とある監視所のお話   作:屋根裏散歩

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お話は暮れの仕事納めから始まります。
戦時中の軍隊に仕事納め……深海棲艦もブラックではないようで、何故か週休二日年末年始休暇に大型連休とごく普通の会社員状態なようです。


第43話 年越し(改2)

「近隣の漁協も昨日で仕事納めなので今日の業務が俺達の年内最後となる、各員気を引き締めて怪我の無いようにしてくれ」

 

俺は年内最終勤務日の朝礼を締めくくった。

その日はパトロール任務も無く、艤装や監視施設の大掃除が主な仕事だった。

 

「所長、お電話です」

 

俺は千歳から電話を回された。

 

「はい紅東です…うん、うん…分かった、全員に伝えとく」

 

 

そして迎えた定時5分前。

 

「今年一年無事に乗り切れた事を皆に感謝する、さてとこの後の予定だが…18時より忘年会を開始する…とその前に、昼に母さんから電話があった、明日の夕方頃婆ちゃんと親父と一緒にこっちに来るそうだ、吹雪以下はお年玉沢山貰えるぞ、期待してるといい」

 

俺の締の言葉に吹雪達が色めきだった。

 

「お年玉!」

 

 

それは仕方なかった、吹雪達からすれば初めて貰う物だったのだから。

 

「と此処からはオフな、隼鷹は吹雪達と家の大掃除をやってくれ、千歳と間宮は俺と正月の買い出しに行く、青葉と夕張は母さん達が泊まる部屋の用意をしておいてくれ」

 

俺は明日からの予定を話すと解散にした。

 

「紫苑さん、ちょっといい」

 

千歳が声を掛けてきた。

 

「千歳どうかした?」

「隣の鳳翔さんが買い物行くならご一緒できないかって」

「かまわないけど、なら明日の朝九時にうち集合と伝えておいて」

 

千歳が鳳翔にメールを打ち出した。

 

「鳳翔さんわかりましたって」

 

ーーーーーーーーーー翌日ーーーー

 

「それじゃ買い物いっくる、大掃除頼んだ」

 

俺は隼鷹に声をかけると車に乗り込んだ。

 

「魚市場前の駐車場だな」

「うん」

「わかりました」

 

間宮と千歳が返事を返した。

 

「鳳翔さんはどの車に?」

 

間宮が聞いてきた。

 

「私は少しお話したいので所長さんのお車に」

 

鳳翔さんが俺の車に乗ってきた。

 

「俺の事は紫苑でいいですよ」

 

俺は鳳翔さんにそう告げた。

それから魚市場に着くまで鳳翔さんと他愛もないことから料理の事等を話した。

 

「俺たちが一番乗りか…」

「そうみたいですね」

 

俺の隣で鳳翔さんが微笑んでいた。

 

「紫苑ごめん」

 

間宮と千歳の車が到着した。

 

「すいません、途中でお餅とお酒を買い足していたものですから」

 

間宮が説明してくれた。

 

「俺も後で買わないとと思っていたから助かったよ、それじゃ後は魚市場関係だな」

 

俺達は何時もの店長の店から行くことにした。

 

「紫苑君、新しく配属された娘かい?」

 

店長が鳳翔さんを見ると聞いてきた。

 

「保養所の総料理長ですよ」

 

店長と鳳翔さんが挨拶を交わしていた。

 

「店長の奥さんは…」

 

俺が紹介しようとしていたその時、

 

「あんたが鳳翔さんかい、私は元ガングートの艦娘だったんだよ……今じゃしがない魚屋の女将さ」

 

向こうから自己紹介してくれた…までは良かった。

しかしその服装が問題だった。

金髪のロングヘアをポニーテールにして赤いスーツをお召しになっていたのだ。

 

「ロアナプラのロシアンマフィアかよ」

 

俺は思わず呟いた。

 

「フライフェイスじゃないよ、それには喫煙は身体に良くないからね」

 

しっかりと聞こえていたようだった、と云うかネタを知っていた。

 

「しかし紫苑君……大変だな、女大所帯の中に男一人は……」

 

店長と店員が俺を同情の目で見ていた。

 

「明日からは親父も来るから多少は……」

 

他愛もないに会話を交わして俺達は鮮魚店を後にした。

その後も色々な店を回って必要な物を買い込んでいった。

 

「こんなもんか…載せきらない分は後からあの店長が纏めて配送してくれるからいいとして…」

 

俺は、間宮に声を掛けた。

 

「買い忘れないか?」

 

間宮がメモを見ながら確認していた。

 

「えっと……」

 

間宮がメモと現物、配達リストを見比べていた。

 

「お蕎麦の追加買っておいた方がいいかも、お父さん達も来るから」

「そうだな、鳳翔さんの所は?」

 

俺は同意すると鳳翔さんに確認した。

 

「そうですね、買っておきましょうか」

 

俺はそこで少し考えた。

 

「年越し蕎麦みんなで食べるか」

 

俺の突然の思い付きにその場にいた鳳翔さん以外が同意した。

 

「よろしいのですか、14人もいますけど…」

 

鳳翔さんが遠慮がちに言った。

 

「お隣さんなんだし、今更遠慮もないよ、みんなで呑んで騒ごう」

 

俺の一言に鳳翔さんも頷いてくれた。

 

「わかりました、それではお邪魔させて頂きます」

「全部で35人分と……一応40人分は天麩羅用の海老買っておくね」

 

間宮が追加の海老を買いに鮮魚店に向かった。

 

「蕎麦は確かあったはず」

 

俺は隼鷹に電話すると蕎麦の残りを確認した。

 

「蕎麦は大丈夫、50束あるそうだ」

 

結局この余分を確認しておいて正解だった、何故なら時雨、夕立、陽炎、不知火、黒潮の5人もクソ親父が連れてきたからだ、しかも当日の朝にしれっと連絡入れやがって、部屋の準備大変だった(時雨達に客間をクソ親父達は離れ確定!と思ったら、時雨達は吹雪達の部屋に泊まることで話がついたみたいだった)。

 

 

そして迎えた30日

 

「紫苑、お父さんから電話で時雨達5人も連れてくるって」

 

夕張からの伝言に俺はこめかみを押さえた。

 

「クソ親父確信犯だな…夕張、親父達の部屋は離れに変更す「時雨ちゃん達は私達と一緒に泊まるよ」」

 

吹雪が俺に教えてくれた。

 

「そうか、サンキュ」

それならお父さん達客間で「クソ親父だけ離れ」

 

夕張に俺はクソ親父の部屋だけは離れと譲らなかった。

 

「お父さん可哀想だよ、それに時雨ちゃん達の事考えてあげたんでしょう」

 

間宮もクソ親父擁護にまわった。

 

「わかったよ…ポチ袋足りないから買っておかないとな」

 

俺は時雨達にもお年玉を用意をする事にした(吹雪達だけあげては可哀想だからな)

 

俺達は買い物を済ませると一路帰宅の途についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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