とある監視所のお話   作:屋根裏散歩

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かなり新作の新幹線大爆破の影響を受けてます…ある意味ネタバレなのでこれから視聴するという方は、見終わってから読む事を強くお勧めします。


第65話 夢…あのドラマを観たから?

「全く…紫苑さんは」

 

俺は夢見心地で扶桑の声を聞いていた。

 

「ここは…?」

 

俺は目を覚ますと隣りに居た山城に聞いてみた、

 

「何を寝ぼけてるのよ…大湊の現状視察に行った帰りの新幹線の中よ」

 

山城が呆れながら答えた。

そうだった、大湊の現状視察に予備役で保養所勤務の扶桑姉妹と高雄姉妹の4人、それに夕張、隼鷹の6人を連れて行った帰りだった。

 

「そうだった…七戸十和田から…東北新幹線に乗ったんだった」

 

どうやら俺は乗車後数分で爆睡してしまっていたようだ。

 

「パンパカパーン、ねぇ紫苑さん…駅弁食べよ」

 

愛宕は何時ものノリだった…。

 

「そうだな」

 

俺は相槌をうつと弁当を広げた、

 

『当列車は運転状況から八戸を通過します』

 

次の停車駅のアナウスかと思いきや、停車する駅を通過すると車内アナウンスがあった。

 

「変…」

 

どうやら夕張も異変に気がついたようだ、

 

「本来あり得ない…何かトラブルが起きたんじゃない?」

 

夕張らしい考えだ。

 

「そうだな…ちょっと車掌に確認してくる、扶桑、山城同行を」

「了解」

 

俺はそう言うと扶桑姉妹を連れて車掌室へと向かった。

 

「何の騒ぎだ!」

 

俺達が車掌室に着くと一部の乗客が車掌に詰め寄っていた。

 

「お前らの仕事だろ!」

 

俺は近くにいた女性に何があったのか聞いてみた。

 

「実はこの列車に爆弾が仕掛けられたって…それであの男性が車掌さんに詰め寄っていたんです」

「成る程な…それで八戸を通過したのか」

 

俺はスマホを取り出し海軍元帥に電話をすると、特殊状況下での警察業務遂行の許可を承認させた。

 

「全員大人しくしろ!私は海軍少将紅東だ、これより緊急事態状況下の為警察業務を遂行する!」

 

俺はそう宣言すると、騒ぎ立てていた小太りの男を取り押さえた。

 

「何すんだよ!」

「抵抗するな、大人しくしないと拘束することになるぞ」

 

俺は高雄に持ってこさせていた手錠を見せつけると男は大人しくなった。

 

「車掌マイクを」

 

俺は車掌からマイクを受け取ると車内放送を掛けた。

 

「私は海軍少将紅東だ、現在この列車は爆弾が仕掛けられた、それにより時速100km/h以下にする事が出来なくなった、乗客に於いては車掌の指示命令に従う事、騒ぎ立てる者は我々日本国海軍が警察業務代理遂行し身柄を拘束する」

 

放送を終えると車掌が安堵の顔をしていた。

 

「助かりました」

 

俺はそのまま車掌室に残る事にした。

 

「扶桑、君達は一旦席に戻っていて代わりに夕張を呼んでくれ」

「了解しました」

 

扶桑が敬礼すると戻っていった。

 

「爆弾は4号車に仕掛け、時速100km/h以下で爆発すると…犯人から」

 

夕張が来たタイミングで車掌が今分かっている事を話し始めた。

 

「ただ…確証がなく、果たして爆弾は1個だけなのか…それとも複数なのか不明なので」

 

車掌がそう話した。

 

「確かに…貨物列車を爆破してみせたことから仕掛けられたのは間違いないが…問題は場所と個数か…犯人の言う事を信じても良いものなのか」

 

俺と車掌が話していると…何やらカメラを回しながら近づいてくる数名の男女がいた。

 

「貴様達は何をしている」

 

俺が問い詰めると、

 

「報道の自由だろ?」

 

