「母さん、晩飯食べたの?」
俺は母さんに聞いてみた。
「お昼から何も食べてないからお腹ペコペコ、何かない?」
俺は隼鷹をひっぺがすと、キッチンへと向かった。
「しっかりと食べるか?青椒肉絲ならすぐできるけど」
俺は冷蔵庫を開けて材料を確認しながら聞いた。
「呑みながら食べたいから……お願い」
俺は冷蔵庫から牛肉と筍、ピーマンを取り出すと、調理を始めた。
「紫苑、あたしも少し食べたーい」
隼鷹がキッチンで俺におねだりしてきた。
「わあったよ、千歳達も少し食べるか?」
返事は分かっていたが聞いてみた。
「食べます、此処は譲れません!」
「だから、何故加賀が大量発生すんだよ!」
「ネタです!」
うちの奴らノリ良すぎ。
そんな光景を母さんはビールを呑みながら眺めていた。
「女の子とのお付き合いが苦手な紫苑が此処まで馴染めるなんて、お父さん良い娘を集めましたね」
母さんがポツリと呟いていた。
母さんの言うとおり俺は女性というものが苦手だったが、隼鷹や千歳達と知り合ってからというもの苦手ではなくなってきていた(うちのメンバーに限り)、其処はクソ親父に感謝している。
等と考えていると青椒肉絲が出来上がったので、
「ハイ、母さんお待たせ」
俺は母さんの前に出来上がった青椒肉絲を置いた。
「ホイ、お待たせ」
俺は大皿に青椒肉絲を移すと、俺の部屋へと持っていった。
「ビールはかどるわぁ」
隼鷹と青葉がどこに入るのか不思議なくらい食べていた。
「二人共、お腹のバルジが増えても知らねえぞ」
俺はその光景を見ながら苦笑した。
「紫苑の料理が美味すぎるのが悪いのよ」
間宮がビール片手にほうばっていた。
「ったく、ほらデザート」
俺は冷蔵庫で冷やしていた杏仁豆腐を器に取り分けると皆に配った。
「紫苑さん……今度作り方教えて下さい」
吹雪達が俺に教えてほしいと言ってきた。
「かまわないよ」
お料理教室もやる羽目になった。
「紫苑、母さん安心しました、この子達なら貴方を安心して任せられますね」
母さんなりに俺の事を心配してくれていたようだ。
「今はまだ3人のうちの誰とは決められないけど、必ず結論を出すよ」
俺は母さんにそう答えた。
母さんは青椒肉絲を食べながら頷いていた、ビールを呑みながら……。
「で、母さん何時まで此方にいるの?」
俺は気になっていた滞在予定を聞いてみた。
「一週間はいる予定ね」
「なら……部屋は玄関上がってすぐの部屋を使って、夕張、布団とかの準備を間宮と頼むよ」
俺が頼むと二人は頷いて出ていった。
「それじゃぁあたしらは戻るね」
そう言い残して隼鷹達も其々の部屋へと戻っていった。
「紫苑、お話があります」
母さんが真面目な顔付きになって俺の前に座った。
「柚香ちゃんの事なんだけどね、本当の両親とお姉さん証拠不十分で無罪になったの…それでね逆にうちを訴えるって息巻いてるらしいの……」
俺は母さんが何か考えているだろう事は予測できた。
「母さん、当然対抗策あるんだろ?」
俺の疑問に、
「勿論よ、紫苑が送ってくれたカルテを詳細に検証して、近隣住民からの聞き取りで、ガッチリと逃げられない様に固めてあるわよ」
あとから聞いた話では、近隣住民のホームビデオに虐待されている柚香ちゃんの姿がしっかりと録画されていたらしい、それが結局動かぬ証拠となったそうだ(その際に暴行を受けていた位置とカルテに記載されていた骨折の位置が一致した)。
だが彼等は簡単には捕まらなかった、そしてこの事件の判決が確定する直前に姿をくらませたのだった。