俺は隼鷹を助手席に乗せてハンビィーで熊本に向かっている、理由は阿蘇にある観測所の視察だ。
「帰りに阿蘇山寄って帰るか?」
俺は隼鷹を阿蘇山観光に誘った。
「いいよ」
隼鷹が楽しそうに答えた。
視察迄は順調に終わった、視察迄は…。
それは阿蘇山麓の駐車場で起こった。
「うわぁ、ダッセー……ハマー」
如何にもボンボン育ちのチャラ男がこれまたという緑色の髪をした女の子を連れて俺のハンビィーを指差して笑っていた。
俺は面倒になるのを避ける為に無視していたが、向こうから絡んできた。
「この超ダッセーハマーあんたのかよ、今時迷彩とか笑えるんだけど……のわりにいい女連れてんじゃん」
テンプレ的な絡み方だった。
チャラ男が俺達に絡んでいる間中、連れの女の子は俺のハンビィーをつぶさに観察していた。
「間違いない、これ軍用の本物のハンビィーだ……うわぁ、ヤバっ」
その女の子はチャラ男の襟を掴むと、
「先程は失礼いたしました、私は佐世保警務艦隊所属の鈴谷です、こちらは当基地隊長 朝霧大尉です」
鈴谷は俺に対して敬礼をするとチャラ男改め朝霧大尉の態度を謝罪した。
「俺は鹿屋第十三監視所長 海軍大佐 紅東だ」
俺の名前と階級を聞いた朝霧大尉がムンクの叫びみたいなの顔になりながら慌てて敬礼をしてきた(上官に絡んだとなりゃ当たり前か)。
「先程の事は気にするな…まぁこれからは言動に気を付けろ、貴様も海軍士官ならな」
俺はやんわりと釘を刺した。
そして鈴谷がハンビィーの入手に必要な費用や簡単なスペックを延々と語りだした。
「この装甲キャビンタイプ、官用車専門のオークションで最低でも六百万…シートから判断すると約八百万位かな…そこから手数料やアメリカ国内での必要費用が約百五十万……日本への輸送費用が約五十万…保安部品の追加や変更、ガス検費用は不明車検費用は何も無ければ約三十万位…日本国内での中古市場がホロタイプで約7百万…あんたが乗ってるハマーH3何か足元にも及びない値段だよ…性能もね、それと…排気量も倍くらい違うし、登坂能力はダンチよ」
ハンビィーの入手な必要な費用と簡単なスペックを延々と聞かされ続けたチャラ男は自分のハマーH3と見比べだした。
俺はハンビィーをそいつのハマーH3の隣に移動させた。
全長や全高は然程変わらないのだが……全幅がひと目で解る位にハンビィーの方が幅広だった。
そしてエンジンもH3の3500ccに対して、ハンビィーは6200ccもあった。
一番の違いはやはりオフロード性能だった、流石ハンビィーは軍用車だったとしか言えない…街乗りナンパ車なぞ歯牙にもかけない圧倒的な走破性だ。
朝霧大尉は羨ましそうに俺のハンビィーを見ていた。
「大佐殿は観光でありますか」
朝霧大尉が聞いてきた。
「阿蘇山火口を見ようと思っってな」
「私達もそのつもりで来たのですが、残念ながらガスが発生中との事で行けませんでした」
鈴谷が山頂の様子を教えてくれた。
「そうか…それならば仕方ないな…どうすっかな」
俺は火口にいけない為に観光先を何処にするか悩んだ。
「それならば熊本城と鯛生金山行かない?」
隼鷹が熊本城と鯛生金山へ行きたいと言った。
「俺達は熊本城と鯛生金山に行くことにするよ」
俺は朝霧大尉にそう言うとハンビィーに乗り込んだ。
「大佐殿、自分達もご一緒し「なにお邪魔虫しようとしてんのよ、私達はこれにて失礼致します」」
鈴谷が朝霧大尉を何処かに引っ張っていった。
一旦日田市に向かうと鯛生金山を観光し、熊本城と熊本市内観光を終えて宿泊した旅館のでの事。
俺は温泉から出ると、部屋で隼鷹を待った、あるセリフを繰り返し言いながら。
「いいお湯だった」
隼鷹が戻ってきた。
「隼鷹、話がある」
俺はテーブルを挟んで隼鷹と座った。
「隼鷹、俺と結婚を前提にお付き合いしてください」
俺は隼鷹に告白と同時に俺とお揃いのプラチナのペアリングを机の上に置いた。
隼鷹は少しだけ間を置くと、
「やっと……やっと言ってくれましたね、あたしの返事は決まっています……不束か者ですが宜しくお願いします」
隼鷹は、俺の申し出を受けてくれた。
そして俺と隼鷹は指に指輪をはめた。
「これからは、いつでも二人一緒だ」
俺は隼鷹の手を取ると口づけを交わした。