「今日の昼は野菜の天麩羅にでもするか」
俺は間宮、千歳と青果市場で買い物をしていた。
「南瓜に玉葱、茄子、椎茸、エリンギ、オクラ………」
俺と間宮は天麩羅にする野菜を選んではかごに入れていった、そして会計を済ませて車に戻ろうとした時だった。
「誰だ?」
俺は不意に鳴ったスマホを見た。
「魚屋の店長?」
俺は電話に出た、
「はい紅東です、はい、はい、はい…それで量は…はい、その位なら」
俺は電話を切ると、
「千歳、保養所の鳳翔に連絡して、鰻14尾引きと取れないか聞いてくれ、間宮今日の昼は鰻重に変更してくれ、あと姉貴達に緊急呼集…それでもあと6尾か…」
俺の指示を聞いた二人が直ぐに連絡を開始した。
返答は直ぐに有り鳳翔は問題無しとのことだった。
「お姉さんも直ぐに行くって」
「今度はメール誰からだ?………親父…間宮総て捌けたぞ、クソ親父が陽炎達と来る…昼には着くらしい」
俺達は急いで帰ると、鰻重の準備に取り掛かった、
「夕張、鳳翔にこの鰻の蒲焼き届けてきてくれ」
「うんわかった」
「隼鷹と吹雪、深雪は器を洗ってくれ」
「はいよ」
「千歳は蛤でお吸い物を」
「任せて」
「青葉は部屋の準備を白雪と初雪で頼む」
「了解です」
俺は全員に指示を出すと鰻重の用意を間宮と始めた。
そして11時半…何とか人数分の鰻重が出来上がった。
「間に合ったな」
俺達はテーブルに並ぶお重を見ていた。
「さてとあとは親父達が到着するのを待つだけだ」
俺は時計を見ようとした瞬間、
「お呼ばれしましたぁ~」
「紫苑君済まないね」
姉貴と義兄が到着した、
「姉貴早かったな」
「だぁって紫苑がお昼に呼ぶんだもん、お姉ちゃん期待して飛んできちゃった…へっ………これって鰻重?」
姉貴はテーブルに並ぶ容器を見て涎を垂らしていた。
「やっと着いた」
それから直ぐに親父達も到着した。
「よく来たな」
俺は陽炎達を歓迎すると、
「荷物はそこらに置いておいて、先に昼にしよう」
俺は先に昼食にするように言った。
「そうだな、せっかくの………まさか鰻重なのかっ!」
親父までもがテーブルに並ぶ容器を見て涎を垂らしていた。
「紫苑………僕達の為に」
時雨が泣きそうになっていたが、
「たまたま、知り合いの魚屋が賞味期限を間違えて売ったらしい………本来なら先入れ先出しなのだけど最初に入庫した鰻を手違いで最後まで残してしまったらしい…それである程度数の捌ける、俺の所と鳳翔の所に救援要請が来たというわけだ、話はあとにして温かいうちに食べようぜ」
俺は時雨達を座らせると、鰻重を食べることにした。
「鰻美味しい…」
「不知火は…こんな…」
時雨と不知火が何やら涙目で食べていた
「親父、ちゃんと飯食わせてんのかよ…たまには時雨達にもいいもん食わせてやれよ」
俺は時雨達の食べっぷりを見ながら親父にそういった。
「紫苑、無茶言うなよ、育ち盛りの娘だぞ…破産するわっ!…でもなんだたまには食べさせてやりたいか………こんなに嬉しそうに食べてくれるならな」
俺は久し振りの家族団欒を楽しんだ。