とある監視所のお話   作:屋根裏散歩

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第29話 夏祭り(改2)

「紫苑さん、商店街の皆さんから明日からの夏祭りのお誘いがありました」

 

千歳が、一枚のチラシと人数分の封筒を持ってきた。

 

「その封筒は?」

 

俺は千歳に封筒の中身を確認させた。

 

「夏祭りで使える福引の抽選券ですね」

「顔出してみるか…千歳、全員の確認を「勿論全員参加したいそうです」」

 

既に参加は決定事項だった。

 

「明日の何時から?」

 

千歳がチラシを見ながら答えた。

 

「十三時からとなっていますね」

「なら昼は軽めにして、屋台をはしごするか……」

 

それを聞くと千歳は、

 

「吹雪ちゃん達に軍資金あげないといけませんね」

 

等と言って笑っていた。

 

「そうだな………それはそうと、浴衣で行くよな?」

 

俺は千歳に聞いてみた。

 

「勿論ですよ、吹雪ちゃん達浴衣着るの楽しみにしていましたからね」

 

俺は、夏祭り会場側のホテルを予約した、浴衣への着替えと……勿論当日呑むためだ

 

 

 

夏祭り当日

「吹雪達は四人で412号室な、姉貴と夕張は414号室、間宮と青葉は413号室な、隼鷹と千歳411号室、俺は410号室以上、一時間後にエレベーターホール集合…解散」

 

其々の部屋に散っていく筈だった……俺は自分の置かれた状況を理解できないでいた、何故なら俺だけシングルの部屋のはずが俺の部屋だけダブルとなっていて…何故か隼鷹が俺の部屋で浴衣に着替えていた。

 

「紫苑、前押さえてて」

 

俺は固まった頭のまま隼鷹の言うがままに浴衣の着付けを手伝った……目の前には隼鷹のそれは見事な2つのおやまがたわわに揺れていた。

 

「謀られた!」

 

誰の差し金かは判らないが、俺の部屋だけダブルに変更されていたのだった。

 

「隼鷹、既成事実頑張って」

 

姉貴がいらんお節介の伝言を残していた。

 

「さて……ベッドは一つか……夜はどうすっかな……」

 

俺は隼鷹が準備している間、ベッドを見て考え込んだ。

 

「まぁ、今考えても始まんねぇし…そん時考えるか」

 

俺は考える事を放棄して夏祭りを楽しむことにした。

 

「皆揃ったな、吹雪少ないが軍資金だ、好きに使え」

 

俺は吹雪達に少ないがお小遣いを手渡した。

 

「紫苑さん、ありがとう」

 

吹雪達は嬉しそうに巾着に仕舞った。

 

「それじゃぁ行くぞ」

 

俺達は会場に向かった。

 

「ねぇねぇ、そこの綺麗なお姉さん、俺達と遊ばない」

 

隼鷹がいかにもと云うチャラ男集団に声を掛けられていた。

 

「俺の嫁さんに何か用か?」

 

俺はチャラ男集団を威嚇した。

 

「なんだよ、テメェすっこんでろ」

 

チャラ男集団は人数に任せて強気に出てきた。

 

「其処を動くな!」

 

俺が懐に隠し持っていた護身用の拳銃に手を掛けた瞬間、パトロール中の陸軍憲兵隊が駆け付けてきた。

 

「ガキ共、またお前たちか!」

 

陸軍憲兵隊は呆れながら仲裁に入ってきた。

 

「おま…しっ失礼しました、大佐殿!」

 

俺が身分証を出すと、憲兵隊の指揮官が慌てて敬礼をしてきた。

 

「暑い中パトロールご苦労」

 

俺は答礼を返した、

 

「やべぇ、こいつ海軍の佐官だったのかよ……という事は…」

 

チャラ男集団はそれっきり黙ってしまった。

 

「お前ら命拾いしたな、あの佐官とお連れの女性は護身用の拳銃を懐に持っとるぞ」

 

憲兵隊指揮官が俺の左手を指差した。

 

チャラ男集団はそのまま憲兵隊詰め所に連れて行かれた。

 

「さてと出鼻は挫かれたが、それぞれ夏祭りを楽しんでこい、何かあったら直ぐに俺を呼べよ」

 

吹雪と深雪に青葉と間宮が、白雪と初雪に夕張と千歳がそれぞれついてくれた……姉貴がいないが気にしない事にした。

……そして何故か俺の腕に隼鷹が抱きついていた。

 

「俺の嫁さん…紫苑、かっこよかったよ」

 

俺はチャラ男達の時に咄嗟に嫁さんと言ったことを思い出した。

 

「あ・な・た」

 

隼鷹が俺をからかうように、耳元で囁いた。

俺は照れ隠しにビールを一気に飲み干すと、

 

「今日は楽しむぞ、隼鷹……何からたべる?」

 

俺はビールを呑みながら隼鷹の肩を抱いた。

 

……この様子の一部始終を姉貴に隠し撮りした映像を見た母さんとクソ親父から孫早くコールを受けたのはまた後のお話。

 

 




隼鷹 梶原 明日香 26歳
千歳 北山 千尋  26歳
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