隼鷹の時と同じ様にゴツいワゴン車から一人の艦娘が引き摺り降ろされてそのままワゴン車は走り去っていった。
「あいつら……もう少し静かに降ろせないのかねぇ」
俺は呆れていた。
「お仕置き必要かしら?」
姉貴が低い声で呟いていた。
触らぬ神に祟りなし、聞かなかったことにしておこう。
俺はまたもや勝手口から庭に出るとその艦娘を迎え入れた。
「軽空母『千歳』着任の許可を」
「千歳の着任を許可する、まだ隼鷹しかいないが宜しくな」
隼鷹が縁側から手を振っていた。
「千歳、待ちくたびれたよ」
隼鷹は缶ビール片手に既に出来上がっていた。
「隼鷹あなたなんて事を!すみません」
千歳が血相を変えて土下座してきた。
「隼鷹、呑むんだったら俺も呼べよな!それと千歳此処では勤務に支障無ければ呑んで構わないからな」
俺の言葉を聞いた千歳が理解不能という顔をしていた。
「千歳、久しぶりね」
姉貴も顔を出してきた。
「陸奥……あなたが何故?大本営所属で……」
千歳が更に混乱していた。
「自己紹介しとくか、俺は紅東 紫苑そんでこっちは姉貴の紫織まぁ陸奥の方が分かりやすいか?」
やっと千歳の脳味噌が再起動したらしい。
「弟さんだったの……でも私みたいなのを配属って」
千歳の言葉を姉貴が遮って言い放ちやがった。
「あら、簡単なことよ、千歳も隼鷹も紫苑のお嫁さん候補だからよ」
千歳がこないだの隼鷹と同じく顔を真っ赤にして固まった。
「ちょっと待ってよ、私もだけど犯罪者よ!お嫁さん候補よって貴女の家柄と……」
千歳が姉貴と何か言い合っていた。
「あら、貴女達の件は証言に疑問点が多過ぎて再審査請求が出てるから犯歴には入れてないわよ、それにお父様お墨付きよ貴女達二人は」
俺は蚊帳の外的な存在でいたかった……。
いや隼鷹と外野で呑んでいたかった。
「紫苑?部外者ですみたいに隅っこにいるのかしら?」
俺は姉貴に引き摺り出された。
「何か不満でも?」
姉貴の顔が怖かった。
「つまり……千歳、隼鷹、天龍、龍田、青葉の中から嫁さんを選べとクソ親父のヤロウ……」
俺は缶ビール片手に答えた。
「わかってるじゃない」
とここに来て隼鷹が一つの疑問を聞いてきた。
「なぁ何で夕張の名前ないんだい?あの子も可愛と思うけど」
「ああ夕張ね、あの子は妹なのよ、私達のね」
「夕張…紅東 紫希、俺のかわいい妹だ。
俺もだが姉貴も妹も紫の字が必ず入っている。
これは母方の家の伝統らしい。
因みに母の名前は紫(むらさき)だ」
「そうなんですか」
千歳がおとなしく聞いていた。
「ただその何だ、オタクだ」
俺の言葉に千歳と隼鷹が変な所で納得していた。
「夕張ちゃんと来ればそうだよな」
俺と姉貴、そして隼鷹、千歳はテーブルを囲むとささやかながら(?)歓迎会を開いた。
「千歳型航空母艦の一番艦『千歳』です、宜しくお願い致します」
千歳の挨拶で歓迎会が始まったのだった。