「隼鷹、筑前煮出来たよ」
「吹雪ちゃん、紫苑から筑前煮貰って」
「海老天麩羅揚がるよ」
「間宮ちゃん天麩羅こっちに」
「野菜切り終わったよ」
「私に頂戴」
朝から台所は戦場だった。
時雨達は母さん達に連れられて市内観光をしている……親父を置いて。
「親父、深雪達と隣の鳳翔さんから蕎麦用のどんぶり借りてきて」
親父がわかっといって深雪と保養所の厨房に向かった。
「間宮、栗きんとん頼む」
「紫苑、伊達巻これ位の厚みでいい?」
次から次へと料理が出来上がりだした。
そしてそれらは次々とお重に詰められていった。
「千歳、お餅切っといてもらえる」
「わかりました」
千歳が包丁とまな板を持ってテーブルの上でお餅を切り出した。
「初雪は白雪と鏡餅飾ってきてくれ、あと鳳翔さんとこにも持っていって」
「数の子と黒豆これくらいでいい?」
青葉も今日はカメラから包丁に持ち替えて奮闘している。
「ちょっと誰ですか!伊勢海老なんて買ったの」
間宮がお重のど真ん中に鎮座する伊勢海老を見て呆れた。
そんなこんなでお節も無事に出来上がった、一部隣の鳳翔さんから頂いた物もあるが(鳳翔さんの所にも伊勢海老は鎮座している、伊勢海老を入れた犯人はあの店長です……サービスサービスとか言いながら)。
「紫苑、車借りるぞ…今晩は軽めにしたほうがいいだろ父さんが焼き鳥買ってくる」
そう言うと親父が俺の車の鍵を持って町に出掛けていった。
「それなら焼き鳥丼にするか」
夕食は満場一致で焼き鳥丼となった。
そして迎えた23時。
「お邪魔しますね」
鳳翔さん達もやって来た。
「年越し蕎麦は天麩羅蕎麦です」
俺と間宮、千歳とで配膳した。
「パンパカパーン」
愛宕がいつもどおりだった。
「扶桑姉様…こんなに大きい海老が」
山城が幸せそうに海老を食べていた(不幸姉妹ではないので何事もなく普通に海老の天麩羅を食べてる)。
「えっと、今年一年皆にはお世話になった、また来年も宜しく」
俺の挨拶にツッコミが入った。
「なんや、お世話になるんは隼鷹ちゃうんか?」
龍驤が茶々を入れた。
隼鷹は……恥ずかしかしいのかモジモジと下を向いていた。
「ここの所長が紫苑さんで本当に良かった、こうして笑いながら年を越せるなんて」
高雄がしんみりとしていた。
「遅れてゴメン」
やっと姉貴夫婦が到着した。
俺は姉貴達にも年越し蕎麦を出した。
「あら紫苑ありがと」
そしてうちからは誰一人欠けることなく年を超す事ができた。
ーーーー午前0時ーーーー
そうして鳳翔さん達が保養所に戻っていった
俺、除夜の鐘を聞きながら、俺は隼鷹に口吻をした。
「隼鷹とこうしていられて幸せだよ」
「私も」
皆寝てると思っての行動だった……だが皆寝たフリだったのだ。
「ヒューヒュー」
キスした瞬間どっと盛り上がった。
「よっお二人さん」
深雪が冷やかして来た、俺は苦し紛れに親父に頷くと、
「吹雪、白雪、初雪、深雪、時雨、夕立、陽炎、不知火、黒潮こっち来て」
一人5袋のポチ袋が手渡された。
「これは?」
時雨達は何を貰ったのかわからずにいた。
「俺と隼鷹、母さん達、姉貴達、千歳達、ばあちゃんからお年玉だよ」
吹雪達はお礼を言うと時雨達と部屋に戻っていった(後で聞いたら皆1万入れていたそうだ…一人5万)。
ーーーー元旦ーーーー
「明けましておめでとう御座います」
俺と親父は普通の洋服なんだが…ばあちゃんを筆頭に全員いつの間にか買ったのか振り袖を着ていた。
「着付けはワシがやった」
ばあちゃんが自慢気に言った。
「事前にね」
母さんが種明かしをした。
あまりの嬉しさなのか陽炎が泣いていた。
「陽炎もヌイヌイも時雨も夕立も黒潮も似合ってるぞ」
俺は陽炎が泣き止むのを待った。
「さてと初詣といきますか」
俺は車の準備をした。
「それじゃ俺と青葉と千歳、間宮と姉貴の車に分乗してくれ」
ちなみに俺の車には隼鷹、時雨、夕立と吹雪が乗った。青葉の車には白雪、陽炎、不知火が乗った。
千歳の車にはばあちゃんと親父、母さんが乗った。
間宮の車には、夕張と黒潮、初雪、深雪が乗った。
姉貴達夫婦は二人っきりだ(仕方ないだろう誰が乗りたいと思う?リフトアップされたクソ車高の高くなったピックアップトラックなんかに…)。
俺達は初詣を済ますと、吹雪達の買い物に付き合った。
姉貴(紫織)の車は、トヨタハイラックスのリフトアップ仕様です…一応ダブルキャブなのです。
パジェロを千歳に譲って結局ピックアップトラックを買うのです…。