『LostHeaven―盲目のユメ―』フリーゲーム三次創作ファン小説/本編終盤のネタバレ・IFバッドエンド妄想含みます。   作:MEIKO

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※元の御話が好きで語彙力が消失しています。全体的に箇条書き且つ稚拙な文章力で申し訳ないです;
※物語の終盤以降等についてネタバレと妄想に因るifやキャラクター崩壊等が含まれてしまうかもしれませんので、先に深く御詫びを申し上げます。
※ザウアーさんがまた生き残ってしまう……最早、呪いでは;

◆もしも第二の『終末の日』、あの真っ赤に染まった世界でリアン様が外縁調査に出る事無く三百年から五百年程、新生世界統一国家『ヴェルンディア』にて生き続けたら……と云う妄想がお題となっております。

◆本編後半から終盤に掛けてのシーンは本当にしんどくて涙腺が緩みました。ライゼさん、こんな所を見せつけられて良く耐えられるなー、と思ってしまい。もしも精神的に耐えられずあの日、諦めてしまったら……。

◆この物語は公式見解では有りません。非公式のIF妄想ですので原作本編には含まれておりませんので悪しからず。
※此処までの諸注意コピペ同文です。以下本編。


『LostHeaven―盲目のユメ―』第三章

 千三百六十八通、千三百六十九通、千三百七十通……王宮の裏庭に紙が擦れ合う雑音が木霊する。

庭の片隅に位置する焼却所にて、二人の侍女が掃除の後片付けを黙々と熟していた。使い古した焼却炉の中へと乱雑に放り込まれている物は、所謂『恋文』と云う品で。

 

  連日連夜、彼女らが仕えている大切な王家の一族に当てた熱烈な手紙が数え切れない程の量で送り付けられて来る為、こうして二人で手分けして整理……否。真実は、その全てが次期メイド長と謳われているクーシアと云う少女に因って廃棄処分となっていた。

頑なに、一切の感情も出さず。ただ冷酷に手紙を投げ捨てて行くクーシア嬢を傍らでおずおずと見詰めているもう一人の侍女こと、シェリーヌ嬢は憑き物が落ちているかの様な黒髪の侍女を訝しげに問い詰める。

 

「あの、クーシア御姉様。一つ、御訊きしたい事が有るのですけれど……。」

「何か御入用かしら、シェリーヌさん? 貴女、先程から上の空で。ほら、手が止まっていてよ。」

「あ、も……申し訳ありません!」

 

  手紙に込められた主君様に対する想いを無碍に扱う事など出来ずにいたシェリーヌに勘付いたのか、隣でふわふわと浮付いている彼女をぴしゃりと諫めると眼鏡の奥の瞳を強張らせて、悪事に手を染める無知蒙昧な童子の様な振る舞いで両手に携えた籠から一通ずつ手に取り放って行く。

 この速度では何時まで経っても処分が終わらないだろうと、呆れた様子でクーシアは再び自身の務めに身を戻すのだった。

訥々と弱弱しい声で話し掛けて来る旧友の飽くなき抵抗に、独りの侍女として冷たく距離を置きながらも華麗な手捌きで。普段通りに仕事を粗方、終えた彼女は次にもたついているシェリーヌ嬢の籠も奪い取って、余りを一気に火の海へと放り込んだ。

 

「それで? 何か、私に言いたい事でも有るのかしら? 詰まらない事で私の手を煩わせないで下さいね。」

「あ、はい……その、手紙は確か。リアン様とレクセス様の身許に当てられた品であった筈です。それをどうして」

「どうして捨てるのか、と言いたいの? 愚問ですね、御主人様方の事を想い侍女として当たり前の務めを担っている。私達がやるべき仕事はあの方々を全身全霊で御守りする事、貴女は違うとでも?」

「いえ、私も御主人様方は御守りしたいです。ですが……。」

 

 そう言って彼女は、居もしない神に祈る様に強く手を握り締めて辛そうに言葉を紡ぐ。臆病者で気が弱い性格は長い時を経ても変わっていないと云うのに、変な所で意固地で誰よりも心優しく、決して諦めたり挫いたりしない強さを私は憧れていた。