どうやらテレビの取材クルーらしい、

 

「犯人に無駄な情報や影響をかけたくない、撮るのは構わないがライブ配信は禁止とする」

 

俺がそう言うと、

 

「確かにそうですね」

 

素直に従いカメラを止めた。

 

「カメラは止めなくていいぞ、逆に撮影していてくれ…後で何かの役に立つからな」

 

カメラマンがそれに同意してカメラを構え直すと再撮影を開始した。

 

「さてと…此処からは素人考えだけど、先ずは爆弾が1個の場合…犯人の言う様に4号車にセットしたとなると、5号車から後ろに乗客を移動させて切り離せばよいわけだけど…可能なの?」

 

夕張が車掌に確認した。

 

「そうですね…機材と有資格の電気技師がいれば可能ですが…ただ走行中に切り離しを行うと自動ブレーキが働いて…」

 

俺は最近走行中に連絡解除されて線路上で停車し爆発する新幹線が頭に浮かんだ。

 

「その為の有資格電気技師が必要なんです…電気配線を変更して自動ブレーキが働かないようにする為に」

 

そういうことだったのか。

 

「爆弾が実は複数の場合…場所によってはこれはお手上げだな」

 

そう複数…設置場所が総ての車両だったら…止める手立てがなくなることを意味した。

 

「これは仮りにだけど…複数の爆弾の設置車両が最後尾付近の車両には無かった場合…走行中の新幹線同士を連結する事は可能なの?」

 

夕張がさらに可能性を車掌に聞いた。

 

「危険ですが…可能ではあります」

「となると…あとは確実な爆弾の数と設置位置か…こればっかりは捜査している警察の報告待ちだな」

「そうですね」

 

沈黙が流れた、

 

「少将、たった今連絡が!」

 

車掌室の電話に出た車掌が、俺に声を掛けた。

 

「本当ですか!」

 

どうやら犯人からの連絡で身代金と爆弾の詳細が知らされていたらしい。

 

「身代金は1000億円、爆弾は1、4、6、8号車と最後尾5両の車台にセット、時速100km/h以下で起爆との事です」

 

夕張が車掌から詳しく聞いていた。

 

「そうなると手段は一つ、先ずは必要な機材を並走させた新幹線から何らかの手段で受け取って、最後尾車両を走行中に自動ブレーキを回避して切り離し…救援用新幹線を其処に連結して乗客乗員を乗り移らせてから再切り離しで…あとは爆破処理という感じね」

 

夕張が恐らく鉄道会社が取るであろう手筈を想定して説明した、まぁこの通りの事を実際にする事になるのだが。

 

「車掌、この事を乗客に話す」

「わかりました」

 

俺は車掌からマイクを受け取ると、

 

「乗客の皆さんにお知らせします…犯人から要求が来ました、『身代金は1000億円、爆弾は1、4、6、8号車と最後尾5両の車台にセット、時速100km/h以下で起爆』との事です、救出方法として、最後尾車両を走行しながら切り離します、勿論この車両は速度が低下した時点で爆発するでしょう、そして連結部分が最後尾となった所に救出用に後進運転の救出車を仮連結し…乗客乗員総てを移乗させ切り離すと云う手順で行います…其処で皆さんにご協力をお願いします、手荷物は小型リュック程度、貴重品のみとし残りは置いていってください、理由は工事現場の足場程度の踏み板の上を時速100km/h以上で走行中に渡って頂く為です、大変危険ですので指示に従って下さい」

 

俺はマイクを車掌に返すと、自席へと戻ることにした。

 

「また何かあったら呼んでください」

 

俺は車掌と別れ席に着いた。

 

「あとは鉄道会社の準備待ちだな」

 

俺は食べそびれていた駅弁を食べる事にした。

 

「紅東少将…車掌室迄お願い致します」

 

車掌のアナウンスが俺を呼んでいた、

 

「行ってくる」

 

俺は夕張を連れて車掌室へと向かった。

 

「何かありましたか?」

 

俺は車掌に声を掛けた。

 

