とある監視所のお話   作:屋根裏散歩

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第44話 年越し②(改2)

「紫苑おかえり」

 

俺達は大荷物を持って帰宅すると隼鷹達が手伝って荷物を冷蔵庫に入れていった。

 

「昼は簡単にサンドイッチ作っていたよ」

 

隼鷹がテーブルの上に置かれたサンドイッチを指した。

 

「サンキュ、それなら皆食べてから母さん達の出迎え準備を「全部終わったよ」」

 

青葉がサムズアップしながら答えた。

 

「なら後は来るまではのんびり過ごすか」

 

隼鷹が作ったサンドイッチを堪能した俺達はそれぞれの居場所又は部屋でのんびりしていた。

 

そして昼下がりのお茶を楽しんだ後だった、玄関の扉が開く音がした。

 

「紫苑、母さん達来たよ」

 

様子を見に行った夕張が声を掛けてきた。

 

「母さん久しぶり、ばあちゃんも元気そうで安心したよ」

 

母さんの後ろに今年89歳になる祖母がニコニコしながら続いていた。

 

「紫苑、紹介しとくれよ」

 

俺は、ばあちゃんに答えた。

 

「そうだね、先ずは婚約者の隼鷹だ後は次女からいくよ、次は千歳、青葉、間宮、吹雪、白雪、初雪、深雪の」

 

俺はばあちゃんに新しい姉妹を紹介した。

 

「そうかいそうかい、ウンウン皆いい娘達じゃないか、隼鷹ちゃん良いお嬢さんじゃないか、紫苑には勿体無いくらいだね」

 

ばあちゃんが少し毒を吐いていたが隼鷹の事を気に入ってくれた様子だった。

 

「隼鷹さん、こんな頼りない孫だけどね、私には可愛い初の男孫なんでね、添い遂げてやっておくれ」

 

ばあちゃんが隼鷹の手を取ると頭を下げていた。

 

「お祖母様、そんな……私こそ不束者ですが宜しくお願いいたします」

 

隼鷹もまた頭を下げていた。

 

「お母様も、玄関先でやってないで時雨達が待ってるから」

 

親父が土間で痺れを切らしていた。

 

「そうね紫苑、お部屋は?」

 

俺は母さん達を客間に案内した。

 

「時雨達は吹雪達の部屋でいいのか?」

 

俺は一応確認した。

 

「僕達も吹雪達と話もしたいしね」

 

時雨達は吹雪達と部屋へと向いながら答えた。

 

「紫苑、夕飯どうするの?」

 

母さんとばあちゃんが聞いてきた。

 

「うん鍋にしようかと思って準備はしてある」

「時雨ちゃん達驚くでしょうね」

 

俺は母さんの言葉の意味を理解した。

食堂は居間の間仕切りを取り払って大広間になっていた。

 

「さてと準備は出来た深雪、母さん達を呼んできてくれ」

「あいよ」

「吹雪は時雨達を呼んできてくれ」

「はい」

 

そして全員が食堂に揃った。

俺は時雨達をみた、こんな大人数に慣れていないのかオロオロしていた。

 

「時雨達も遠慮するなよ、ここでは遠慮は飯の食いっぱぐれを意味するからな」

 

俺の言葉に時雨はキョトンとしていた。

 

「僕達も一緒でいいのかな、鎮守府にいた頃は提督からお前等化け物と一緒に食べられるかって言われてたから……だから鍋なんて食べたことないし…」

 

俺は時雨達の表情の意味を理解した。

 

「そっか、時雨ここではな艦娘も提督もない、皆家族だからな、遠慮するなよ…母さんは元赤城だから後は解るな」

 

俺の声に母さんが少しむくれていた。

 

「元よモ・ト!」

「それとばあちゃんは長門の元艦娘な、戦艦と正規空母がいるということは…「紫苑や私も若くは無いそこまでは食べんぞ」」

 

二人は否定したが少なくても3人前は軽くて平らげるのだった。

 

「不思議な人達だね」

 

時雨が笑った。

 

「……」

 

何やら吹雪が夕立に耳打ちした。

 

「本当ポイ!」

 

夕立が俺と隼鷹を交互に見ていた。

 

「深雪?何を言ったのかな」

 

深雪が答えるより夕立の顔を見て理解した。

 

「深雪だいたいわかったよ、何を夕立に話したか」

 

夕立は顔を真っ赤にして頭から湯気が出ていた。

 

「何時もキスして……」

 

時雨がやれやれと云う顔をしていた。

 

「僕達もここに最初から配属されていたら少しは違った今になっていたのかな」

 

時雨の独り言に俺は答えた。

 

「それならこれから変えればいい、多分親父はそれがしたくて時雨達を連れてきたんだろうから」

 

親父が黙って頷いた。

 

「そっかならウチらもこれからなんやな」

 

それまで黙っていた黒潮がやっと笑った。

 

「まぁ鍋が冷めるから取り敢えず食べよう」

 

俺は野菜や鶏肉団子を鍋に入れていった。

 

「この鍋はね、紅東家の家族団欒の時しか作らないの、貴女達ももう家族も同じなんだからね」

 

母さんが陽炎と不知火の頭に優しく手を置くと優しく撫でた。

 

「ほらヌイヌイも遠慮なんかするなよ、どんどん食べろ」

「ヌイヌイ……」

 

不知火が何か言いたそうにしていたが、諦めたのか鍋を食べだした。

 

「鍋美味しいです」

 

陽炎が不知火の碗に取り分けながら言ってきた。

 

「それは良かった、作った甲斐があったよ」

 

俺の言葉を聞いた時雨達が驚いていた。

 

「紫苑さんが作ったの!」

 

時雨達はてっきり間宮だと思っていたらしい。

 

「私は材料を切ったくらいしかしてないわよ、後は全部紫苑がやったの」

 

その後は和やかに鍋を堪能した。

 

「締めはうどんだ」

 

そして食べ終えると、吹雪達に連れられて時雨達は部屋へと戻っていった。

 

「さてと俺たちも後片付け終わらせよ「それは私と間宮ちゃんでやるから紫苑は、ね」う」

 

俺は千歳と間宮に台所から追い出され自室へと戻った。

 

「隼鷹、ホイ」

 

俺は缶チューハイを隼鷹に手渡した。

 

…………

 

で結局、皆集まってきた俺と隼鷹の部屋に。

そして始まる何時ものちょい呑み会。

 

「あんた達は何時もかい」

 

ばあちゃんが呆れながらやって来た。

 

「そういうばあちゃんも手に持っているものは何かな」

 

ばあちゃんの手には六本パックの缶ビールがあった。

 

「つまみはチーズとサラミくらいしかないけど……」

 

と言うと俺は小型の冷蔵庫から取り出した。

こうして晦日の夜は更けていった…何時もと変わらぬ夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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