俺は今、吹雪達と離れの点検に来ている。
「所長、此処の電球も切れかけてます」
白雪が次々と電灯の不具合を報告するとリストに書き込んでいった。
「かなりあるなぁ……」
俺は夜は殆ど行くことの無い離れの現状に驚いた。
「これなら心霊番組とかホラー映画を見た後だと戻れなくなるわなぁ……」
俺は納得した。
「だろぅ、怖くってさ」
深雪が胸をはって言った。
まだ夕日のある夕方でこの暗さである、夜になれば言わずもがなだ、その上に点滅とくれば怖さは倍増だろう。
「わかったよ、照明器具更新期間中は母屋の空き部屋使っていいぞ」
俺は吹雪達に玄関入ってすぐの空き部屋の夜間使用を許可した(まだこの時点では母屋増築は秘密にしていた)。
この俺の決定を聞くと吹雪達は、布団を各自の部屋から空き部屋へと持って移動を始めだした。
「寝るだけなら四人一部屋でも問題ないか……」
だがこの決定はあとから、青葉、隼鷹、間宮等の隣接する部屋の住人からお小言が出る事となる。
それは、今迄一人部屋だったのだからある程度は仕方なかった……のだが、同じ年の女の子が四人もとなるとそれは騒がしかった、仕方なく俺はそれとなく注意をする事にした。
「吹雪、ちょっといいか……夜中にあまり騒ぐなよ、俺の部屋まで聞こえるぞ」
俺の指摘に吹雪が済まなそうに謝った。
「紫苑さん、すみません」
これ以降は静かにしてくれるようになった。
それから数日後、妖精さんと紅東建設の謎の技術で母屋に新たに四つの部屋が増築された。
「吹雪達の新しい部屋だ」
俺はキッチンに隣接するように増築された新しい部屋を吹雪達に案内した。
それは俺の部屋とキッチンを廊下を挟んで付け足されていた。
「広い!」
白雪が驚きの声を出した。
それもそのはず、以前の離れでは6畳間だったのが、新しい部屋は8畳間と拡大されていたのだから。
「ほらほら、私物運んじまえよ」
俺は吹雪達を急かした。
「離れは何につかうの?」
吹雪達を見ていた隼鷹が聞いてきた、
「離れは、姉貴が始める保養施設の従業員宿舎として使う事になってるからな…」
「保養施設?」
隼鷹が聞き返した。
「姉貴が始める艦娘専門の保養施設らしく、一応紅東グループの一部門というくらいしか俺も知らない、まぁ後で姉貴が教えてくれるだろう」
隼鷹はそうという顔で部屋へと戻っていった。
俺は間宮、千歳と夕食の準備を始めた。
「今日は活のいい鰤が手に入ったから、鰤しゃぶしゃぶにするか」
俺の提案に千歳が直ぐに動き出した。
「土鍋とカセットコンロ用意しますね」
「それなら私は鰤を捌きます」
間宮が鰤を捌き出した。
「お刺身より気持ち薄めで」
「ハイ」
間宮が見事な手付きで捌き終えた。
「紫苑さん、白菜とあと何入れます?」
コンロを出し終えた千歳が此方に戻ってきた。
「そうだな……エノキとエリンギそれとネギを冷蔵庫から出してくれ」
俺からの返事を聞くと、千歳が頷いて冷蔵庫を開けていた。
その日の晩御飯はいつになく豪華になった。
ビール1箱を空にしたのは仕方のない事だった……。