「先程運行管理者から連絡がありまして、先ず先行して切り離し用の機材を受け取ります…これは運転台後方の乗務員扉から受け入れます…この扉は走行中でも開閉が可能なので…後は最後尾車両を電気的物理的に切り離します」

 

其処にもう一人の車掌が一人の男性を連れてきた。

 

「私が電気技師です」

「宜しく」

 

その中年男性が道具を持ってやってきてくれた。

 

「配線については私から」

 

もう一人の車掌が乗務員タブレットを見せながら電子回路を説明していた。

 

「これを切れば自動ブレーキは解除されますが…少しでもショートさせてしまうと…」

 

その配線はかなり難しい位置にあるようだ。

 

「………」

 

電気技師が揺れる車内で電気配線と格闘していた。

 

「ふぅ…終わりました」

 

30分位掛かったが無事に自動ブレーキの解除に成功した。

 

「車掌、乗客にアナウンスしてください、持ち出す荷物を纏めるようにと」

「はい」

 

それから直にアナウンスが掛かり、車内が少しざわついた。

 

「接続よし!」

 

救出車両の作業員が渡し板を設置しガイドロープを繋げた。

 

「それでは小さいお子さんのいるご家族からお願いします」

 

車掌の指示で子供連れの家族から避難が開始された、

 

「車掌、今どれくらいだ?」

 

俺は車掌に退避状況を確認した。

 

「今退避しているお客様が先頭車の方達ですので、あとは運転員1名、車掌2名、少将殿とお連れの艦娘さん4名、議員先生1名と行方不明の高校生が2名と引率の教員1名12名です」

 

車掌がそう報告してきた。

 

「教員も大変だな…ん?「先生が残ってるなら俺も最後まで残ります!」」

 

一人の男子高校生が先頭車方向からやって来た。

まぁ言っていることはカッコいいのだがな。

 

「何だ、お前はあの女性教師の事好きなのか?」

 

俺は少し茶化しながら語りかけた。

 

「はい」

 

成る程意中の女性を護りたいと、気持ちはよく分かる、

 

「なら最後まで護り抜け」

 

俺はそう言うと、男子生徒の肩を軽く叩いた。

 

「はい!」

 

まぁ教員に俺までお説教されはしたが。

 

「先生、大丈夫」

 

レールの繋ぎ目を越えるたびに振動が伝わって渡し板が揺れた。

 

「無理無理!」

 

教員が腰を抜かしていた。

 

「先生いや…奈緒、俺に掴まれ」

 

こいつ漢魅せるな。

男子生徒が女性教師を抱き抱えながら渡し板を渡っていった。

 

「先生もう大丈夫」

 

渡りきった先で教師を優しく抱きしめていた。

 

「あの2人上手くいくといいですね」

 

愛宕が優しく微笑んでいた。

 

「さてと次はお前達だ」

 

俺は高雄達を行かせることにした。

 

「それでは…サヨナラは言いませんよ」

 

だ〜か〜ら、何故其処でノインが出てくるかなぁ…ガンダムウイング見過ぎだろ。

 

「高雄もふざけてないで」

 

山城から怒られながら愛宕と渡っていった。

 

「!」

 

それはいきなりだった。

車間が開いたかと思った瞬間渡し板が外れ風圧で飛ばされていった。

 

「退避!」

 

俺が言うと同時に双方の接合部分から退避した瞬間車体通しが接触し連絡機部分が潰れた。

 

「アブねぇ…」

 

残骸の隙間から救援車が離れていくのが見えた。

俺と夕張、車掌2名、議員先生と運転員の6名が取り残される形になった。

 

「またやり直しだな…よし車掌、連結解除の道具はまだあるな?」

「それが…その手はもう使えません」

 

車掌が使えなくなった理由を説明した、どうやら同一線路上に爆破された車両がある為だそうだ。

 

…「!」

 

………。

 

「夢か…」

 

俺は昨日見た新幹線大爆破と云うドラマの夢をみていたようだ。

 

 

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