史が記され、そして、文明がもう一度天の向こうへ進む道導が刻まれている本。

 

 

 

 

(……桜の。随分と待たせた。貴様への答え、私の内にできたぞ)

 

 

 

 緋色の男。彼の喋りは酷い訛りはあったが、言葉はちゃんと理解出来ていた。

 

 

 

 

 ──その夜、この今剣(いまのつるぎ)で死ぬのはただ一人なのだと。

 

 ……その一人こそ、歴史再現で自害した源九郎義経公なのだと。

 

 

 

 当時、歴史再現のために衣川の屋敷に詰めた一軍は当代鬼族きっての精鋭千人。単純な武力であれば、大国・強国一つを丸々平らげるだろう一軍が……しかし誰一人として、その敷居を跨ぐ事が出来なかった。

 

 ……およそ三時間。全力で攻め立てる千鬼を相手に、退かず殺さずの激闘を繰り広げ──千鬼全員の戦意を粉々に粉砕してから、今剣で己の心臓を貫いた。

 

 

 

 ──『歴史再現(おままごと)』如きにアイツの命ば、くれてたまるか……!

 

 

 

 その場に居合わせる事が出来なかったことに慟哭し……そして、おそらく不勉強故だろう、『立ち往生』すら歴史再現して事切れる亡骸に縋り付く小娘に詰め寄って──

 

 

 

 

 力強い笑顔を浮かべて……散った桜の字を持つ男に、ただただ言葉を失った。

 

 

 

(おままごと、か。確かに、天へと見送った者からすれば、私たちのやろうとしていることは所詮『失敗することをまたやろうとしている(ごっこあそび)』のだろうな)

 

 

 天へ再び登るための歴史再現。

 

 仮に成功して天へ帰れたとして、歴史通りに再び地上に戻るのではないだろうか。そしてまた戻ったとして、また、天へ帰ることを望んで歴史を繰り返すのだろう。

 

 

 天に登らなかった一族からすれば、『こいつらまたやってるよ』の認識なのかもしれない。

 

 なるほど、随分とひどいおままごと(茶番)だ。

 

 

 

 

 では。

 

 

 ……では奴は、あの桜は。その他所のくだらない茶番に──付き合って死んだというのか。

 

 

 

 ──ふざけるな。

 

 

 

 

 

 ……そしてまた。今度は桜の系譜が……たった一人になってしまった唯一が、下らない茶番に、巻き込まれようとしているのか。

 

 

 

 ──ふざけるな……!

 

 

 

「……武蔵の(ツワモノ)よ。鬨を上げよ。此度『我が戦』に参ずること、この巴御前が特に許す」

 

「ご、御前!? いくらなんでも、それは流石に……!」

 

「よい。些事が如き責ならば、幾らでもいくらでもこの双肩に乗せよ。

 

 

 

 さあ──()()()()()()()

 

 

 

 

ー*ー

 

 

未熟者『巴御前。 『最も有名な女武将は誰か』──そう聞かれたら、おそらく大勢がその名を口にするだろうね。源平物語においては、あの義経公にも退けを取らない大有名人だよ。

 

 『もしかして』くらいには予想してたんだ。義経公と同じ時代に生きていた御前なら、『義経公と懇意であった守り刀と知り合いだろう』ってね。

 

 強弓精兵、一騎当千の兵者なり。と歴史書に記されるほどの実力者さ。

 

 

 

 ……あ、ヅカ本多くん。巴御前の乗船許可僕がやっておいたからね! 義経公と並べてサイン家宝コレクションがまた増えたよ!』

 

 

眼 鏡 『一人で盛り上がってるね。誰も聞いてないみたいだけど……しょうがないからボクが付き合ってあげるよ。

 ねぇ、ところで三千三百六十八通前に聞いた『眼鏡キャラの両親から産まれる子供たちの名前はなにがいいか』だけど、ボクとしてはやっぱり二千九百八十七通前に上げた季節ごとの各十二名がいいと思うんだよね。描写としてはけ』

 

 




読了ありがとうございました!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。