とある監視所のお話   作:屋根裏散歩

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第63話 その日

「申告、吹雪以外4名は本日付けをもって退役いたします」

 

俺の前で吹雪達が敬礼しながら申告した。

 

「今迄ご苦労だった、これからは普通の女性としての人生を歩んで欲しい」

 

それは年が明けた勤務初日の朝、以前より退役の話の出ていた吹雪達4人が今日正式に退役した。

 

「明日から呉で艦娘退役調整を行う、遅れないように」

「了解」

「それと、退役に伴う官給品の返還手続きを忘れないようにな」

 

俺は、吹雪達にそう言うと4人の頭を撫でた、

 

「呉から戻ったら美優(吹雪)、潤子(白雪)、明奈(初雪)、凛(深雪)になるんだな…しばらくはごちゃつきそうだな」

「そうだね…自分でも間違えちゃいそう」

 

吹雪もそう言うと笑っていた。

 

「さて、改めてもう一つ辞令が出ている…天龍、龍田それと球磨、多摩の4人には急な話だが今週末より新設される桜島泊地への異動辞令が出ている、短い期間だったが4人が来てくれて楽しかった」

「桜島泊地への異動辞令…拝命します」

 

球磨はそれだけ言うと泣き出した。

 

「異動したくないクマー」

「嫌だニャー」

 

多摩も同じだった。

 

「この監視所にある4人の部屋はそのまま残しておくから…いつでも帰ってこい」

 

俺は、この4人が戦災孤児であり帰る家が無い事は知らされていた。

 

「此処がお前達の家だ、休みの日には遠慮なく帰ってこい」

 

俺の言葉に天龍達までもが泣き出した、

 

「所長…お前達いいやつだな」

 

天龍が泣きながら俺に抱きついてきた。

それを龍田が見ながら静かに微笑んでいた、勿論涙目で。

 

「乙女の泣き顔を見つめちゃ駄目よ~」

 

龍田…薙刀向けるな!

 

「オフの話は此処まで…以前より話には出ていた監視所の統廃合についてだが、球磨達の桜島泊地新設は話したが、この監視所も統廃合されて指宿、鹿屋、南大隅町、薩摩川内市、肝付町の5箇所が電探監視所となり出撃に関して総て桜島泊地担当として…それにより仮ではあるが電探監視のみの任務となった、まぁ詳しくは話し合いで決めるらしい…これも飽く迄も仮ではあるが勤務時間は24時間3交代制の日勤、準夜勤、夜勤の3勤務体系となり、此処は指宿と南大隅町と交代制でとなる…そして編成についてだが、基本2時間交代制とし隼鷹、青葉の第1班と千歳、夕張の第2班とする、尚間宮については当監視所配置で変更無し…とはいえこの人数で3交代は無理しか無いな」

 

俺はそこまで話すと全員の顔をみた。

 

「当面の業務についてだが、電探画面監視1名、通信管制1名を2時間交代で12時間勤務とする、通信員はある意味何もなければ休憩みたいなものだな…何か質問は?」

 

「俺達は何をしたら?」

「異動までの間は電探画面監視の補助を頼む」

「了解だぜ」

 

俺は全員をみた。

 

「他になければ業務開始」

 

隼鷹が電探画面のコンソール席に、青葉が通信機器のスイッチを入れた。

 

「電探に異常なし」

 

隼鷹が報告してきた。

 

「通信機器異常なし」

 

青葉が報告してきた。

それから少し遅れて、

 

「天龍、移動は天龍から5分前行動でおこなうように」

「了解だぜ」

 

天龍がサムズアップしてきた。

こうして年明けの初日は任務変更もあったが無事に始まった。

 

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