海の日と体育の日、土日が絡んで4連休となる、7月のとある水曜日の夜に母さんはいきなりやってきた。
「一週間はいる予定ね」
母さんはそう言うと、ラフな格好に着替えて俺が作った青椒肉絲をビール片手に食べだした。
「紫苑、また料理の腕上げたわね」
母さんが俺の料理を褒めた。
「そうなんですよ、聞いてください」
青葉が延々と俺の料理レパートリーについて母さんに解説していた。
「和洋中オールマイティに作れるなんて……何時の間にか上達して驚きだわ」
母さんが素直に驚いていた。
「紫苑、明日からは主婦歴三十年の力の差を見せてあげる」
久しぶりに母さんの作る飯が食べられるのか。
「あっごめん、明日の昼だけは俺作る、炒飯の材料買い込んであるんだわ…」
俺は冷蔵庫に入れてある焼豚、キムチ等な炒飯の材料の事を思い出した。
「あらそうなの、でも人数分は大変じゃないかしら?」
母さんがその量を気にしていた。
「何種類かの炒飯を大皿に作って、そこから食べたいやつを小皿にって感じだからさほどでもねえし」
「ふーん、そうなんだ」
母さんが感心していた。
「それに艦娘ったって艤装つけなきゃ見ての通り極々普通の女の子だからな、赤城や加賀と違って……」
何やら母さんが不服そうな顔をしていた。
「紫苑……あのね……母さんがその赤城の元艦娘だったの……」
姉貴が驚愕の事実を話した。
「姉貴、初耳だぞそれ」
「紅東家の女子は社会に出る前に必ず艦娘に志願する事になってるの、それでね私や夕張は勿論だけど母さんもなのよ……それで母さんは赤城の艦娘にって訳……よく食べるのは否定しないけどね」
俺はなんとなく納得した、何故なら昔から母さんは育ち盛りの俺より食べてたから。
そして迎えた翌日、木曜日の朝。
「ほら、起きなさい!」
俺は母さんに起こされて、食卓につくと其処には炊きたてのご飯になめこの味噌汁、焼き鮭が並んでいた。
そうそれは俺が何時も作る朝食メニューと同じものだったのだが……塩味のバランスが絶妙だった、焼き鮭の塩分を味噌汁の塩分を薄くする事で調整して取りすぎないようになっていたのだ。
「やっぱ母さんには勝てないや……」
母さんがガッツポーズを取ると、微笑んでいた。
「吹雪ちゃん達も、私がいる間は私の事をお母さんだと思ってね」
流石母さん、吹雪達へのフォローをしっかり入れていた。
「流石、元赤城」
元赤城と聞いた吹雪の懐き方は半端なかった…一瞬妹がまた増えるかと思った四人もという位に。
俺と間宮で洗い物を終わらすと、母さんからある事を頼まれた。
「ねぇ紫苑、家の中案内してよ」
俺と間宮で案内する事にした。
「いいけど、なら玄関からいくか…まずこの上がって直ぐの部屋が今母さんが使ってる部屋……んで右隣が青葉の部屋で、向いは警備機械室…隣はトイレと風呂場、トイレの向いは隼鷹の部屋で、その隣が俺の部屋とダイニングキッチン…」
俺は母さんに案内していた……。
「キッチンを抜けた先の4部屋は、右から吹雪、白雪、初雪、深雪の部屋になってる…」
そう言うと、俺達は青葉の部屋の前まで戻った。
「青葉の部屋と隼鷹の部屋の廊下の先の階段を上がった2階が姉貴の部屋で、その右が千歳の部屋になってる…」
「かなりっていうか結構広い家なのね」
俺達は姉貴の部屋の前まで来た。
「それで、左側、青葉の部屋の奥から間宮と夕張の部屋が続いてる」
俺達は、隼鷹の部屋の前に戻った。
「そんで、この廊下突き当りを左に行くと、二棟の離れと、一応軍事施設扱いの土蔵がある、そんじゃ一回外に出よう」
俺はそう言うと縁側から外に出た。
「土蔵の横に階段があって……その先は、見ての通りの砂浜がある」
母さんが何やら残念そうな顔をした。
「母さん、何か問題でも?」
それは聞くだけ……いや聞きたくなかった。
「水着持ってくれば良かった!」
「なら街に買いに行きましょ「姉貴が行ってな」う」
姉貴が余計な事を言い出したので、俺はそれを遮って姉貴に押し付けた。
「なんてね、紫織から聞いていたから持ってきてるわよ」
姉貴の水着を見た母さんが…貴女には恥じらいがとお説教を喰らったのは此処だけの話。