 

 貴女の様な『人間』になれたら嘸かし、もっと真面な人生を送れていただろうに。もう何もかも遅いのだ……私も、この王国も変わってしまった。

 

「クーシア御姉様は、そんな御人ではなかった筈です。この様な真似をなさる方では……。」

「昔の私と今の私ではもう到底、比べ物にならない程に変貌してしまったと言いたいのね。残念だけれど、これが私よ。昔から何ら変わらない……して、雑談は済みまして?」

「いいえ、クーシア御姉様も。この王国も。何もかもが変わってしまいました。三百年前は、世界の全てが明るく穏やかで、優しかった……あの御方の微笑みを映した様な世界でした。でも、変わってしまった。」

「そう……貴女には、その様に見えるのね。私と同様に世界が嫌いだと。」

「嫌いではありません……唯、以前よりも寂しくなってしまったと。そう思っております。」

 

 嗚呼、この子は何て眩しいのだろう。曇りなき双眸が私の心に刺さる。人として良く出来ている、精神性も歪んでいる訳でもなし。三百年も経過しているのに、私の目前に佇む愛らしい侍女は確と前を見据えて逞しく生き抜いていた。

 私はきっと、この子には勝てそうにない。何を言おうとも彼女の高潔さに打ち払われて跡形も無く浄化されるだろう。

 

 これだから雑談は苦手だ。特に、こういった手合いを相手に取ると成す術が無くなってしまう。何時までも変わる事のない旧友の輝きに思わず畏怖の念と、郷愁を感じてしまうから。

 

「貴女は昔から変わらないわね。」

「は、はい?」

「ふふ、貴女の輝きが私には眩し過ぎると言っているのよ。正直、羨ましいわ……貴女が。」

「クーシア御姉様……買い被りです。私は、そんな人柄ではないです。」

「私が勝手にそう思っているだけですので、御気になさらず。」

 

 

――変わってしまったのだ、あの日から何もかも。

 

 

 

 化粧台の鏡に映る私の顔は、まるで能面の様に固く澱んでいて眺める度に吐き気が込み上がって来る。こんな面で婚姻式典の場に立たなくてはならないだなんて冗談にも程があろう。

 

 せめて、こんな姿形に成り果てる前にさっさと決めておけば良かった。

 

 月面基地が地上に落下してから暫くして我が主君であったレクセス様がロストを発症し、此処から王家の復権と栄光が再び歩み始めるのだと重荷を下ろそうとした矢先の出来事だった。

 エルメルディア皇女殿下が、あの様な状態に成ってしまわれる以前から彼の精神が安定しておらず。何時、ロストを発症してもおかしくはない危険な状況ではあったのだがリアン様が御帰還なされて、一時期は落ち着いていた御様子だったので安心してしまったのだ。

 

 その油断が私とリアン様の動向を一手、遅らせてしまい。治療の手段も機材も、研究体制も全く持って整わない現状で彼の容体は日に日に悪化して行く。

 最初の内は、本当に細やかな症状であった。食べ物の好みが徐々に幼少期の頃に戻って行くのだ。言動や態度も大人びた人格から打って変わって、少しずつではあるが子供の様に無邪気な物言いで振る舞いリアン様を度々、困らせる程にまで変貌してしまった。

 

 肉体はその真間に、心だけが幼く退行していくレクセス様を看病し。ロスト化の傾向を治せないかと常々、苦悩の淵に立たされる新たな主君様を支えねば……その一心で、この永い時を奔走して。

 

 そうして見付けたのだ、治療の糸口を。正確に言えば、既に用意されていた物を我等が盗み取ったに過ぎないのだが。

 新たな主君様ことリアン様は、実弟の命とエルメルディア様を死守出来る騎士を後世に遺す為ならば、と。形振りも構ってはおれぬと半ば強引に、嘗ての仲間であった者達が揃えた研究資料と施設を『カノジョ』から聞き出し。王都の、そして弟のロスト化治療の体制を確立するべく研究機関の最高責任者にまで上り詰めた。

 

