とある監視所のお話   作:屋根裏散歩

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青葉はやっぱり青葉でした。



第8話 青葉からカメラを取り上げたら何も残らない?(改2)

お風呂に入っていた隼鷹が真っ裸で俺に飛びついてきた。

 

「隼鷹何があった……って云うか、バスタオルくらい羽織ってこい」

 

俺の言葉なんか聞いちゃいなかった。

 

「庭先で何か光ったんだよぅ」

 

隼鷹が怯えていた、俺は思い当たる奴を知っていた。

 

「風邪引くから一旦何か着てこい」

 

俺は隼鷹を部屋に戻すと、アイツの部屋へと向かった。

 

「ワレアオバ!なにした!」

 

俺が怒鳴り込むと、丁度青葉が画像データの整理をしている処だったのだが……其処には真っ黒な画像が保存されていた。

 

「青葉、言い残すことあるか?」

「着任の時に言ったよな……今度やったら即日で叩き出すと」

 

俺は此処まで言うとコンデジを青葉から取り上げた。

 

「ゴミ箱のマーク?」

 

俺は青葉から取り上げたコンデジの液晶をもう一度よく見た。

 

「すいません、カメラ落としそうになって間違えてシャッター切ってしまいました、レンズカバー開けてなかったから何も写ってないです」

 

青葉は恐らくは本心からか謝罪していた。

俺は、青葉の部屋から出ると隼鷹の部屋に向かった。

 

「隼鷹入るぞ」

 

俺は襖を開けた。

 

「なぁ隼鷹、さっきの光な青葉がストロボのテスト発光させた光だそうだ、不審者じゃないから安心しな」

 

そう言うと隼鷹の肩を優しく抱きしめた。

 

「ホント……なの」

 

隼鷹は安心したようだったが…

 

「あーおーばー!」

 

隼鷹がその怒りの矛先を青葉に向けた。

 

「びっくりしたよー、許さないんだから!」

 

俺は隼鷹を落ち着かせる事にした。

 

「大丈夫カメラには何も映ってなかったぞ…確認はしたから安心しな」

 

俺の言葉を聞いた隼鷹は少しだけ安心したのか呆けていた。

 

 

そして翌日

 

「青葉ひどいよ!」

 

朝から隼鷹の声が響き渡っていた。

 

「驚かせてごめんなさい」

 

青葉が殊勝にも謝罪していた。

 

「まぁ隼鷹、それくらいにしてやれ本人も反省してるから」

 

俺は青葉を庇った。

 

「私……カメラ辞めようかなぁ」

 

青葉が過去のこともあってか気弱になっていた。

 

「なぁ青葉、今回の件はわざとじゃねぇんだろ、だったらカメラ辞める必要はねぇだろうよ……なっ」

 

俺は青葉を慰めた。

青葉が俺の事を見つめていた。

 

「紫苑……ありがとう…」

 

青葉は安心したのか泣き出していた。

 

「ったく、泣くなよ」

 

俺はハンカチで青葉の顔を拭いてやった。

 

「チーン」

 

おい、鼻噛むなよ!

それからというもの青葉は、人物は許可が無いと取らなくなり替わりに動植物(野良猫専門?)をその被写体にしていた。

とは云え、人物を取らせると流石の腕前であることは変わらなかった。

 

「青葉が前に使っていたカメラは確か証拠品として押収されてたな…何とか取り返せないものか……」

 

俺はコンデジを待って撮影している青葉を見ると何となく可哀想になった。

 

「あれは無理よ、後任提督が証拠隠滅する為に手を回して……恐らくは物理的に破壊されているはずよ」

 

姉貴が俺の独り言に応えた。

 

「そっか……なら新しいの買ってやるか」

 

俺はそう言うと、某カメラショップのサイトを見ていた。

 

数日後、俺は某カメラショップからの連絡を受けると青葉を連れて街へと向かった。

 

「紫苑どこ連れてくの?」

 

青葉が不安そうについてきていた。

 

「カメラ屋」

 

俺は一言だけ言った。

 

「カメラの無い青葉は……青葉じゃないからな」

 

青葉がへっ?という顔をしていたから

 

「いらっしゃいませ」

「注文していた紅東ですが」

「お品はこちらです、ご確認を」

 

そう言うと、店員が箱からそれを出してきた。

 

「ほれ、青葉」

 

俺は青葉をせかした。

 

「お前のカメラだ、実際に持ってみろ」

 

青葉が店員からカメラを受け取るとアレコレと操作していた。

 

「でも私お金なんて……「俺が買ってやるから」」

 

青葉がカメラを持ったまま泣きそうになっていた。

 

「あと、こちらもご確認を」

 

そう言うと店員が望遠レンズとドットサイトをカウンターの上に取り出した。

 

「ほれ、装着して動作させてみろよ」

 

青葉が泣きそうなのを我慢しながらカメラにレンズとドットサイトを取り付けながら詳細に確認していた。

 

「これ欲しいです」

 

青葉が欲しいですと言ったので俺は支払いを済ませていた。

 

「こちらが保証書となります、彼女さんへのプレゼントですか?」

 

俺は笑って誤魔化したが、その間も青葉はアワアワしていた。

帰りの車の中で、

 

「本当に買ってもらって良いの?」

「あの件は別としてお前には沢山助けられたからな、その礼みたいなもんだ」

 

青葉は買って貰ったカメラが入った紙袋を大切そうに抱きしめていた。

 

 

後日談

この事があとの二人に知られてしまい、あたしのはと詰め寄られ何かしら買う羽目となった。

 

「今はまだ三人平等にね」

 

姉貴がウィンクしながら笑っていた。

 

 

 

 




勤務中は紫苑の事は隊長若しくは所長と呼ばせていますが、勤務外では紫苑と普通に名前呼びを許可しています。

因みに青葉が買って貰ったカメラは個人の好みですが
Nikon D5600 16-300mmレンズ付き、オプションでドットサイトを取り付けた物です。
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