「桜島泊地『霧島』夜間監視業務を申し送ります、昨晩については特に異常認めず、本日より海開きとなりますから宜しくお願いします…それと今週末はそちらへ帰りますので夕食をご一緒にしたいと」
夜間監視担当の霧島から申し送りを受けた。
「鹿屋監視所『隼鷹』申し受けします、昨晩は異常認めず、本日より海開きの件了解しました…今週末は待っていますね」
昨晩の引き継ぎを終えると、隼鷹と千歳の各班は其々の業務へと分かれた。
「『隼鷹、青葉』電探監視業務へ向かいます」
「了解」
隼鷹が出発報告をして電探施設へと向かった。
「『間宮、夕張』通信業務開始します」
先ずは間宮が通信機の前に座った、青葉は海開きに備え艤装を装着してパトロールに出発した。
「本日の決裁書類か…」
先週分の燃料と弾薬の使用報告書や艤装に関する修理報告書、個人の休暇申請があった、
「隼鷹と千歳の休暇申請は、許可と…あとの報告書も問題なし…?これは?」
俺は書類にサインをしながら1枚の書類に気が付いた。
「観艦式に関する艦娘派遣要請…」
それは鹿児島管区司令部からの書類だった。
「何々…うちから隼鷹、千歳、青葉、夕張の4名を参加させろ…って俺と間宮しか残らねぇじゃねえか!」
俺は直に電話をとると鹿児島管区司令部へと掛けた。
「先程観艦式の通達を受けたがこれではうちは回らない!」
俺の苦情に、
「そんな事は知った事か!命令書通りの艦娘を出せばよい」
そのまま電話を切られた。
「ふざけやがって…」
俺は親父に電話を入れた。
「父さん…実はな、鹿児島管区司令部から観艦式をやるから俺と間宮以外は全員参加させろ、あとの業務は残りでって無理難題を吹っ掛けられた」
俺の言葉に、父親である海軍元帥が切れた。
「鹿児島管区の司令は随分と舐めたことをしてくれるな…任せておけ」
そう言って電話を切った、昼過ぎ…鹿児島管区司令が顔面蒼白で俺の家に駆け込んできてスライディング土下座を決めていた…まさか海軍元帥の息子、さらにはあの紅東グループ総帥の息子である事を知らなかったようだ。
「観艦式で抜けた穴は桜島泊地から応援艦娘を派遣してもらうことになりました…球磨、多摩、天龍、龍田の4名です」
よしよしって…階級は当然司令の方が上なのだが…やめてもらえないかなぁ…紅東グループ総帥の息子って云う事がそれを上回ったようだね…それだけ怖いのか。
「司令、観艦式に関する応援者対応ありがとうございます」
俺は…大人の対応をした…多分。
「こちらとしても球磨型の4人なら安心です」
「そうですか…」
司令はホッとした顔をしていた。
「ではこれで」
司令は来る時よりも良くなった顔色で帰っていった。
どれだけうちの母さんを恐れているのだか…。
「所長、帰還しました」
青葉がパトロールから帰ってきた。
「異常認めずです、それと漁協さんからです」
漁協から何か貰ったようだ。
「随分とこれは…立派なアサリとハマグリか…よし今晩は酒蒸しにするか」
俺は青葉から受け取ると給湯室で塩水に漬けた。
「しかしこの量…買ったらやばい額だぞ…これだけあれば他におかず要らねえな」
貝だけでおかずになる位の量があった、
「アサリは深川めしにしませんか?」
間宮が提案してきた。
「そうだな、そうするか」
こうして業務中でありながらユルユルの日常が過ぎていった。
…………その日の夜…………。
「帰ったクマー」
突然に球磨姉妹が帰宅した、
「旨そうな匂いがするニャー」
多摩が酒蒸しの匂いに釣られてやって来た。
「来たな、手を洗ってこいよ」
少し遅れてやって来た天龍が、ビールを持ってきた。
「紫苑差し入れ」
「おっサンキュー」
球磨姉妹の4人を加えた少し豪華な夕食となった。