 だが、研究は決して順調にとは進まなかった。原因は世界中に蔓延るアンチエーテルの影響下で増大した、暴虐的なまでに狂暴化した魔物の存在が大きいからである。

 迅速に確保し、整備をしなくてはならない王都の外れに在る古い研究施設にも魔物の群れが棲息しており。軍を挙げて殲滅作戦に向かわせているものの、リアン様の御力が無い小隊では抑える事など出来ようもなく。

 自ら撒いた種に苦しめられるとは、私の腕に抱かれながらも初めて弱音を吐いたのだろうリアン様は自嘲気味に嗤って涙を溢した。

 

 あの夜、私は彼等の支えに成りたいと思ったのだ。裏方ではなく、聖母の如く温かい抱擁で包み込み共に生きようと大切な贈り物に誓いを立てた。

 

 

 それが、こんな悲惨で残酷な結末に向かうとは終ぞ予想もせず。私は『神の子』を授かったのだ……エルメルディア様を護る騎士の血を未来永劫に亘って脈々と継承させる為に。

 

 

 

「僕は、認めないから……僕の『お母さま』は、一人しか居ない。」

 

 そう言ったのはレクセス様であった。

 御主人様が討伐部隊の支援で表に出ている際、いつもの通りに此処へ訪れる彼を見付けた私に対して。冷たい聖櫃の中で眠る皇女殿下を見守りながらも彼は、頬を浮腫ませつつ膝を抱えてか細く呟いたのだ。

 最早、私の事など覚えていないレクセス様の心に在る者はエルメルディア様と兄である御主人様のみで。

 私など新しく入って来た侍女が、自分にとって何よりも大切で憧れの兄を奪う間者としか思っていないのであろう。

 

 そんな私と兄が、王都の重役から言い付けられた政略結婚だとしてもこうして結ばれる。この現況を気に入らないらしく。彼は兄から手渡された式典の招待状を、その日の内に殴り捨ててしまった。

 これには流石にリアン様も堪えたらしく、落ち着くまでは互いに顔を合わせずあくまでも主従の関係性を保った状態で式まで耐え凌ごうなどと述べ諂い。それでも決意を固めていた私個人としては、近い内に婚姻をする身として痛切に王族の絆が深いと知り肩透かしを食らってしまったものだ。

 

 今のレクセス様は、それほどまでに兄を縛り。自身の『母上』と幻想している眠り姫を盲目に愛し続けて、永遠の孤独を享受している。

 私が此処で『神の子』を産み落としたとしても恐らく救いは無い。栄華を誇った王国の、悲しき物語は誰にも真相を知られる事もなく静かに幕を閉じるのだ。

 

 

――それならば、最後の悪足掻きをしなくては……侍女として、彼等に出来る事なんて限られているけれど。

 

 

 我が胎内で根付く悪魔の子を優しく撫でて。今宵、一世一代の大勝負に挑む。チャンスは一度きり、気取られぬよう送り出した使いが一人の『死神』を王都に連れて来る。

 あの者ならば確実に、私とこの子と。そして『彼』を殺してくれる筈だ、そうでなくてはならない……何を犠牲にしてでも、愛するもの総てを壊してでも。

 

「この作戦は成功させねばならない……リアン様の為に。レクセス様の為に。エルメルディア様の為に。私の様な矮小な人間を信愛してくれた友の為に!」

 

 

 

――シェリーヌ、今まで有難う。貴女と出会えて私は幸せだった……願わくは、来世でまた逢いましょう。

 

――その時こそは、貴女と本当の『友達』になりたい。

 

 

【『LostHeaven―盲目のユメ―』第三章/了】




 ザウアーさんを書くつもりでいたのに、何故か手が勝手にメイド達の百合話を執筆していた。

 次こそは、ザウアーさんを……ザウアーさんを書きたい所存です!
 此処まで御読み下さり有難うございます、四本仕立てと思っていたのが思いの外、もう少し長めに続きそうなので、最後までぽて子氏の音楽を聴きながらゆっくり執筆して行こうと思います。
また次回も宜しければ楽しく見て下さると幸いです、では!

追伸:私はメイドの清らかな百合が好きです。
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