「何か面白いテレビやってないね……」
夕張がブツブツ文句を言いながらテレビのチャンネルを変えていった。
「この時期はオリンピック一色だからな…それならネット配信サービスでも見るか」
俺は最近購入したPS4の電源を入れた。
「ネフリかこれくらいか…」
結局は動画配信サイトをダラダラと見る事にした。
「何か面白いのあった?」
隼鷹がビール片手にやってきた。
「ほい、紫苑」
「サンキュ」
俺は隼鷹から缶ビールを受け取ると、とある投稿者の動画を連続再生にした。
「あははは…やっぱりこうなるよね」
その動画は何か出ると言われる無人の古民家に一人で泊まるというものだった。
「再生ちょっとまって、皆も呼ぶから」
隼鷹が内線で全員に声をかけていた。
「皆も飲み物とお菓子持って来るってさ」
そうしているうちに、全員が俺の部屋に集まって来た。
「それじゃ始めるぞ……」
俺は動画の再生を再開した……しかしそれは選択を誤った、何故なら……うちと同じような無駄に広い古民家が舞台となっていたのだ。
「なぁ……この家……屋根裏とか無いよな…」
深雪が涙目になりながら聞いてきた。
「確かある筈だぞ……空調設備設置に使ってる」
「何にも無いよね……」
「御札とか配膳されたような食器とかか?」
俺の最後の言葉に深雪がひぃと悲鳴をあげた。
「安心しろ、そんな物は何も無かった筈だ……」
俺はわざと最後に間を開けた。
「何だよ、何なんだよ……最後の間は!」
深雪がビビっていた。
「冗談だよ、何もなかったよ」
ようやく落ち着いたのか恨めしそうな目で俺を睨んでいた。
本当の事を言うと……この家には地下室が存在していた。
結局、また全員が俺の部屋にお泊りとなった。
ーーーー翌日ーーーー
「実はな…この家は地下室があるそうだ」
俺は朝食の時にこの事を話した。
「へー地下室ねぇ、何があったの?」
隼鷹が聞いてきた。
「倉庫というか……壊れたストーブや使わなくなった季節物が押し込まれていた位だな、捨ててしまって構わないそうだ…皆で地下室の片付けを今日はするか」
深雪達は昨日の事は何処へやらで地下室へと降りていった。
「埃とか凄いな……」
初雪がマスク越しにぼやいていた。
「お兄ちゃん…この取手なんだろう?」
吹雪が何か扉の取手を思わせるものを棚の後ろに見つけた。
「棚で隠す位だから、何かありそうだな」
俺はその取手を引いた。
「何だこの部屋は……」
其処は明らかに他と違い、その部屋からは冷たい空気が流れ出てきた。
「何が…」
夕張が恐る恐る部屋の中を覗き込みながら口にした。
「……エッチィなフィギュアが沢山……」
夕張が顔を真っ赤にして出できた。
「まじかよ」
俺も部屋の中を覗いたが、直視するのも恥ずかしい物ばかりだった。
「処分するか……」
俺はフィギュアの写真をスマホで撮影していった。
「百以上あるな…やっぱりこの手の専門業者に引き取ってもらうしかないな…売れば飲み代くらいにはなるか…」
等と邪な事を考えていたのだった。
「お兄ちゃん、このフィギュアだけ未開封なんだけど……」
夕張が4つの箱を持ってきた。
「中身想像できるけどなぁ」
等と言いながら俺は包装紙を剥がした。
「嘘だろ…」
それは隼鷹が巻物状の飛行甲板を拡げて艦載機を召喚しようとする姿のフィギュアだった、
「そうすると残りは、やっぱりか」
残りの3つは飛鷹と千歳、千代田の勇ましい姿を再現した物だった。
「この4つは残す…取り敢えず、隼鷹と千歳のは飾ろうぜ」
俺は隼鷹と千歳のフィギュアを自室のテレビ脇に飾った……あとから聞いた話だが、このフィギュアのモデルは千歳と隼鷹だったそうだ。
「結局地下室は、前の所有者が隠し通した恥ずかしい遺産の隠し部屋だったと言う事だ、良かったじゃないか、心霊的な部屋じゃなくて」
俺は深雪達と笑った。
後日談…数えた結果260体あったエッチなフィギュアはその手の専門業者に査定をして買い取ってもらった……買い取り金額だが、ちょっとした高級乗用車が買えるくらいの金額になった(事前に写真データを送っていたので業者は知っていた……大半が数量限定のプレミア物だったそうだ)、因みに地下室の使い途についてだが、大量のエッチなフィギュアがあった部屋は共用の書庫として使う事になった、手前の小部屋はワインセラーとして活用する事にした。